中古不動産投資において大きな失敗をしないためには、建物と土地の両方の資産価値が高い物件、または中古であることから生じうるリスクが小さい物件を選ぶことが重要なポイントとなります。
しかし、販売資料などの机上の書類だけでは、建物の劣化状況や周辺環境の細かな部分に気づけない可能性があります。そのため、現地調査や内見を行い、自身でもしっかりと確認することが大切です。
本記事では、中古不動産投資物件を購入する際、現地調査や内見でチェックしたいポイントについて解説します。
目次
- 中古不動産投資における現地調査・内見の重要性
- 周辺環境の調査ポイント
2-1.交通機関・生活施設へのアクセス
2-2.嫌悪施設の有無・治安状況 - 土地の状況の調査ポイント
3-1.道路状況
3-2.土地の形状
3-3.境界状況 - 建物の状況の調査ポイント
4-1.外観の状況
4-2.室内の状況 - 中古不動産を販売する不動産会社の選び方
- まとめ
1.中古不動産投資における現地調査・内見の重要性
不動産投資では、投資家自身が居住しないことや、優良物件は競争相手が多いことなどから、現地調査や内見をせずに机上の書類だけで購入を判断することも少なくありません。
しかし、中古不動産投資では、中古であることのリスクに加え、売主が個人であることが多く、物件について十分な情報が揃っていない場合もあります。
机上の書類で割安の優良物件と判断できたとしても、割安であることの理由がある可能性があります。建物の実際の劣化状況や入居者の属性など、現地で調査をしないと分からない情報も数多くあるため、出来るだけ事前の現地調査を行うことを検討しておきましょう。
2.周辺環境の調査ポイント
中古不動産投資では、経年劣化によって建物の価値が低下しているため、賃貸需要、資産価値の観点から周辺環境をチェックすることがより重要になります。
以下では、周辺環境の調査ポイントとして、交通機関・生活施設へのアクセスといったプラス面と、嫌悪施設の有無・治安状況といったマイナス面に分けて説明します。
2-1.交通機関・生活施設へのアクセス
最寄駅や最寄りのバス停までのアクセスは、販売資料などに記載されていても道路状況によって変化することがあります。可能な距離であれば実際に歩いてみるなど、入居者目線での利便性を検証してみましょう。
また、生活施設・公共施設へのアクセスも重要です。スーパーやコンビニ、ドラッグストア、などの生活施設に近いこともプラスになります。商業店舗は移転する可能性も高いので、学校や銀行、公園など移転しにくい公共施設へのアクセスも調査しておきたいといえます。
賃貸需要の観点からは、工場や大学などの賃貸需要を構成すると考えられる施設があるかどうかもチェックするとよいでしょう。賃貸需要については、地元の賃貸不動産業者に直接ヒアリングするのも有効です。
2-2.嫌悪施設の有無・治安状況
周辺環境にマイナスの影響を与える嫌悪施設がないかどうかも調べておきましょう。例えば、近隣に墓地霊園や火葬場、ゴミ処理場などがあると、環境面からはマイナスとなる可能性があります。
また、治安状況について、近隣に風俗店やスナック、空き家やゴミ屋敷などがあると悪影響が出るおそれがあります。実際に周辺を歩いてみることで、入居者が周辺地域の治安状況についてどのような印象を持つか、肌で感じてみることも大切です。
3.土地の状況の調査ポイント
不動産は経年劣化によって全体の資産価格に占める土地の価格割合が徐々に大きくなる資産です。そのため、その土地が将来的にも売却しやすく資産価値があるかどうか、という観点から、土地の状況を確認することも重要です。
以下では、土地の状況の調査ポイントを、道路状況、土地の形状、境界状況の3つの側面から解説します。
3-1.前面道路の状況
不動産の土地の状況を確認する上で「建築基準法上の道路に2メートル接するという条件を満たしている敷地であるかどうか」、という点は非常に重要なポイントです。これを満たす敷地でない場合、原則的に建物の再建築ができない土地となり、資産価値面から問題のある土地になります。
不動産仲介業者が確認しているポイントですが、旗竿地などでは接道幅が2メートルぎりぎりというケースもあり、自分でも現地を見てしっかりとチェックしておきましょう。
また、敷地が接している道路の幅についても確認しておきたいポイントです。幅員4メートル未満の道路の場合、将来の再建築時に中心線から2メートルの幅を確保できるよう、敷地を道路に提供(セットバック)しなければなりません。
このセットバック部分につき、実質的には敷地面積が狭いことになり、その分の資産価値が落ちるといえます。
