【初心者向け】一棟投資のメリット・デメリット、おすすめの投資方法

低金利や好景気を背景に不動産価格が上昇し続けており、不動産投資への注目が高まっています。その中でも利回りが良く、大きな家賃収入を生んでくれる1棟投資に挑戦してみようかと思っている方も少なくないでしょう。

しかし、一棟投資はワンルームマンションなどの区分所有の投資に比べて多額の資金がかかるため、「会社員にはハードルが高い」と感じている方も多いかと思います。

本記事ではそのような方の疑問や不安を解消するため、一棟投資の種類やメリット・デメリットのほか、一棟投資で失敗しないためのポイントを紹介していきます。

  1. 1 一棟投資とは?
  2.  1-1 一棟投資を始める前に
  3.  1-2 一棟投資のタイプ
  4. 2 一棟投資の5つのメリット
  5.  2-1 利回りが高い
  6.  2-2 収入金額が大きい
  7.  2-3 資産価値が高く融資で有利
  8.  2-4 運営の自由度が高い
  9.  2-5 収入ゼロになるリスクが小さい
  10. 3 一棟投資の4つのデメリット
  11.  3-1 必要な元手が多くなる
  12.  3-2 失敗した時のリスクが大きい
  13.  3-3 流動性が低い(=買い手が見つかりにくい)
  14.  3-4 維持管理費用が多額、手間も多い
  15. 4 一棟投資で失敗しないためには?
  16.  4-1 収支計算を綿密に行う
  17.  4-2 修繕・修理面を特に確認する
  18.  4-3 投資時期を見極める
  19.  4-4 その他の注意点

1 一棟投資とは?

一棟投資とは、アパートやマンションを部屋単位で投資する区分所有ではなく、一棟単位でマンションなどを購入して家賃収入やその売却収入で投資資金の回収と利益を得る投資方法です。

1-1 一棟投資を始める前に

一棟投資は一棟単位の投資となることから区分投資よりも元手が多くかかりますが、その分大きな利益を得られるなどの利点があります。しかし、その反面、多額の資金の準備とともに失敗した場合のリスクも区分投資よりも大きくなります。

一棟投資を始めるさいは関連する知識を十分に備える必要があります。

1-2 一棟投資のタイプ

一棟投資のタイプは「一棟アパート」「一棟マンション」の2つに分かれます。両者のうち、どちらに投資をするかは投資目的や状況などで異なりますが、事前に両者の特徴をしっかり把握しておくことが大切です。「一棟アパート」「一棟マンション」のそれぞれの特徴は下表のようになります。

一棟アパートと一棟マンションの比較表(構造・法定耐用年数)

比較項目 アパート マンション
構造、法定耐用年数 軽量鉄骨造
19年
鉄骨造
34年
木造
22年
鉄筋コンクリート造
47年
鉄骨造
34年

一棟アパートと一棟マンションの比較表(建築コスト、利回り、家賃)

比較項目 アパート マンション
建築コスト※1 木造・木骨モルタル
165.4千円/㎡
鉄骨鉄筋コンクリート
262.2千円/㎡
表面利回り(東京都) 新築
5~6%
新築
5%前後が中心
中古(築20年以内)
5%~8%
中古(築20年以内)
4~7%
家賃(東京23区)※2 7.1万円(25.45㎡) 9.8万円(32.70㎡)

※1国税庁「建物の標準的な建築価額表」(平成27年)
※2公益財団法人東日本不動産流通機構の「首都圏賃貸居住用物件の取引動向(2018年01~03月)」より

一棟アパートと一棟マンションの比較表(性能、資産価値)

比較項目 アパート マンション
性能 耐火性、耐震性、防音性で劣る 耐火性、耐震性、防音性、断熱性、防犯性に優れる
資産価値 構造により長期に渡って維持するのがやや困難 RCやSRCなどは法定耐用年数が47年と長期であり、手入れ次第で長期に渡り価値を維持しやすい

