実家が空き家になったらどうするべき?売却・相続、それぞれ注意点を解説

実家が空き家になってしまい、売却するべきか、売却せずに相続すべきか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

実家の売却や相続は家族間の想いも強く、判断を誤ると取返しのつかない事態に陥ることもあります。また、経済的なリスクも大きいため、慎重な判断をしたいといえます。

本記事では、空き家になった実家を売却する場合と相続する場合、それぞれの注意したいポイントについて解説します。

※記事内の税金・税率などは2021年10月時点の情報となります。最新の情報については、国税庁などのサイトをご確認のうえ、税理士など専門家へのご相談もご検討ください。

目次

  1. 実家が空き家になったら
  2. 空き家になった実家を売却する場合の注意点
    2-1.空き家の資産価値を見積る
    2-2.空き家を解体すると固定資産税等が上がる
    2-3.譲渡所得税のマイホーム特別控除を適用できることがある
    2-4.円滑な相続手続きと相続後の税制優遇を考慮する
  3. 空き家になった実家を相続する場合の注意点
    3-1.相続後の管理に注意する
    3-2.相続税の軽減措置の適用がある
    3-3.相続放棄手続きと管理責任に注意する
    3-4.相続後の売却の際は税制優遇を考慮する
  4. まとめ

1.実家が空き家になったら

実家を売却する場合と相続する場合では、相続手続きや税制、法的責任などの側面から、それぞれ注意すべきポイントがあります。税制や法的責任については、経済的なリスクも大きく、ポイントを押さえた上で慎重に判断したいといえます。

相続手続きについては、相続人同士の関係などにも影響し、一歩間違うと取返しのつかない事態になり得ます。財産の処分や相続手続きは、個人の置かれている事情によって千差万別ですから、これら以外にも様々な要素を考慮する必要があるでしょう。

以下では、実家の売却・相続の主な注意点を中心にして解説していきます。空き家になった実家を売却あるいは相続する際に参考にしてみましょう。

2.空き家になった実家を売却する場合の注意点

空き家になった実家を売却する場合、以下のような点に注意しましょう。

  • 空き家の資産価値を見積る
  • 空き家を解体すると固定資産税等が上がる
  • 譲渡所得税のマイホーム特別控除を適用できることがある
  • 円滑な相続手続きと相続後の税制優遇を考慮する

2-1.空き家の資産価値を見積る

空き家になった実家を売却する際は、まず、資産価値を見積る必要があります。

通常、売却手続きは資産価値を査定により見積ってから、売出し価格を決め、値下げ方針や最終的な売却価格などの売却戦略を立てていきます。

また、他の相続人との関係においても、資産価値を見積ることが重要です。売却した場合は相続後、その売却代金を分割することになりますが、売却代金を受け取るよりも、空き家を実物で相続して居住したり運用したりすることを希望する相続人がいる可能性もあります。

このような売却判断は、空き家の資産価値によって変わってきます。さらに、資産価値がかなり低い場合は、売却が難しいことも考えられ、相続すること自体にリスクがあるケースもあります。不動産の評価次第では、相続の放棄も視野に入れるようにしてみましょう。

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2-2.空き家を解体すると固定資産税等が上がる

空き家の状態によっては、売却する前に解体すると、買手側では解体費用が浮くため、その分高く売却できることがあります。

しかし、居住用住宅が建っている底地は、住宅用地の特例が適用され、固定資産税や都市計画税が軽減されています。小規模住宅用地(1戸につき200㎡以内)に該当する場合、固定資産税は6分の1、都市計画税は3分の1まで減額されています。

一般の住宅用地であっても、固定資産税は3分の1、都市計画税は3分の2まで減額されています。空き家を解体して更地にすると、これらの軽減措置が解除され、固定資産税や都市計画税が最大6倍にまで上げることになるため注意しましょう。

2-3.譲渡所得税のマイホーム特別控除を適用できることがある

不動産を売却すると、売却による利益(譲渡所得)に対して譲渡所得税と住民税がかかり、大きな負担になりえます。譲渡所得税と住民税の税率を合計すると、短期(5年以内)の譲渡の場合39.63%、長期(5年超)の場合20.315%に及びます。

実家の空き家が、自己居住用不動産である場合には、居住しなくなってから3年以内に売却することで、マイホームの特別控除の適用を受けることができます。マイホームの特別控除の適用を受けると、譲渡所得から3,000万円までの控除が認められます。(※参照:国税庁「マイホームを売ったときの特例」)

ただし、相続後に売却した場合であっても、一定の条件を満たせば同様の控除を認める特例(空き家の特別控除)が適用できる可能性もあります。(※参照:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」)

