どこが有望?東京都内のマンション投資、転入者数や利回りからエリアを分析

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マンション投資の成果には立地がとても大きく影響します。特にマンション価格が上がりきったという意見も聞かれる現時点からマンション投資をするには、特に立地は慎重に検討すべきポイントと言えるでしょう。では、どういった視点からエリアを選択すれば良いのでしょうか。

この記事では、2020年以降でも投資先として見込めそうな東京都近隣エリアを、利回りや転入者数などをもとに考えてみたいと思います。

目次

  1. 東京都心は賃貸ニーズが高く長期投資に向いている?
    1-1.東京都は転入者が多い
    1-2.職住近接の時代になった
    1-3.都心のワンルームは今後もニーズがある?
  2. 東京都心でのマンション投資法
    2-1.物件価格との関係
    2-2.常に収支を良くする工夫をする
  3. 利回りを考えるなら都心から外れたエリア
    3-1.都心に30分以内で移動できる場所
    3-2.駅から徒歩10分圏内は外さない
    3-3.複数の路線が通っているエリアを選ぶ
  4. 東京23区内で2020年以降も期待できるエリア
    4-1.転入者数を優先する場合に注意すること
    4-2.23区内で利回り上昇率を優先するなら
  5. 23区外で2020年以降も期待できるエリア
  6. まとめ

1.東京都心は賃貸ニーズが高く長期投資に向いている?

マンション投資の効率を上げる要因の一つが立地です。特に東京都心では賃貸ニーズが高く、長期的に効率の良い運用ができる確率が高い傾向にあります。

1-1.東京都は転入者が多い

東京都は他の都市と比較して転入者数が多い都市です。以下の図は都道府県別の転入者数を表したものです。

東京都総務局統計部作成資料から引用

東京都隣接3県以外の他道府県では13万人以上が転出しています。逆に東京都や隣接3県は転入者超になっています。特に東京都区部が6万5,000人超と転入者数が最も多いことが確認できます。このような点から、東京都区部は賃貸ニーズが高いことが考えられ、賃貸経営に向いていると言えるでしょう。

1-2.職住近接の時代になった

近年、国が職住近接の施策を進めてきましたが、上記の転入者数の増減から、その施策は成功していることが予想されます。会社の近くに住んで、通勤時間を減らし仕事に集中したいと考える人や、平日でも自分の趣味や習い事をしたいという人が増えているのです。

また、企業が多く在籍する23区内では街の再開発が進み、ショッピングモールや病院、スーパーなどが建ち並び、都心でも快適に生活ができる環境が整っています。このような都市の変化も都心の賃貸ニーズを押し上げていると言っていいでしょう。

1-3.都心のワンルームは今後もニーズがある?

ワンルームマンションは単身者向けに造られていますので、家族層の世帯割合が多ければニーズは低くなることが考えられます。人口が集中している都心の世帯の家族構成はどのようになっているのかを確認してみましょう。

こちらのグラフは1995年から2060年までの東京都の家族構成とその予測を表したものです。

*東京都政策企画課作成「2060年までの東京の人口推計」から引用

2015年時点で単独世帯が全体の47.3%と、世帯構成の中で最も多い割合を占めています。その後も全体の世帯数が減少する中、単独世帯は大きな減少がなく、2060年時点では全体の48.4%を占めることが予測されています。このグラフの通りになれば、ワンルームは2060年時点でも賃貸ニーズが高いことが考えられます。

これは予測ですので必ずこのようになるというわけではありませんが、都心の世帯構成はこのような傾向があるということを知っておきましょう。

2.東京都心でのマンション投資法

将来的にも賃貸ニーズが高いことが予想される東京都心では、マンション投資の際にどのような点に注意して取り組めば良いのでしょうか。

2-1.物件価格との関係

都心は郊外と比較して土地の価格が高いので、物件価格が高い傾向にあります。以下は地域別の土地坪単価一覧表です。

23区内の土地坪単価

千代田区 766.7万円
中央区 552.9万円
港区 549万円
新宿区 317.3万円
文京区 340万円
台東区 294.5万円
墨田区 220.5万円

23区外の土地坪単価

八王子市 53.2万円
立川市 76.3万円
武蔵野市 196.3万円
三鷹市 167.7万円
青梅市 41.6万円
府中市 108.6万円
昭島市 68.3万円

*不動産情報サイトSUUMO作成「地域別の坪単価一覧」をもとに一部抜粋し筆者が作成(2019年7月調査)

表を見ると、千代田区が坪単価766.7万円で、八王子市の53.2万円と比較して10倍以上の差があります。その他のエリアを見ても都心部は土地の価格が高く、23区外の方が低いことがわかります。

物件価格には土地の仕入れ代金なども含まれますので、23区内の物件価格の方が比較的高くなります。そのため都心でマンション投資をする際は、郊外の物件に投資するより利回りが悪い傾向が強くなります。これによってキャッシュフローが蓄積されにくいというデメリットがあることを前提に運用に取り組むことが大切です。

2-2.常に収支を良くする工夫をする

都心の物件は価格帯が高いため、毎月の収支が郊外の物件に比べるとあまり良くない傾向にあります。そのため、突発的な修理が発生したり、空室期間が長引いたりした場合にストックしたキャッシュフローが無くなることも考えられます。

そのような状況を防止するためにも、常に収支を良くする工夫をすることが大切です。例えばローンの一部繰上返済や、借り換えなどの方法があります。これらには月々の返済額を減らす効果がありますので、高い額のローンを組んだ場合などは検討するようにしましょう。ただし、いずれも費用が発生するため、実際にコストメリットがどれくらいあるかを計算してから取り組みましょう。

