全国的に空室率上昇、賃料の下落傾向が進む。CBREのジャパンオフィスマーケットビュー2020年第4四半期

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CBREグループの日本法人であるシービーアールイー株式会社は1月27日、「ジャパンオフィスマーケットビュー2020年第4四半期(Q4)」で、定点観測している全国13都市オフィスビル市場動向を発表した。東京のオールグレード空室率は対前期比+0.6ポイントの1.5%で3期連続の上昇。グレードAの空室率は対前期比+0.3ポイントの1.2%と、2期連続の上昇。オールグレード賃料は対前期比-1.7%の2万2870円/坪、グレードA賃料も対前期比-2.7%の3万7650円/坪と、どちらも3期連続の下落となった。

CBRE「ジャパンオフィスマーケットビュー2020年第4四半期(Q4)」グレードA 想定成約賃料

大阪のグレードA空室率は対前期比+0.4ポイントの1.0%と、2期連続の上昇。グレードA賃料は対前期比-0.2%の2万6400円/坪と、2期ぶりの下落となった。名古屋ではグレードA空室率は対前期比+0.3ポイントの1.3%と3期ぶりの上昇。グレードA賃料は対前期比-0.2%の2万8050円/坪と、3期連続の下落。コロナ禍で全国的に空室率上昇、賃料の下落傾向が進んでいる。

東京では、今期(Q4)のオールグレード空室率は対前期⽐0.6ポイント上昇の1.5%となった。昨年の⼤量供給に伴い、移転元で発⽣した解約区画がテナント決定に時間を要し、まとまった⼆次空室が顕在化した。また、前期に続き、オフィス⾯積の⾒直しや、業績低迷を背景とした部分解約や縮⼩移転の動きが多く⾒られた。⼀部では会社統合や建て替えに伴う移転で空室が消化されたケースも⾒られたが、需要は総じて弱含みが続いている。

政府は1都3県を対象とした緊急事態宣⾔を1⽉7⽇に再発令。13⽇には中部、近畿の7府県にも拡大した。前回に⽐べて措置は限定的ながら、⾃粛要請に伴う内覧や契約の遅延などが⼀部で発⽣する可能性がある。賃料は全グレードで前期から下落。中でも、グレード Aは同-2.7%と最も下落幅が⼤きい。Q2以降、コロナ禍に起因した縮⼩・解約の動きは、中⼩規模のビルで⽐較的多く⾒られていた。今期はこの動きが⼤型ビルでも徐々に増加。これを背景に、グレードAビルで募集賃料を引き下げるケースが多く⾒られた。同社は「今後、需給の緩和とともにテナント誘致のための賃料の値下げ傾向はさらに強まる」と見ており、グレードA賃料は、今後1年間で7.7%の下落を予想する。

地⽅都市(札幌・仙台・さいたま・横浜・⾦沢・京都・神⼾・⾼松・広島・福岡)で空室消化ペースは鈍化。今期(Q4)、オールグレード空室率は10都市中、札幌以外の9都市で上昇した。⼤型区画に対するニーズは引き続き多くの都市で停滞している。ただし、札幌や横浜、福岡といった市場規模の⼤きい都市では、こうしたニーズは回復しつつあり、特にコールセンターからは引き続き堅調なニーズがみられた。一方、業績悪化に伴い設備投資を⼿控える企業や、未だ新しい働き⽅を模索中の企業は多くみられる。このため、ほとんどの都市で、コロナ禍以前に⽐べ、テナント決定までに時間を要するケースが増えている。また、全国に拠点を展開する⼤企業の⼀部では、地⽅都市拠点の⾒直しに着⼿し始めている。今期、いくつかの都市では、同じ都市内で拠点を集約し総⾯積を縮⼩させる動きがみられた。同社は、今後も空室率の上昇傾向と賃料の緩やかな下落傾向が続くという見方を示している。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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