投資信託は、運用方法によって「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類に分けられます。初心者が購入する時はどちらのファンドを選べばいいのでしょうか?
今回は、インデックスファンドとアクティブファンドの仕組みや違い、それぞれのメリット・デメリットを交えながらどちらを選ぶべきかを解説します。
目次
- インデックスファンドとは
1-1.インデックスファンドのメリット
1-2.インデックスファンドのデメリット - アクティブファンドとは
2-1.アクティブファンドのメリット
2-2.アクティブファンドのデメリット - まとめ
1.インデックスファンドとは
インデックスファンドとは、日経平均株価やNYダウといった「株式指数」や、NOMURA-BPI 総合のような「債券指数」など特定の指標(インデックス)と同じ値動きをするように運用するスタイルのファンドのことです。
1-1.インデックスファンドのメリット
インデックスファンドに投資する際のメリットは以下の通りです。
運用コストが低い
投資信託で資産運用する際に最も重要なコストと言えば信託報酬です。信託報酬は、ファンドに投資している間は運用資産から差し引かれる形で支払い続ける費用です。若い世代が老後の資産形成を考える場合など、運用期間が長期になればなるほど信託報酬の差が最終リターンに大きく影響してきます。概ね年間で1%程度、インデックス信託報酬の方が低く設定されています。
商品の中身がわかりやすい
ポートフォリオの入替を積極的に行って高いパフォーマンスを目指すアクティブファンドと異なり、インデックスファンドは運用される商品の中身が分かりやすく、投資のイメージが付きやすい点もメリットになり得ます。
アクティブファンドより平均的にパフォーマンスが良好
単年度成績ではアクティブファンドの方が良いケースも多いのですが、5年超の長期リターンで見ると、コストが低い分、8割以上のアクティブファンドよりも良好なパフォーマンスを上げています。
1-2.インデックスファンドのデメリット
対してデメリットは以下の通りです。
商品の種類が少ない
インデックスファンドは指数に連動することを目指す投資信託ですが、日経平均株価やTOPIXなど対象となる指数は限られてしまいます。そのため商品の選択肢が相対的に少ない傾向にあります。
低コストだが「低リスク」ではない
一般的なアクティブファンドと比較して「低コスト」であるということは間違いないのですが、必ずしも「低リスク」ではないということは十分認識しておくべきです。日経平均に連動する商品では、いくら複数銘柄に分散投資をしようが指数に連動するように作られているため、指数が下がればファンドの基準価額も下がります。
2.アクティブファンドとは
アクティブファンドは、基本的には指数を上回るリターンを積極的に目指す運用スタイルのファンドのことをいいます。しかし資産運用の世界では、アクティブ運用の明確な定義は存在せず、実際は指数に完全に連動していない「非・インデックス型」の商品をアクティブファンドと呼んでいます。
「アクティブファンド」と聞くと常に大きなリターンを取りにいくために積極的な運用をしている商品をイメージされる方も多いかもしれませんが、実態は少し異なります。“アクティブ”が意味するのは、運用の自由度の高さであって、必ずしも高いリスクを負って高いリターンを追求することだけではありません。相場全体が下がっている時に、下げ幅を限定的に抑えることも大事なアクティブ運用の特徴の一つです。
2-1.アクティブファンドのメリット
アクティブファンドのメリットについて解説していきます。
ベンチマーク以上のリターンが期待できる
アクティブファンドのマネージャーは膨大な情報を元に高度な分析手法を用いて運用を行っており、上手くいけばベンチマーク以上のリターンも期待できます。
昨今の市場においては中央銀行など公的機関の存在感も増しています。これらの参加者は経済合理性がない投資行動を取る時があり、その際市場価格に歪みが生じます。こういった歪みは収益につながりやすく、機械的に決められた取引を行うインデックス運用ではなく、収益チャンスを常に狙っているアクティブ運用でなければ獲得することが出来ない領域になります。
商品の種類が豊富
