知っておきたいソーシャルレンディングと投資信託のメリット・デメリット

ソーシャルレンディングと比較されることが多い投資手法の一つに、投資信託があります。ソーシャルレンディングは金利による収入、投資信託はプロの資産運用による運用益が狙えるシステムとなっています。

しかし、この二つの投資手法は、仕組みもリスクの面でも様々な形で異なっています。そこで今回は、それぞれの投資手法におけるメリットとデメリットを比較してみました。

目次

  1. ソーシャルレンディングのメリット
    1-1.運用手数料が0円
    1-2.予定利回りが5%~10%程度と高い
    1-3.株式市場などに比べて利回りの変動リスクが少ない
  2. 投資信託のメリット
    2-1.自由に売買できる
    2-2.投資先の選択肢が豊富
    2-3.税金面が整備されている
  3. ソーシャルレンディングのデメリット
    3-1.事業者リスクが高い
    3-2.自由に解約できない
  4. 投資信託のデメリット
    4-1.市況の変化や手数料などにより損失を被る可能性がある
    4-2.売買のタイミングを見極める必要がある
  5. まとめ

1.ソーシャルレンディングのメリット

まずはソーシャルレンディング投資のメリットを確認しましょう。

1-1.運用手数料が0円

投資信託では投資中の純資産額に対し、運用手数料(信託報酬)が発生します。手数料は投資信託を提供する会社により異なりますが、たとえ運用による利益が発生していない時でも、運用手数料は支払わなくてはいけません。

例えば、10万円を投資して純資産額が95,000円に目減りした状況でも、基本の運用手数料が3%だった場合、2,850円を手数料として取られます。

それに比べると、ソーシャルレンディングでは会員登録や口座の開設、そして運用に対する手数料が発生しません。正確に言えば、ソーシャルレンディング会社が事業者に融資する際には、金利収入から営業者報酬を取った上で、投資家に配当を分配しています。

それでも、投資信託のように、投資中の資産額に対して直接運用手数料を取ることはありません。投資信託に比べると、ソーシャルレンディングの手数料体系は分かりやすく、その点において投資がしやすいと言えます。

1-2.予定利回りが5%~10%程度と高い

ソーシャルレンディングは投資信託と比べると予定利回りが高い傾向にあります。一般的な投資信託の利回りは2%から6%程度。利回りが10%に近い投資信託は、国内ではなかなかありません。

しかし、ソーシャルレンディングの場合、5%から10%程度の利回りのものが多くあり、利回り7%程度の案件も珍しくはありません。利回りが高く、運用手数料もかからないため、その点においては投資信託よりもソーシャルレンディングの方に期待収益に分があると言えます。

1-3.株式市場などに比べて利回りの変動リスクが少ない

例えば、株式を対象とした投資信託であれば株式の運用益が発生します。また為替を対象とした投資信託であれば、為替取引による差益から利益が生まれます。一方、相場に大きな変動が発生すると、運用益が生まれないどころか、損失が発生する場合もあります。その場合、投資家に対して利益の分配金が支払われない可能性があります。

しかし、ソーシャルレンディングでは、ソーシャルレンディング会社が貸付を行う際の貸付金利をもとに投資家への分配金が支払われるため、相場変動によって利益が上下することは原則としてありません。利率10%で事業者へ融資する案件であれば、運用期間中はその金利に基づく一定の分配金が投資家へ入ってくるのです。

基本的には、融資先の事業が頓挫するなどして債権回収が滞ったりしない限りは決まった額の分配を得られる形となっています。そのため、ソーシャルレンディングは投資信託と比べて収入を計算しやすいというメリットがあります。

2.投資信託のメリット

ソーシャルレンディングと比較した投資信託のメリットも見ていきましょう。

2-1.自由に売買できる

投資信託は自由に売買できる点が、ソーシャルレンディングよりも優れています。ソーシャルレンディングは、運用期間中に解約が一切出来ません。これはどのソーシャルレンディング会社にも共通しています。

例えば、ソーシャルレンディング会社が行政処分を受け、今後の返済が難しくなったとしても、投資家から解約を申し出ることはできないのです。運用期間が長い案件ほど、自分の資金を引き出せないリスクは高くなってしまいます。

しかし、投資信託は、市況の変化に応じ、これから先の大きな値上がりや値下がりが起きると考えた時に、自由に売買や解約が行えます。そのため、リスクを限定的なものにすることができます。

2-2.投資先の選択肢が豊富

投資先の豊富さは、投資信託の魅力の1つです。ソーシャルレンディングの場合、国内で定期的に投資案件を提供している会社は2019年2月現在で15社程度です。会社数があまり多くないので、投資先の選択肢は種類・量ともそれほど多くありません。

リスクを下げるために分散投資がしたいと思っても、案件数や投資先が限られてしまっているため、色々な業界に対して投資することができないのです。

しかし、投資信託は国内の様々な銀行、証券会社などで販売されています。国内の株式や為替、その他の金融商品を取り扱うものなど、様々な種類の投資信託を選ぶことができます。また、国内の投資信託だけではなく、海外の投資信託も購入可能です。投資先の選択肢が豊富で、分散投資しやすい点もメリットの一つと言えるでしょう。