2-4.円滑な相続手続きと相続後の税制優遇を考慮する

相続前に実家を売却することで、円滑な相続手続きが可能になります。相続について、相続人間で遺産分割トラブルが発生する可能性がある場合や、代償財産の確保が難しい場合などは、売却代金を相続することで平等に遺産分割をおこなうことができ、相続人同士のトラブルを回避できるようになるでしょう。

しかし、税金面からはいったん相続し、その後売却した方が有利な場合が多いでしょう。現金を相続するよりも、不動産を相続する方が、相続税の課税評価額を圧縮もしくは軽減できる可能性が高く、相続税が安くなる傾向があるからです。

また、相続税の算定時に小規模宅地等の特例の適用を受けられるケースもあり、その場合の相続税の軽減効果は最大80%に及び、非常に高いといえます。

ただし、税法の改正は頻繁に行われるうえ、相続税の性格な計算や適切な税制優遇を受けるには高度な専門知識が必要になります。相続財産が大きい場合には、相続に強い税理士への依頼も検討してみましょう。

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3.空き家になった実家を相続する場合の注意点

空き家になった実家を相続する場合、以下のような点に注意しましょう。

  • 相続後の管理に注意する
  • 相続税の軽減措置の適用がある
  • 相続放棄手続きと管理責任に注意する
  • 相続後の売却の際は税制優遇を考慮する

3-1.相続後の管理に注意する

空き家を相続する際は、相続後の管理に注意する必要があります。空き家を管理、維持するには、清掃や保全修理などに手間や費用がかかり、毎年、固定資産税・都市計画税もかかってくるためです。

その上、適切な管理がおこなわれないことで周辺の景観や環境を著しく損なっているような場合、「空き家対策法」が規定する「特定空き家」に指定され、自治体によって改善命令や行政代執行による取壊しがなされる場合もあります。

もし、適切に管理しなかった場合、空き家が壊れたことが原因で近隣住民や通行人に損害を与えてしまい、損害賠償請求を受ける可能性もあります。

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3-2.相続税の軽減措置の適用がある

不動産を相続する場合、その不動産に課税される相続税の算定において、土地は路線価を基準に、建物は固定資産税評価額を基準にして評価がなされます。

路線価は、実勢価格の約80%、固定資産税評価額は実勢価格の約70%が目安となります。実勢価格と評価額にこのような差があるために、現金で相続した場合よりも相続税の財産評価額がかなり低くなる傾向があります。

このほか、相続税の算定時に小規模宅地等の特例の適用を受けられることがあります。この特例の適用を受けることができれば、相続税の課税される不動産評価額が最大80%減額されます。(※参照:国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」)

特例の適用条件は、相続不動産の性質や相続人の状況によって異なりますので、適用条件を確認し、該当するようであれば適用を受けることを検討しましょう。

3-3.相続放棄手続きと管理責任に注意する

空き家を売却せずに相続した場合、事情が変わってやはり相続を放棄したいと考えた場合であっても、相続財産のうち空き家のみを相続放棄するということはできません。相続放棄手続きには、相続の開始があったことを知った時から3カ月以内となっています。

空き家を相続すると、その空き家の管理責任を引き継ぐことになります。相続放棄をしても、空き家の管理責任が残る場合もあるので注意しましょう。

3-4.相続後の売却の際は税制優遇を考慮する

相続した空き家を相続後に売却する場合、譲渡所得税の優遇税制の側面から、相続税の取得費加算と空き家の特別控除の適用が考えられます。

相続した空き家を売却した場合、その売却にかかる譲渡所得税の計算では、その空き家の相続で納付した相続税分を、取得費に加算できる制度があります。

また、一定の条件に該当すると、相続した空き家を売却して利益が生じた場合、譲渡所得税の課税所得から3,000万円の控除を受けることができます。

これらの優遇税制の適用は、相続日から3年以内に売却することが条件になっています。相続税の納付があった場合や、空き家の特別控除の適用を受けられる他の条件が揃っている場合、相続後3年以内に売却することを検討してみましょう。

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まとめ

空き家になった実家を売却する際、円滑な相続と相続後の税制優遇について考慮し、売却する際は、固定資産税等や譲渡所得税に注意しましょう。

空き家になった実家を相続する際は、管理面に注意、相続税の軽減措置の条件に当てはまるようであれば適用を受けることを検討しましょう。相続後の売却は、譲渡所得税の優遇措置を考慮して判断することも大切です。

ただし、税金の計算や特例の適用条件は複雑であり、改正がおこなわれることもあります。個々の状況に応じて税理士などの専門家に相談することも検討しましょう。

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佐藤 永一郎

佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。