不動産を売却する流れは、大きく分けると「不動産会社の選定」「売却活動の開始」「不動産売買契約の締結」という3つのステップになります。
今回のコラムでは、その3つのステップごとにそれぞれで売主が行うべきことを解説していきます。また、それぞれのステップで高く売るコツや反対に注意するべき点も紹介していきます。
目次
- 不動産売却の流れの3つのステップ
- 不動産売却を依頼する不動産会社を選ぶ
2-1.複数の不動産会社の情報を集める
2-2.不動産会社を選ぶ - 不動産売却の活動を開始する
3-1.媒介契約の種類を選択する
3-2.内覧など買主候補に対応する
3-3.買主からの条件交渉に対応する - 不動産売買契約を締結する
4-1.必要な書類を準備する
4-2.不動産売買契約を締結する
4-3.物件を引き渡し決済金を受け取る - まとめ
1 不動産売却の流れの3つのステップ
不動産を売却する流れを大きく分けると、下記のような3つのステップになります。
- 不動産会社を選ぶ
- 売却活動を開始する
- 不動産売買契約を締結する
不動産を売却するには不動産会社の協力が重要なポイントとなってきます。まずは売却活動を担当する不動産会社を選ぶこと、そして不動産売買契約を結び、引き渡しをすることで不動産の売却は完了することになります。この3つのステップについて次の項目で解説していきます。
2 不動産売却を依頼する不動産会社を選ぶ
この段階で売主として行うのは下記のことです。
- 複数の不動産会社の情報を集める
- 不動産会社を選ぶ
まずは不動産会社を選ぶために、情報を集める必要があります。情報を集めるにはどのような方法があるのか、注意点も含めてみて行きましょう。
2-1 複数の不動産会社の情報を集める
不動産を売却する場合、売却を依頼する不動産会社を選ぶことはとても重要です。不動産会社によって売却活動や価格設定などに違いがあり、売却までの期間や売却価格が異なる可能性もあります。1社だけでなく複数の不動産会社の情報を集めて、慎重に選定しましょう。
不動産会社の情報を集める際は、不動産情報ポータルサイトを活用したり、知人からの紹介や口コミを調べる、といった方法があります。情報を集める際に特に気をつけておきたいのが不動産会社の規模です。会社の規模によって下記のような特徴があります。
- 大手不動産会社:全国に販売網があり、実績が豊富
- 中堅の不動産会社:市内などある程度の限られた地域に強い
- 中小の不動産会社:エリアを限定して地元密着型で営業している
売却予定の不動産の種類によっても異なりますが、それぞれの不動産会社の特徴を把握して情報を集めるようにしましょう。この段階ではそれぞれのタイプの不動産会社の情報を集めて、売却する不動産を担当するのにふさわしいかを比較検討していきます。
複数の不動産会社を選定するには時間と労力が必要となりますが、この時、便利に活用できるサービスに「不動産一括査定サイト」があります。国内各地の不動産会社の情報が掲載されており、一度の入力でエリア・物件タイプの条件に合った複数の不動産会社に査定を依頼することができます。
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2-2 不動産会社を選ぶ
ある程度、不動産会社を絞り込んだら、次は査定をしてもらうことで不動産会社の見極めを行います。査定とは、不動産会社に物件の状態を見てもらい、価格をつけてもらうことです。不動産市場でいくらで売却できそうか、査定を受けることで推測ができます。
また、査定時の対応によって、不動産会社の実績や対応力などを見極めることもできます。査定価格について適切な説明をしてくれる、その根拠について丁寧に説明してくれる、といった不動産会社は、エリアの特性などを理解していると予測できます。
そのほかに不動産会社を選ぶポイントは、下記が考えられます。
- 売買実績
- 広告展開など売却戦略の選択肢
- 不安を解消してくれるような的確なアドバイス
- 売主の意向を聞き、反映させてくれる能力
これらを確認し、不動産会社を選定していきましょう。
不動産売却を依頼する不動産会社を選ぶコツと注意点
複数の不動産会社を比較するとき、査定価格だけに注目して選ばないように注意しましょう。不動産会社の中には、他社よりも高い金額を提示して売却を促し、自社で依頼を受けようとするケースがあるためです。査定価格だけでなく、査定の根拠、査定時の対応力など、多角的な視点で判断することが大切です。
