中古マンション投資が検討できる築年数の目安は何年?築古物件のリスクも

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投資用中古マンションの購入を検討している場合、築何年の物件まで投資用物件として活用できるのか、判断は難しいものです。

そこで今回のコラムでは、中古マンション投資ができる築年数の目安を紹介するほか、購入する際の検討項目についても取り上げます。また中古マンション投資における築古物件のリスクについても解説していきます。

目次

  1. 中古マンション投資が検討できる築年数の目安
    1-1.中古マンションにおける築年数別単価の下落率
    1-2.中古マンション投資における築年数別の特徴
  2. 築古マンションによる不動産投資のリスク
    2-1.入居率が低下するリスク
    2-2.修繕費用が高額になるリスク
    2-3.売却しにくくなるリスク
  3. 投資用中古マンションを購入する際の検討材料
    3-1.入居率
    3-2.修繕状況
    3-3.マンション全体の入居状況
    3-4.法定耐用年数
  4. まとめ

1 中古マンション投資が検討できる築年数の目安

中古マンション投資が検討できる築年数の目安は、同じ築年数であってもそれぞれで状態が異なるため、個別の物件によって違いが出てきます。そこで、目安をどのように判断するといいのか、複数の視点で考えていきましょう。

1-1 中古マンションにおける築年数別単価の下落率

中古マンション投資ができる築年数の目安を考える前に、築年数によって中古マンションにはどのような特徴があるのか、見ていきましょう。下記の表は、首都圏で2021年1月〜12月までに成約した築年別の中古マンションの単価と、下落率を表したものです。

築年数 ㎡単価 下落率
築0年〜5年 94.63万円
築6年〜10年 82.83万円 87.5%
築11年〜15年 69.41万円 83.8%
築16年〜20年 64.35万円 92.7%
築21年〜25年 54.10万円 84.1%
築26年〜30年 37.15万円 68.7%
築31年〜 35.61万円 95.9%

※出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「年報マーケットウォッチ2021年・年度

「築6〜10年」の物件であれば「築0〜5年」の約9割、「築16〜20年」の物件は7割程度に下落していることが分かります。また、築21年以上になると半額程度になっています。このように築年数が経つほどに価格は下落していきますが、築31年以上になると単価の下落幅が少なくなっている分かります。

1-2 中古マンション投資における築年数別の特徴

前項で紹介した中古マンションの築年別単価の動向を含め、中古マンション投資における特徴を築年別にまとめたのが下記の表です。

築年数 特徴
築5年〜10年程度 ・物件価格は新築時の8〜9割程度
・家賃が下落し始めているが大きな下落はしていない
・トレンドに沿った設備仕様などで入居者の確保はしやすい
築10年〜20年程度 ・物件価格は新築時の6〜7割程度
・家賃は10%程度下落している
・大規模修繕工事が行われる可能性がある
・設備機器の劣化・故障が気になる
築20年以上 ・物件価格は新築時の5割程度
・家賃は築10年からほとんど下落していない
・周辺の状況にもより、入居者の確保が難しいケースもある
・大規模修繕工事の規模が大きくなる可能性がある
・設備機器の更新が必要になり、室内のリフォームも検討される

このように、築年ごとに投資用中古マンションの特徴は変化していきます。しかしこれらの特徴は、個々の物件やオーナーの考え方、スタンス、状況などによって、メリットにもデメリットにもなります。そのため中古マンション投資が検討できる築年数についても、オーナーの判断による部分が大きく、定義することは困難と言えるでしょう。

ただし平均的な考え方をすると、築10年〜20年前後の物件は新築よりも安く購入できる上、大幅な家賃の下落も起こりにくい、と考えられます。また出口戦略も考えやすく、「長期間にわたって運用する」、「価値が下落しないうちに売却する」といったように選択肢も複数あります。こうした点から見ると、築20年くらいまでの物件を購入することで、賃貸用物件として経営しやすいと言えるでしょう。

これ以上築年数が経ってしまうと、投資用中古マンションとしてのリスクがさらに増えることも考えられます。次の項目では、築古物件による中古マンション投資には、どのようなリスクがあるのか見ていきましょう。

2 築古マンションによる不動産投資のリスク

築古マンションは経年劣化が進んでいると考えられ、それに伴い中古マンション投資として注意すべきリスクがあります。中古マンション投資を検討する上でも、築古マンションのリスクを適切に把握しましょう。

2-1 入居率が低下するリスク

国土交通省の資料「住宅着工統計 新設住宅着工戸数(総戸数、持ち家系・借家系別)」によると、借家系の新設住宅着工戸数は下記のように年間30万戸以上となっています。

年度 総戸数 持ち家系 借家系
2016年度 97.4万戸 54.1万戸 43.3万戸
2017年度 94.6万戸 53.1万戸 41.6万戸
2018年度 95.3万戸 55.5万戸 39.8万戸
2019年度 88.4万戸 54.3万戸 34.1万戸
2020年度 81.2万戸 50.2万戸 31.0万戸

※引用:国土交通省 住宅着工統計「新設住宅着工戸数(総戸数、持ち家系・借家系別)」より抜粋

このように新しい住宅が次々と新設される中で、築古マンションが入居率を確保するのは難しいと推測できます。建物の老朽化が進んでいく上に、内装デザインや設備、間取りなどが入居者のニーズに合わなくなり、快適性が感じられなくなる可能性があるからです。

築年数の経った中古マンションでは、退去者が出ると次の入居者が決まるまでの期間が長くなる懸念があります。

空室がなかなか埋まらない場合、対策として家賃設定を下げる方法があります。そのため、当初の利回りから下がってしまい、収益性も低下しまうことになります。この点も築古マンションによる不動産投資のリスクになります。

