新築マンション投資に失敗してしまった事例の特徴は?対策も

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新築マンション投資は入居者が確保しやすく、購入直後の設備不良のリスクが低いなどのメリットがあります。

しかし、新築マンションは物件価格が高いというデメリットや、様々なリスクがあります。新築マンション投資を検討する際はこれらのデメリット・リスクにも目を向け、自身の投資目的に合致しているかどうか判断することが大切です。

そこで今回のコラムでは、新築マンション投資に失敗してしまった事例を紹介し、その特徴や失敗回避のための対策についても解説していきます。

目次

  1. 新築マンション投資に失敗してしまった事例
    1-1.利回りが低く、手元にお金が残らなかった
    1-2.想定よりも値崩れが大きく、出口戦略が見えなくなった
    1-3.同じマンション内の部屋と競合し、入居者をすぐに確保できなかった
  2. 新築マンション投資で失敗しないための対策
    2-1.初期費用をできるだけ用意する
    2-2.複数のマンションを比較して検討する
    2-3.賃貸管理の実績が豊富な不動産投資会社を選ぶ
  3. まとめ

1 新築マンション投資に失敗してしまった事例

  • 利回りが低く、手元にお金が残らなかった
  • 想定よりも値崩れが大きく、出口戦略が見えなくなった
  • 同じマンション内の部屋と競合し、入居者をすぐに確保できなかった

1-1 利回りが低く、手元にお金が残らなかった

「新築のワンルームマンションを3,000万円で購入し、毎月の家賃を10万円に設定しました。表面利回りが低く、元々お小遣い程度の利益が出ればいいと思っていましたが、ローンの返済や管理費用、税金などの費用がかかり、年間の利益は数万円とギリギリ黒字になったくらいでした。築年数が経って家賃を下げないと入居者が確保できないとなると、これから先も運用していけるのか不安です」(東京都、50代男性)

物件価格が高く、表面利回りが低い

新築マンション投資のデメリットの一つが高額な物件価格です。特に東京23区内では新築マンションの価格が高騰している状況であり利回りが低く、用意できる自己資金の額によっては毎月の手元に残る資金が少なくなります。

毎月のキャッシュアウトを想定していないと空室期間や税金の支払いに耐えるだけの資金が足りず、経営を継続できない可能性があるため注意が必要です。事前に空室リスクを考慮したシミュレーションを行うなど、慎重に検証されてみると良いでしょう。

なお、新築マンション投資では毎月のキャッシュフローだけでなく、物件価格の値上がり値下がりを加味した検討が必要です。つまり、毎月の手残り金が少ない状態でもローンの返済が順調に進み、純資産が積み上がっているのであれば健全性が保たれていると見なすこともできます。

目の前のキャッシュフローだけで判断するのでなく、最終的なマンション投資の着地ポイントも見据えた投資判断を行っていきましょう。

【関連記事】マンション投資はマイナス収支でも大丈夫?バランスシートでわかる健全性

1-2 想定よりも値崩れが大きく、出口戦略が見えなくなった

「新築マンションを購入して10年間運用しましたが、入居者確保をするために家賃を下げざるを得なくなり、売却を検討しました。しかし、思っていたよりも査定価格が低く売却損が大きくなるため、売却するかどうか現在悩んでいる状況です。」(東京都、50代男性)

物件価格の下落率が高い

建物は年月の経過によって経年劣化が起こるため、不動産は資産価値が下落するリスクがあります。物件のエリアや経済動向によっては物件価格が上昇することもありますが、築年数の経過による資産価値の減少や家賃下落などのリスクを加味した検証が重要となります。

特に、新築マンションは物件価格の中にデベロッパーの利益が含まれているため、取得した時点で物件価格が下落しやすい傾向があります。事例として、首都圏で売買が成立したマンションにおける㎡の単価を見てみましょう。

首都圏 〜築5年 〜築10年 〜築15年 〜築20年 〜築25年 〜築30年 築30年〜
㎡単価 95.9万円 85.8万円 72.7万円 67.9万円 57.5万円 43.3万円 37.0万円

※参照:東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2021年10~12月】

5年ごとに下落率を見てみると、下記のように減少していくことが分かります。

  • 築5年から築10年:約89%
  • 築10年から築15年:約85%
  • 築15年から築20年:約93%
  • 築20年から築25年:約85%
  • 築25年から築30年:約75%
  • 築30年から築35年:約85%

