ESG不動産投資に積極的なのはJ-REITと不動産ファンド、CBREが日本の投資家に意識調査

事業用総合不動産サービスのシービーアールイー株式会社(CBRE)は2月26日発表した「日本投資家意識調査2022」で、「日本の投資家の投資意欲は非常に高く、今年の投資市場では流動性が高まる可能性がある」としている。22年の取得額が「昨年より増加する見込み」と回答した日本の投資家の割合は54%で、1年前の調査結果に比べて10ポイント増加。売却についても「昨年より増加」と回答した投資家の比率が上昇しており、21年の取引額が前年を上回ることを示唆した。

調査の主なポイントは①日本の投資家は引き続き「コア」を選好。一方で、より高い利回りを求めて「バリューアッド」を選ぶ投資家も増加②オフィス賃貸需要の見通しについての投資家の見方が改善。日本の投資家はオフィスを再びもっとも魅力的な投資対象に選んだ③オルタナティブ投資に積極的な日本の投資家が増加。データセンターや冷凍・冷蔵倉庫に対する意欲が高まっている④アジア太平洋地域の魅力的な都市、東京が3年連続で1位⑤日本の投資家のESG(環境・社会・企業統治)投資に対する意識はさらに高まる。採用に積極的なのはJ-REITと不動産ファンド――となった。

調査は21年11月から12月にかけ、世界の投資家に22年の投資方針を質問した。同レポートは調査結果の中から日本の投資家およびインバウンド投資家173名の回答結果をまとめたもの。

21年の投資額は3兆8410億円で、対前年比6%減少した。前年20年に500億円を超える大型取引が比較的多かったことの反動減が主因。しかし、コロナ禍前の18年ならびに19年を上回る規模だった。500億円未満の取引の総投資額は対前年比18%増加している。アセットタイプ別にみると、オフィスの投資額が1兆7270億円と対前年比11%増加した一方で、物流施設は8,990億円と同13%減少した。500億円未満の取引でも、オフィスが前年比53%増加した一方、物流施設は24%減少した。

2022年の取得額が「昨年より増加する」と回答した日本の投資家の割合は54%で、2020年12月に実施した前回の調査結果に比べて10ポイント増加。これは2015年12月以降に実施された7回の調査の中で最も高い割合となった。同社は「経済正常化への期待の高まりとともに、投資家の意欲もさらに高まっている。さらに、取得意欲だけでなく売却意欲も昨年より高まっていることは22年の売買市場では流動性がさらに高まることを示唆している」と分析。22年の投資額は21年を10%程度上回ると予想している。

22年の不動産投資において懸念されるリスク要因として、投資家の70%が「取得競争の激化で価格が想定以上に高くなること」を選択。「経済環境の不透明感」(47%)よりも価格の高騰で物件取得が困難になることを、より深刻なリスクとして捉えている。しかし、物流施設については、投資家の関心がさらに高まることで、価格はさらに上昇する可能性がある。

ESG投資については、ESGポリシーを投資基準として採用している投資家の割合は29%前回調査より9ポイント上昇。「採用を検討中」の回答率は49%で、同21ポイント上昇した。さらに、当設問への回答率も前回の74%から98%に上昇したことを踏まえると、ESG投資に対する日本の投資家の意識は明らかに高まっており、採用に向けた動きが本格化しているといえる。

採用もしくは採用を検討している割合を投資家タイプ別で見ると、JREIT、不動産ファンド、デベロッパーの順番で高く、それぞれ90%、89%、78%となった。特にJ-REITは、前回から+43ポイントともっとも増加幅が大きかった。

ESG投資を採用、または採用予定である投資家に、理由として主なものを3つ選択してもらったところ、「企業ブランドイメージの向上、もしくは環境認証の取得」が61%と最も高かった。「株主の要求に応える」(45%)も3番目に高い回答率だったことから、企業評価を高めることが投資家のインセンティブとなっているようだ。

ESG投資の実践方法では、物件の環境認証を取得することが中心となる可能性が高い。本調査で実践方法について質問したところ、「(GRESBなどの)外部機関から物件取得の評価を取得する」が69%ともっとも高く、次いで「既存物件を改修して環境認証を取得する」が47%となった。

とはいえ、「ESGポリシーを満たす物件には高い価格を支払う」と回答した投資家はいまだ1割程度。資金調達に関しては、ESG投資を採用または採用予定の投資家のうち「グリーンファイナンスに参画する」という回答は全体の35%。一方で、アジア太平洋地域の全投資家を対象とした場合は40%と、日本の投資家の回答結果より高かった。CBREは「日本では未だグリーンファイナンスの認知度が低いことや、その仕組みが投資家のニーズにマッチしていない」と指摘している。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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