相続した土地を更地のまま所有している場合、住宅用地よりも高い固定資産税や都市計画税といった支出が生じます。
相続した土地にアパート建築をした場合、家賃収入でこれらの支出を補え、固定資産税や都市計画税の軽減措置を受けられますが、アパート建築はどのような手順で進めればいいのでしょうか?
この記事では、相続した土地でアパートを建築する場合における手順や費用、注意点などを解説します。
目次
- 相続した土地でアパート経営を始める手順
1-1.アパート経営に適しているエリアかどうか調査する
1-2.アパートの利用者のターゲットを絞る
1-3.初期費用や金融機関のローンなどの資金計画を立てる
1-4.アパートを建築する建築会社に相談する
1-5.入居者の募集を開始する - アパート建築にかかる費用
- アパートを建築する際の注意点
- まとめ
1.相続した土地でアパート経営を始める手順
土地を相続した人の中には、売却せずに空き地のままで放置している人もいると思います。しかし、空き地のままで放置していても固定資産税や都市計画税が毎年かかるだけでなく、住宅地のような軽減措置が適用されず、税負担が大きくなる可能性があります。
土地活用の1つであるアパート経営では、家賃収入を支出に充当できる、固定資産税・都市計画税を抑えられるなどのメリットが挙げられます。アパート経営に興味がある空き地所有者も多いと思いますが、どうやってアパート経営を行えばいいのでしょうか?
アパート経営を始める場合の手順として、以下の5つが挙げられます。
- アパート経営に適しているエリアかどうか調査する
- ターゲットを絞る
- 資金計画を立てる
- 建築会社に相談する
- 入居者の募集を開始する
それぞれの手順について詳しく見ていきましょう。
1-1.アパート経営に適しているエリアかどうか調査する
アパート経営を始める際は、まずアパート経営に適しているエリアかどうか調査することから始めましょう。
アパート経営は建築費用などの投資金を回収できない元本割れのリスクを伴います。アパート経営に適していない立地やエリアの場合、想定より家賃収入が少なくなり、投資金を回収できないリスクが高まることになります。
まずは建築予定のエリアの人口動態や住民の年齢層、周辺家賃の相場、住宅供給数などを調査し、アパート経営に適しているエリアかどうか確認しましょう。
1-2.アパートの利用者のターゲットを絞る
目的・目標を明確にした後は、アパートの利用者のターゲットを絞ります。相続した土地が駅から離れた住宅地で家族連れの需要が高いエリアの場合は、間取りをファミリー層、駅に近く一人暮らしの学生やサラリーマンなどの需要の多いエリアの場合は間取りを単身層に合わせた方が良いと言えます。
上記のようにターゲットを絞り、部屋の間取りはどうすれば良いのか、どのような設備を備えれば良いのかを検討していきましょう。
1-3.初期費用や金融機関のローンなどの資金計画を立てる
アパートの利用者のターゲットを絞ってどんなアパートを建築するのかを決定した後は、資金計画を立てていきます。建築するアパートのおおよそのイメージに合わせてどのくらいの初期投資がかかるのかを算出しましょう。
初期投資に必要な資金や金融機関のローンの返済金、想定家賃収入などを算出し、シミュレーションの結果、適切な家賃設定にすると実質利回りが低くなりすぎてしまう場合は、建築するアパートの見直しが求められます。安定したアパート経営を行うためにも、時間をじっくりかけてシミュレーションを行いましょう。
1-4.アパートを建築する建築会社に相談する
シミュレーションを行ってアパート経営の全体像が決定した後は、建築会社に相談します。建築会社の提案が良い提案なのかどうかを比較するために、複数の建築会社に相談する良いでしょう。
建築会社を選ぶ際に建築費用の安さや利回りの高さを重視した場合は、すぐに傷む粗悪な建築材料を使用したアパートが完成し、修繕費が増えることでシミュレーション通りの運用結果にならずに経営の継続が困難になる可能性があるので注意が必要です。
どの建築会社がアパートを建築したかという名称だけでも、入居率が変わることがあります。建築費用の安さだけでなく、総合的に判断しましょう。
1-5.入居者の募集を開始する
複数の建築会社に相談し、アパートを建築する建築会社が決定した後は、いよいよ入居者の募集の開始です。建築会社がアパートの管理を行っていない場合は、自分で管理会社を選ぶ必要があります。
「建築会社とは異なり、どの管理会社を選んでも結果は同じなのでは?」と思っている人も多いかもしれませんが、そのようなことはありません。
管理会社によって報酬として支払う委託管理費、管理内容、空室対策、担当者の対応などに大きな差があります。アパート経営では管理会社選びも重要と言えるため、建築会社を選ぶ際と同様、複数の管理会社に相談し、それぞれ比較したうえで管理会社を選びましょう。
2.アパート建築にかかる費用
アパートを建築する場合にかかる費用は、アパートの規模や依頼先の建築会社によって大きく異なります。ここでは目安として、アパートの建築にかかる費用を挙げています
- 木造:70~90万円/坪
- 鉄骨造:80~100万円/坪
- 鉄筋コンクリート造:90~110万円/坪
他にも、不動産を取得する際にかかる不動産取得税、登記に必要な登録免許税、建築会社と建物の請負契約を交わす際に負担する印紙税、登記を司法書士に依頼する際にかかる司法書士報酬などの費用がかかります。
また、これらの費用を金融機関の融資でまかなう場合、ローン契約時の手数料や毎月の返済金に金利が加算されることになります。これらの細かな金額はケースバイケースとなるため、建築会社や金融機関、司法書士へ費用について相談し、徐々に情報を集めていくと良いでしょう。
3.アパートを建築する際の注意点
ここまで、相続した土地でアパートを建築する手順や費用について解説してきました。前述した通り、アパートの建築・運営には大きな初期費用が掛かり、想定した家賃収入が得られない場合は大きな損失を出してしまう可能性があります。
相続した土地をうまく活用したい場合には、アパート経営以外の活用方法についても並行して検討し、どの活用方法が適しているのか慎重に検討することが重要です。
例えば人口減少や賃貸需要の減少から家賃下落が起きているエリアは、新築アパートの運営に向いていない可能性が高いエリアとなります。
しかし、このような賃貸需要の少ないエリアでも、駐車場経営やトランクルーム経営、サービス付き高齢者住宅など、検討できる活用方法は多岐に渡ります。
まずは相続した土地でどのような活用方法が検討できるのか調査し、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、どのような活用方法が適しているのか慎重に検討して行きましょう。
【関連記事】土地活用がしやすい地域の特徴は?田舎でもできる活用方法も併せて紹介
まとめ
相続した土地を売却せずに放置している人も多いかもしれませんが、放置を続けていても固定資産税と都市計画税などの税金や、清掃などの維持費用などが掛かります。
土地活用の手段の1つにアパート経営がありますが、アパート経営は家賃収入が期待できる、固定資産税・都市計画税を抑えられるメリットがあります。アパート経営を行うには、アパート経営を始める際の手順を把握しておくことが重要です。
この記事を参考に、アパート経営を始める際の手順、費用、注意点などをしっかり確認してからアパート経営を検討してみると良いでしょう。
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矢野翔一
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