さらに、道路の種類が私道であり道路の持分を持っていないなどの場合は、ライフラインを道路から敷地に引き入れる際に、私道所有者に掘削の承諾を得なければならないことがあります。仲介業者を通して登記簿謄本を確認するなど、注意しておきましょう。
3-2.土地の形状
土地の形状も、現地調査で確認したい事項といえます。土地の平面的な形状は、公図などの書類から分かりますが、立体的な形状は現地でないと分からないことがあります。
敷地のなかや隣地との間に高低差があると、建築費が嵩むことがあるので、チェックしたいポイントといえます。
3-3.境界状況
敷地の境界状況も、土地について問題となりやすい事項であるため、現地で調査しておきたいポイントです。境界石の有無を確認し、明確に境界が確定しているか確認しておくことが大切です。
確定測量が行われ、境界標が埋まっている場合は、隣地との間に越境物がないかどうか確認しておきましょう。越境物があると、その取扱いを巡って隣地とトラブルに発展する可能性があります。
確定測量を行わない場合には、隣地との間に境界について紛争がないかどうか、仲介業者を通してヒアリングするなどして確認しておくとよいでしょう。
4.建物の状況の調査ポイント
中古不動産投資では、経年劣化がある建物を購入することになります。そこで、建物の現地調査では、目視で分かる範囲で経年劣化の度合いをチェックします。また、賃貸需要の観点から、入居者目線で建物の全体的な印象を把握することも大切です。
室内については、建物に重大な問題があるかどうか、リフォーム費用がどれぐらいかかるかという観点から調査を行うとよいでしょう。
4-1.外観の状況
建物の経年劣化の度合いについて、基礎や外壁の剥がれ、ひび割れ、タイルの浮き沈み、水染みなどがないかどうかをチェックします。
特に、基礎に大きな剥がれやひび割れがあると、建物の耐震性や強度に問題が生じている可能性もあります。大きな水染みがある場合も、内部に雨水が侵入して劣化が進んでいる可能性があり、注意する必要があるといえます。
このような問題があると、修繕には多額の費用がかかることが予想されます。該当する劣化を発見した場合は、購入前に専門家によるインスペクションを依頼するなどの対策を講じた方がよいでしょう。
賃貸需要の観点から、共用部などを含めた建物外観の清潔感も重要です。共用部やエントランスに入居者の私物やゴミなどがないか、陽当たりは充分か、などをチェックしましょう。
4-2.室内の状況
室内については、まず、雨漏りと床の傾きをチェックしましょう。もしこれらがあると、建物の構造に問題が生じている可能性があり、修繕費用が大きくなることが予想されます。臭気についても、排水設備に問題があるかどうかを知るために、調査したいポイントといえます。
リフォーム費用の観点からは、コストが嵩みやすいシステムキッチンやユニットバスの状態をチェックしましょう。傷みがひどかったり、清潔感に欠けたりするような状態であれば、交換することになり、一部屋につき数十万円のコストがかかることになります。
5.中古不動産を販売する不動産会社の選び方
中古不動産は新築物件と比較して、売主と買主双方にリスクの大きい取引となります。そのため、利回りや家賃相場など机上のデータだけでなく、紹介物件の事前調査を徹底している不動産会社を選ぶことが重要です。
例えば、中古マンション販売を手掛ける「プロパティエージェント株式会社」では、資産性・収益性・移動率の3軸から定量的に評価するスコアリングを用いて、将来にわたって高い資産性を維持できる物件を厳選し仕入れています。
また、建物管理事業を備えているため、中古マンション投資のリスクの一つである購入後のコストについても、当該物件の将来にわたり物件の資産性を維持するための必要なコストを見通すことが可能です。
中古不動産投資では、現地調査では見抜けない隠れた欠陥が購入後に見つかることも少なくありません。紹介物件の事前調査を徹底している不動産会社を選ぶなど、販売元の不動産会社選びも慎重に行いましょう。
まとめ
中古不動産投資の現地調査や内見でチェックしたい主なポイントとして、資産価値の観点から、周辺環境の利便性や土地の状況、建物の重大な問題の有無、経年劣化状況、という部分をご紹介しました。
特に、土地の状況について、接道に関する状況は資産価値に大きな影響を与えかねないため、現地調査においても重点をおき、確認しておきましょう。
また、資産価値のみならず、賃貸需要の観点から入居者に与える印象にも配慮することが大切です。建物の状況については、室内のリフォーム費用を見積もることも忘れないようにしましょう。
佐藤 永一郎
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