CBREが「CBRE 投資家意識調査2020年」の調査後、新型コロナウイルスの影響に限定して3月下旬に行った別調査で「不動産取引に影響があった」という回答は4割に上った。海外投資家が現地視察できないことや、国内でもより多くの投資家が様子見姿勢に転じていることで、延期や中止が増加している実態がうかがえる。また、入国制限や外出自粛の影響を直接受けている店舗やホテルなど、アセットタイプによって投資家は慎重姿勢を強めていると考えられる。
投資家意識調査では、日本を投資対象とする投資家のほぼすべてが新型コロナウイルス対策のため中国・武漢市が封鎖された20年1月23日より前に回答した。このため、CBREはウィルスによる影響を把握しようと3月下旬に急遽、日本の投資家に対して新たにアンケート調査を実施した。回答数は95。投資業務への影響について、41%の投資家が「影響があった」と回答。そのうちの半分以上が「取引が中止・延期された」と回答し、さらにその75%が、取引が延期された際の期間については「目途は立っていない」としている。投資方針への影響は限定的ながら、判断が難しい状況に置かれている。
しかし、20年の投資方針への影響については、ウィルス流行前に比べて「変わらない」という回答が62%を占めた。一方、「取得額を減額する」と回答した投資家は17%、「影響はわからない」は21%だった。また、投資対象物件で新型コロナウィルス感染者が判明した場合、「適切な対応をとれば取引に問題ない」とする投資家が53%いたが「わからない」という回答も34%を占めた。
新型コロナウィルスによる影響で最もマイナスの影響が小さいとみられるアセットタイプとして投資家の57%が物流施設を、30%が住宅を選択した。マイナスの影響が大きいとみられるアセットタイプはホテルが最も多く、回答率は98%だった。結果について、同社は「前年に見られた取引の勢いは第2四半期で失速、20年の投資額は抑制される可能性がある」とした。
その一方で「今後も中長期的な投資を目的とする投資家の意欲に大きな変化はない」との見方を据え置いた。不動産への投資資金が今のところ潤沢で、日銀が発表した3月の全国企業短期経済観測調査では金融機関の貸出態度に大きな変化は見られないことなどが理由だ。ただし、投資の傾向について「投資家が選別姿勢を強め、収益の安定性をより重視することでコロナの影響を比較的受けにくいとみられる物流施設や住宅、データセンターへの投資意欲がこれまで以上に高まる」と予測している。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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