現役FPが教える、将来の資産になる投資用マンションの3つのポイントは?

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「こんなに安い価格でしか売れないのか・・・」売却時にそんなお悩みを抱えるマンションオーナーの方も少なくありません。マンションを購入する際は、多くの方が将来の資産となることを期待して購入されます。しかし、購入後にマンションの資産価値が下がってしまうというリスクもあります。

そこで今回は、将来の資産になる投資用マンションのポイントについて、資産運用の専門家である現役FP(ファイナンシャルプランナー)の視点から解説をしていきたいと思います。

目次

  1. 年数が経過しても資産価値を維持できるポイントとは?
  2. 利便性や快適性が優れている
    2-1.交通の利便性
    2-2.生活の利便性
    2-3.居住の快適性
  3. 管理が行き届いている
  4. 地震などにも強い構造・立地である
    4-1.新耐震基準を満たしている
    4-2.ハザードマップに該当していない
  5. まとめ

1 年数が経過しても資産価値を維持できるポイントとは?

マンションの資産価値は何で決まるのでしょうか。マンション価格は、直接還元法と呼ばれる計算方法によって算出されることが多くなっています。

直接還元法では、収入から経費を引いた実質的な利益を利回りで割ることによって不動産価格を算出します。家賃収入は、主に入居率の高さなどに左右されますので、入居需要の高いマンションを購入することがマンションの資産価値を維持する上で重要となります。

一方、投資用マンションの資産価値は、土地部分と建物部分の2つに分けて考えることもできます。建物部分は経年劣化による資産価値の減少が、土地部分は需要の低下による資産価値の減少が生じることが考えられます。

では、建物部分の資産価値は築年数の経過とともに右肩下がりになり続けるのでしょうか?答えは「NO」です。

私が居住用として購入したマンションは、新築時の価格が4,800万円、築2年の購入時の価格は4,000万円でした。購入から約10年が経過した頃に諸事情によって売却することになったため、不動産会社に査定を依頼すると4,500万円と購入時の価格を超えていました。

新築マンションの価格には、ディベロッパーの広告費や人件費などの費用、利益などが上乗せされているため、売却時の価格が1~2割程度下がるのが一般的ですが、上記のケースでは、なぜ築年数の経過とともに価格が上昇したのでしょうか?

その要因として考えられるのは、治安が良かったという点と、質の良い教育を行っていた学校がある地域であったことなどです。

このケースでは、建物部分の資産価値は経年劣化によって下がりましたが、土地の需要が高かったことで資産価値を高く維持することができたと考えられます。

つまり、入居者からの需要が高いマンションを購入することが資産価値を維持することに繋がります。需要が高いマンションの条件を整理すると、「利便性や快適性が優れている」「管理が行き届いている」「災害にも強い構造」という3つのポイントがあります。

これらの3つのポイントについてそれぞれ詳しく見ていきましょう。

2 利便性や快適性が優れている

投資用マンションを選ぶ場合のポイントと同じですが、利便性や快適性に優れている方がマンションの資産価値が高く維持しやすいと言えます。

では、具体的にどのような利便性や快適性が求められているのでしょうか?求められている利便性と快適性は以下の3つです。

  • 交通の利便性
  • 生活の利便性
  • 居住の快適性

それぞれの詳細について見ていきましょう。

2-1 交通の利便性

最寄駅の乗降者数が多い駅はもちろん、企業が多く進出している駅の場合や他の路線への乗り換えが便利な駅へのアクセスが良い場合で、かつ「徒歩10分以内」という立地条件であれば、資産価値を高く維持しやすくなります。

しかし、物件の最寄駅が上記のような駅の条件を満たしていない場合は、資産価値が下がりやすいため、「徒歩5分以内」など交通の利便性として求められる条件が厳しくなります。

それでも前者の物件と比べると、後者の物件は資産価値が下がるリスクが大きくなってしまうため、最寄駅の使い勝手が良い物件を選ぶ方が良いと言えるでしょう。

2-2 生活の利便性

生活の利便性とは、日常生活において必要なスーパーや病院、学校、市役所などの施設が近くに揃っているかどうかです。

しかし、こういった日常生活に便利な施設の多くは、利便性の高い駅の近くに集中するため、自然と乗降者数の多い主要な駅から「徒歩5分以内」の物件に需要が集まります。実際に私が売却した物件も、オフィスを構える企業が多い駅へのアクセスが「徒歩5分以内」と立地が良く、学区も良いという条件が整っていたことを考えると、欠かすことができないポイントと言えるでしょう。

