不動産投資の中でも購入価格帯が比較的低く始めやすいワンルームマンション。これから区分マンション投資を検討している方は、何戸まで物件を購入できるのでしょうか。
本記事ではマンションの区分投資でのメリット・デメリット、注意点のほか、複数物件のシミュレーションを通した投資戦略をご紹介します。
これから区分マンション投資を始めたい方などが知っておきたい重要ポイントを説明していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 区分マンション投資の特徴
1-1.区分マンション投資の7つのメリット
1-2.区分マンション投資の4つのデメリット
1-3.区分マンション投資の注意点 - 2 区分マンション投資シミュレーション
2-1.単一物件に投資をする場合
2-2.複数物件に投資をする場合
1 区分マンション投資の特徴
区分マンション投資とはアパートやマンションの部屋を購入し、それを賃貸するか売却して投資資金を回収する投資方法です。ここでは物件数の多いマンションの区分投資を説明していきます。
1-1 区分マンション投資の7つのメリット
まずは区分マンション投資の7つのメリットを確認しましょう。
メリット① 投資額が比較的少なくて済む
対象のマンションやその部屋のタイプ(ワンルームタイプやファミリータイプ等)によって価格はさまさまですが、1棟投資と比べると投資額は少なくなります。
物件の内容(新築・中古、築年数、地域、立地、面積等)により価格も広範囲となりますが、都心でも中古マンションの区分所有なら1000万円台から投資することができます。
一方、1棟の場合は地方・郊外の中古アパートなら3000万円程度から、中古マンションなら1億円程度と高額です。
メリット② 1棟投資よりもリスクが低い
区分マンション投資は1棟投資よりも投資額が少ないので、失敗した場合の損失も少なくすみます。また、家賃低下の影響も区分マンション投資のほうが1棟投資よりも少なくなります。
予想に反して収益を得られなかったり、予想外の費用がかかったりして赤字になる場合、区分マンション投資は投資額が少ない分だけ損失の幅も小さくなるからです。
メリット③ 複数戸所有でリスク分散しやすい
例えば「区分マンション10室への投資」と、「1棟が10室の1棟マンションへの投資」を比較すると、前者のほうがリスクを分散でき、その影響を緩和しやすくなります。
先の家賃の低下の影響も同じですが、地震や火災などがあれば1棟投資の場合、その被害は投資全体におよびます。一方、区分マンション10室に投資をしている場合、ある1棟で災害を受けても投資での影響は1室ですむわけです。
メリット④ 区分マンション投資は、売買できる物件数が多い
区分投資と1棟投資の物件数を比較すると区分投資のほうが多く、自分の投資スタンスに合った物件を見つけやすいといえます。
例えば、不動産投資情報サイト「楽待」で区分マンションと1棟マンションについて検索をしてみると、物件数は20倍近くも開きがあることがわかります。
区分マンション
区分マンションの検索条件 | 物件数 | |
---|---|---|
地域 | 東京都 | 9,057件 |
価格 | 3000万円まで | |
物件種別 | 区分マンション |
※物件数は2019年7月時点
1棟マンション
1棟マンションの検索条件 | 物件数 | |
---|---|---|
地域 | 東京都 | 566件 |
価格 | 1億円まで | |
物件種別 | 1棟マンション |
※物件数は2019年7月時点
メリット⑤ 区分マンションは売却しやすい
区分マンション投資は1棟投資と比べて流動性が良い(売却しやすい)というメリットがあります。区分マンション投資には、「物件価格が低く購入しやすい」「住宅の需要(実需)も期待できる」といった利点があります。そのため1棟投資の場合よりも需要が多く、売却しやすいといえるでしょう。
メリット⑥ 区分マンションは管理の手間が少ない
区分マンション投資では所有する部屋の管理だけで済み、共有部分の管理についてはその建物の管理組合や管理会社などで実施されるため手間が少なくすみます。また、部屋の管理を管理会社に委託する場合、オーナーが物件の清掃や修理等をする必要がないため手間はほとんどかかりません。
