シュローダーIM、アジアの不動産クレジットにおけるESGへの取り組みをレポート

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シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社は10月29日公表した2021年第3四半期のサステナブル・インベストメント・レポートの一部として、アジアの不動産クレジットにおけるESG(環境・社会・企業統治)への取り組みについて紹介している。現在、アジアのクレジット市場では、特に信用リスクの高い市場を中心に、不動産セクターが大部分を占めている。アジアの米ドル建て投資適格社債市場では、2000年8月の時点では指数に占める不動産の比率は3%弱だったのが、現在は9%近くまで上昇。一方、ハイ・イールド社債市場では、00年当時にはなかった不動産の占める割合が50%を超えている。

格付けがBB以下のハイ・イールド企業は規模が小さい割に負債が多く、場合によってはガバナンスの水準が低いことがある。「中国恒大集団のケースはこの問題を明確に示している」と同社は指摘。中国恒大集団は多額の負債を抱え、過去1年間は資金繰りに苦しみ、資産を売却して支払い能力を維持していたと見られる。一方、中国当局は昨年「3つのレッドライン」と呼ばれる不動産融資規制を導入、不動産会社に許される負債のレベルに事実上の上限を設けた。「アジアの社債投資家はこのセクターを無視することはできないが、慎重なアプローチが必要」と同社。「不動産業界ではESGレポーティングや情報において透明性と標準化が不足している。徹底した効果的な分析を行い、より多くの情報に基づいた投資判断を行うために対処すべき」と注意を喚起しつつ、自社の方針も改めて述べた。

このセクターには数多くの重要なESG要素がある。建物のエネルギー効率の向上は、より環境に優しい経済への移行のトレンドとして急速に浮上。安全性は、建設作業員へのリスクおよび建築規制や基準の観点から、監視・測定すべき重要な要素だが、多くの不動産会社のESGレポートには定量的な内容が含まれておらず、また、報告されていてもその範囲は様々だ。要求事項がないことが理由にあり、要求事項がある場合でも、香港に上場している企業やグローバル・レポーティング・イニシアティブ(GRI)に準拠していると主張する企業のレポーティングについて、同社は疑念を示している。

同社は、より標準化された定量的なデータを得ることを目的に、ESG課題について不動産会社50社を対象にアンケートを実施。「手頃な価格の住宅(アフォーダブル・ハウジング)を何戸建設し、今後も建設する予定か」「あなたの地域では、公共事業や公共交通機関のサービスは人口の何パーセントをカバーしているか」「この地域の融資平台(LGFV)を紹介してください。これらのLGFVは、政府の位置付の観点からはどのような違いがありますか」「あなたのポートフォリオには、グリーンビルディング、グリーンユーティリティ、グリーンプロジェクトはありますか」――。こうした質問は、企業がプロセスを開発するのを支援するための方法でもある。これを踏まえて、昨年、シュローダーはアジアの360社に対して430件以上のエンゲージメントを実施。これはシュローダーの年間のエンゲージメント総数の20%にあたる。

当初は5〜10社程度の回答しか得られなかったが、企業との1対1の対話でアンケートの目的を詳しく説明したところ、約20社から回答が得られた。中でも、企業や国が発行する債券の一種で、調達した資金を環境に配慮したプロジェクトや目的に特化して使用するグリーンボンド(GB)について、情報を提供し、企業に発行の検討を促すことができたのは「明確な成果」(同社)と評価する。なお、中国の不動産デベロッパーによるGBの発行額は20年の約30億ドルから21年には60億ドルにほぼ倍増。また、発行体の数も20年の7から2021年には16に増加している。

調査後、ほぼすべての企業が年次のサステナブルレポートを発行しているか、または発行を予定しており、ESGフレームワークや目標の開発に取り組んでいることを確認した。回答によると、安全性に関するデータについては、1社を除くすべての企業がデータを収集していることがわかった。環境に関するデータについては、2社を除くすべての企業がデータを収集していると回答したが、一方でほとんどの企業で報告された調査データの質が低いこともわかった。同社は今後、少なくとも年1〜2回の頻度で調査を実施し、各社の進捗状況を把握していく予定だ。

【関連サイト】シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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