不動産の売却活動で避けたいのが「売れ残り感」が出てしまことです。不動産の売却にかかる期間としては3カ月〜6カ月が目安となりますが、それ以上になると「売れ残り感」が出てしまい、より売れにくくなる可能性があるのです。
そこで今回のコラムでは、不動産の売却活動で「売れ残り感」を避けるための4つの注意点と、対策法について解説していきます。
目次
- 不動産の「売れ残り感」を避けるための4つの注意点
1-1.不動産の売出価格
1-2.不動産の売却条件
1-3.不動産会社の広告戦略
1-4.売主の内覧・現地調査時の対応 - 不動産売却で売れ残り感を避けるための対策
2-1.インスペクションをする
2-2.売却不動産を空き家にする
2-3.不動産会社との媒介契約を見直す
2-4.不動産会社を変更する
2-5.不動産の売却活動を一時中止する - まとめ
1 不動産の「売れ残り感」を避けるための4つの注意点
不動産で売れ残る前に売却するには、「価格」「売買条件」「広告戦略」「売却活動」が適切である必要があります。各項目の注意点について解説していきます。
1-1 不動産の売出価格
不動産の売出価格は売り手が自由に設定することができますが、買い手がそれを適切な価格だと判断したときに売買は成立します。相場価格と大きな相違があると、売却に苦戦してしまうことになります。
売れ残らないようにするためには、適正な価格で売りに出すことが重要となります。その方法の一つが相場価格を知ることです。
大まかな相場価格を調べるには、主に下記の2つの方法があります。
- 不動産流通機構の「レインズマーケットインフォメーション」で調べる
- suumoやathomeなどの不動産ポータルサイトで調べる
「レインズマーケットインフォメーション」では取引事例、不動産ポータルサイトでは現在の売り出し価格の相場を調べることができます。
1-2 不動産の売却条件
不動産を選ぶ際に、買主候補が敬遠する条件として「引き渡し時期」や「契約不適合責任の免責」などが考えられます。
居住用不動産の引き渡し時期
居住用不動産の引き渡し時期は、売主の住居環境に関わるもので変えられない可能性もありますが、住宅の売却を優先するのであれば、引っ越して空き家にするという方法もあります。
契約不適合責任の免責
一方、「契約不適合責任の免責」は、本来であれば売主が負うべき売却後の不動産の隠れた欠陥や不備について、責任を負わないとする契約条件です。売買契約に特約を設けることで、契約不適合責任を免責とすることができます。
しかし、購入した後で問題があった場合のことを考えると、「契約不適合責任の免責」の特約がついている物件は購入しにくいとも考えられます。「契約不適合責任の免責」の特約を設けた場合、特約が売買成立を阻害していないか、特約に見合った価格が設定されているか、再検証するようにしましょう。
なお、「民法第572条」によって万が一、売買対象物の不適合を知っていながら買主に告げなかった場合、免責は特約の適用対象外になります。
【関連記事】契約不適合責任をわかりやすく解説!売主が注意したい3つのポイントも
1-3 不動産会社の広告戦略
広告戦略は主に仲介業務を委託した不動産会社が行います。相場に沿った価格で売り出したにも関わらず反応が薄いのであれば、的確な広告戦略を展開していない可能性があるので見直す必要があります。
不動産広告の主なポイントは下記のようになります。
- 掲載している外観の写真は目を惹くか
- 掲載している室内の写真は広く見えるか
- 物件の長所を正しくアピールできているか
- 行動を促す文言は使われているか
- 買主候補が住みたくなるような情報が掲載されているか、など
また、広告を打ち出すタイミングやどの層に届けるのか、を適切に判断しているのかも確認しましょう。例えば、一戸建ての住宅を売却する際に、単身者向けマンションにチラシを投函するといったことでは反応はあまり期待できません。
ターゲットとなる買主候補に的確に届くような広告戦略を立てることで、売れ残る前の売却を目指していきましょう。
1-4 売主の内覧・現地調査時の対応
前項の広告展開は主に不動産会社が行うものですが、売主として行う売却活動の一つが内覧・現地調査時の対応です。内覧時の対応が良くないと売買が成立しないこともありますので、適切に行うようにしましょう。
買主候補が内覧に来る際は、下記のポイントに気をつけましょう。
- 丁寧な清掃
- 部屋が狭くならないように整理整頓
- 当日は換気や明るさにも注意
- 綺麗なスリッパを用意しておく、など
買主候補ができるだけ自由に動け、見たいところを見せてあげるようにすると買主候補の不安解消につながります。
2 不動産売却で売れ残り感を避けるための対策
不動産売却で「売れ残り感」を感じさせないようにするにはどのような対策をすればいいのか、この項目で紹介していきます。
2-1 インスペクションをする
住宅の専門家が、建物の状態を調査するのがインスペクションです。インスペクションでは、構造上の問題や、雨漏りや水漏れ、配管の劣化などを調べて、欠陥の有無を判定します。
そのため、インスペクションで問題がないことがわかると、買主の不安を解消できることが期待できるのです。
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会が2017年9月に公表した「土地・住宅に関する消費者アンケート調査 ウェブアンケート調査結果」によると、インスペクションをしたことによって「自宅の売却が希望価格で売れた」(64.3%)、「買手が早く見つかり売却がスムーズにできた」(51.8%)という結果になっています。
