長期的な資産形成を行う重要性が高まる中、マンション投資と投資信託は長期投資の手段として検討する方も少なくありません。どちらも仕事をしながら無理なく行えるので、本業が忙しい会社員の方でも検討しやすい共通点があります。
しかし、マンション投資と投資信託は投資対象や投資の仕組み、期待できるリターンやリスクの性質など、その特性は大きく異なります。実際に投資をする際はそれぞれの違いを理解し、メリットとデメリットを比較検討することが大切です。
そこでこの記事では、マンション投資と投資信託の特徴、メリットとデメリットを詳しく解説していきます。マンション投資や投資信託などの長期投資に興味のある方は、参考にしてみてください。
目次
- マンション投資とは
1-1.マンション投資の種類 - 投資信託とは
2-1.投資信託の仕組み
2-2.投資信託の種類 - マンション投資のメリット・デメリット
3-1.マンション投資のメリット
3-2.マンション投資のデメリット - 投資信託のメリット・デメリット
4-1.投資信託のメリット
4-2.投資信託のデメリット - マンション投資と投資信託、選ぶ際のポイント
- まとめ
1.マンション投資とは
マンション投資とは、マンション一室や一棟マンションを活用して収益を得る不動産投資のことです。
マンション投資の主な収益源は、投資物件を他の人に賃貸して得られる家賃収入です。例えば、保有しているマンションの10部屋を他の人に月8万円で賃貸する場合、各部屋の入居者から毎月8万円の家賃を受け取ることができるので、1ヶ月分の家賃収入は合計80万円となります。
家賃収入のように投資物件を保有している間、継続的に得られる収入のことを「インカムゲイン」と呼びます。
また、投資物件を一定期間運用した後、売却して収益を得ることも可能です。例えば、2000万円で購入した投資物件を3000万円で売却できれば、1000万円の売却益を得られます。投資物件を売却して得られた収益のことを「キャピタルゲイン」といいます。
1-1.マンション投資の種類
マンション投資には、主にワンルーム投資と1棟物件投資があります。
ワンルーム投資
ワンルーム投資とは、区分建物の中の1部屋を活用して行なうマンション投資のことです。区分建物では各部屋が独立しているので区分所有することができ、ワンルーム投資を始める場合、1部屋分の購入資金で済むのが特徴です。
また、投資期間中に発生する管理費、修繕費、固定資産税などのコストも専用部分にかかる範囲までとなります。
そのため、ワンルーム投資は、資金的な面や管理のしやすさから現物不動産投資の中でも始めやすい部類です。ただし、家賃収入も1部屋ぶんとなるため、戸数が少ないと大きな収益は見込めません。
また、物件を複数所有していない場合、空室が発生すれば収入がゼロになるリスクもあります。
【関連記事】ワンルームマンション投資のメリット・デメリットは?リスクや注意点も
1棟物件投資
1棟物件投資とは、アパート1棟全体を活用して行なうマンション投資です。1棟に設けられている複数の部屋を賃貸してマンション投資を行なうため、ワンルーム投資よりも大きな収益が期待できます。
また、投資対象の部屋が複数あるため、空室リスクを分散できるのも1棟物件投資の特徴です。
しかし、1棟物件を取得するのに必要な資金はワンルーム投資よりはるかに高額となるため、資金調達面でのハードルも高くなります。投資期間中も共用部分を含む建物全体の修繕費用を負担しなければならないため、ワンルーム投資と比較して物件管理で発生するコストも多額になります。
【関連記事】【初心者向け】一棟投資のメリット・デメリットは?投資法や注意点も
2.投資信託とは
投資信託とは、1つの商品で株式、債券、不動産など複数種類の資産へ同時に投資できるパッケージ型の金融商品です。
資産運用の専門家が、それぞれの方針に基づいて投資家から集めた資金を様々な資産へ投資し、運用によって得られた収益が投資家に分配される仕組みになっています。
投資信託は積立でも購入でき、投資時期を分散しながら運用することも可能です。長期的な視点で資産運用するのに向いた金融商品となっています。
ただし、投資信託の投資対象は株式等の金融商品となるため元本保証はなく、市場や経済の状況によって収益が得られることもあれば、損失が生じるリスクもあります。
2-1.投資信託の仕組み
投資信託を始める場合、運用や取引に関わる会社や投資信託の種類について理解することも大切です。投資信託の運用や取引は、おもに販売会社、運用会社、受託会社の3つの会社によって行なわれています。
販売会社
販売会社とは、投資家に対して投資信託の販売を行なっている機関で、銀行や証券会社などが該当します。投資信託の購入や売却、分配金の受取などの手続きは、販売会社を通じて行なうことになります。
