「持家派」多数も「賃貸派」微増、不動産意識調査にみる一般消費者の今

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不動産は「買い時だと思わない」人が微増、「持家派」が8割強も、「賃貸派」が微増、19.5%、約半数は既存住宅(中古住宅)に抵抗感がない――全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)・全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証協会)が「不動産の日」(9月23日)にちなんで一般消費者向けに実施している不動産に関する意識調査で、こんな傾向が明らかになった。「不動産は買い時か」など20問で購入の理由やポイントを全国の20歳以上の男女に聞き、1万8601件の有効回答を得た。

不動産は買い時かという問いに対して「買い時だと思う」は16.3%(前回-3.6㌽)、「買い時だと思わない」が22.6%(同-2.1㌽)、「分からない」が61%で最多となった。買い時だと思う理由では「消費税率が上がる前だから」が45%(同+22.7㌽)と大幅に上昇、「住宅ローン減税など税制優遇が実施されているから」25.3%(同-9.2㌽)と続く。「消費税率が上がる前」は女性が50.7%、男性が38.9%で、女性の方が11.8㌽高い結果となった。17年度の調査では「買い時だと思う」が大幅に下降しており、引き続き下降していることから、調査は「買い時感は減退している」とみる。

買い時だと思わない理由として「不動産価値が下落しそうだから」が29.8%、「自分の収入が不安定または減少しているから」23.1%。不動産価値が下落しそうと考えるのは男性が多く、「地震や水害などの天災が心配だから」は女性が多い。年代別では30代以上が「不動産価値が下落しそう」と思っており、20代がとくに「自分の収入が不安定、または減少している」と答えており、経済的不安感が若年層の不動産購入意欲に制御をかけている。

現在の居住形態に関わらず持ち家か賃貸かという設問では、持家派(一戸建て派・マンション派)は80.5%(同-4.4㌽) 「賃貸派」(一戸建て派・集合住宅派)は19.5%(同+4.4㌽)で、2013年以降最も高い結果となった。持家派の理由は「家賃を支払い続けることが無駄に思えるから」が52.9%と最も多く挙げられ、次いで「落ち着きたいから」32.1%、「持家を資産と考えているから」が30.9%と続く。上位3つに上げられる理由は、13年度の調査開始以来、順位が変わっていない。「マイホームをもつことが夢だから」は13.2%と低い数値ながら、若い年代ほど強い傾向がみられる。持家派のなかでも約6割が一戸建てを選択。居住形態に関係なく、潜在的に「家」を持ちたいという意識が高いことがうかがえる。持家派は60代以上がやや高いものの、年代による大きな意識差はみられなかった。

一方、賃貸派は「住宅ローンに縛られたくないから」(41.8%)が最多で、 天災時に家の所有がリスクになるから(35.8%)、税金が大変だから(26.1%)と続く。持家派が圧倒的に多いものの、家賃を支払わずに済むことをメリットと感じる(持家派)か、ローンや税金をデメリットと感じる(賃貸派)か、価値観の相違がクッキリと分かれる結果となった。

住宅を購入する際のポイント(3つまで選択可)の設問では「購入金額」60%、「周辺・生活環境がよい」48.1%、「交通の利便性が良い」38.8%と、現実的な条件が上位を占める。若い年代ほど「購入金額」を気にし、年代が高くなるにつれて気にしない傾向にある。賃貸で重視する点は、「家賃」が71.8%、次いで「交通の利便性がよい」が49.5%、「周辺・生活環境がよい」が41.6%と続く。経済的な条件が最多なのは持家、賃貸で共通だが、賃貸は交通の利便性にポイントを置く人が多い。間取りや日当たりなど住宅に関することより、住宅が置かれている環境を重視している。また、若い年代ほど「家賃」を重視する傾向が強く、20代と60代以上の差は25.8%にも及んだ。

【参照】住居の居住志向及び購買等に関する意識調査(2019年1月)

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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