3.利回りを考えるなら都心から外れたエリア

都心の物件は利回りが良くないことには触れましたが、実際に23区内と区外の利回りはどれくらい差があるのでしょうか。以下の表は東京市部、横浜市、川崎市、東京23区の平均利回りをまとめたものです。

エリア 利回り
東京市部 9.35%
横浜市 8.22%
川崎市 7.52%
東京23区 5.87%

*不動産投資と収益物件の情報サイト健美家作成「年間レポート 2018年」から抜粋し筆者作成

この表から東京市部と23区内の利回りには大きな差があることが確認できます。しかし、利回りが良いだけでマンション投資の成功確率が上がるとは限りません。

3-1.都心に30分以内で移動できる場所

利回りを追求しながらも、賃貸ニーズの高い物件をつかむ一つの目安として、都心に30分以内で移動できる駅から選択する方法があります。30分以内の移動距離であれば、それほど負担に感じることは無いでしょうし、23区内に住んでいても会社まで30分くらいはかかる駅もあります。

都心から離れたエリアでも特急や急行が停まる駅であれば、職住近接を希望する人も選択肢として考える可能性が高くなるでしょう。

3-2.駅から徒歩10分圏内は人気が高い

都心から30分以内で移動できたとしても、駅から徒歩で時間がかかる場所になると、長期の投資を考えた場合にはネックになり得ることが考えられます。将来的に物件が古くなったとしても、駅近の立地であれば高い賃貸ニーズが見込める可能性が高くなります。駅から徒歩10分以内という条件は、賃貸ニーズが高い物件を見つけるための有効な指標になります。

3-3.複数の路線が通っているエリアを選ぶ

単身者が物件を決める際には、通勤や通学に便利な場所を選ぶ傾向があります。不動産情報サイトSUUMOが単身者と夫婦世帯にとった「家を探すときに重視する項目」のアンケート結果によれば、家を探すときに重視する項目としては家賃以外に、路線・駅やエリア、最寄駅からの時間、通勤通学時間などが大きな比重を占めていることが確認できます。

このことから複数の路線が通っていたり、優等列車が停車したりする駅が最寄りの立地であれば、通勤や通学に便利なため賃貸ニーズが高くなることが考えられます。都心ではなくても、通っている路線などをチェックすることで投資効率が上がる可能性が高まります。

4.東京都23区内で2020年以降も期待できるエリア

23区内と23区外の物件について、利回りなどを確認しました。では実際に転入者数や、利回りをもとにマンション投資におすすめのエリアを考えてみましょう。

4-1.転入者数を優先する場合に注意すること

東京都心には転入者数が多いことには触れました。以下は23区内で2017年と2018年に転入者数が多かった上位5区のデータです。

*総務省「住民基本台帳に基づく2017年、2018年の人口移動報告」から抜粋して作成

この表から分かるように、ランキングは毎年入れ替わりますので、単年の情報だけでエリアを選ぶと、その年だけ特殊な事情によって転入者が増えただけだった、という可能性もあります。

その反面、大田区や世田谷区、品川区などのように、毎年のようにランクインする区もありますので、そのような区であれば将来的にも賃貸ニーズが高い可能性があります。このようなデータをもとにエリアを選ぶ場合は、単年だけでなく複数年の推移を確認するようにしましょう。

4-2.23区内で利回り上昇率を優先するなら

23区内は利回りが良くない傾向にあることには触れました。上記で紹介した表では23区の平均利回りは5.87%でしたが、細かく見るともう少し高いエリアもあります。

以下の表は不動産投資と収益物件の情報サイト健美家が作成した2018年の東京23区利回りランキングの抜粋で、利回りの上昇率が高いエリア順に記載しています。

順位 区名 上昇率 利回り
1位 練馬区 0.26% 7.57%
2位 中野区 0.26% 6.39%
3位 杉並区 0.21% 6.33%
4位 練馬区 0.17% 6.15%
5位 大田区 0.16% 6.13%

*不動産投資と収益物件の情報サイト健美家作成「東京23区賃貸マンション利回りランキング」をもとに筆者作成

こちらの表から練馬区は2017年から0.26%上昇し7.57%もあることが確認できます。7.57%というと23区外の物件に近い利回りですので、23区内でも利回りを追求したい場合はこういったエリアから選ぶと良いでしょう。この場合も毎年利回りは変化しますので、複数年の推移を見てエリアを選ぶようにしましょう。

5.23区外で2020年以降も期待できるエリア

次に23区外でマンション投資におすすめのエリアを考えてみましょう。以下の表は総務省が作成した2018年の「住民基本台帳人口移動報告」から引用したものです。

*総務省作成「住民基本台帳人口移動報告2018年」から引用

こちらの表から東京近隣の23区以外の都市では、さいたま市や川崎市、横浜市などの転入者数が多いことが確認できます。ただし転入者数を参考にエリアを選ぶ際も、ランキングは毎年変わりますので、数年分の推移を確認した上で検討することが大切です。

まとめ

2020年以降に向けてマンション投資をしたいエリアについて、転入者数や住みたい街などのデータからご紹介しました。

マンション投資には立地やエリアが大きく影響してきます。投資効率の良いエリアかどうかを判断する一つの材料として、継続して人口が集中していたり、住みたい街ランキングなどにランクインしたりする街を選択する方法があります。

しかし、データによっては何か特殊な要因でその時だけ人気が上昇している可能性もありますので、複数年の推移を確認したり、できるだけ多くの情報から選択したりするようにしましょう。

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西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。