もちろん1棟投資の場合も管理会社に委託すれば自身の手間は少なくなりますが、オーナーとして建物全体の修繕の計画・実施を進める必要があり、区分投資よりは手間がかかることを想定しておく必要があります。
メリット⑦ 区分マンションは修繕費が少ない
区分マンション投資の場合、所有の1室について修繕積立金が徴収されますが、1棟投資のように建物全体の大規模修繕について多額の費用を負担する必要がありません。
また、ワンルームや共用スペースの少ないファミリータイプのマンションなら修繕積立金も少なくなります。
1-2 区分投資の4つのデメリット
次に、区分投資における4つのデメリットについても確認しましょう。
デメリット① 1棟物件と比べて平均の利回り水準が低い
1棟投資と比較すると区分マンション投資の利回りはやや低くなります。
不動産投資と収益物件の情報サイト「健美家」が発表した「収益物件 市場動向 四半期レポート <2019年1月~3月期>」によると、区分マンション投資と1棟投資の登録物件の表面利回りは以下のとおりです。
区分マンション投資と1棟投資の表面利回り
物件タイプ | 2019年1月~3月期 | 2018年10月~12月 |
---|---|---|
区分マンション | 7.36% | 7.81% |
一棟アパート | 8.77% | 8.83% |
一棟マンション | 8.07% | 8.12% |
なお、維持管理費や修繕積立金などの費用を差し引いた実質利回りでは、区分投資は家賃収入が少ないことから1棟投資よりもさらに低くなる傾向があります。
デメリット② 1戸だけの投資の場合、空室時の収入減少リスクが大きい
区分マンション投資で一つの物件だけに投資している場合、1棟投資よりも空室時の収入減少リスクが高くなります。
1戸だけの投資の場合、空室が出ればその時点から家賃収入は0円となります。一方、10戸を所有している場合、1戸の空室が出ても残り9戸から家賃収入が期待できるため、0円になるリスクは少ないと言えるでしょう。
デメリット③ 土地の比率が低い
区分マンション投資の場合、床面積に応じて土地の持分割合が決まるため、1棟投資と比べると建物の比率が多くなり、土地の比率が低くなります。
特にタワーマンションのような階数の多い物件では、資産価値の大半が建物となるため、減価償却費計上による節税メリットは享受できるもの、経年劣化による資産価値の減少度合いは大きくなるというデメリットがあります。
デメリット④ 自分の思い通りの運営がしにくい
マンション全体の大規模修繕、改築や建て替えなどはオーナーや管理組合に権限が集中するため、一所有者の意志だけでは影響力が低いといえます。
また、空室回避のための家賃の値引きなどもマンション全体の家賃への影響から他の所有者からクレームを受けるおそれもあります。
1-3 区分マンション投資の注意点
ここでは区分投資をするうえでの重要なポイントを2つ紹介します。
ポイント①投資対象の設定
区分マンション投資でも「ワンルームかファミリータイプか」「都市部か郊外か」といった投資対象の選定は、投資家の資金力(元手や年収等)、投資経験や投資目標などを考慮しておこないましょう。
・元手が少なく年収も多くない場合
資金面の制約から中古の区分マンションが対象となりますが、1千万円といった物件なら投資の機会も少なくありません。
都市部の立地のよいワンルームや交通アクセスのよい郊外のファミリータイプなどが候補に挙げられます。
・投資経験が少ない場合
元手や年収が多くても不動産投資が初めての方などの場合はリスクが比較的低い区分マンション投資が有効です。まず区分マンション投資で知識と経験を積み、その収益・実績と給与をもとに1棟投資へと拡大するという選択も悪くないでしょう。
・一定の資金と投資経験がある場合
投資経験があるなら複数戸の区分マンション投資で勝負するという選択も候補に上がります。あとは元手と年収などによりどの程度の金額の融資が得られるかが投資規模や物件選定のカギになります。
ポイント② 立地や戸数の確認、管理会社の選定など
たとえば中古マンション物件の場合、投資リスクを下げるため、一定の表面利回りをキープするためには中古マンションへの区分投資が有力候補になるでしょう。なお、対象物件の価格の下落率を確認し、下落率の大きな物件は避ける必要があります。
立地の良い物件の場合
