不動産投資で注意しておきたいリスクの一つに空室リスクがあります。不動産投資では様々な要因で空室リスクが高まる可能性がありますが、特に注意しておきたいタイミングとしては不動産の購入時です。
不動産の購入後にリフォームなどによって入居者を確保できるケースもありますが、物件が所在するエリア全体の賃貸需要が減少している場合などでは、入居者の確保に苦戦してしまう可能性が高まります。空室リスクを抑えるには、物件選びの際に注意しておくことが特に重要と言えるでしょう。
そこで今回のコラムでは、空室リスクを回避するための物件の選び方として5つのポイントを解説していきます。
目次
- 空室リスクを回避する物件の選び方
1-1.交通アクセスがいい
1-2.周辺環境が充実している
1-3.入居者ニーズに合った設備が揃っている
1-4.管理が行き届いている
1-5.賃貸需要が豊富なエリアにある - 投資用物件の購入後の空室リスク対策
- まとめ
1 空室リスクを回避する物件の選び方
不動産投資の空室リスクを回避するためには、いくつかのポイントに分けて物件を選んでいくことが重要になります。この項目では5つのポイントを取り上げて解説していきます。
1-1 交通アクセスがいい
最寄り駅までの移動時間が短いほど移動にかかる日常的な時間を省くことができるため、入居者を確保しやすく、空室リスクの低い物件となります。
最寄り駅がターミナル駅、快速の停車駅、始発駅、新幹線の停車駅に近いといったケースも、通勤や通学の利便性が高く、物件の強みになります。
一方、駐車場を設置している物件の場合、「国道が近い」「インターチェンジが近い」「空港が近い」といった条件でも交通アクセスの良さが武器になると考えられます。このように、物件のターゲット層やエリアの特徴に合わせて交通アクセスの良さを検証してみましょう。
1-2 周辺環境が充実している
不動産投資に適したエリアを考えるにあたり、生活に欠かせない施設を指す「生活利便施設」もポイントとなってきます。具体的には、下記のような施設です。
- スーパーマーケット
- コンビニエンスストア
- 銀行
- 郵便局
- 病院やクリニックなどの医療機関
- 商店街
- レストランやカフェなどの飲食店、など
ファミリー向けの賃貸用物件であれば、幼稚園や小学校・中学校、公園なども含まれることになります。
これらの施設が自宅周辺にあれば、不便な生活を避けられるので、入居者を確保しやすく、空室リスクを回避できると考えられます。
1-3 入居者ニーズに合った設備が揃っている
物件オーナーにとって、入居者が快適に暮らせるように入居者のニーズを把握することは重要です。特に設備や仕様は暮らしやすさに直結するため、入居者ニーズに合った設備や仕様が導入されている物件は空室リスク対策にもなります。
具体的には下記のような設備や仕様が求められます。
- インターネット無料
- エアコン
- シャワートイレ
- 宅配ボックス
- TVモニター付きインターフォン
- 浴室換気乾燥機
- エントランスのオートロック
- 防犯カメラ
- システムキッチン
- 24時間利用可能ゴミ置き場
- IHクッキングヒーター
- 食器洗浄乾燥機
- ウォークインクローゼット、など
このような設備・仕様を備えた競合物件があると、次の物件に引っ越す際も同様の条件で探す可能性があります。例えば、食器洗浄乾燥機がついた部屋に暮らしていると、引っ越す際に食器洗浄乾燥機がついた部屋を求める可能性があるということです。
この場合、次の物件がうまく見つけられないケースでは、引っ越しを諦めることも考えられます。つまり、設備や仕様を整えることで、退去しにくい物件にすることもできるのです。
また近年は、不動産情報ポータルサイトを利用して賃貸物件を探す人が増えています。ポータルサイトでは、自分の好みや希望の条件を入れて検索することができる検索機能があるため、入居者ターゲット層の検索条件にあわせて設備を整えていくことも空室対策のポイントとなってきます。
1-4 管理が行き届いている
空室対策は、物件自体の良し悪しだけではありません。管理体制で選ぶことも重要です。日々の管理業務が徹底されていないと、物件に対する入居者の不満が積み重なり、退去につながることがあるからです。
入居者からの苦情に対して迅速に対応するのに加え、そうした苦情が出ないような管理業務を行うことが大切です。そのほか、具体的には下記のようなことが挙げられます。
- 日々の清掃を丁寧に行う
- ひび割れなど建物のメンテナンスを定期的に行う
- 設備の故障に対して迅速に対応する
- トラブルを起こさないようにルールを徹底する
一棟アパートを運営する場合は、このような体制を整えている管理会社を選ぶことができますが、区分マンションで不動産投資を行う場合は、管理組合によって建物の管理業者はすでに決まっているケースがほとんどです。そのため物件選びの際に管理体制も慎重に検討することで、空室リスクを回避することができる可能性があります。
なお、区分マンションの場合は建物管理と賃貸管理について別の不動産管理会社に委託することが可能です。デベロッパーがそのまま建物・賃貸の両方を管理しているケースも少なくありませんが、賃貸付けのノウハウが豊富な管理会社もあるため、ケースバイケースで検討されてみると良いでしょう。