運用会社
運用会社は、投資信託の運用方針を決めたり、運用の指示を行なったりする機関です。市場や経済の状況を様々な角度から分析した上で、最適な投資先の資産およびその配分を決定するのが主な役割です。
また、決定した運用方針の実践を受託会社に指示するのも、運用会社の役割になります。
受託会社
受託会社とは、投資家から預かった投資金の管理を行なう機関で、信託銀行がその役割を担っています。また、受託会社である信託銀行は、運用会社の指図に基づき、株式や債券などの売買手続きも行なっています。
2-2.投資信託の種類
投資信託には、運用指針や投資先などの違いによって種類が分かれます。例えば運用指針の違いによって、「インデックス型ファンド」と「アクティブ型ファンド」の2つに分類されます。
インデックス型ファンドとは、日経平均やTOPIXなどの指数に連動した運用成績を目指す投資信託のことです。一方、アクティブ型ファンドとは、基準となる指数以上の成績を目指す投資信託になります。
また、投資先の違いによっては、「テーマ型ファンド」と「バランス型ファンド」に分類されます。
テーマ型ファンドとは、ある特定の資産だけが投資対象となっている投資信託です。例えば、投資先が国内株式あるいは先進国株式のみの投資信託が該当します。一方、バランス型ファンドとは、株式、債券、不動産などの複数資産が1つのファンドで構成されている投資信託のことをいいます。
【関連記事】アクティブファンドとインデックスファンド、初心者が買うならどっち?
3.マンション投資のメリット・デメリット
マンション投資を始めるにあたって、メリットおよびデメリットについて事前に理解しておくことが大切です。マンション投資には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
3-1.マンション投資のメリット
マンション投資は、他の投資と違って融資を受けられ、収益の計画を立てやすいなどのメリットがあります。
- 不動産投資ローンを利用できる
- 定期的な収入を見込める
- 管理業務は委託できる
融資を受けられる
投資信託や株式投資では銀行から融資を受けることはできませんが、マンション投資では不動産投資ローンをマンション購入費用に充てることができます。
融資額は借り手の属性(年齢、年収、その他借り入れ状況など)によって異なりますが、小さい自己資金で大きな投資額を運用することができます。
定期的な収入を見込める
マンションを賃貸する場合、入居者が退去しない限り継続的な家賃収入を見込むことができます。翌月以降の収入を把握しやすく、他の投資と比較しても収支計画を立てやすいのがメリットになります。
管理業務は委託できる
マンション経営では、定期的に物件の清掃や設備点検、入居者への対応をする必要があるので、日中仕事をしている方にとっては負担になります。しかし、このような物件管理業務は不動産会社や専門の管理会社に委託し、代行してもらうことができます。
委託費用はかかるものの、物件の管理状況や空室状況について管理会社から報告を受けることで実質的な手間や負担を大きく減らすことができます。
3-2.マンション投資のデメリット
次に、マンション投資のデメリットは次の通りです。
- 空室リスク
- 維持管理コストがかかる
- 流動性が低い
空室リスク
マンション投資では定期的な家賃収入を見込めますが、部屋が埋まっていることが前提です。入居者がなかなか見つからない場合、入居者募集などの広告を出すことになりますが、費用もかかります。
空室が長期間続けば、持ち出しも増えるため、投資計画全体を見直す必要が出てくることもあります。
維持管理コストがかかる
建物は年数の経過につれて劣化が進みます。老朽化したままでは入居者が付きづらくなり、収益低下に繋がるため、定期的に修繕を行なって物件の状態を適切に維持しなければなりません。
特にマンションの場合、築10年~15年程度を目安として外壁や給排水管等の修理が必要な大規模修繕工事を行うことになります。修繕規模が大きいほど、発生するコストも高くなり、マンション投資の利益率に影響します。
流動性が低い
不動産は他の資産と比較して売却手続きに時間がかかるため、希望通りのタイミングや価格で売却できないケースも珍しくありません。不動産は流動性の低い資産である点がマンション投資を行なう上でのデメリットとなります。
4.投資信託のメリット・デメリット
投資信託のメリットやデメリットは、以下の通りです。
4-1.投資信託のメリット
投資信託は少額で始めることができ、リスクの少ない運用が可能です。また、資産の流動性も比較的高い点がメリットです。
