農林中央金庫と野村不動産ホールディングス株式会社は3月31日、サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)による金銭消費貸借契約を締結したと発表した。SLLとは、借り手が野心的なサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を達成することを奨励するローン。具体的には、借り手の包括的な社会的責任に係る戦略で掲げられたサステナビリティ目標とSPTsとの関係が整理され、適切なSPTsを事前に設定してサステナビリティの改善度合を測定し、それらに関する融資後のレポーティングを通じ透明性が確保されたローン。
野村不動産HDは、持続可能な社会の発展に貢献するための資金調達を目的に、2026年3月期までに、サステナブル・ファイナンスにより、総額2000億円の資金調達を実施することを目標に掲げる。実施に向け、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みを一層強化し、地球温暖化などの気候変動に伴う諸課題、人権・労働問題などの社会課題、ガバナンス体制の充実・強化などを推進する。
21年7月に国内初となる「包括型SLLフレームワーク」を制定。以降、同フレームワークに基づくSLL調達を継続して実施しており、今回のSLLも同様のフレームワークを適用する。
サステナビリティ推進体系として「安心・安全」「環境」「コミュニティ」「健康・快適」の4つの重点テーマを掲げており、このうち環境における「気候変動」は、同社グループの事業継続に大きな影響を及ぼす重要な経営課題と位置付ける。対応として、国際的イニシアチブ「Science Based Targets(SBT)」 の認定取得に際し、温室効果ガス排出総量を削減する中長期目標を定めている。同フレームワークでは、この中長期目標を SPTs として設定し、30 年までに削減目標を達成することで金利優遇が受けられる仕組みとした。
農林中央金庫は21年5月に公表した中長期目標で、30年までにサステナブル・ファイナンスの新規実行10兆円を掲げるなど、サステナブル経営の実践を目指す。野村不動産HDのサステナビリティ経営にかかる長期ビジョンの理念に共感し、SLLによる資金供給を通じ、環境・社会課題のうち当金庫の基盤となる農林水産業との関連が大きい気候変動問題の解決に貢献するものと評価し、締結に至った。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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