2 一棟投資の5つのメリット

一棟投資における5つのメリットを詳しく確認していきましょう。

2-1 利回りが高い

一棟投資は区分投資と比較すると利回りが高いといえるでしょう。「不動産投資と収益物件の情報サイト健美家」が発表している「収益物件 市場動向 四半期レポート<2018年1月~3月期>」によると、区分投資と一棟投資の登録物件表面利回りは次のようになっています。

  • 区分マンション:7.71%(2017年10月~12月期:7.71%)
  • 一棟アパート:8.78%(2017年10月~12月期:8.89%)
  • 一棟マンション:7.97%(2017年10月~12月期:8.08%)

上記は表面利回りですが、維持管理費や修繕積立金などの経費を含める実質利回りでの評価も重要です。上記の費用のほか固定資産税などの経費全体を正確に把握して検討しましょう。

2-2 収入金額が大きい

一棟投資は、1物件から得られる家賃収入の金額が多くなり、区分投資と比べて多額の収入を得ることが可能です。

例えば、10室のアパート一棟とワンルームマンション1室から得られる家賃収入では大きな差が生じます。
アパート1室の家賃が6万円の場合、年間収入は10室×6万円×12カ月=720万円です。
一方、ワンルーム1室の家賃が11万円の場合、年間収入は11万円×12カ月=132万円になります。

このように、一棟投資は1物件あたりの家賃収入の金額規模が大きくなるためキャッシュフローが良くなり、投資資金を回収するスピードも早いというメリットがあります。

2-3 資産価値が高く融資で有利

一棟投資では土地を所有することになるため、区分投資よりも投資対象の資産価値が高く評価され、高額融資を受ける可能性も高くなります。

建物は耐用年数が経過すれば資産価値は大幅に減少するので、投資物件の資産評価において土地があるかないかで大きな差が生じます。一棟投資で建物と土地を所有すれば、築年数経過で建物の評価が下がっても土地の評価は下がりにくい傾向にあります(逆に上昇することもあります)。

以上の点から一棟投資は、資産価値としての評価が区分投資よりも高くなるため金融機関からの融資を受ける場合に有利になるのです。

2-4 運営の自由度が高い

一棟投資では、分譲していない場合、大規模修繕や改装などは所有者の意志で進めることができるので、建物の価値の維持・向上が図りやすくなります。

もちろん区分所有でもリノベーションや改装によりその部屋の付加価値を維持・向上させることはできます。しかし、建物全体については所有者に権限があるため、区分所有者の思いどおりの修繕や改装ができないケースが多くなります。

また、区分所有の部屋がリノベーションによって魅力的なものとなったとしても、建物の外壁劣化、共有部分の汚れ・破損などが表面化していると資産価値の低下は避けられません。

一棟投資で建物の修繕をしっかり行い、オートロック、宅配ボックス設置など時代に合った改装をすることで資産価値を維持し、収益の低減も回避しやすくなるでしょう。このほか、一棟投資には「部屋を売却して資金を回収する」という自由度もあります。

2-5 収入ゼロになるリスクが小さい

空室が出たとしても、家賃収入がゼロになりにくいという点も1棟投資の魅力の一つです。

例えば、区分所有の場合、1戸だけの所有でその1戸が空室となればその時点から家賃収入はゼロになります。しかし、10戸あるアパート1棟に投資した場合は、1戸が空室となっても残り9戸から家賃収入を得ることができるので収入への影響は10分の1に留まります。

区分投資1物件だけの場合で空室が出てしまうと「0%か100%か」という極端な話になりますが、一棟投資はそのようなリスクを回避することができます。

修正理由→この段落で訴求したい点は「空室リスク」というよりは、「空室によって収入ゼロになるリスク」かと思いましたので、表現や構成を修正させていただきました。

3 一棟投資の4つのデメリット

次に一棟投資の4つのデメリットを確認します。次のような内容が挙げられます。

3-1 必要な元手が多くなる

一棟投資は土地および一棟分の建物を所有することになるため、投資資金が多額になります。

一棟アパートなら数千万円以上、一棟マンションなら1億円以上といった投資額になります。また全額をフルローンで組める物件は少なくなります。頭金として2~3割程度求められるケースもあります。