この結果から見ても、インスペクションをすることによって買主が見つかりやすくなる可能性があります。
【関連記事】不動産の売却前にインスペクションはするべき?メリット・デメリットを解説
2-2 売却不動産を空き家にする
売却している物件に売主が居住している場合、売れにくくなる傾向があります。「人が住んでいるのであれば気軽に内覧はできない」という思いを持ってしまう可能性があるからです。
また内覧の際に前の居住者の生活感を感じてしまうと、マイナスの印象を持たれることがあります。
そのため、内覧の問い合わせが少ない、内覧後の反応がよくない場合は、売却物件を空き家にすることも検討しましょう。家具などが搬出されて、売り出している物件の状態がより詳しく伝わるようになります。
2-3 不動産会社との媒介契約を見直す
不動産会社の売却活動は、媒介契約の内容によって異なるため、媒介契約を見直すことも「売れ残り感」を避けることにつながります。
下記がその違いを表した表です。
項目 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
---|---|---|---|
複数の不動産会社への依頼 | ○ | × | × |
自分で見つけた買主との単独契約 | ○ | ○ | × |
指定流通機構への登録義務 | 無 | 有 | 有 |
販売活動の報告義務 | 無 | 有 | 有 |
契約期間 | 規制は無し | 3ヵ月以内 | 3ヵ月以内 |
特に一般媒介契約は、複数社に売却依頼ができるメリットがありますが、レインズの登録義務がなく、複数社が競合してしまうと売却の優先順位が下がるリスクがあります。そのため一般媒介契約での売却活動がうまく行っていなければ、専任媒介契約あるいは専属専任媒介契約に切り替えることを検討してみるのも良いでしょう。
2-4 不動産会社を変更する
不動産会社の担当者自身が、売却がうまくいかない原因をわかっていないようであれば、不動産会社を変更するのも選択肢の一つです。不動産会社を変えることによって、売却活動が一新され、売れにくかった不動産が売却できる可能性もあります。
不動産会社を選ぶ際は下記の点を確認してみましょう。
- どのような実績があるか
- どのような物件の売却が得意か
- どのような売却活動をするのか、など
また、複数社へ同時査定依頼ができる「不動産一括査定サイト」を活用するなどして、効率的に不動産会社探しを進めるのも良いでしょう。
下記の表は、主な不動産一括査定サイトをまとめたものです。
主な不動産一括査定サイト
サイト名 | 運営会社 | 特徴 |
---|---|---|
SUUMO(スーモ)不動産売却[PR] | 株式会社リクルート | 大手から中小企業まで約2,000の店舗と提携。独自の審査基準で悪質な不動産会社を排除。60秒で入力が終了し、無料査定がスタートできる。 |
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LIFULL HOME’Sの不動産売却査定サービス[PR] | 株式会社LIFULL | 全国3826社以上の不動産会社に依頼できる。匿名での依頼も可能 |
リガイド(RE-Guide)[PR] | 株式会社ウェイブダッシュ | 17年目の老舗サイト。登録会社数900社、最大10社から査定を受け取れる。収益物件情報を掲載する姉妹サイトも運営、他サイトと比べて投資用マンションや投資用アパートの売却に強みあり |
HOME4U[PR] | 株式会社NTTデータ スマートソーシング | 全国2100社から6社まで依頼可能。独自審査で悪徳会社を排除 |
【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧
2-5 不動産の売却活動を一時中止する
売却できるまで時間がかかってもいいのであれば、売却活動を一時中止するのも「売れ残り感」を回避する方法です。不動産の売買は売主と買主の個人間取引になりますので、良好な物件でも買主候補とのタイミングが合わなければ反応がないこともあります。
そのため、売却活動を一時中止して買主候補が現れるタイミングを待ったり、売却不動産がマンションや一戸建ての場合であれば、リフォームをするのも一つの手になります。リフォームをすることで、次に売り出すときには「新規物件」とし価格改定をして売り出すこともできます。
戸建てやアパートなどの土地付きの不動産であれば、建物を解体して更地として売却する方法もあります。こうすることで「売れ残り感」を避けて、不動産の売却活動をすることも対策の一つとなります。
ただし、リフォームや解体には大きな費用が掛かるうえ、捻出した費用が必ずしも売却価格に上乗せできるとは限りません。かけた費用が回収できるのかどうか、周辺の売却事例などを参考に慎重に検証する必要があるため、まずは不動産会社へリフォーム・解体の対策を行うべきか事前に相談をしておきましょう。
【関連記事】不動産売却、売却前にリフォームするメリット・デメリットは?注意点も
まとめ
不動産売却では、買主候補が「売れ残り感」を感じてしまうと、購入意欲に結びつかないことがあります。そのため、できるだけ時間をかけずに売却するようにしましょう。
万が一、売却に時間がかかってしまった場合は、インスペクションやリフォームなどで物件に付加価値を加えることで「売れ残り感」を避けられる可能性があります。
ただし、インスペクションやリフォーム、建物の解体には費用がかかります。不動産の売却価格に必ずしも反映できるとは限らないため、事前に不動産会社へ相談すると良いでしょう。
倉岡 明広
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