不動産投資の落とし穴、知っておきたい5つの失敗事例とリスク回避策

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最近では不動産投資が一般的なものになり、ネット広告などでも成功例や良いイメージが伝えられています。ただ、やはり投資である以上は、リスクが付き物です。全ての人が広告通りにうまくいっているわけでなく、実際に不動産投資で失敗してしまった人も多くいます。

そのような人たちがどのような失敗をしたのかを知りリスクを回避するのは大事なことです。そこで、今回は「不動産投資の落とし穴」をテーマに、「空室に関する失敗」「金利上昇に関する失敗」「家賃保証に関する失敗」など、初心者が始める前に知っておきたい5つの失敗事例と回避策について解説していきたいと思います。

目次

  1. 空室リスク
  2. 金利上昇リスク
  3. 家賃保証のトラブルリスク
  4. 不動産価値下落リスク
  5. 環境の変化によるリスク

1.空室リスク

リスクの中で怖いのはやはり空室リスクでしょう。まずは失敗事例をご紹介します。

Aさんは、家賃7万円の区分マンションと6万5,000円の区分マンションを2件所有していましたが、ある時3件が同時に空室になり、その後もすぐに空室を埋めることができませんでした。想定していた毎月の家賃収入が入らず、月18万8,000円のローン返済ができなくなってしまったため、思いつめられて破産せざるを得ない状況になりました。

3件同時に空室になるのも稀なケースですが、不動産投資をしている人の多くは、ローンの返済を家賃収入で補っているため、空室になることはとても大きなリスクとして運営にのしかかってきます。しかし、うまく運用すれば空室はリスクヘッジしやすいリスクとも言えます。

空室リスクの回避策としては、まずは空室自体が発生しにくい入居率が高い物件や、入居者の満足度が高い物件を選ぶことが大切です。

たとえば、以下のような点を満たす物件であれば、数十年の長期にわたって高い入居率を維持できる可能性が高くなります。

  1. 都心周辺のエリア
  2. 駅徒歩10分以内の立地で、複数路線が利用可能
  3. ターミナル駅にアクセスが良い駅
  4. 新築・築浅の単身者向け物件

また、引越しや転居などで一時的な空室が発生した場合、家賃収入が入らずローン返済を補うことができない場合には、給与収入や貯蓄から支払うことになり、家計が圧迫されることになります。そのため、空室で家賃収入が得られない場合に備えて、普段からキャッシュフローで得た資金を貯蓄しておくことが大事なポイントになります。

よほどの事情がない限り、一般的には3ヵ月前後で次の入居者が入ってきますので、その間の返済分の資金を準備しておけば空室リスクを無事に回避することができます。

毎月のキャッシュフローから3ヵ月分の返済額を貯めるには時間がかかりますので、不動産投資を始める段階で家賃の5倍~6倍の資金(たとえば、区分マンションであれば30万円~40万円程度)を準備しておくことをお勧めします。

2.金利上昇リスク

金利上昇リスクも空室リスクと同様に大きなリスクの一つとなります。以下では、金利上昇に苦しんだBさんの事例をご紹介します。

Bさんは2,500万円の区分マンションを同時に2件購入し、変動金利2.5%で30年ローンを組みました。毎月19万7,560円の返済額になります。家賃は1件当たり9万5,000円でしたので、毎月7,560円の赤字だったのです。購入した不動産会社の担当者の説明では返還される税金で補えるということでしたので、信じて契約しました。また家賃保証ということで、安定した運用ができるはずだったのです。

最初の2年くらいはその状態が続いたのですが、2年後に金利がいきなり3.125%まで上がったのです。そのため毎月の返済額が約21万円になりました。さらに、管理会社から家賃を下げないと賃借人がつかない、と伝えられ、家賃がいきなり6万5,000円まで3万円も下がったのです。試算をすると、返済額と家賃収入の差が約8万円になりました。つまり毎月8万円を給料から支払わなければならなくなったのです。

