未登記の不動産を売却する方法は?手順やポイントを詳しく解説

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未登記の不動産は正当な所有者であることを証明することが出来ないため、原則として未登記のまま売却することができません。売却予定の不動産が未登記であることが発覚したら、まずは登記によって所有者を明確にし、その後に売却活動を行う必要があります。

本記事では登記情報の確認方法と登記事項証明書(登記簿)の見方、未登記の不動産を売却する手順、未登記不動産を売却する際の注意点をお伝えしていきます。

目次

  1. 未登記の不動産を売却する手順
    2-1.土地又は建物の表題登記を行う
    2-2.所有権保存登記を行う
    2-3.登記完了後、不動産の売却活動を行う
  2. 未登記の建物を解体して登記済の土地を売却する方法
  3. 未登記の不動産を売却する際の注意点
  4. まとめ

1.不動産登記の確認方法と登記簿の見方

不動産登記法第47条では取得して一ヶ月以内に建物の表題登記が義務付けられており、土地の表題登記も同法第36条に「取得の日から一月以内に表題登記を申請しなければならない。」と記されており、登記を行っていない場合には10万円の過料(制裁としての金銭)を支払うという記載があります。

登記情報は法務局で取得できる、登記事項証明書(登記簿)により確認が可能です。表題登記とは登記事項証明書(下図参照)の「表題部」を指し、建物・土地の所在地や番号(家屋番号もしくは地番)・面積・構造などの基本情報が記載されています。

登記済みの不動産は、権利部(甲区)に所有権保存(変更があった場合は変更)の記載があり、ローンを組んでいる場合には権利部(乙区)に抵当権設定と債権額・利息などの詳細が記されています。

登記事項証明書(見本)

登記事項証明書(見本)

※画像引用:法務省「登記簿(見本)

建物を解体して土地を売却するケースでは建物の登記は必要ありませんが、「未登記の建物付きで売却したい」という方は登記を行ってから売却する必要があります。登記を行うことで法的に正式な所有者となる、第三者に所有権を主張することができるようになりますので、売却の前に登記を行うことになります。

2.未登記の不動産を売却する手順

土地と建物は別々に登記され、1筆の土地(もしくは1個の建物)ごとに表題部と権利部に区分して登記を行います。基本的に表題登記は土地家屋調査士、所有権保存登記は司法書士に代行を依頼し、登記完了後に売却活動ができます。

  • 土地又は建物の表題登記を行う
  • 所有権保存登記を行う
  • 売却活動を行う

2-1.土地又は建物の表題登記を行う

未登記の状態である不動産に登記事項証明書の表題部の登記を行います。表題登記は後に行う、所有権保存登記の前提となるものです。土地・建物共に土地家屋調査士に依頼し、必要に応じて調査を行った上で表題登記の申請を行います。

日本土地家屋調査士会連合会が2016年に発表した「土地家屋調査士報酬ガイド」によると、建物表題登記の費用は床面積や構造によって異なりますが、約8~17万円程度となります。

土地の表題登記は5~10万円がボリュームゾーンとなりますが、面積・エリア・状況によって前後する可能性があります。

土地の表題登記

土地の表題登記は、土地家屋調査士に登記を依頼、申請する土地に関する調査が行われます。

例えば相続により得た土地といった取得日が古い土地は、隣地との境界が曖昧であったり、登記事項証明書に記載されている地積と異なるなどの可能性があり、改めて測量を行うケースもあります。

隣地との境界が曖昧である時には、隣接者立会いの元で測量が行われ、土地家屋調査士が法務局に申請手続きを行い、登記に関する書類を受け取り登記が完了します。

建物の表題登記

建物の表題登記には建物図面・各階平面図や建築確認書(検査済証)などの書類が必要となりますが、新築時に貰う書類のため「紛失して手元にない」という方も少なくありません。

見当たらない際には土地家屋調査士に相談して新たに書類作成を行ってもらうか、法務局に書類が無いことを伝え、上申書を提出します。

登記は自身でも行う事が出来ますが、未登記の建物表題登記は手続きが複雑で資料探しに時間や手間がかかることも考えられます。コストがかかりますが、専門家である土地家屋調査士に依頼することも検討されてみると良いでしょう。

