相続した土地、売却の手順は?土地相場の調べ方や高く売却するコツも

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相続で土地を取得した人の中には、自分で使用する予定や土地活用を行う予定がないため、売却を検討している人もいると思います。

相続した土地を売却する際は、自分の所有している土地と売却手順が異なる点があるため、どのような手順で売却を進めていくのかを事前に把握しておくことが重要です。

この記事では、相続した土地の売却手順と土地相場の調べ方や高く売却するコツについて解説します。

目次

  1. 相続した土地の売却手順
    1-1.遺産分割協議を行う
    1-2.名義変更手続きを行う
    1-3.不動産会社に査定を依頼する
    1-4.不動産会社に仲介を依頼する
    1-5.売買契約の締結と引き渡しを行う
  2. 相続した土地の相場の調べ方
  3. 相続不動産を高く売却するコツ
  4. まとめ

1.相続した土地の売却手順

相続によって土地を取得した人の中には、使用する予定がないにもかかわらず、売却せずに土地をそのまま放置している人もいるのではないでしょうか?

更地の場合は経年劣化が生じないため、そこまで焦る必要はありません。しかし、使用していないにもかかわらず、固定資産税や都市計画税といった税負担が生じるため、更地でも売却または土地活用を検討してみましょう。

相続した更地を売却する際は、自身の所有する更地を売却する場合とは手順が異なります。売却を進めている途中でトラブルが生じることを未然に防ぐためにも、事前に売却手順を把握しておくことが重要です。相続した土地の売却手順は以下の通りです。

  1. 遺産分割協議を行う
  2. 名義変更手続きを行う
  3. 不動産会社に査定を依頼する
  4. 不動産会社に仲介を依頼する
  5. 売買契約の締結と引き渡しを行う

それぞれの売却手順について詳しく見ていきましょう。

1-1.遺産分割協議を行う

相続した土地を勝手に売却すると後でトラブルに発展する可能性があります。その理由は、相続人が自分だけとは限らないためです。

相続で土地を取得したのが複数人の相続人の場合は、相続人間でトラブルが生じることを未然に防ぐために遺産分割協議という話し合いを行います。

遺産分割協議では、誰がどのような財産をどのような割合で相続するのかを話し合います。代表的な土地の分割方法は現物分割、代償分割、換価分割の3つです。各分割方法の違いは以下の通りです。

分割方法 特徴
現物分割 相続割合に応じて土地を分割して相続する
代償分割 代表者が所有権を取得して代わりに他の相続人に現金を渡す
換価分割 土地を売却して売却代金を相続割合に応じて分配する

現物分割は、1つの土地が小さくなって資産価値が下がる可能性があるので注意が必要です。そのため、土地を少しでも高く売却したい場合は、代償分割か換価分割を選んだ方が良いと言えます。

遺産分割協議が終わった後は、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には、以下の項目を記入します。

  • 被相続人の名前や住所
  • 相続財産の詳細
  • 遺産分割協議の内容
  • 相続人の署名と押印

遺産分割協議書は名義変更手続きの際に必要なので、漏れがないようにしっかり作成しましょう。

【関連記事】不動産を相続した際の遺産分割の手順は?必要な書類や手続も解説

1-2.名義変更手続きを行う

名義変更手続きを行わないまま放置した場合は、自由に売却できない、他の相続人が勝手に登記して持ち分を売却する、将来相続人が増えて話し合いがスムーズに進まないといったトラブルに発展する可能性があります。

そのようなトラブルを未然に防ぐために、遺産分割協議の内容に従って名義変更手続きを行っておくことが重要です。

名義変更手続きは、相続した不動産の所在地を管轄している法務局に申請します。申請には以下のような書類が必要です。

  • 登記申請書
  • 戸籍謄本(被相続人と相続人)
  • 住民票の除票または戸籍の附票(被相続人)
  • 遺産分割協議書
  • 印鑑証明書
  • 委任状
  • 固定資産評価証明書

