不動産売却では、媒介契約をしている不動産会社から値下げのアドバイスを受けることや、買主候補から直接値下げの交渉を受けることもあります。その他、売却期間が長引くと現状の販売価格で売ることができるのか、不安になることもあるでしょう。
しかし、一度値下げをしてしまうと元の売出価格に戻すことは非常に難しくなります。値下げを実行する際は、慎重に検討することが大切です。
そこで本記事では、不動産売却において、値下げを検討するタイミングと値下げ幅、価格交渉を受けた際の対応ポイントについて解説していきます。
目次
- 不動産売却の値下げを検討するタイミング
1-1.高く売るため売出価格の反応をみて値下げする
1-2.相場価格で売るため値下げする
1-3.売却を成立させるため値下げする - 買主から不動産売却価格の交渉を受けた際のポイント
2-1.不動産市況、競合物件を考慮する
2-2.売却活動期間から判断する
2-3.不動産売却の希望価格を念頭に対応する - まとめ
1.不動産売却の値下げを検討するタイミング
多くの場合、売却当初の売出価格は、相場価格と推測される価格よりも高めに設定します。物件の相場はわかっていても、不動産は、競合物件、市況、金融機関の融資姿勢などによって売却できる価格が変わってくるためです。
実際の市場の反応をみて相場価格に下げて売却を進めていきます。何らかの事情で早期に売却したい時は、売却を成立させるために最終的な値下げをおこなって売却に至ることになります。
以下より、値下げの検討・実行するタイミングについて解説していきます。
1-1.高く売るため売出価格の反応をみて値下げする
不動産の価格相場は、市況や競合物件によって左右されます。日本経済全体の景気や金利のほか、不動産市場の流動性は、異動時期や新学期などの季節性に影響を受けています。また、物件の間取りや設備、立地する地域の需給関係などにも価格は左右されます。
このように、不動産の価格相場については不確定要素もあるため、通常、売出価格は不動産業者の査定価格を参考にして高めに設定します。1カ月程度で反応数が少ないようであれば、売出価格を下げるなど、段階的に価格を調整していくことになります。
1-2.相場価格で売るため値下げする
不動産売却では、6カ月以上経過した物件は売れない物件のイメージが強くなり、買主から敬遠される可能性があります。
そのため、不動産会社との媒介契約が更新される売出後3カ月以降のタイミングで購入検討者からの問い合わせが少ない場合には、相場価格まで値下げを検討することが重要となります。
1-3.売却を成立させるため値下げする
不動産の価格相場には、不確定要素があることは前述した通りです。そのため、相場価格であっても市況や競合物件の影響で成約に至らないこともあります。
その場合、売却可能と考えられる価格まで値下げをして最終的な売却をするか、売り止めるかを検討することになります。需給にインパクトを与える程度の値下げが必要となるため、値下げ幅は相場価格の5~10%程度が目安となります。
なお、買主候補が個別に具体的な値下げ交渉をしてくることもあります。これについては詳しく後述します。
2.買主から不動産売却価格の交渉を受けた際のポイント
ここからは、買主候補が現れて、個別に具体的な価格交渉をして来た場合、対応するポイントについて説明していきます。
価格交渉の際、買主の要求を全て受け入れてしまうと、必要以上に値引きしてしまう可能性もあります。判断基準をいくつか設定して交渉に臨むことが重要です。
判断基準として、市況や競合物件の状況、売出し時期からの経過期間、あるいは、自分の売却希望価格などがポイントになります。以下、詳しく解説します。
2-1.不動産市況、競合物件を考慮する
第一の判断基準として、市況、競合物件の状況を確認してみましょう。物件の販売価格が相場価格であっても、売却できる価格は地域の需給関係の影響を大きく受けるためです。
媒介契約をしている不動産会社や国土交通省土地総合情報システムなどから、同条件の物件の直近成約状況を入手して自分の物件価格と比べてみましょう。
2-2.売却活動期間から判断する
第二に判断基準としたいのは、売却スケジュールです。価格交渉を受けたタイミングが、売却スケジュールどの時点・段階なのかによって判断してみましょう。
例えば、売出しから1カ月以内であれば大きな値下げをしなくても売れる可能性が高いと言え、価格交渉に強気で対応しても次の買主が現れる可能性があります。
しかし、売出から6カ月以上経過しているタイミングで他に問いあわせが無い状況であれば、価格交渉を受けるか、一時的に売り止めを検討する段階であると言えます。買主候補が現れたのであれば、互いの妥協点を探す交渉をしてみましょう。
2-3.不動産売却の希望価格を念頭に対応する
不動産全体の市況や売却期間の観点から厳しい状態である場合でも、ローン残債との兼ね合いや、譲れない売却希望価格がある場合など、個別の理由によって値下げの検討が難しい場合ケースがあります。
そのような場合は、値下げの代わりに契約不適合責任の適用期間を延ばすなどの条件緩和を提案するなどの対応を検討してみましょう。
その他、売り急ぐ必要性が無い場合は仲介を依頼する不動産会社を変更することも一つの選択肢と言えます。売却活動段階によって仲介変更が出来るケース・出来ないケースがあるため、下記の記事をご参考下さい。
【関連記事】不動産売却、仲介会社を途中で変更する方法は?タイミングや解約手順を解説
購入希望者からの価格交渉に安易に応じて後悔することのないよう、慎重に検討しましょう。
まとめ
不動産売却では、値下げの性質に応じてそのタイミングや値下げ幅も変わってきます。売り出して1カ月程度で反応が少ない時は、売出価格が高すぎる可能性があるため、需給に影響を与える程度まで値下げすることが考えられます。
売出しから3カ月程度経過したら、相場価格まで価格調整を検討してみるタイミングと言えます。6カ月以上経っているのであれば、売却できる価格までの値下げを検討してみましょう。
価格交渉を受けた際、対応のポイントとしては、市況や競合物件の状況、売出し時期からの経過期間、自分の売却希望価格を基準に交渉してみましょう。
佐藤 永一郎
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