また、不動産会社の言うことが正しいことか分からない場合や大きな疑問点が出てきた時には、同時にコミュニケーションを取っている不動産会社へ相談してみることも有効な手段です。複数の不動産会社と同時にやり取りをすることで、正しい情報が提供されているか、ある程度見定めることができます。
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3 不動産売却の活動を開始する
不動産会社の選定が終わったら、本格的に売却活動がスタートします。このステップで売主として行う代表的なこととして、下記の3つを取り上げました。
- 媒介契約の種類を選択する
- 物件情報を提供したり、内覧などで買主候補に対応する
- 買主からの条件交渉に対して検討する
実際の売却活動を行うのは不動産会社ですが、売主も物件情報を提供したり、内覧の対応をしたりなどすることがあります。次から見てみましょう。
3-1 媒介契約の種類を選択する
媒介契約とは、不動産会社と売主の間で締結する売却活動に関する契約です。契約の種類は3つあり、それぞれに特徴があります。下記で確認してください。
項目 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
---|---|---|---|
複数の不動産会社への依頼 | ○ | × | × |
自分で見つけた買主との単独契約 | ○ | ○ | × |
指定流通機構への登録義務 | 無 | 有 | 有 |
販売活動の報告義務 | 無 | 有 | 有 |
契約期間 | 規制は無し | 3ヵ月以内 | 3ヵ月以内 |
一般媒介契約は複数の不動産会社に依頼できるため幅広く募集ができますが、不動産会社としては他の不動産会社で仲介が決まった場合は営業活動が無駄になりますので、優先順位が落ちる可能性があります。
専任媒介契約と専属専任媒介契約は一社だけにしか依頼を行いませんので募集範囲が狭くなりますが、不動産会社としては営業活動が無駄になる可能性がなく、販売活動を報告しなければならない縛りもあります。そのため販売活動を積極的に行ってくれる可能性があります。
どの契約方法にするかは、個別の対応になってきますので、事前に各契約の特徴と良し悪しを把握した上で決めることが大切です。この媒介契約の種類が売却活動に影響しますので、慎重に選ぶようにしましょう。
3-2 内覧など買主候補に対応する
不動産会社と媒介契約を締結すると、売却活動を始めてくれます。下記が不動産会社が行う代表的な活動です。
- 不動産流通機構(レインズ)に物件を登録する
- インターネットや住宅情報雑誌などに広告を出す
- チラシを配布する
- 購入希望者に物件の情報を提供する
買主候補が実際に物件を見たい場合に、訪問して物件を確認するのが内覧です。このときに売主ならではの視点で、物件をアピールすることも可能となります。
ただし、行き過ぎた言動は買主候補が圧力を感じてしまいますので、どのような話をすればよいか不動産会社の担当者と事前に打ち合わせを行っておくと良いでしょう。例えば、どのような質問が出てくるか事前に想定し、売主側でしっかりと質問に答えることで、買主側の購買意欲を高められることがあります。
3-3 買主からの条件交渉に対応する
買主候補に購入意思がある場合、氏名や住所、さらに購入希望価格を記入した買付証明書を提出します。売主はその買付証明書を不動産会社から渡された時点で、売却するか検討します。このとき特に注意しておきたいのが、販売価格と買主候補の購入希望価格が異なっているケースです。
不動産売買では「指値」といって、販売価格からいくらか値段を差し引いた価格で買い付けを入れることが通例になっています。指値交渉をされた時、売主は買い付け価格に応じるかどうかを検討することになります。
指値への対応は、まずは売主が納得できる価格か検討しましょう。また不動産市場で相場を把握し直したり、不動産会社に他の買主候補からの問い合わせがどれくらいあるか、などを確認して判断していきます。
不動産の売却活動のコツおよび注意点
買主候補の内覧の際には室内を整理整頓するようにしましょう。特に窓の周りをスッキリさせておくことで、部屋の中が明るくなり窮屈なイメージを与えません。指値を入れる理由を減らしていくような工夫をすることで、高く売却できる可能性を高めることに繋がります。
また、指値交渉に備えて、売出価格についても事前に不動産会社と打ち合わせを行っておきましょう。この時、できれば売りたい「希望価格」と、売却可能な金額である「最低価格」の両方を取り決めておくと、交渉時の判断もスムーズになります。
指値を入れられた場合、最低価格を考慮しながら指値と販売価格の間で再交渉を持ちかけるなど、買主候補に逆提案をする方法もあります。こうした方法を知っておくと、できるだけ高く売却することができるようになります。
