不動産を相続した際の遺産分割の手順は?必要な書類や手続も解説

相続が発生すると相続財産の遺産分割を行うことになりますが、相続財産に不動産が含まれていると遺産分割が複雑になります。その理由は、現金とは違い不動産を分割するということが容易ではないためです。

実際に不動産の相続が発生したものの、どう遺産分割を行えばいいか分からない方も多いのではないでしょうか?

この記事では、不動産を相続した場合の遺産分割の手順について分かりやすく解説します。

目次

  1. 不動産を遺産分割する場合には、相続登記が必須
  2. 不動産の相続登記の手順
    2-1.分割方法を決定する
    2-2.遺産分割協議を行う
    2-3.遺産分割協議書を作成する
    2-4.相続登記に必要な書類を準備する
    2-5.相続登記の申請書を提出する
  3. まとめ

1.遺産分割では相続登記が必須

被相続人が亡くなって不動産が相続された場合には、相続の発生と同時に自動的に登記が被相続人から相続人に切り替わるわけではありません。

被相続人から相続人に登記を切り替えるには、相続登記を行う必要があります。では、相続登記を行わない場合はどうなるのでしょうか?

相続登記を行わなかった場合は、相続人が勝手に売却や借地・抵当権の設定などができなくなります。また、法定相続人の誰かが勝手に自分の持ち分の登記を行い、自分の持ち分だけ売却する可能性もあるので注意が必要です。

他にも、登記を勝手に行った法定相続人の持ち分が、借金や税金の滞納といった理由で差し押さえられる可能性もあります。

そのようなトラブルを未然に防ぐためには、相続が発生した場合には不動産をどのように遺産分割するのか決めて、速やかに相続登記を行うことが重要と言えるでしょう。

2.相続登記の手順

相続登記を法務局に足を運んで手続きを行えば完了ですが、実際はいくつかの手順を踏む必要があります。

相続登記を行うには、遺産分割に対する法定相続人の同意が必要です。相続人のうちの誰か1人でも同意を得られないと相続登記が進まず、トラブルに発展する可能性もあります。

そのため、相続登記を行うには、相続登記に必要な手順をしっかり理解してから相続登記を行うことが重要です。相続登記に必要な手順は以下の5つです。

  1. 分割方法を決定する
  2. 遺産分割協議を行う
  3. 遺産分割協議書を作成する
  4. 相続登記に必要な書類を準備する
  5. 相続登記の申請書を提出する

それぞれの手順について詳しく見ていきましょう。

2-1.分割方法を決定する

相続登記を行う際には、まず分割方法を決定する必要があります。分割方法は大きく以下の4つに分類されます。

  1. 現物分割
  2. 換価分割
  3. 代償分割
  4. 共有分割

現物分割

現物分割とは、不動産を法定相続分に応じて分割する分割方法です。住宅を相続した場合は現物分割が現実的ではありませんが、土地であれば法定相続分に基づいて分割することができます。

換価分割

換価分割とは、住宅のように現物分割が困難な不動産を相続した際、売却で現金化してから分割する分割方法です。相続した不動産に誰も居住しないケースや相続税を支払う現金を確保しなければならないケースなどでよく用いられています。

代償分割

代償分割とは、相続した不動産を1人が相続する際に、他の相続人に対して相続分相当の金銭を支払う分割方法です。相続した不動産に居住したい人がいるケースで用いられます。

共有分割

共有分割とは、現物分割のように実際に分割するのではなく、法定相続分に基づいて登記上分割する分割方法です。しかし、共有分割を行った場合、その後の権利関係が複雑になる、売却や借地・抵当権の設定などができなくなるといったデメリットもあります。

共有分割を除いた4つの中から目的に応じた分割方法をまず選びましょう。

2-2.遺産分割協議を行う

換価分割では、売却を速やかに行うために相続人の中から名義人を1人選んで相続登記を行った方が良いと言えます。

また、代償分割では、誰が不動産を相続するか明確にしないと後でトラブルになる可能性があります。

このように誰が不動産の名義人になるのかを相続人同士で話し合うのが遺産分割協議です。遺産分割協議は、相続人が集まって話し合わなくても問題ありません。遠方に居住している相続人もいるため、電話やメールなどで連絡を取り合って決めるという方法でも遺産分割協議は成立します。

2-3.遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議は電話やメールでも成立しますが、遺産分割協議を実施したというだけでは相続登記を行うことができません。相続登記には、遺産分割協議を実施したことを証明する遺産分割協議書を作成する必要があります。

遺産分割協議書には、必ずこの書式で作成しなければならないという決まりはありません。ただし、相続人全員で協議したこと、遺産分割の対象の不動産情報(別途登記事項証明書の貼付でも可能)を明記しておかないと無効になる可能性があるので注意が必要です。

無効になると、再度遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成しなければならないため、よく確認してから遺産分割協議書を作成しましょう。

2-4.相続登記に必要な書類を準備する

相続登記には、作成した遺産分割協議書のほか、以下のような書類が必要です。

  • 被相続人の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 相続人全員の住民票
  • 不動産の固定資産評価証明書
  • 不動産の全部事項証明書

全ての書類を集めるには時間がかかる可能性があります。相続登記を少しでもスムーズに行うためにも、相続が生じた時点で必要な書類の準備を進めておくと良いでしょう。

2-5.相続登記の申請書を提出する

相続登記の申請書とは、不動産の名義変更を行う際に必要な書類です。相続登記の申請書は、法務局の窓口に行かなくても法務局のホームページからダウンロードすることが可能です。

相続登記の申請書の作成が完了した後は、相続登記に必要な書類と合わせて法務局に提出します。提出完了後は、約1~2週間で新しい権利証が発行されます。

新しい権利証が発行されてそれを受け取れば、遺産分割に必要な相続登記の手続きは全て完了です。

まとめ

被相続人が有している財産が現金の場合には、亡くなっても比較的容易に分割しやすいと言えます。しかし、有している財産が不動産の場合、土地であれば相続人の持ち分に応じて現物分割を行うことが可能ですが、住宅であれば容易に分割できません。

そこで重要になってくるのが遺産分割です。遺産分割は、現物分割や代償分割、換価分割、共有分割といった選択肢の中から目的に応じて分割方法を選び、遺産分割協議や遺産分割協議書の作成が必要になるなど手間と時間がかかります。

遺産分割協議書の内容に不備があった場合には、遺産分割協議や遺産分割協議書の作成をやり直さなくてはなりません。無駄な手間と時間を省くためにも、この記事を参考に手順や必要書類などを十分に確認してから遺産分割に臨みましょう。

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矢野翔一

矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。