回復期に入った中国、感染拡大が依然深刻な欧州…今後の有望な投資分野は?アクサIMレポート

アクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社は5月7日付で「新型コロナウイルスのマクロ経済および運用戦略への影響に関するアップデート」を公表した。新型コロナウイルスの影響に関する顧客向け電話会議の内容を要約したもので、今年3月26日以降、毎週更新している。今回は「アジア特集」として、「回復期」に入った中国の動向と、感染拡大が依然として深刻な欧州の状況を対比しながら、現状に関する見解と今後の見通し、投資機会について説明している。

アクサ・グループ・チーフ・エコノミストのジル・モエック氏は「ユーロ圏ではロックダウン(都市封鎖)緩和に向け強力な政治行動が叫ばれているが、ECB(欧州中央銀行)のPSPP(公的部門証券買い入れプログラム)に対して、GCC(ドイツ連邦憲法裁判所)の判断が立ちはだかっている」と指摘する。GCCの判断とは、ECBは(各国のECBに対する)「比率原則」を順守しておらず、欧州条約で定められた権限を超えており、3カ月以内にその立場を正当化できなければドイツ連邦銀行のPSPPへの参加を差し止めるというものだ。モエック氏は「欧州の団結が試されている状況下、GCCの判断に関する政治的なメッセージは良くない」と懸念を示す。

さらに、「財政の相互化は政治的に厄介な議論であり、4月23日の欧州首脳会議でも合意に至らず、回復基金に関しても具体的なことは浮上していない。これはパンデミックによって起きた経済ショックの2次的な影響の一例で、今年後半の回復を減速させる可能性がある。もう一つの例は、多くの新興国で発生しつつある経済危機であり、トルコやブラジルといった主な新興国は為替市場で引き続き厳しい状況に置かれている」と、新興国の危機と、浮上している米中間の緊張再燃にも言及した。

その中国について、アクサIM アジア新興国担当シニアエコノミストのエイダン・ヤオ氏は「中国のパンデミック克服は3段階の経済発展がある」とする。第1段階(景気の落ち込み)は、感染の急拡大と封じ込めのための中央政府による厳格な措置によって引き起こされた経済の混乱だ。中国の今年第1四半期の実質GDP(国内総生産)は前年同期比6.8%減と記録的な落ち込みとなり、19年第3四半期の6%増からは約13パーセントポイントのダウンと、世界金融危機時の落ち込み幅の3倍となった。

2月半ばまでに危機的状況は収束し、ロックダウンの漸進的な解除によって第2段階の『正常化』に入った。しかし「正常化のプロセスはセクターで異なり、大企業、国営企業、資本財企業の事業再開は早く、中小企業、私企業、労働集約型企業はかなり遅れた」(ヤオ氏)。そして、第3段階となる現状については「供給ショックはほぼ消滅したが、需要不足のため経済は通常の成長軌道にまだ戻っていない」と評価した。「中国経済の動向は世界の需要および国内需要に依存している。現時点では世界経済は深刻な景気後退の危機に瀕しており、中国の景気回復は消費者の警戒心の高まりと労働市場の悪化によって抑制されている。第2四半期の成長率はよくて横ばい、世界経済が通常に戻り、中国の国内刺激策が追加されれば第3四半期の成長率は緩やかな上昇に転じる」と条件付きでの回復を予測した。

アクアIM アジア・インベストメント・スペシャリストのナタリア・ミュー氏は「当社はアジア株に関して、全般的に前向きの見方を維持している」とする。「パンデミックはアジア地域の成長に著しいショックを与えたが、構造的な成長ドライバーに変わりはない。長期的には有利な人口動態、工業化、都市化、中間層の台頭に牽引され、アジアの国々は高い成長を維持する」という見方に立つ。足元の景気回復については「回復の持続力は、国内政策および対外リスクに依存するだろう。中国市場の上振れ要素としては、成長を押し上げるための大規模な金融および財政政策の余地があり、また、企業が必要に応じて直接的な支援を得られるか」が課題とした。

需要面では、航空貨物、食品、eコマース産業が先行して回復の動きをみせる。ミュー氏は「持続可能なビジネスモデルを有するクオリティの高い企業が新型コロナ危機を乗り切るだけでなく、業界再編で強力な地位を築くと考えられる。当社はヘルスケア、eコマース、インターネット、小売りの各分野における投資好機を引き続き選好する」と話す。具体的な企業名としてアリババ、テンセント、ネットイースが含まれ、また調味料メーカーの仏山市海天(フォーシャン・ハイティエン)やヘルスケア企業の華蘭生物工程(ホウラン・バイオロジカル)を挙げた。

【関連サイト】アクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社

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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム

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