3-2 失敗した時のリスクが大きい

一棟投資は投資金額が多額になるため失敗した場合のリスクが区分投資よりも大きくなります。

例えば、投資した一棟が地震や火災などに見舞われて倒壊したなどの状況になれば家賃収入のすべてが途絶えることになりかねません。
一方、区分投資の場合、複数戸に投資しておけば1カ所で地震などにあっても損害は1戸で済みます。
一棟投資は投資資金が多額になりやすいことから区分投資のように複数物件に投資することが難しく、リスク分散が困難なのがデメリットです。

このほか、周辺地域の環境変化で家賃水準の下落により、収入が大幅に減少するというリスクもあります。

3-3 流動性が低い(=買い手が見つかりにくい)

一棟投資は投資額が大きいことから区分投資よりも買い手がつきにくいため、容易には売却できない可能性があります。

さらに売出しから売却までの時間が多くかかり、売却資金を手にするまでの時間も長くなる可能性があります。売却資金を別の投資や用途で利用したいと考えても思うように売却できなければ、そのチャンスを逃がすことになるでしょう。

3-4 維持管理費用が多額、手間も多い

一棟投資では建物全体の維持・向上を図る必要があり、一定期間での大規模修繕や機能向上に向けた改装をする必要があります。そのため毎月の維持管理には膨大な経費がかかります。

また、オーナーとしての手間も大きくかかります。業務を管理会社へ委託することもできますが別途費用が必要です。とくに会社員であるオーナーにとって毎日の共用スペースの修理、防水工事、設備の点検など、こまかい維持管理業務の負担は小さくないでしょう。

加えて、損害保険料、固定資産税や都市計画税も一棟投資のほうが高額になるので、物件によっては大きな負担になるでしょう。

4 一棟投資で失敗しないためには?

ここでは一棟投資のリスクを低減させるためのポイントを4つ紹介しておきましょう。

4-1 収支計算を綿密に行う

不動産会社が提供する収支計算例のみに頼らず、投資家自身者でも計算するか、他の専門家に依頼して計算してもらうといった慎重さが求められます。

不動産会社によっては投資家との成約を優先するあまり、必要となる経費を提示しなかったり、低めに提示したりすることもあります。低めに設定された収支計画で契約すれば、失敗するリスクの要因となります。

ポイントは、管理会社の毎月の管理内容と費用が妥当か、固定資産税等の負担は大きくないかなどをチェックすることです。期待されるキャッシュフローが本当に得られるのかを慎重に検討しましょう。

4-2 修繕・修理面を特に確認する

中古物件の場合、「直近の大規模修繕からの期間」「外壁や共用部ですぐに必要な修理の有無」などの確認が必要です。近いうちに大規模修繕が必要な物件には慎重な検討が求められます。

4-3 投資時期を見極める

投資物件が高止まりしている状況での一棟投資はリスクが高く、状況を把握した慎重な判断が必要です。

不動産市場がある時期・ある地域で好調に見えても、しばらく経って需要が急激に落ち、物件価格や家賃相場が大幅に下落することも珍しくありません。

「対象地域の物件価格が上昇し始める」「経済環境が好転し始めた」などの状況での投資がポイントになります。高値掴みの投資には注意しましょう。

4-4 その他注意点

このほか、「学校・駅やコンビニに近い」「人気沿線が利用可能」など入居率が高くなる理由があること、今までの入居率が高いこともポイントです。「仲介の不動産会社の取引実績が高く信頼できる」「事故物件でない」なども見極めるさいの注意点になるでしょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チームは、不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基礎知識からローン融資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」