【関連記事】不動産投資で建物管理がなぜ重要なのか?建物管理に強い不動産会社も
1-5 賃貸需要が豊富なエリアにある
物件自体の条件に加えて、空室リスクを回避するために考慮したいのが賃貸需要の豊富なエリアを選ぶことです。良質な物件であっても、人気のないエリアでは入居者候補から選ばれず、築年数が経つごとに空室が増えていくこともあります。
エリア選定の際のポイントとして、「人口推移」「ブランド力」「治安状況」「災害状況」の4つがあります。
人口推移
賃貸需要を確認する際に重要なのが人口推移です。人口が増加していれば、賃貸物件に対するニーズは高い傾向があると推測できるからです。人口推移を調べるには、各行政機関のホームページに人口が載っているので簡単に調べることができます。
さらに今後どのように人口が動いていくかも推測しましょう。例えば、新駅が開業する、新しい都市再開発計画がある、道路が拡幅されるといった情報があれば、人口は増えていく可能性があります。このような情報も、各行政機関のホームページなどで公表されていますので定期的に確認するといいでしょう。
ブランド力
入居希望者の多い地域にはブランド力が備わっており、そのエリアで暮らすことに憧れを持っている層もいます。一定の賃貸需要が見込め、空室リスクを回避できる可能性があります。特に自分で住んだことがないエリアの物件であれば、ブランド力を確認することは重要です。
ただし、住みたい人の多いエリアは入居需要の増加ともに地価が上昇し、物件価格も高額になっているケースがあります。低リスクである反面、利回りも低くなってしまうため、収益性とのバランスをとって検討されてみると良いでしょう。
治安状況
治安が良いエリアでは、犯罪などのトラブルに巻き込まれる可能性も少なく、中長期的な賃貸需要を見込むことができます。
エリアの治安状況を確認するには、警察庁の「警察白書」で犯罪件数を調べることもできますが、物件を見学する際に下記のことを確認してみましょう。
- ゴミが不法に投棄されていないか
- 近隣の公園に人がいるか
- ごみ集積所が汚れていないか
- 周辺のお店のシャッターが閉まっていないか
- シャッターや塀などに落書きがされていないか
- スーパーなどに指名手配犯の張り紙が貼られていないか
- パトカーのサイレンが聞こえたか
- 街灯があまりなく、夜は暗くないか、など
災害状況
災害が多いエリアでは、所有している物件が修繕が必要なほどのダメージを負ってしまうことがあります。修繕期間が長期になるほど次の入居希望者を確保しにくく、また入居しても再度災害が発生すると退去してしまうことも考えられます。つまり、賃貸需要は災害状況の影響を受ける可能性があるということなのです。
エリアの災害状況を確認するには、国土交通省の「重ねるハザードマップ」などを用いる方法があります。重ねるハザードマップでは、「洪水」「土砂災害」「津波」「高潮」「道路防災情報」の5つの情報を表示することができるため、エリア内でどのような災害が起きそうか推測することができます。
2 投資用物件の購入後の空室リスク対策
空室リスクを回避するためにエリア条件のいい物件を選んだとしても、運営の仕方が良くなければ空室になってしまうのが不動産投資の難しいところです。そこで賃貸物件を運営している際の空室リスク対策についても、知識を得ておきましょう。
空室リスクを避けるには入居者募集に強い管理会社を選ぶことがポイントの一つですが、退去の度に原状回復費や入居者募集に関わる費用などが必要で経営はダメージを受けてしまいます。そこで入居者の退去を予防することで、入居期間の長期化を狙うことも考えてみましょう。空室リスクを抑制し、さらに経費削減にもつながります。
具体的には、下記のような戦略が挙げられます。
- 家賃相場に合わせた家賃を設定する
- 定期的に設備を新型に更新する
- 適切な時期に清掃やメンテナンスを行う
- 更新料を無料にする
- 5年間継続入居祝い金を進呈する、など
また一棟アパートの場合は、気軽に管理会社やオーナーに意見を言える「目安箱」を設置することなどでも退去を予防できる可能性があります。ぜひ参考にしてください。
まとめ
不動産投資では収入源となる家賃を確保することが重要です。そのためには、空室になりにくい条件を備えた物件を選ぶことが第一歩となります。
今回のコラムではそのポイントとして5つ取り上げました。物件選びを失敗すると、その後の運営にも影響が及ぶことになります。今回紹介したポイントを参考に、物件選びにお役立てください。
【関連記事】管理戸数の多いマンション投資会社は?上場企業3社の比較・まとめや管理に強い不動産会社も
倉岡 明広
最新記事 by 倉岡 明広 (全て見る)
- 不動産売却はどこがいい?大手不動産会社5つの比較や不動産査定サイトの使い方も - 2024年11月11日
- 不動産売却の実績が多い大手不動産会社は?10社の実績ランキングを比較 - 2024年11月11日
- 不動産売却で「東急リバブル」と「住友不動産販売」の違いは?評判・実績を比較 - 2024年11月11日
- 住友不動産販売の不動産売却査定の評判・口コミは?申込み手順も - 2024年10月3日
- 地価上昇が続くエリアはどこ?好立地の用地仕入れに強いアパート経営会社も - 2024年9月30日