家賃の下落、資産価値の低下を抑え、空室率を上げないためには東京23区内などの大都市で駅から近いといった立地の良い物件を検討すると良いでしょう。
たとえば、東京・横浜でワンルームマンション投資を手がける湘建では、東京・横浜エリアの駅徒歩8分以内という好立地の物件にこだわることで、入居率99.7%(2020年11月末実績)を実現しています。物件価格は2,000万円~2,500万円のものが多くなっており、他社に比べて購入しやすい価格帯となっていることに加え、湘建が売主となるため、通常は数十万円かかる仲介手数料なども0円で済むというコスト上のメリットもあります。
新耐震基準の物件の場合
1981年以降の新耐震基準の物件なら震度6強以上の地震でも倒壊しない設計基準なので、大きな地震が発生した場合でも倒壊リスクを抑えられます。
ただし、築25年以上の物件などの場合、「修繕や維持管理の程度」「オートロック等のエントランスの改装の有無」などの状態を確認して検討しましょう。
総戸数の多い物件
総戸数が少ない物件の場合、維持管理費などが割高になるため、できれば30戸以上のマンションを検討するのが良いでしょう。ただし、「同じ地域の相場以上にならないか」なども確認する必要があります。
固定資産税等の高い物件
収入に対して固定資産税と投資計画税の合計の割合が大きい場合は要注意です。特にワンルームの場合、その経費のなかで固定資産税等は大きなウエイトを占め、物件によってはその経費合計が年間収入の25%以上になることもあります。その場合、手取り収入がわずかで赤字になることも十分にあり得るので注意しましょう。
信頼できる不動産管理会社
空室の発生は収益に大きく影響するため入居者の募集・集客に優れた不動産管理会社を選ぶ必要があります。管理会社の選定については、「空室期間」「入居率」「滞納率」「扱い件数」「業歴」などの実績を確認して判断しなくてはなりません。
2 区分投資シミュレーション
ここでは単一物件と複数物件へ投資した場合の区分投資の例をご紹介します。
2-1 単一物件に投資をする場合
単一物件で一定の収益を確保しつつ不動産投資の知識と経験を積み、投資の拡大を図るという方法も有効です。例えば、以下のような物件への投資方法が考えられます。
中古マンションのA物件
価格 | 1,100万円 |
築年数 | 22年 |
立地 | 東京都郊外、駅徒歩3分以内 |
購入諸経費 | 66万円(6%) |
年間家賃収入 | 82.5万円 |
稼働率 | 95% |
経費率 | 21% |
自己資金 | 500万円 |
ローン | 25年 |
金利 | 1.8% |
*年間家賃収支:約26万円(手取り)
*初年度のローン返済額:年34万円
*経費率:管理費、修繕積立金や固定資産税等の合計÷年間家賃収入
1つのプランとして、「年間の手取り収支10年分260万円と自身の貯金174万円により10年後にローンを完済し、11年後から手取り年60万円を得る」という計画が考えられます。この場合、11年後からの収支が次の投資や将来の備えとして利用できるでしょう。
2-2 複数物件に投資をする場合
例えば、上記A物件を足掛かりに複数戸の区分マンション投資へと拡大させることも可能です。
A物件の11年後からの収益60万円を5年間貯めた300万円を頭金として、同様のB物件を取得するという方法です。その場合、B物件での年間収支は15万円得られ、16年目からの年間収支は
A物件の60万円+B物件の15万円=75万円
になります。
さらにこの75万円を4年間貯めた300万円を頭金として、同様のC物件を取得すればC物件でも15万円が得られます。したがって、21年目からの年間収支は
A物件の60万円+B物件の15万円+C物件の15万円=90万円
となるわけです。この頃にA物件の市場価値によっては売却して今後の老朽化リスクを回避するとともに、回収資金をB物件やC物件の返済に回し、収益の確保を図るという方法もあります。
ほかにも当初の自己資金が多くあれば、リスク分散と収益の拡大を図るために2棟を同時購入するという方法もあります。
区分投資も一棟投資もそれぞれメリットとデメリットがありますので慎重に検討したうえで物件を購入するようにしましょう。
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