- 少額から始められる
- 分散投資をしやすい
- 流動性が高い
少額から始められる
投資信託は少額から始めることができるため、毎月一定額を積立てるのに向いています。最低購入金額は証券会社や商品によって異なりますが、LINE証券などのネット証券では100円から購入できる場合があります。
さらに、Tポイントで投資信託が購入できるSBI証券や、楽天スーパーポイントで投資信託が購入できる楽天証券のように買い物等で貯まったポイントを使用して購入できるネット証券もあるため、積立金額によっては元手資金ゼロから始めることも検討出来るでしょう。
【関連記事】ポイントで投資信託が購入できるネット証券会社
分散投資をしやすい
マンション投資では区分所有でも数百万程度の取得費用がかかります。分散投資をしたくても複数の物件を取得する必要があるため、資金面がハードルの一つになります。
一方、投資信託では少額資金で国内外の複数種類の資産に分散投資ができます。異なる値動きの複数種類の資産を同時に購入することで、特定の資産に損失が発生したとしても資産全体への影響を抑えやすいのが特徴です。
流動性が高い
投資信託の解約は手数料もかかりますが、申込手続きから数日程度で完了します。この点は、売却完了まで数カ月かかることもある不動産と大きく異なります。このように流動性が高い点も投資信託のメリットです。
4-2.投資信託のデメリット
投資信託には元本割れリスクがあり、短期的に大きな収益を狙いにくいといったデメリットがあります。
- 元本割れのリスクがある
- 繰上償還リスクがある
- 短期的に大きな収益は狙いにくい
元本割れのリスクがある
投資信託の運用成績は市場や経済の状況によって左右されます。景気が落ち込めば、株式や不動産などの資産価値も下落することになります。購入がしやすく売却も手軽に行える反面、不動産よりもボラティリティ(値動きの幅)が大きいデメリットがあります。
過去のパフォーマンスが良かったとしても、将来の収益を約束するものではないため、場合によっては元本割れする可能性があります。
繰上償還リスクがある
投資信託は投資金が集まらない場合、予定より早く償還されるケースもあります。償還されると、その時点での価額で投資金の払い戻しが行なわれます。元本割れしているときに繰上償還がなされると、損失を被ることになります。
短期的に大きな収益は狙いにくい
投資信託は、複数の銘柄または資産に分散投資してリスクを抑えながら運用するのに向いた金融商品です。リスクを分散しやすく、長期的な資産形成をしやすい反面、短期間で大きなリターンを得るのには向いていません。
この点はマンション投資も同様です。急激な景気回復や土地価格の上昇がない限り、短期間で不動産価値の上昇を期待するのは難しいため、国内不動産市場におけるマンション投資では、キャピタルゲインではなくインカムゲインを狙うのが主なスタイルとなります。
5.マンション投資と投資信託、選ぶ際のポイント
マンション投資と投資信託で大きく異なるのは最初に必要となる元手資金です。マンション投資の場合、購入する物件価額の2割程度が必要になる傾向があります。
投資信託は1万円程度あれば購入可能で、証券会社によっては100円から購入できる商品もあります。投資信託を始めるには証券会社で口座を開く必要がありますが、手続きは全てネットで完結できるので手軽に行えます。
一方、マンション投資では物件・エリアの選定や売買契約、修繕対応などの手間がかかりますが、銀行の不動産投資ローンを利用できます。借り手の属性によっては年収の10倍~20倍程度の融資を受けられることもあるので、レバレッジを効かせた運用が可能です。
長期投資でも効率的に資産を増やしたいという場合や、大きな融資を受けられる高属性の与信があるのであれば、マンション投資が検討候補に入るでしょう。
また、どちらか一方を選ぶのではなく、マンション投資で得た収入を投資信託に再投資する手法もあります。投資信託は少額資金でスタートすることができるため、マンション投資で得られる家賃収入を投資信託に再投資し、効率的に資金運用を行うことも可能となります。
まとめ
マンション投資は、毎月入居者から得られる家賃収入が主な収入源となる投資です。これに対して、投資信託は保有ファンドから得られる値上がり益や分配金が収益源となる投資です。
どちらも数十年スパンの長期投資を行うのに向いた資産運用という点では共通していますが、最低投資金額や始めやすさ、融資を受けられるかどうか等で違いが分かれます。両者の特徴をしっかり把握した上で自分に適した方法を検討してみましょう。
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