設定されている投資信託の9割程度はアクティブファンドです。バリュー投資やグロース投資などさまざまな運用手法がある他、AIやフィンテックなどの「テーマ型投信」、毎月分配金を出す「毎月分配型投信」などに加え投資対象のバリュエーションも豊富です。
2-2.アクティブファンドのデメリット
アクティブファンドのデメリットには以下のようなものがあります。
運用コストが高い
アクティブファンドには運用を担当する「ファンドマネージャー」、銘柄を分析する企業調査専門の「アナリスト」など、たくさんの人が運用に関わっており人件費がかさみます。また、企業経営者との面談などを重ね、投資先選定に手間をかけるアクティブファンドは、インデックスファンドの2倍以上のコストがかかっていると言われています。
パフォーマンスが相対的に良くない
常にリスクヘッジを考えながら運用している傾向が強く、相場が下落基調の時には損失を抑えてくれる可能性も高いのですが、ベンチマーク自体が右肩上がりの時にしっかり追随出来ているかが不安なポイントになります。
例えば、株の指数が上昇する局面ではインデックスファンドの成績は良好になります。その際、アクティブファンドは銘柄選択によりインデックス以上のリターンを得ようとするわけなのですが、指数が上昇してからポートフォリオを構築するのではエントリーが遅過ぎます。
つまり、株が上がると予測して事前に良い銘柄を仕込めていないと大きく勝てないことになります。結局、相場の局面判断を当てることが、超過リターン獲得の為には一番重要になってきます。こうした背景から、ベンチマークを上回るパフォーマンスを残すことは容易ではなく、ゆえにインデックスファンドと比べて成績が劣るファンドも珍しくないのです。
成績はファンドマネージャーのスキル次第
ファンドマネージャーにはそれぞれ相場環境に得手不得手があります。過去の成績の推移と相場環境を照らし合わせて検証すれば、ファンドマネージャーの傾向は分かるかもしれませんが、かなり手間がかかります。良いアクティブファンドを見分けるのは難易度が高いと言えます。
まとめ
近年、特定の株価指数に連動した運用成果を目指すインデックスファンドは、商品の分かりやすさとコストの安さから、積み立てを中心に残高を伸ばしてきました。
運用が上手なファンドマネージャーが運用していて、インデックスファンドを遙かに上回る運用成績をたたき出すアクティブファンドも意外とたくさんあるのですが、運用会社のホームページなどで公表されている「月報」や「運用報告書」で過去の運用成績を確認するなど、選択するのに手間が掛かりますし、上手く見つけられないかもしれません。
もし、余剰資金の一部で長期間解約するつもりがない資金であれば、インデックスファンドの方がトータルの運用コストが安く済みますので、失敗した時のリスクを考えても無難でしょう。
ただ、インデックスファンドには、株式市場が大きく乱高下するような局面でも、その値動きをそのまま享受するほかないという商品性の限界があります。そのため実は初心者というより、自分で株式・債券・リートといった分散投資のポートフォリオを考えることが出来るような投資経験が豊富な人ほど、運用コストが低いインデックスファンドを上手に使っているのです。
しかし、資金の性格によっては、インデックスファンドだけではなく、アクティブファンドにも目を向けた方が良い場合もあります。例えば、守り重視の戦略をとるアクティブファンドに投資して、ドローダウンを抑えてもらうというのも一つの方法です。過去のリーマンショックなどの大きなイベントの際の成績を見て、指数と比較して落ち込みが低いファンドを探せばよいのです。
また、リーマンショックなどのイベントを乗り越えて存続しているファンドということは、成績が安定しているということに繋がりますから、安心要素があると言えます。
最近ではESG投資などが流行っていますが、直近のコロナショックの際に、ESG関連ファンドからの資金流出が通常のファンドと比較して抑えられていたことが確認されているように、再びアクティブファンドに脚光が集まり始めています。
HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム
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