相続によって不動産を取得したという人の中には、一旦相続人全員の共有名義にしておき、落ち着いてから不動産をどうするのか決めようとしている人も多いと思います。
しかし、一旦相続人全員の共有名義にしておき、後で売却することにした場合、トラブルに発展することも珍しくありません。共有名義の不動産相続をする際は、このようなトラブルを回避しつつ売却を進めることが大切です。
この記事では、共有名義の不動産を売却する手順・流れ、トラブルを回避する注意点を解説します。
目次
- 共有名義の不動産を売却する手順・流れ
1-1.売却方法について考える
1-2.不動産会社・買取業者に相談する
1-3.不動産会社に仲介・買取業者に買取を依頼する
1-4.売買契約を締結する - トラブルを回避する2つの注意点
2-1.共有名義人が誰かをしっかり確認する
2-2.複数の不動産会社・買取業者に相談する - まとめ
1.共有名義の不動産を売却する手順・流れ
被相続人が亡くなった場合、遺産相続が行われます。相続財産が現金のみの場合、相続人の相続割合に応じて遺産分割しやすいですが、不動産も含まれていた場合、簡単に遺産分割を行うことができません。
そのため、一旦相続人全員の共有名義にしておいて、落ち着いてから不動産をどうするのか決めるケースも多く見られます。しかし、落ち着いてから不動産をどうするのか決める際に、相続人同士の意見が合わず、トラブルに発展する可能性があります。
相続人同士のトラブルを未然に防ぎながら売却するためには、以下の4つの手順・流れを押さえながら売却に臨むことが重要です。
- 売却方法について考える
- 不動産会社・買取業者に相談する
- 不動産会社に仲介・買取業者に買取を依頼する
- 売買契約を締結する
それぞれの手順・流れについて詳しく見ていきましょう。
1-1.売却方法について考える
まずは共有名義の不動産の売却方法について考えてみましょう。共有名義の不動産の売却方法には、以下の3つの方法が挙げられます。
- 相続人の代表者が買い取る
- 自身の持分だけ売却する
- 不動産全体を第三者に売却する
共有名義の不動産に相続人の誰かが住んでいて、共有名義の不動産の売却に応じない場合、その相続人にそれぞれの共有持分を買い取ってもらうという方法が挙げられます。
現金化したい人は現金化できる、住み続けたい人は住み続けられることから、双方にとってメリットのある選択肢と言えます。しかし、買い取る側に資金がある場合に限るというのがデメリットです。
共有名義の不動産を売りたいという人は、自身の持分だけ売却するという方法があります。しかし、共有持分とは、不動産を使える権利を取得できるだけで、自分だけが自由に使える権利ではありません。実需利用(居住目的など)の不動産の場合、共有持分の売却は非常に困難です。
不動産の資産価値が高く買い手がいても、売却益を狙った共有名義の買取専門の業者が中心となり、買取価格は相場より大幅に低くなるという点に注意が必要です。
全員が売却に同意している場合は、不動産全体を第三者に売却するという方法があります。通常の不動産と同様の売却方法となるため、トラブルが生じにくいと言えます。
このように、売却方法はいくつかあるため、相続人全員でよく話し合って売却方法を決めましょう。
1-2.不動産会社・買取業者に相談する
売却方法の決定後は、それぞれの目的に合った専門家に相談します。相続人同士で売買するケースでは、後でトラブルに発展する可能性もあります。仲介手数料が発生しますが、不安な人は不動産会社に仲介を依頼することも検討してみましょう。
第三者に売却する際は、不動産会社または買取業者のいずれかを選択します。不動産会社は購入希望者を探すため、買い手が見つかるまでに時間がかかる一方、周辺相場に近い価格で買い手が見つかる可能性が高いと言えます。
買取業者は業者自身が買い取るため、買い手を探す時間を短縮できる一方、買取価格が周辺相場よりも安くなるという点に注意が必要です。
双方のメリットとデメリットを比較しながら、全員が納得できる売却方法を選びましょう。
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1-3.不動産会社に仲介・買取業者に買取を依頼する
売却は不動産会社、買取は買取業者に依頼します。不動産会社・買取業者であれば、どこに依頼しても同じというわけではありません。不動産会社や買取業者によっては、売却価格や買取価格に差が生じるため、複数社を比較しながら選ぶことが大切です。
不動産会社は賃貸を得意とする不動産会社、売買の仲介を得意とする不動産会社に大きく分かれるため、売買の仲介を得意とする不動産会社を選んでみましょう。
1-4.売買契約を締結する
仲介を依頼して買い手が見つかった、買取業者との話し合いがまとまった場合は、買い手や買取業者と売買契約を締結し、建物を引き渡します。
売却代金を手に入れた後は、速やかに相続割合に応じて売却代金を分配すれば、共有名義の不動産の売却は全て完了です。
2.トラブルを回避する2つの注意点
共有名義の不動産の売却では相続人同士でトラブルに発展するケースが少なくありません。
共有名義の不動産を売却する際に押さえておくべき注意点は以下の2つです。
- 共有名義人が誰かをしっかり確認する
- 複数の不動産会社・買取業者に相談する
それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
2-1.共有名義人が誰かをしっかり確認する
まず、共有名義人が誰かをしっかり確認することです。共有名義のまま長く放置していると、共有持分の相続が発生し、枝分かれすることによって誰が共有名義人なのか分かりにくくなります。
共有名義人を確認しないまま売却を進めた場合は、後で売却の事実を知った共有名義人とトラブルに発展する可能性があります。そのため、共有名義の不動産を売却する際は、誰が共有名義人なのかを確認し、全員と話し合ってから売却を進めましょう。
2-2.複数の不動産会社・買取業者に相談する
不動産を売却する際は、不動産会社や買取業者に売却価格や買取価格がいくらくらいかを査定してもらいます。
1社だけに査定を依頼し、その不動産会社や買取業者の提示した査定結果で売却を進めてしまうと周辺相場よりも低いか高いかの判断が難しくなります。そのうえ、他の相続人が売却結果に納得せず、トラブルに発展する可能性があります。
売却結果に対する共有名義人同士のトラブルを未然に防ぐには、複数の不動産会社・買取業者に査定を依頼し、相場に沿った価格であることを共有名義人の間で事前に納得していることが重要です。
不動産査定を受ける際は、インターネット上で複数の不動産会社へ査定依頼ができる「不動産一括査定サイト」の利用を検討してみると良いでしょう。不動産一括査定サイトは「まずは価格を知って売却検討したい」という場合にも便利に活用することができます。
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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧
まとめ
共有名義の不動産を売却する際は、相続人同士の意見が合わず、売却がスムーズに進まない可能性があります。そのため、共有名義の不動産の売却を検討している人は、手順・流れを事前に把握してから売却に臨むことが重要です。
共有名義の不動産売却ではトラブルに回避のために注意しておきたいポイントがあります。注意点を押さえた上で売却に臨み、相続人としっかり話し合って全員が納得できる売却方法を選べるように取り組みましょう。
矢野翔一
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