2-3 居住の快適性

居住の快適性とは、一見すると生活の利便性と同じように思うかもしれませんが、利便性をさらに追及したものです。

例えば、スーパーよりはショッピングモール、診療科が1つしかない病院よりも総合病院が良い、などのように、1つ1つの施設がより充実している方の快適性が高いため、需要が高くなります。

実際に私が売却した物件も2駅離れた他の路線への乗り換えが便利である駅に、直結型のショッピングモール(駅直結型としては最大規模)ができたことが価格向上に影響を及ぼした可能性があります。

交通の利便性と生活の利便性に加え、居住の快適性も考慮してみると、より資産価値が高く維持しやすい物件に巡り合えるでしょう。

3 管理が行き届いている

投資用マンションの資産価値は、経年劣化による減少が生じるのが一般的ですが、必ずしも全ての物件が均一に減少するというわけではありません。

マンションは、居住者が協力して管理を行いますが、基本的に管理に関しては素人であることが多いため通常は管理会社に依頼します。

清掃や修繕などが定期的にしっかりと行われているマンションの場合は、経年劣化による影響が軽微になるため、資産価値を高い水準で維持できます。

しかし、管理が疎かになっているようなマンションの場合には、経年劣化による影響が大きくなってしまうため、注意が必要です。

「マンションは管理を買え」という言葉があるように、管理が行き届いているマンションを購入することが資産価値を高い水準で維持できる大きなポイントになるでしょう。

4 災害にも強い構造・立地である

地震などの災害が起こると、地盤沈下や液状化などが起こり、物件の資産価値が下がることがあります。資産価値を下げないためには、災害に強いマンションを選ぶことも大切です。

災害に強いのは新築マンションですが、物件の資産価値に加えディベロッパーの広告費や人件費などの諸費用、利益などが上乗せされているため、基本的に売却時には価格が下がってしまうというデメリットもあります。

一方、中古マンションは新築よりも価格が安いですが、耐震基準を満たしていない物件もありますので、注意が必要です。詳細については以下で見ていきましょう。

4-1 新耐震基準を満たしている

耐震強度の偽装問題などもあったことから、耐震強度という言葉が世間に知られるようになりました。最近では大きな地震が相次いでいることから、改めて耐震強度が注目されるようになってきています。

耐震強度は、「旧耐震基準」と「新耐震基準」の大きく2つに分けられます。旧耐震基準では震度5程度の地震に対して倒壊または崩壊が無ければ良いという水準でしたが、新耐震基準では震度5程度の地震に対して部材の各部が損傷を受けないことが条件とされています。

さらに、新耐震基準では震度6~7程度の地震に対して倒壊または崩壊しないということが定められていることを考えると、旧耐震基準のマンションを購入した場合は震度5以上の地震に対して脆弱である可能性が高いと言えるでしょう。

実際に、国土交通省国土技術政策総合研究所が発表したデータによると、震度7の地震を観測した熊本地震の益城町中心部では、旧耐震基準による建物の32.1%、新耐震基準による建物の7.6%が倒壊したことが記されており、結果に大きな違いが生じたことが分かります。

新耐震基準に改正されたのは1981年6月1日で、1978年の宮城県沖地震の影響を受けて制定されました。この日以降に建築確認がされた物件は新耐震基準が適用されていますが、6月1日以前に建築確認がされた物件は旧耐震基準のままであるため注意しましょう。

4-2 ハザードマップに該当していない

国土交通省ハザードマップポータルサイト国土交通省ハザードマップポータルサイト

災害は地震だけでなく洪水や津波などもあります。例えば、河川の氾濫が生じるケースもありますので、物件の投資エリアが安全な場所か確認することが必要です。

これらの情報は、国土交通省や各自治体が公表しているハザードマップで確認できます。ハザードマップには、火山の噴火や地震、河川の氾濫などの自然災害の被害が及ぶ範囲や被害の程度、避難場所などについて記載されています。

ハザードマップを確認しておくことによって、自然災害による物件への被害を避けることができるだけでなく、入居者も安全なエリアを求めるため、そうでないエリアと比べると入居需要が高くなるということも期待できます。

5 まとめ

将来的に資産価値が維持できるマンションには、入居者からの需要が高いという特徴がありました。入居者からの需要が高いマンションを見極めるポイントは、以下の3つです。

  • 利便性や快適性が優れている
  • 管理が行き届いている
  • 地震などにも強い構造・立地である

これらのポイントも踏まえた物件選びを行うことによって、将来の資産になる投資用マンションを手に入れることを検討していきましょう。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。