同じ建物・同じ設備であっても、立地の違いによって入居率は大きく異なるため、マンションを選ぶ場合にはまずは立地条件の良いものを選んで購入することが重要です。
しかし、実際に良い立地を選ぼうとした場合に、駅から徒歩何分以内を立地条件が良いというのか、また都心と閑静な住宅街のどちらの立地条件が良いのかなどについて、よく分からないという方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、マンション経営を行うにあたって、具体的にどういった立地のマンションを選べば良いのかについてお伝えしたいと思います。
記事目次
1 空室リスクを抑えるための立地選びの4つのポイント
マンション経営は、空室のリスクと隣り合わせであるため、少しでもリスクを抑えるために、入居者のニーズに合わせたマンションを購入することが重要です。
立地条件などの利便性と間取りなどの機能性を比較すると、機能性よりも利便性を求める入居者が多いため、利便性の優れたマンションを購入するということがマンション経営を成功させるための重要なポイントと言えます。
入居者のニーズの高い立地条件は以下の4つとなります。
- ポイント1:駅から徒歩10分以内、複数路線が利用可
- ポイント2:コンビニ、銀行、病院などの施設が近くにある
- ポイント3:エリア内に競合となるマンションが少ない
- ポイント4:騒音が少ない、治安が良い
以下では、それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
ポイント1:駅から徒歩10分以内、複数路線が利用可
東京都心などでは、駐車場の月額料金が家賃並みに高い場所もあることや車を所有していない人も多いことから、主な移動手段は電車となります。そのため、入居者にとって駅からマンションまでの距離が非常に重要なポイントとなります。
たとえば、大手賃貸情報サイトCHINTAIが2016年に行った調査では、20代~30代の約70%が徒歩10分以内の物件に住みたいと回答しており、駅徒歩10分以内が一つの目安となっていることが分かります。
※株式会社CHINTAI「駅徒歩何分の物件なら住みたいと思える?」
また、徒歩10分以内よりも徒歩5分以内の方が入居者のニーズが高いため、最近では徒歩5分以内のマンションを開発する会社も増えています。たとえば、東証プライム上場グループの投資用マンション会社「プロパティエージェント」では、マンション開発のエリアを都心の駅近に集中していますが、中でも駅徒歩5分以内の物件が全体の6割(2017年時点)を占めています。
※プロパティエージェント株式会社「2017年3月期 決算説明資料」より
その結果、プロパティエージェントの管理物件の入居率は99.8%(2018年5月時点)と、業界内でも非常に高い水準を実現することができているという実績があります。
ターミナル駅に近い方が良い
また、駅からの徒歩分数以外では、1日の乗降者数がある程度多くターミナル駅へのアクセスが良い、複数路線が利用できるといった利便性の高い駅の方が、より入居者のニーズが高いと言えます。
ターミナル駅周辺は、事業所を構えている企業が多いだけでなく、ターミナル駅を中心とした乗り換えも便利であるため、通勤・通学などに優れているのがポイントです。
アクセスの良い駅に近いほどマンションの価格が高くなるため、初期投資が大きくなってしまいます。しかし、入居者のニーズが高いことから、空室のリスクが下がるだけでなく、家賃設定も高くすることができます。また、売却時のマンション価格もより値崩れしにくくなるため、さらに安定したマンション経営を行うことが期待できるでしょう。
ポイント2:コンビニ、銀行、病院などの施設が近くにある
ポイント1で触れたように、東京都心などでは駐車場の月額料金が家賃並みに高い場所もあるため、なるべく徒歩圏内に日常生活に必要な施設が揃っている方が入居者のニーズが高いと言えます。
入居者のニーズが高い施設は以下のような施設です。
- スーパー
- コンビニ
- ドラッグストア
- コインランドリー
- 銀行(ATM)
- 病院
- 市役所(出張所)
生活に必要な物が揃っているスーパーやコンビニ、ドラックストアなどの施設は、入居者のニーズの高い施設と言えます。そのため、マンションを購入する場合は、近くにスーパー、コンビニ、ドラッグストアがあるか確認することが重要です。
また、利用頻度は少ないものの、銀行(ATM)や病院、市役所(出張所)などが近くにある場合は、利便性が高まります。コンビニにもATMが設置されていますが、口座開設などの手続きは銀行でしか行うことができないため、近くに合った方が良いと言えます。
近くに合って便利な施設として忘れやすいのがコインランドリーです。入居者によっては洗濯機を設置せずに、コインランドリーで済ませたり、シーツなどの大きな物を洗うためにコインランドリーを利用したりする場合があります。そのため、コインランドリーやクリーニング店などが近くにあると、より入居者のニーズに応えることができるでしょう。
