2018年第3四半期の事業用不動産投資額、世界2540億ドルで前年増、日本は減少

不動産情報サービス大手のCBRE(日本本社・東京都千代田区丸の内)は15日、2018年第3四半期(Q3)の投資市場動向と第61回「不動産投資に関するアンケートー期待利回り」の最新調査結果を発表した。

世界の事業用不動産投資額は2,540億ドル(約28兆円)で対前年同期比1.2%増だったのに対し日本での投資額は5920億円で対前年同期比25%減と2ケタ低下となった地方都市のオフィスの期待利回りは3都市で調査開始の2003年7月以来の最低値を更新した。

東京の事業用不動産投資の期待利回り*CBRE「第61回「不動産投資に関するアンケートー期待利回り」の最新調査結果」資料より

世界の事業用不動産投資額の増加は、米国における複数の大型企業買収が投資額増加の主因と見られる。地域別では米州が同13%増の1500億ドル、欧州・中東・アフリカ(EMEA)は同6%減の805億ドル、アジア太平洋地域(APAC)は同29%減の240億ドルだった。世界の投資額が増加したのは米国での複数の企業買収が主因とみられる。米国の投資額は前年同期比17%増加、世界の全投資額の半分以上を占めた。

対してAPACでは、中国の投資家を中心に貿易摩擦に対する懸念が高まったことが投資額を引き下げた。日本ではJ-REITによる投資額は3250億円と同14%増加した一方、その他の国内投資家や海外投資家の投資額は前年同期を下回っている。投資額は「その他国内投資家」が同40%減の1560億円、海外投資家が同54%減の1110億円。海外投資家による大型取引が昨年に比べ少なかった。

しかし、調査は同時期に実施した「不動産投資に関するアンケート」の結果から「投資家の高い投資意欲に大きな変化は見られない」とする。大型の案件で特に規模が大きかったのは海外投資家によるもので、近畿圏の大型物流施設などが取り引きされた。

日本での事業用不動産投資の取引事例*同調査結果より

大阪、名古屋を含む地方都市の投資額は対前年同期比28%増の2920億円で全投資額に占める割合は51%と、四半期ベースとしては2005年の調査開始以来の最高値となった。地方都市のなかでも近畿圏の投資額が特に大きく伸びた。近畿圏全体の投資額は前年同期比74%増の2180億円、大阪の投資額は1060億円で同67%増加するなど、引き続き活発な動きを見せた。

期待利回りの調査は四半期ごとに実施。今回は9月19日~10月17日に139人、136社から回答を得た。回収率は83.2%(社数回収率82.9%)だった。東京の期待利回りは、オフィス(大手町)と商業施設(銀座中央通り)が低下、調査開始以来の最低値を更新。その他のアセットタイプは横ばいだった。東京以外の都市のオフィス期待利回りは、仙台、名古屋、大阪、福岡で低下、うち大阪を除く3都市が調査開始以来の最低値を更新した。

一方、物流施設(首都圏、マルチテナント型)の「6カ月前と比べた最近(回答時点)」のDIでは「空室率」と「期待利回り」が改善、「賃料」は横ばい、残りの4項目は悪化した。DIの悪化幅がもっとも大きかったのは「売買取引価格」(対前期比-9ポイント)で、「上昇」の回答率が減少し、「変わらない」の回答率が増加した。

一方、「空室率」(同+4ポイント)は2期連続で改善。「上昇」の回答率が減少し、「変わらない」の回答率が増加。物流施設に対するテナントの需要は底堅く、「新規供給によるマーケット悪化の懸念が後退したことがDI改善の背景にある」と見る。

こうした動向から、CBRE短観は「今期のオフィス、物流施設の両マーケットともに大きな変化は見られず、資金調達環境は良好で、投資家の投資意欲も高い状況が続く」としている。

日本における第3四半期までの事業用不動産累計投資額は2.19兆円で、対前年同期比18%減と低下。オフィスや住宅など、前年に散見された300億円を超える大型取引の件数が前年同期より3割減少していることによる。短観は「レンダーが慎重姿勢をやや強める一方で、売主の高い価格目線は変わらない」との見方だ。ただし、取引成立に時間を要する傾向が続くとみられ、18年通年の投資額も前年の4.1兆円を下回ると推測する。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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