2-3.税金面が整備されている

ソーシャルレンディングと投資信託は、共に利益の額に応じて課税されます。ソーシャルレンディングは雑所得扱いですので、給与所得などと合わせた年間の所得に応じて税率が決まります。そのため、最大で所得税が45%も課税される可能性があります。

また、ソーシャルレンディング投資により損失が出たとしても翌年以降に繰越などを行うことはできませんが、投資信託の売買でその年に控除しきれない金額の損失が出た場合については、確定申告をすることで、翌年以降3年間にわたり損失を繰り越すことができます。

利益に対する税率についても、投資信託の場合は20%+復興特別所得税0.315%となり、大きな利益が出た場合はソーシャルレンディングよりも投資信託のほうがメリットが大きくなります。

3.ソーシャルレンディングのデメリット

それでは、ソーシャルレンディングならではのデメリットも見ていきましょう。

3-1.事業者リスクが高い

ソーシャルレンディング投資において注目すべきリスクは、事業者の不祥事によるリスクの高さではないでしょうか。特に、2017年と2018年に行政処分を受けたソーシャルレンディング会社は計5社にものぼっています。

大規模な貸し倒れの発生後、みんなのクレジットという会社では、募集した投資金額に対して2019年2月時点でわずか3%しか返済できていません。またラッキーバンクでは各案件に不動産担保が設定されていることを謳っていましたが、こちらも最終的には投資金額の32%しか投資家へ返済することができませんでした。

2019年に入っても、2月22日にトラストレンディングを運営するエーアイトラスト株式会社を対象として、証券取引等監視委員会が行政処分を求める勧告を行っています。

ソーシャルレンディングはまだまだ日本において歴史の浅い投資手法であり、創立10年未満の会社が多く存在します。また貸し倒れや返済遅延が発生した際にきちんと投資家の利益を守らず、投資家に対して不正を働いたことが明らかになった事業者も複数存在します。

ソーシャルレンディングは、サービスを提供する会社の知名度や歴史の長さ、規模を考えると、大きな銀行や証券会社などが提供する投資信託と比べて事業者リスクが大きいといえます。

3-2.自由に解約できない

投資信託の流動性の高さと比べ、ソーシャルレンディングは自由に投資中の案件を解約できない点で不便さを感じるでしょう。運用期間が長くなるほど市況の変化に伴うリスクなどに巻き込まれる可能性が高くなりますし、他の用途に資金を使いたい時であっても、解約できない融通のなさも否めません。

ソーシャルレンディング案件の運用期間中、資金が拘束されてしまうのです。また、返済遅延が発生すると、運用期間が終了したにもかかわらず投資した資金が戻らず、資金を預けたままになることもあります。

できるだけ短期運用の案件に投資することで、資金が拘束されるリスクを抑えることができます。

4.投資信託のデメリット

投資信託のデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。

4-1.市況の変化や手数料などにより損失を被る可能性がある

投資信託は市況の変化に大きく影響を受けます。株式を中心に組成した投資信託であれば、株価の変動によって運用益が増減するため、どうしても値動きは大きくなります。日本国内の話でいえば、ライブドアショックやリーマンショックなどの影響で株式市場の大暴落が起きた際、投資信託も大幅な値下がりを見せました。

また、大手の金融機関や証券会社で販売されている投資信託に投資をしていても、必ずしも利益が出るとは限りません。2018年11月の金融庁の発表によると、投資信託を利用した人の46%に損失が発生しています。

このように、投資信託は市況や運用会社の手腕、手数料次第で保有期間中に損失が発生する可能性があります。

一般的によく知られた銀行や証券会社の投資信託でも、投資家が損失を被っているケースは見られます。さらに、損失が発生していても運用手数料がかかることから、市況変動のリスクは高いと言えるでしょう。

4-2.売買のタイミングを見極める必要がある

投資信託は、運用中にも「いつ売るか」を判断するために投資信託に関連する投資テーマや経済事情をリアルタイムで情報収集する必要があります。

運用中に売却などの判断が必要ないソーシャルレンディングと比べると、手間がかかるため、「リアルタイムの値動きが気になる」「日中は本業に集中したい」「投資に関する情報収集の時間が取れない」という方にとってはデメリットになるでしょう。

まとめ

今回ご紹介したように、ソーシャルレンディングと投資信託には、それぞれにメリットとデメリットがあります。

ソーシャルレンディングにおける投資家の利益の源泉は、貸付金利です。金利は変動せず、また運用資金に対する手数料も取られないため、期待収益が変動するリスクは低いと言えます。

しかし、事業者リスクが無視できないほど高く、安心して投資できるソーシャルレンディング会社を自分の目で見定めなければいけません。また、現時点で問題を起こしていない会社であっても、これから先何かしらの問題を起こす可能性もあります。

投資信託はソーシャルレンディングに比べて歴史が長い投資手法だけに、信頼できる運営元を選びやすいと言えます。事業者リスクはソーシャルレンディングよりも低く、また税制面でも整備がされています。

しかし、手数料などの問題により、現在は半数に近い投資家の方が保有期間中に損失を出しているという金融庁による調査結果もあります。

それぞれの特性を踏まえ、運用中の手間を抑えながら、インカムゲインを狙うならソーシャルレンディング、運用中の情報収集の手間を厭わない方や必要に応じて解約や換金を柔軟に行いたい方であれば、投資信託を選ぶといったように、運用の目的やご自身の状況に応じて賢く使い分けをされていくと良いでしょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

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