2-2 修繕費用が高額になるリスク

鉄筋コンクリート造のマンションといっても、老朽化は避けられません。そのため修繕工事を行いますが、築年数が経つほど老朽化が進んだり、不具合の箇所が増えるため修繕工事の規模が大きくなっていき、設備の交換や修繕工事などにかける費用が高額になっていきます。

またマンション全体でも老朽化が進むため、築年数が経つごとに修繕工事の規模が大きくなっていきます。つまり、管理組合に納めている修繕積立金が上がっていくことになるのです。

修繕積立金は管理費とともに、毎月かかる費用です。修繕積立金が上昇すると、キャッシュフローを悪化させてしまうため、マンション経営で注意しておきたいリスクの一つとなります。

2-3 売却しにくくなるリスク

投資用中古マンションの売却を検討する際、購入を検討する候補者の大部分は投資家の方になるでしょう。投資目的でマンションを購入する方は「利益がどれくらい見込めるか」という収益性の面で、マンション購入を検討することになります。

その場合、築年数が経っていると、前述したように「入居率が低い」「設備投資が必要になる」「修繕積立金が上がる」などのネガティブ要素があるため、利益が出にくいと判断されるケースがあります。つまり、築年数の経っている築古マンションは、買主の候補から外れやすいと考えられ、売却するのに時間がかかってしまうリスクがあるのです。

また、築年数が経緯したマンションは金融機関からの担保評価が低くなり、融資を受けられなくなっているケースもあります。融資年数について法定耐用年数内に設定している金融機関も多く、このような買主側の資金調達のハードルの高さによって売却が難しくなってしまうケースもあるでしょう。

3 投資用中古マンションを購入する際の検討材料

投資用中古マンションを購入する際は、築年数と組み合わせて、さまざまな項目で検討することが必要になります。今回は下記の4つの項目について解説していきます。

3-1 入居率

中古マンション投資では、築年数が経つごとに入居者の確保は難しくなっていきます。新しい賃貸用物件の方が、間取りや設備・仕様、デザインなどが、現在のライフスタイルに合わせやすく、競合物件の多いエリアでは築年数の新しい物件に入居者が集まっていきます。

築年数が経っているのに周辺地域に比べて入居率が高いマンションは、家賃と賃貸ニーズのバランスが取れており、築年数以外に立地やブランド力、間取りなどの強みがあると推測できます。

つまり築年数が経っていても、入居率と家賃のバランスが取れ、入居者を確保できる強みがあればマンション経営を検討することも可能と言えます。

3-2 修繕状況

築年数が経っている中古マンションでも、リフォームしたばかりなどで室内の状態がいい物件もあります。

リフォームやリノベーションをするのであれば、リフォームに必要な投資額と、得られる家賃収入の目安のバランスを見ながら検討することになります。大きくリフォーム費用をかけてしまう前に、賃貸管理会社へ相談し、実際の入居者のニーズを調査してみることから始めてみると良いでしょう。

3-3 マンション全体の入居状況

築年数が経つにつれて手離す区分所有者が多くなることで、マンション全体の入居状況が悪くなっている物件もあります。その場合、所有する部屋のリフォームを行うなどの対策をしても、入居者を確保するのが難しくなる懸念があります。空き家が多くなり、マンション自体の活気がなくなってしまうからです。

また管理組合の人数が減ることで、管理体制が悪くなってしまうこともあります。清掃頻度が減り、廊下にゴミが落ちていたり、郵便受けに不要なチラシがあふれていたりといったことも考えられます。こうした管理状況では、入居者を確保しても長期間の入居は難しいと言えるでしょう。

そのためマンション自体の入居状況も把握し、全体の雰囲気を確認することも投資用中古マンションを購入する際の判断材料になります。

3-4 法定耐用年数

法定耐用年数とは、機械や自動車などの資産価値が消滅する期間について定めた税法上の年数です。賃貸用の建物の場合は、下記のように構造によって年数が異なります。

構造または目的 法定耐用年数
鉄骨鉄筋コンクリート造または鉄筋コンクリート造 47年
れんが造、石造またはブロック造 38年
木造 22年
軽量鉄骨造(厚さ3ミリ以下) 19年
軽量鉄骨造(厚さ3〜4ミリ) 27年

※引用:国税庁「 減価償却のあらまし」より抜粋

鉄筋コンクリート造のマンションの場合、法定耐用年数は47年となっています。ただし中古マンションを購入した場合は、耐用年数を下記の計算式で計算することになります。

中古マンションの耐用年数=(47−経過年数)+経過年数×0.2

例えば、築35年の中古マンションを購入して賃貸用物件とする場合、耐用年数は「(47−35)+35×0.2」となり、19年間で減価償却していくことになります。この19年間が長いのか、短いのかは物件価格や減価償却額、ローン融資額、ローン返済期間などによってオーナーが判断することになります。

減価償却期間は、購入費用を経費として毎年計上できるため、課税所得を低く抑えることができる可能性があります。このように法定耐用年数を計算することも、投資用中古マンションを購入する際の検討材料になるのです。

まとめ

今回のコラムでは、投資用中古マンションを購入する際の築年数に焦点を当てました。築何年まで投資用物件として活用できるのかは個々の物件で異なります。そのため築年数と合わせて、検討するべき4つの項目についても解説しました。

このように物件の現状を複数の視点から把握することで、築年数が経過した中古マンション投資を検討する際に役立てることができます。複数の投資用中古マンションを比較しながら、これらのポイントを参考に検討していきましょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。