名義変更手続きには登録免許税という手数料がかかります。登録免許税の金額は固定資産課税台帳に記載されている価格の1000分の4です。

名義変更手続きを司法書士に依頼する際は、登録免許税に加えて報酬が生じるという点に注意しましょう。

1-3.不動産会社に査定を依頼する

名義変更手続きが終わった後は、通常の土地を売却する際の手順と同様です。まずは不動産会社に査定を依頼して、どのくらいの価格で土地が売れるのかを把握します。

営業力や査定を行う際に重視するポイントは不動産会社ごとに異なるため、査定結果にも差が生じます。そのため、複数の不動産会社に査定を依頼して正確な相場を把握することが重要です。

下記の表は、物件情報を一度登録すると複数の不動産会社の査定を受けられる「不動産一括査定サイト」の一覧です。登録は無料で行えるため、利用を検討してみましょう。

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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧

1-4.不動産会社に仲介を依頼する

複数の不動産会社に査定を依頼した後は、査定結果を踏まえながら売却の仲介を依頼する不動産会社を決めます。

中には仲介の依頼を受けるためにわざと高い査定結果を提示する不動産会社もいます。査定の根拠について明確な回答が出来ない不動産会社への依頼は控え、慎重に検討することが大切です。

仲介を依頼する際は、査定結果だけでなく土地の売却を得意とする不動産会社なのか、実績豊富な不動産会社なのか、担当者の印象は良いかなど、総合的に判断しましょう。

1-5.売買契約の締結と引き渡しを行う

更地の場合は、建物付きの土地とは異なり、内覧が行われないケースもあります。しかし、購入希望者と話す限られた機会であるため、購入希望者が内覧をしている場合は、なるべく売主も立ち会った方が良いでしょう。

購入が決まった後はいよいよ売買契約の締結です。売買契約では、いつ土地を引き渡すのか決定します。まだ被相続人の所有物が土地上に残っている場合は、引き渡しまでに速やかに撤去しておきましょう。

2.相続した土地の相場の調べ方

土地相場を知っていれば、土地がどのくらいの価格で売れるのかを事前に把握することが可能です。

不動産会社の査定が適正かどうかを判断する方法として不動産ポータルサイトを活用するという方法もあります。

不動産ポータルサイトとは、HOME’SやSUUMOなどの不動産情報が多く掲載されているサイトです。このサイトで周辺の類似条件の土地の価格を調べることでおおよその相場を知ることが可能です。

また、SUUMOは全国の土地価格相場情報を独自に算出して公表しています。このように不動産ポータルサイトの中には独自の相場情報を公表しているサイトもあるので、相場を知りたい人は活用してみましょう。

3.相続不動産を高く売却するコツ

相続した土地を少しでも高く売却したい場合のコツとして以下の3つが挙げられます。

  • 土地の相場を把握しておく
  • 需要の高い時期に売却する
  • 遺産分割で現物分割を選ばない

少しでも高く売りたい場合は、土地の相場がどのような状態なのかを事前に把握しておくことが重要です。不動産会社からの査定額が相場から大きく乖離していた場合、おおよその土地相場を把握しておくことで売却の判断基準とすることができ、誤った判断を防ぐことにつながります。

また、需要の高い時期であれば土地が高く売れる可能性が高いと言えます。例えば、転勤や進学・進級が関連する4月に向けて住宅を建築する人が多いため、建築期間を2~3ヶ月と想定すると、12月や1月あたりに需要が高くなると考えられます。

その他、相続割合に応じて土地を分割する現物分割では1つの土地が小さくなって土地の価値が下がる可能性があります。

特に、建築基準法で定められている接面道路の幅の基準を満たしていない土地は価格が大幅に下落します。土地を分筆する際は、接面道路の幅や今後の活用目的に沿って慎重に行いましょう。

上記のように売却時期や遺産分割の方法によって土地の価値に差が生じるため、相続した土地を売却する際はコツをしっかりと理解した上で売却を進めることが大切です。

まとめ

相続した土地を売却する場合は、自身が所有している土地を売却する場合とは売却手順が異なるので注意が必要です。

例えば、複数人の相続人がいる場合は遺産分割協議を行う、売却前に名義変更手続きを行う必要があるなどです。

また、売却時期や遺産分割の方法によって土地の売却価格に差が生じる可能性があります。そのため、少しでも高く売却したい場合には、この記事に書かれている高く売却するコツをしっかり確認してから売却を進めましょう。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。