ポイント3:エリア内に競合となるマンションが少ない
購入を検討しているマンションの近くに、競合となるようなマンションが少ないという点も重要なポイントです。
周辺にマンションが多いということは、それだけ入居者のニーズの高いエリアと言えます。しかし、需要と供給のバランスで考えると、供給の方が上回ってしまう可能性が高いため、マンション経営を行うにはあまりおすすめできません。
これから建築される予定のマンションがないかについても、検討している物件の現地視察などを行って確かめておくと良いでしょう。
ポイント4:騒音が少ない、治安が良い
繁華街の近くや乗降者数の多い駅の近く、また高速道路や大通り沿いにマンションが位置している場合には、入居者が騒音トラブルに悩まされてしまう可能性があります。
周辺にこれらの施設がある場合は、騒音以外にも排気ガスによる空気汚染や飲酒トラブル、外国人トラブルなど様々なトラブルが発生する可能性もあります。このようなエリアでは、騒音を気にする入居者や治安の良さなどを求める入居者のニーズを満たしていないため、マンション経営を行うには不向きと言えるでしょう。
マンションを選ぶ場合は、マンションの周辺に入居者のニーズが高い施設があるかどうか調べるだけでなく、周辺にトラブルが生じる可能性のある施設などがないかもチェックした上で、なるべく住みやすいエリアを選ぶことをおすすめします。
2 細かい入居者のニーズは不動産会社にヒアリング
入居者のニーズは、マンション経営を行おうとするエリアごとにそれぞれ異なっています。そのため、そのエリアごとの細かい入居者のニーズを知りたい場合には、購入を仲介する不動産会社にヒアリングすることも大切です。
マンション経営を行う場合は、購入を仲介した不動産会社にそのままマンションの運用を任せる可能性もあるため、素直に入居者のニーズを確認しても問題はありません。
ヒアリングで確認しておくべき立地条件の項目は以下の通りです。
- どのエリアの問い合わせが多いのか
- 駅から徒歩何分の問い合わせが多いのか
- 値崩れしにくいエリアはどこなのか
- 穴場のエリアはあるのか
投資家目線・経営者目線で良いと思ったエリアがあったとしても、入居者目線で見ると良いエリアではない場合があります。そのため、まずはどのエリアの入居者ニーズが高いのか不動産会社にあらかじめ聞いておくと、購入するマンションのエリアが絞られてくるでしょう。
また、駅から徒歩何分かというのも、ターミナル駅から近いのか遠いのかという違いによって大きく異なる場合があります。そのため、駅からのアクセスも投資家目線だけで判断するのではなく、入居者目線で考えるために、現地を視察したり、不動産会社にヒアリングをしてみることが大切です。
残りの2項目は、不動産会社の知恵を借りるといった感じです。値崩れしにくいエリアというのは、賃貸需要(入居需要)が高いエリアやブランドのあるエリアです。不動産会社が保有しているデータや実感値をヒアリングしておきましょう。
また、入居者のニーズが高まりつつあるエリアといった、日々取引を行っている不動産会社だからこそ知っているような穴場のエリアなどもマンション経営には面白いエリアであるため、ヒアリングしてみる価値はあると言えるでしょう。
3 まとめ
マンション経営を行う際は、投資家目線だけでマンションを選ぶのではなく、入居者のニーズを考慮した入居者目線でマンションを選ぶことも重要です。
ひと昔前であれば郊外のマンションにも問題なく入居がつきましたが、現在は駅からの近さやターミナル駅などの近さが、入居者が物件を選ぶ際の重要な判断基準となってきています。
立地の良いマンションを購入することで、入居者のニーズを満たすことができ、マンション経営のリスクを抑えながら安定したマンション経営を行うことが期待できます。また、立地選びの際には、以下のような入居者ニーズの高い条件を選ぶことが大切です。
- 駅から徒歩10分以内、複数路線が利用可
- コンビニ、銀行、病院などの施設が近くにある
- エリア内に競合となるマンションが少ない
- 騒音が少ない、治安が良い
また、立地選びの際には、不動産会社にもヒアリングを行うことで、実際の入居者の細かなニーズやエリアごとの実感値などを把握しながらマンションを検討することができるため、より良いマンション経営につながると言えます。
ヒアリングの中では、入居者のニーズが高まりつつある穴場のエリア情報なども手に入れることができる可能性もありますので、不動産会社をうまく活用しながらリスクを抑えたマンション経営を行うと良いでしょう。
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矢野翔一
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