この場合の失敗の原因は金利上昇だけではありませんが、元々の利回りが低い区分所有の不動産投資においては、小さな金利上昇であっても大きなリスクになってしまいます。

金利上昇リスクを回避する方法としては、以下のようなものがあります。

  1. 購入の際に頭金を多く入れて、支払うべき返済利息を減らす
  2. 繰り上げ返済を行ってローンの元本を減らしておく
  3. 金利の低い金融機関を使う、金利が低くなる物件を選ぶ
  4. 変動金利ではなく、固定金利で契約をする
  5. 購入後は、より金利の低い金融機関でローンの借り換えを行う

また、返済面ではなく家賃収入の面から金利上昇リスクを回避する方法の一つにアパートの一棟投資があります。例えば物件価格8,000万円の一棟アパートを所有しているとして、金利2%、22年でフルローンを組んでいたとします。その場合、ローンの返済額は毎月37万4,818円となります。では、金利が1%上がるとどれくらい返済額が違うのか見てみましょう。

この場合、融資額8,000万円、金利3%、返済期間22年となるので、毎月の返済額は41万4,316円となります。金利2%時の返済額との差は、月3万9,498円となります。アパート1室の家賃が5万円だった場合、1室の家賃分くらい返済額が上がることになります。しかし、アパート一棟の経営の場合は家賃収入の金額が大きく毎月10万円以上のキャッシュフローがあるため、数万円程度の増減であれば、その後の運用に大きな影響は生じません。

一方、区分マンションの不動産投資をしている場合、アパートと比べると利回りが低くキャッシュフローが良くないため、月数万円の返済の増額が大きく響くことになってしまいます。

このように、金利上昇リスクを回避するには、どういった物件に投資するかもポイントになるでしょう。例でご紹介をしたように、金利が上昇してもカバーをすることができる黒字幅を確保しておくことが大切です。

3.家賃保証のトラブルリスク

最近話題性のあるリスクですので、ご存知の方も多いでしょう。直近であれば「かぼちゃの馬車」が有名です。家賃保証を打ち切られ、1億円以上の借金だけが残ったという方が数百人います。このケースでは責任の多くは業者にありますが、契約の仕組みを知っておけば、契約をせずに逃れることができた人もいるのではないかと思われます。

家賃保証とは、一般的には家賃の8割くらいの収入を管理会社が保証するものです。例えば7万円の家賃の場合5万6,000円は保証する、というものです。リスクとしては例えば30年間保証しますよ、と言いながら、すぐに保証できなくなるというリスクです。この場合、空室であれば手元資金からローンの返済をしなければいけなくなります。「かぼちゃの馬車」の場合、毎月の返済額が40万円以上ある人が多くいるため、大きな問題もとなりました。

「家賃保証」というと保証する管理会社が損をしているように思う人もいるかと思いますが、実はそうではありません。賃借人がいる場合は家賃の20%が管理費として入ってきます。一般的に管理費は家賃の3%~4%です。1室家賃保証の部屋で賃借人がいれば、通常の5件分~6件分の管理費を得ることができます。うまく一般管理と組み合わせることで収益を増やすことができるのです。

家賃保証の場合、気を付けなければいけないのは法律です。例えば、途中でオーナーが管理会社の悪い体質に気付いて解約を求めたとした場合でも、解約されないケースがほとんどです。貸主から一方的に解約ができないのは、家賃保証はサブリース契約(管理会社による一括借上げ契約)にあたるため、管理会社は賃借人と同じ位置づけになり、借地借家法という法律で守られるからです。

借地借家法では、賃借人が付かないという理由で家賃を下げるということが今のところ認められています。この場合もオーナーは家賃を下げざるを得ない、というのが現状です。

家賃保証でトラブルになり大きな失敗をしてしまっている人は数多くいます。家賃保証契約には十分注意しましょう。

4.不動産価値下落リスク

不動産を購入する際に、「15年後には資産価値は上がっていますので、売却すれば儲かります」と聞かされたものの、いざその時期になるとそんなに価値は上がっていないばかりか、物件の評価が下がっているというケースもあります。