2-2.所有権保存登記を行う

次に、建物や土地の所有権を示す、所有権保存登記を行います。表題登記とは異なり、権利部(所有権)の登記は任意ですが、保存登記を行う事で「所有者は自分である」と法的に明示でき、いざという時に権利を主張する事が可能になります。

登記の際には登録免許税がかかり、一定の要件を満たした場合には登録免許税が軽減される措置があります。

自身で行う場合、登記は法務局に持参・郵送・オンラインのいずれかの方法により申請ができます。必要書類は下記の3点です。

  • 申請書
  • 申請者の住民票
  • 固定資産税評価証明書(不動産の所在地にある役所で取得可能)

司法書士に依頼することで登記の手間が省けますが、日本司法書士連合会が行った2018年の「報酬に関するアンケート」によると、おおよそ1万5千円~5万円程度の費用がかかります。

2-3.登記完了後、不動産の売却活動を行う

表題登記・所有権保存登記が完了し、売却活動を開始します。

不動産の売却方法には「仲介」と「買取」という2つの方法があります。不動産会社の仲介により買い手を見つけて売却を行う際は約3~6ヶ月程度の期間を要しますが、買取より高値で売却することが可能です。

不動産会社に直接不動産を買い取ってもらう「買取」は、約1~2ヶ月程度で売却できますが、仲介より売却価格が3割程度下がってしまう傾向にあります。

不動産会社によって査定額が異なる可能性がありますので、一括査定サイトなどを利用し複数の不動産会社に査定を依頼し、査定価格や査定の根拠、不動産会社の対応内容などを比較してみましょう。下記、主な不動産一括査定サイトの一覧です。

主な不動産一括査定サイト

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3.未登記の建物を解体して登記済の土地を売却する方法

未登記の建物を解体して、登記済の土地を売却するケースでは建物を解体した後「建物滅失登記」の申請を法務局に行います。必要書類は以下の通りです。

  • 申請書
  • 建物滅失証明書(解体業者の取り壊し証明書)
  • 解体業者が法人である場合には代表者の登記事項証明書といった資格を証する書面
  • 解体業者の代表者の印鑑証明書

表題登記と同様に土地家屋調査士に代行依頼が可能ですが、書類が揃っており時間に余裕がある方は自身で行う事もできます。なお、建物滅失登記の費用の平均は、日本土地家屋調査士会連合会の「土地家屋調査士報酬ガイド」によると45911円です。

その他、建物を解体する際の注意点は、固定資産税が増額してしまう可能性がある点です。居住用の建物が建っている土地は一定の要件を満たす場合、固定資産税が減免となっています。居住用の宅地でなくなってしまうと、建物を解体した後は固定資産税が増額することとなります。

固定資産税は毎年1月1日時点で算定されるため、年末に建物を解体する予定の方は翌年に固定資産税が上がる事、翌年に解体することで固定資産税が上がらないという点に気を付けましょう。

4.未登記の不動産を売却する際の注意点

未登記の不動産を売却する際、不動産によっては登記費用が売却価格を上回り、赤字になってしまうケースが存在します。相続で未登記の不動産を取得し、上記のように赤字になることが想定されるケースでは、相続放棄という選択肢もあります。

相続放棄は被相続人が亡くなってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てる事で手続きができますが、被相続人の相続財産全てを放棄しなければいけません。被相続人の相続財産がほぼ不動産のみで、登記を行った時赤字となる場合には相続放棄を検討してみるのも良いでしょう。

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なお、不動産会社への売却相談は未登記の状態でも可能です。査定依頼の後、おおよその売却価格と登記費用の差額を確かめ、検討してみましょう。

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まとめ

未登記の不動産を売却する時には、土地・建物の表題登記の後所有権保存登記を行ってから売却活動を行うことになります。未登記の建物を解体し、土地(登記済)を売却する時には建物滅失登記を行っておく必要があります。

この記事を参考に未登記の不動産を売却する方法や手順を知り、今後に活かしていきましょう。

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田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。