高所得者の方の資産運用には様々な方法がありますが、長期的な資産運用を比較した時に、人口増加や経済成長が著しい海外の不動産に投資することも選択肢の一つとなります。
ただし、海外不動産の情報は日本の不動産と比較して情報が入りにくく、ハイリスクな物件も少なくありません。メリットだけでなく、デメリットにも注意して投資検討することが大切です。
この記事では、医師による海外不動産投資が持つメリット・デメリットや要注意のポイントについて解説します。
目次
- 医師が海外不動産投資を始めるメリット
1-1.他の職種と比較するとローンを利用しやすい
1-2.身近な不動産投資家から情報収集できる
1-3.リゾート物件には自己利用の選択肢もある
1-4.海外旅行費の一部を確定申告で経費計上できることもある - 医師による海外不動産投資のデメリットや注意点
2-1.海外不動産投資で減価償却費の計上による損益通算はできない
2-2.物件を見に行く時間を取りにくい
2-3.不動産会社から強引な営業をされる可能性もある
2-4.賃貸管理会社とのコミュニケーションに要注意 - まとめ
1.医師が海外不動産投資を始めるメリット
医師による海外不動産投資は、資金調達がしやすい点や、運用方法によっては購入物件を海外旅行の拠点にできる点などにメリットがあります。
1-1.他の職種と比較するとローンを利用しやすい
海外不動産投資でも、日本国内の不動産投資と比較すると金融機関が少ないものの、物件購入に不動産投資ローンを利用できます。海外不動産投資のローン審査では、日本国内の不動産投資よりも申込要件の年収が高い場合も多いものです。
しかし、平均的な所得が高い医師であれば、他の職種と比較して海外不動産投資ローンについても申込要件をクリアできる可能性が高くなります。また、支払金利などの借り入れ条件についても、他の職種と比較すると良い条件でローンを利用できると考えられます。
ただし、海外不動産投資のローンでは借入限度額が日本国内の不動産投資よりも低く設定されている点に要注意です。借入限度額が物件評価額の50%までに設定されていることも多く、日本国内の不動産投資と比較すると、海外不動産投資では必要な自己資金額が多くなる点に注意を要します。
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1-2.身近な不動産投資家から情報収集できる
医師や経営者など所得が高い人の中には、不動産投資や株式投資などすでに資産運用をしている人も少なくないでしょう。
身近に海外不動産投資をしている人がいる可能性も高くなります。インターネットや書籍以外に、実際に投資した人の体験談や情報を得られる点は、医師が海外不動産投資を始める際のメリットと言えます。
なお、仮に海外不動産投資をしている人がいなくても、日本国内で不動産投資をしている人が見つかれば、体験談を聞くことによって海外不動産投資と日本国内の不動産投資とを比較することにもつながります。
他の職種と比較すると身近な投資家を見つけやすいという点は、医師が海外不動産投資を始める時のメリットです。
1-3.リゾート物件には自己利用の選択肢もある
不動産投資というと1年以上など長期間の賃貸借契約を締結し、入居者に住戸を貸し出すケースが多くなります。しかし、海外と日本国内とを問わず、リゾートエリアの物件ではホテル運用によって利益を得られるケースが少なくありません。
例えばハワイのオアフ島では、ホテルコンドミニアムという種類の物件が存在します。ホテルコンドミニアムは、運営会社へホテル運用を委託することで、宿泊料による利益を得られる物件です。
旅行者による宿泊予約が入っていない時期には、オーナーが自らホテルとして利用できます。オーナーの利用日数は1年ごとに制限される場合もありますが、旅行のたびにホテルを探さなくても良い点はメリットです。
なお、ホテルコンドミニアムではなくても、通常のコンドミニアムを短期賃貸で運用する方法もあります。日本国内の不動産投資では、入居者と2年などの賃貸借契約を締結するのが慣例ですが、海外では1年または数ヶ月の契約を結ぶことも少なくありません。
半年だけ貸し出して、残りの半年はオーナーが自己利用するという運用も可能です。海外のリゾート物件投資には、海外旅行の拠点を作れるという点でメリットがあります。
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1-4.海外旅行費の一部を確定申告で経費計上できることもある
海外不動産投資で物件を購入したエリアへ旅行に行く場合は、現地の不動産会社と打合せの機会を設けることで、旅費の一部を経費計上できることがあります。
海外不動産は、日本国内の投資用物件と比較してオーナーの目が届きにくいことも事実です。定期的に現地を視察することや、海外現地の管理会社と打合せすることなどは、長期的に海外不動産投資を続ける上で重要なポイントになります。
ただし、確定申告における家事按分については税務署判断となり、必ずしも経費として計上できる確証はありません。誤って過少申告をしてしまうとペナルティを負う可能性もあるため、税理士への相談も検討しておきましょう。