10年前くらいはこのような話は多くありました。気軽に転売できると伝えることで、購入の障壁を下げようとしていたセールストークなのです。都心の立地の良いエリアであればその可能性も少ないですが、郊外などの不動産の場合は価値が大きく下落することもあります。

不動産の価格下落を回避する策としては、賃貸需要が高く土地の価値が高い都市部のエリアで不動産投資物件を探すことが大切です。しかし、色々な事情であまり良くない場所の物件を購入してしまったことに後で気付いた場合はどのような対策をすればよいのでしょうか。

その場合の策としては、毎月のキャッシュフローを良くする、ということが一つの手となります。最初にすべきことは頭金を多く入れ、できる限りローンの額を抑えることです。ローン金額を抑えることで、毎月の返済額が減るからです。運用を始めたら、繰り上げ返済をしてローンの残債を減らし、毎月の収支をできる限り良くする工夫をすることが大切です。キャッシュフローで得られる資金で、下落分の差額を埋められるのが理想です。

もし毎月のキャッシュフローで、思ったような利益がない場合は売却の時期を検討しましょう。いつかはローンの返済が終わりますので、その時点で見積もりを依頼し、売却をしてトータルで利益が得られるまで売却をしないで待つことが大事です。目先の売却益だけを見て売却をすると、あとで後悔することになります。

物件価格の下落については、購入後に下落したと分かった時点で策を講じてもその後の損失を小さくするということしかできませんので、あらかじめリスクを想定して物件価格の下落があっても利益が出るようにシミュレーションしておくことが大切です。

5.環境の変化によるリスク

初心者の方にはあまり馴染みのないリスクかと思いますが、不動産投資には環境の変化によるリスクというものがあります。

事例としては、所有しているアパートの近くに大学があり、学生が入居してくれるのでいつも満室のアパートだったものの、大学の閉鎖が突然決まり、学生がいなくなってしまったため、空室が多くなり毎月赤字続きになった、という事例です。

このように、物件の周辺環境が変わることがリスクになるケースは往々にしてあります。大学以外の例としては、近くの病院が閉鎖された、となりの敷地に高層マンションが建ち部屋が暗くなった、道路が拡張されるため近隣の住居がなくなり住宅地ではなくなった、などがあります。

では、このようなリスクを回避するにはどのような方法があるのでしょうか。

まずは、物件に賃貸力があるという場合に、周辺施設や周辺環境がどれくらい影響しているかを考えるようにしましょう。たとえば、今の時代、有名大学でもサテライト校は閉鎖するケースは多くなっていますので、近くに大学があるというだけでは安心することはできません。大学以外にも、駅から近いだとか、治安の良い住宅地だとか、賃貸需要を構成する複数の要因が存在するかを確認しておくことが大事です。

また、周りの建築物が増えたり、ライバルになりそうな物件が建つかどうかは、用途地域を調べると良いでしょう。用途地域とは都市計画法に基づいて作成されている建築に関する法律です。その地域に建てられる物件が制限されるものです。

例えば、この地域には低層の建物しか建てられない、あるいは駐車場を10以上設置しなければいけない、といったルールが各用途地域で設定されています。となりが駐車場でも低層しか建てられないエリアであれば高層マンションが建築されることはありません。そういった視点から用途地域を調べてみることで、周りの将来像をイメージするということも可能です。

まとめ

ネットや雑誌の広告などでは不動産投資の成功例やうまく行った時のイメージが先行し、リスクについて考えるということが疎かになっているケースも少なくありません。しかし、不動産投資をやっている人の中には業者から騙されたり、運用がうまくいかなかったりして失敗した人も数多くいます。何が原因で不動産投資が失敗したのかを知っておくことで、失敗しないための秘訣を知ることができます。

今回は5つの大きな投資失敗例について学びました。不動産投資をする前に、様々なシミュレーションを描いておくことが非常に重要です。色々な局面を想定して、安心して不動産投資に取り組めるように対策を進めていきましょう。

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西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。