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4 不動産売買契約を締結する
不動産を売却する流れの中で最後の手順となります。このステップでは主に下記のことを行います。
- 必要な書類を準備する
- 不動産売買契約を締結する
- 物件を引き渡し・決済金を受け取る
売買の交渉がまとまったら不動産売買契約の締結を行い、そのあと売主は引き渡しの準備を進めることになります。それぞれ見てみましょう。
4-1 必要な書類を準備する
買主候補との間で、売買金額およびそのほかの条件で合意ができたら、売買契約を結ぶことになります。買主候補がローンを使う場合は、金融機関などの審査を受けるため、通常はその結果を待ってから売買契約を結ぶ流れになります。
この結果を待つ間に、売主としては売買契約および物件の引き渡しに必要な書類を揃えておきましょう。代表的な書類は下記になります。
- 身分証明書
- 印鑑登録証明書
- 登記識別情報通知
- 収入印紙
このほか、引き渡しの時期によって固定資産税などの税金を売主と買主との間で精算する必要があります。その場合、固定資産税評価証明書も用意しておきます。
4-2 不動産売買契約を締結する
不動産売買契約書は売主と買主の間で合意した条件を元に作成され、不動産会社を仲介として締結することになります。宅地建物取引士の資格を所有している担当者が主導して行います。
契約締結当日は、通例、下記の流れで行います。
- 提出する書類を確認する
- 身分証明書によって本人を確認する
- 重要事項説明書の読み合わせをする
- 不動産売買契約書の内容を確認したあとに署名・押印をする
- 手付金を受け取る
- 不動産売買契約書を受け取る
重要事項説明書の読み合わせを終えたら、不動産売買契約書の内容を確認して売主と買主がともに署名・押印します。これで売買契約が締結されることになります。
その後、買主から売主に契約書に記載された金額の手付金が渡され、作成された不動産売買契約書が買主と売主にそれぞれ手渡されます。これで売買契約が成立し、売主は1~2カ月後に行われる引き渡しのために準備を始めることになります。
4-3 物件を引き渡し決済金を受け取る
物件の引き渡しは、買主が手付金以外の物件代金を支払い、売主からは鍵を渡すことで成立するのが通常です。買主が金融機関から融資を借りる場合、その金融機関を会場にして行われます。物件を引き渡す前に、公共料金の精算や引っ越しなどを済ませておきましょう。
またローンの返済残高がある場合は、引き渡しが終わった後に繰り上げ返済を行います。金融機関によって抵当権が設定されていますので、金融機関から抵当権抹消に関する書類を預かり、その後、法務局で抵当権を抹消する手続きを行います。この抵当権抹消手続きが済んで、不動産売却のすべてのステップが完了となります。
不動産売買契約のコツおよび注意点
不動産売買契約を締結する段階では物件の売買価格が決定することになります。契約締結後には、原則、破棄することが出来なくなるため、契約内容に問題がないか慎重に検討することが重要となります。
例えば、不動産売買契約で重要なポイントとなりやすいことの一つに「契約不適合責任」の期間設定が挙げられます。契約不適合責任とは、売買契約後に不備が見つかったとき、売主が負う責任のことです。
不動産売買契約でこの責任の範囲や期間指定をしていないと、買主が不備を見つけてから1年間が有効期間となります。そのままでは買主有利な契約内容となってしまうため、取引慣例上、特約を設けて契約不適合責任の有効期間を設定することが通例となっています。
【関連記事】契約不適合責任をわかりやすく解説!売主が注意したい3つのポイントも
不動産売買契約の段階では、価格や引き渡し時期などの条件のすり合わせなどが終わっている段階となりますが、このような細かな特約の内容なども不動産会社と打ち合わせを行い、しっかりと確認していくことが重要なポイントとなってきます。
まとめ
不動産を売却する活動は主に不動産会社が行いますが、必要書類を集めたり、査定を受けたり、内覧をしてもらったりと、売主としてさまざまな局面を迎えます。
売却できるまでの期間も短くて3ヵ月程度、長ければ1年以上におよぶこともあります。このように3つのステップに分けて考えると、自分がどのステージにいるのかわかり、次の行動が取りやすくなります。ぜひ参考にしてください。
倉岡 明広
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