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2.医師による海外不動産投資のデメリットや注意点
医師が海外不動産投資を進める上で最も注意すべき点は、海外不動産投資の減価償却を利用した所得の圧縮効果はできない点です。また、リスクヘッジのために時間を割く必要がある点なども、医師にとってはデメリットと言えます。
2-1.海外不動産投資で減価償却費の計上による損益通算はできない
2019年末に発表された税制改正大綱により、2022年に実施する確定申告からは、個人の海外不動産投資による減価償却費の計上による損益通算はできなくなりました。
減価償却費は不動産投資で計上できる費用の中でも大きな割合を占めるため、海外不動産投資で所得を圧縮できる効果は限定的となっています。なお、日本国内の不動産投資では建物部分の減価償却費の計上・損益通算が可能です。
今後の海外不動産投資では、人口増加や経済成長による不動産の値上がり益や、外貨で家賃収入を得ることによる資産分散などに重点をおいて進める必要があります。
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2-2.物件を見に行く時間を取りにくい
不動産投資を成功させるためには、日本国内と海外とを問わず、物件そのものや周辺エリアを直接確認することも重要なポイントです。現地へ足を運ぶことで得られる情報は、インターネットだけでは収集できない住環境や周辺の利便性などを把握することに役立ちます。
例えば、東南アジアの新興国などでは首都圏内に建設される物件であっても、物件の裏手にはスラム街が広がっていることも少なくありません。都市開発が急速に進んでいるエリアでは特に、貧富の差が目に見える形で表出していることも多いものです。
土地勘のない海外で物件を購入する場合は特に、リスクヘッジのためには現地へ足を運ぶことも重要になります。
しかし、拘束時間の長い医師の方の場合、海外現地へ足を運ぶ時間を作ることが難しいと感じる人も多いでしょう。また、コロナウイルス感染症が終息していない2021年9月時点では、渡航先の国によって海外渡航そのものが困難な場合もあります。
物件を見に行く時間を取れない場合は、信頼できる現地の不動産エージェントを探すことが重要です。不動産エージェントから周辺環境について情報を収集するとともに、現地で写真や動画などを撮影してもらうことで、周辺情報の参考とするのも有効になります。
2-3.不動産会社から強引な営業をされる可能性もある
医師は海外不動産投資でもローンを利用しやすいということについては、不動産販売を行う不動産会社も把握しています。このため、医師であることが不動産会社に伝わると、強引な営業に遭う可能性もあるので要注意です。
強引な営業を断るために重要なポイントは、希望する条件をできる限り数字に落とし込んでおくことです。
購入したい物件の想定利回りや価格などをあらかじめ決めておくことで、条件に合わない物件を営業されたときに、はっきりと断れるようになります。具体的な物件選びに入る前に、投資目的や条件を設定し、情報収集をしておくことが重要です。
2-4.賃貸管理会社とのコミュニケーションに要注意
海外不動産投資における入居者の募集は、海外現地の不動産会社が担っています。海外不動産投資で空室期間を減らすためには、海外現地の不動産会社とコミュニケーションを欠かさないことが重要です。
しかし、海外には日本人と商習慣が異なり、コミュニケーションに苦戦してしまうビジネスマンが多いことも事実です。問い合わせ連絡に対する返信がなかなか返ってこないなどのことも起こり得ます。結果的に入居者募集の対応を放置されてしまうケースもあります。
海外不動産投資で稼働率を上げて収益を高めるためには、定期的に現地の不動産会社を訪問するほか、メールや電話などでコミュニケーションの頻度を上げることも重要です。
日々忙しく仕事をしている医師にとっては、例えば時差のある海外の人とコミュニケーションを取る時間を作ることが難しいかもしれません。しかし、海外不動産投資で空室リスクなどを軽減するためには、工夫して時間を作ることも重要になります。
まとめ
不動産投資ローンの利用や情報収集などに関する難易度の点で、医師にとって海外不動産投資はメリットがあります。また、海外旅行が好きな医師にとって、リゾートエリアでの海外不動産投資はプライベートと事業の両立という観点でも有効と言えるでしょう。
その一方で、海外不動産投資では減価償却費の損益通算ができず、不動産会社とのコミュニケーションに時間を割く必要がある点などには注意を要します。これらの点に注意しながら、自身の投資目的にあった物件を選択できるよう情報収集をしていきましょう。
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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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