ここでポイントとなるのが、築15年から築20年は約7%の下落ですが、築5年から築10年は約11%、築10年から築15年は約15%の下落となっていることです。新築だから物件価格が下がらないというわけではなく、より下落率が高くなっているのです。

このように物件価値が下がりやすいのも新築マンション投資のリスクの一つです。

1-3 同じマンション内の部屋と競合し、入居者をすぐに確保できなかった

「新築マンションを購入して、引き渡しと同時に入居者が入るようなイメージでしたが、1年間は空室になってしまいました。同じマンション内の部屋と競合したため、部屋の階数や家賃設定などで負けてしまったことが要因だと思っています。新築マンションは賃貸需要が読みづらく、家賃の設定も難しく感じました。特に競合する部屋が多い場合は、稼働率が上がらないので不安が大きくなると感じています」(埼玉県、40代女性)

過去の賃貸履歴を参照することが出来ない

中古マンションであれば過去の賃貸履歴を見ることで家賃を設定するのは比較的容易ですが、新築マンションは周辺の家賃相場から賃貸需要を検証し、予想の家賃設定を行います。事例のように、家賃設定がニーズに合っていないと運用を開始しても入居者を確保できない状況が続き、スタートからつまずいてしまう可能性があります。

また、新築マンション投資は同じマンション内に同じ条件の賃貸物件が多数出てくる可能性があります。その場合、階数や設備などの条件に加え、家賃などで比較されることが考えられます。

このように、過去の賃貸履歴が無いために想定よりも賃貸ニーズを獲得できないことがあります。新築マンション投資を検討する際は、マンションデベロッパーの入居率や管理実績をしっかりと確認することが重要となってきます。

2 新築マンション投資で失敗しないための対策

これまで新築マンション投資で失敗した事例を3つ紹介し、新築マンション投資ならではの特徴も解説しました。これらを踏まえて、新築マンション投資で失敗しないための対策を解説していきます。

2-1 初期費用をできるだけ用意する

新築マンション投資は、中古マンションに比べると物件価格が高いために高利回りを狙いにくく、キャッシュフローが回りにくいというデメリットがあります。

不動産投資ローンを活用する際は頭金を多めに入れ、融資額を抑えることを検討してみましょう。融資額を少なくすることで月々のローン返済額も低くなり、キャッシュフローが改善します。なお、多めに頭金を入れた場合であってもキャッシュを全て使ってしまうのではなく、突発的な修繕や空室期間の長期化などのキャッシュアウトに備えて資金を確保しておくことも大切です。

2-2 複数のマンションを比較して検討する

新築マンション投資では最寄り駅から徒歩圏内の物件を取得するのがポピュラーな戦略となりますが、東京23区内などでは好立地の土地を確保するのが厳しい状況になっています。中には駅からの距離が遠いエリアで、新築マンションが建築されているケースもあります。

将来性の低い新築マンションを選ばないように、物件探しは適切に行うようにしましょう。主なポイントは下記になります。

  • 駅に近く生活利便性が良い
  • 管理やメンテナンスが適切に行われる
  • トレンドに合った設備・仕様になっている

2-3 賃貸管理の実績が豊富な不動産投資会社を選ぶ

不動産投資は数年~数十年の期間を必要とする長期的な投資方法です。賃貸管理が不動産投資のパフォーマンスに与える影響は少なくないため、適切な管理を行ってくれる不動産投資会社を比較して選ぶことも重要なポイントとなってきます。

管理実績が豊富な不動産会社から物件を購入することで、販売後の運用や資金計画について適切なアドバイスをもらうことが期待できます。例えば、不動産投資会社の中には、販売した不動産の管理までワンストップで任せることができる会社があります。このような不動産会社では入居率や顧客満足度を公表している会社も多いため、それぞれの実績を比較されてみるのも良いでしょう。

まとめ

今回の失敗事例では、新築マンション投資の利回りの低さや入居者を確保する難しさなどを取り上げました。

これらのリスクやデメリットに対して対策を実践することで、新築マンション投資の失敗を回避し、新築マンションならではのメリットを受けることができます。新築マンション投資を検討する際は、ぜひ参考にしてください。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。