不動産売却後の現金、どう活用する?相続・住み替えなどケース別に解説

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不動産を売却するとまとまったお金が口座に入るため「何に使ったら良いのか」と戸惑ってしまう方も少なくないのではないでしょうか?

不動産売却後の現金は相続や住み替え、離婚・転勤など、ケース別で活用方法を考える事で適切な使い道が見つけられることがあります。また、売却後に支払う譲渡所得税についてもあらかじめおさえておくことも重要です。

本記事では不動産を売却した後の現金活用方法、譲渡所得税の計算・申告方法と控除制度一覧、売却後の注意点について解説していきます。

※記事内の税金・税率などは2022年4月時点の情報となります。最新の情報については、国税庁などのサイトをご確認のうえ、税理士などの専門家へのご相談もご検討ください。

  1. 不動産売却後の現金の活用方法
    1-1.相続した不動産の売却
    1-2.住み替えによる売却
    1-3.投資用物件の売却
    1-4.離婚による財産分与
  2. 不動産売却後に支払う譲渡所得税の申告・計算方法、控除制度
    2-1.譲渡所得税の控除制度
  3. まとめ

1.不動産売却後の現金の活用方法

不動産売却後の現金の使い道は、売却の要因となった状況によって異なってくると言えるでしょう。また、不動産を取得した経緯によって活用できる税制度も異なってくるため、ケース別の違いを知っておくことが大切です。

以下、4つのケース別にそれぞれ詳しく解説して行きます。

1-1.相続した不動産の売却

身近な人が亡くなり、相続によって得た不動産を売却し手元にお金が残ったケースでは、将来介護施設に入った時の費用に充てる、子供の教育資金に使うなどの活用方法があります。

自身がマイホーム購入や住み替えを控えている場合には購入資金にする、住宅ローンの繰り上げ返済に充てる、リタイア後の資金として積み立てで貯金・投資を行う事例もあります。

相続で注意すべき点として被相続人(亡くなった方)の相続財産が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合には相続税 を納める義務が生じます。

相続開始(被相続人が亡くなった事を知った日)の翌日から10ヶ月以内に、相続税の申告・納付を行う必要がありますので早めに納税額を計算し、税金分のお金を確保しておきましょう。

【関連記事】相続不動産の査定方法は?遺産分割の手順や流れ、査定のタイミングも

1-2.住み替えによる売却

マイホームを住み替えるために売却した方は、新しい家の購入資金に充てるケースが多いと言えます。

マイホーム購入では、ローンの頭金を始め不動産会社への仲介手数料や司法書士への報酬、不動産取得税などの費用がかかりますので、多めに資金を準備しておきましょう。

住み替えによる売却で利益が出た際には譲渡所得税を納める必要があります。売却価格か ら、不動産の購入代金や不動産会社への仲介手数料など「取得にかかった費用」と「譲渡にかかった費用」を差し引き残った代金に対して税金が課されます。

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1-3.投資用物件の売却

投資用物件を売却した代金は、次の投資用物件の購入資金に充てる、別の投資用ローンの返済に充てるなどの活用方法があります。株式や投資信託など別の投資を行っている場合、投資用の資金にする方法もあります。

投資用物件も住み替えと同様に売却で利益が出た時には譲渡所得税が課されますが、住宅では利用できた特例制度を使えないことも多く、課税金額が大きくなりやすい点に注意が必要です。別の投資対象への資金としたい場合には、おおよその課税額を計算してから検討されてみると良いでしょう。

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1-4.離婚による財産分与

離婚の場合、婚姻中に購入した不動産の費用を夫婦で協力して形成した場合、売却代金は夫婦の共有財産です。夫婦の一方が働きに出て、一方が専業で主夫又は主婦をしていた際でも資産形成に貢献したとみなされ共有財産の2分の1を貰う権利があります。

財産分与は基本的に2分の1で公平に分与することとなりますが、慰謝料や離婚後の生活資金として多めに財産を譲る場合もあります。不動産の売却代金も他の共有財産と同様に2人で話し合い合意した内容で分割します。

離婚の財産分与では原則として贈与税がかかりませんが分与された額が様々な事情を考慮しても多いと判断された場合や、贈与税や相続税を免れるために離婚したと認められる場合には贈与税が課されます。

不動産を伴う離婚時の財産分与には、不動産の査定を行って適正な価格で分与を行うことが大切です。不動産査定を行う際は、下記の記事もご参考ください。

【関連記事】離婚後に不動産査定でもめないためには?査定方法を2つ紹介

2.不動産売却後に支払う譲渡所得税の申告・計算方法、控除制度

不動産売却で売却により利益が生じた時には譲渡所得税を支払います。譲渡所得税は、基本的に不動産の引き渡し日の属する年度(1月1日~12月31日)の翌年に所得として確定申告と納付を行います。

確定申告の期間 は2月中旬から3月中旬までで、以下3つの方法から選ぶことが可能です。

  1. 管轄の税務署窓口への持参
  2. 郵送
  3. 電子申告(e-Tax)

売却後にマイホームを購入し、住宅ローン控除 を希望する方は入居した翌年に申請を行います。譲渡した年に新居へ居住した際は、譲渡所得税の申請と住宅ローン控除の申請を確定申告により同時に手続きが出来ます。

譲渡所得税は、売却代金から取得にかかった費用と譲渡にかかった費用を差し引いた金額に税率をかけて計算します。税率は所有期間によって異なり、不動産を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える際は「長期譲渡所得」に、5年以下の場合は「短期譲渡所得」になります。

区分 所得税 住民税
長期譲渡所得 15% 5%
短期譲渡所得 30% 9%

※参照:国税庁「土地や建物を売ったとき

2-1.譲渡所得税の控除制度

不動産を売却した際には譲渡所得税の各種控除制度を利用できる可能性があります。

売却のケース 制度の名称 制度の概要
マイホームを売却した 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例 マイホーム(居住用財産)を売却し、一定の要件(売主と買主が親子や夫婦など特別な関係ではない、自身が住んでいる家屋を売る又は家屋と同時に敷地・借地権を売却するなど)を満たしている場合最高3000万円が控除される
被相続人の住んでいた家を売却した 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 相続または遺贈により取得した被相続人の住んでいた家屋又は被相続人が住んでいた家屋の敷地等を、2023年12月31日までの間に売却し、一定の要件に当てはまる方は、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できる
マイホームを買い替えた 特定のマイホームを買い換えたときの特例 マイホーム(居住用財産)を、2023年12月31日まで に売却し、買い換えた際には一定の要件を満たしたときに譲渡益に関する税金を将来に繰り延べることができる※非課税となるわけではない
マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じた マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 マイホームを2023年12月31日 までに売却して、新たにマイホームを購入した場合で一定の要件を満たす際に、旧居の譲渡により損失が生じた時、譲渡損失を給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)することができる
損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡した年の翌年以後3年以内に繰り越して控除(繰越控除)することができる

まとめ

不動産売却後の現金の活用として、新居の購入資金にする、子供の教育資金に充てる、老後の資金として貯めておくなどの方法があります。

売却時に利益が出た場合は、売却した年の翌年に譲渡所得税を支払いますので税金用にお金を取っておきましょう。

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田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。