不動産売却の仲介手数料は値引き交渉できる?成功事例や注意点を解説

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不動産を売却するときの仲介手数料は、100万円を超えるケースもあるため、値引き交渉したいと思う人もいるでしょう。

不動産売買における仲介手数料を不動産会社に値引き交渉することは可能です。ただし、実際に値引き交渉が成功するケースは少なく、値引き交渉に成功したケースでも注意したいデメリットがあります。

この記事では、仲介手数料の値引き交渉ができる理由とその成功要因、そして値引き交渉する際の注意点について詳しく解説していきます。

目次

  1. 不動産売却で仲介手数料の値引き交渉を成功させる5つの事例
    1-1.媒介契約の締結前に仲介手数料の値引き交渉をする
    1-2.不動産会社が媒介契約を違反したときに交渉する
    1-3.専属専任媒介契約を結ぶ
    1-4.不動産の売出価格の減額交渉に応じる
    1-5.仲介手数料率を3%(上限)以下に設定している不動産会社に依頼する
  2. 仲介手数料の値引き交渉をする際の注意点
  3. まとめ

1.不動産売却で仲介手数料の値引き交渉を成功させる5つの事例

仲介手数料率は、以下のように不動産の売買価格によって利率が決まっています。

売買価格 仲介手数料率
200万円未満 売買金額×5%
200万円超~400万円以下 売買金額×4%+2万円
400万円超 売買金額×3%+6万円

規定の利率以下であれば、不動産会社は仲介手数料率を自由に設定することが可能です。たとえば、不動産の売買価格が2,700万円の場合「2,700万円×3.3%+6.6万円=95.7万円(税込)」以下の範囲で仲介手数料をいくらに設定しても良いことになっています。

上記の上限いっぱいに請求されても、それ以下であれば値引き交渉する余地があるといえます。ただし、不動産会社からすれば自社の利益が下がるため、値引き交渉されても簡単に承諾できないでしょう。

下記、仲介手数料の値引き交渉を成功させた事例について解説していきます。

1-1.媒介契約の締結前に仲介手数料の値引き交渉をする

媒介契約書には「仲介手数料」を明記する箇所があるため、媒介契約を結んだ後に値引き交渉しても減額に応じてもらえる可能性は低くなります。

媒介契約は査定依頼してから1~2週間程度で結ぶケースが多いため、訪問査定時に値引き交渉をするなど、交渉できるタイミングを検討してみましょう。

1-2.不動産会社が媒介契約を違反したときに交渉する

不動産会社が媒介契約違反したときなど、不動産会社に落ち度があった場合に仲介手数料の減額交渉が行われることがあります。

媒介契約違反の事例として、売却報告義務の違反があります。以下のように媒介契約ごとに不動産会社の義務(契約内容)は異なりますが、不動産会社によってはこれらの報告義務を守らないケースがあります。

比較項目 一般媒介 専属専任媒介 専任媒介
レインズ登録 義務なし 契約後5日以内 契約後7日以内
売却報告義務 義務なし 1週間に1回以上 2週間に1回以上

上記を怠れば、不動産会社が媒介契約違反している状態のため、それを材料に値引き交渉を進めることも可能でしょう。

ただし、仲介手数料の値引きに応じてもらえた場合でも、媒介契約違反をしている不動産会社を信頼できるかどうかという問題が残ります。

また、無理な減額交渉を進めてしまうと不動産会社内での売却の優先順位が下がり、売却が長期化してしまう可能性もあり得ます。仲介手数料の値引き交渉をする前に「媒介契約違反を解除するかどうか」を視野に入れたうえで、交渉をするかどうか検討してみましょう。

【関連記事】不動産売却を依頼する不動産会社選びのポイントとは?プロが解説

1-3.専属専任媒介契約を結ぶ

媒介契約は「一般媒介」「専属専任媒介」「専任媒介」の3種類ありますが、その中でも専属専任媒介契約では値引き交渉に成功する可能性が高いと言えます。

その主な理由として、専属専任媒介契約における契約内容では下記2点の特徴があるためです。

  • 1社としか媒介契約を結べない
  • 売主が買主を発見しても仲介手数料は発生する

1社としか媒介契約を結べない

専属専任媒介契約は1社としか媒介契約を結べないため、不動産会社からすると媒介契約期間中に「先に他社が成約してしまう」というリスクが無い契約内容となっています。

仲介手数料は成功報酬のため、先に他社が成約してしまうと仲介手数料をもらえず、その物件を売却するために投下した広告費や人件費が無駄になります。

専属専任媒介契約だとそのリスクがないため、他社との競合となる一般媒介契約に比べると不動産会社も値引き交渉に応じる可能性は高くなります。

売主が買主を発見しても仲介手数料は発生する

専属専任媒介契約の場合は、売主が買主を発見(自己発見取引)したときでも仲介手数料が発生します。

たとえば売主の知人が、売主に直接連絡をしてマンションの売買が成立したとします。その場合は不動産会社が買主を仲介したわけではないため、一般媒介契約や専任媒介契約を結んでいれば仲介手数料は発生しません。

しかし、専属専任媒介契約の場合は、このような自己発見取引でも、売主は不動産会社へ仲介手数料を満額支払う必要があります。不動産会社からすると、専属専任媒介契約なら「仲介手数料を取り損ねる」というリスクが低い契約と言えます。

このように、専属専任媒介契約は不動産会社にとってメリットのある契約形態である背景があります。専属専任媒介契約を締結する代わりに、仲介手数料の減額は可能かどうか、確認してみると良いでしょう。

1-4.不動産の売出価格の減額交渉に応じる

不動産の売却活動期間中に、不動産会社から売出価格の減額交渉をされることがあります。

たとえば査定価格が2,300万円のマンションを売却するときは、値引きされることも加味して2,300万円よりも少し高く売り出すことがあります。しかし、売り出し価格を高くすることで集客が減り、売却期間が長期化してしまう可能性も少なくありません。

不動産売却の期間が長期化すると成約確率が下がり、不動産会社と売主双方にデメリットがあります。売出価格の減額は売主にとっては手残り金額が減少することになるため、不動産会社は仲介手数料の値下げに応じる可能性があると言えます。

ただし、売出価格の減額は不動産会社の仲介手数料の上限も減少しているため、不動産会社の利益はすでに少なくなっており、手数料減額の交渉に応じてもらえない可能性は高いと言えるでしょう。

相場に対する適正な売出価格の設定は、売却期間の長期化を防ぎ、不動産会社だけでなく売主にもメリットのある手段です。無理な交渉を進めず、手残り金の希望金額を伝えるなど、まずは相談から始めてみましょう。

1-5.仲介手数料率を3%(上限)以下に設定している不動産会社に依頼する

はじめから仲介手数料率を3%(上限)以下に設定している不動産会社もあるため、そのような不動産会社へ売却依頼をすることで、交渉をせずに仲介手数料を下げることが可能です。媒介契約締結前に仲介手数料の設定利率について確認してみましょう。

仲介手数料を低く設定している不動産会社を探す際は、不動産一括査定サイトなどで複数の不動産会社へ同時に問い合わせることで効率的に確認することが可能です。下記は主な不動産一括査定サイトの一覧です。

主な不動産一括査定サイト

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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧

ただし、売却を依頼する不動産会社を選ぶ際は仲介手数料だけなく、不動産の売出価格(査定価格)の提示金額や、査定根拠の説明、営業マンの対応内容などを総合的に判断し、慎重に検証することが大切です。

仲介手数料の減額に成功しても、適正な不動産価格で売却が出来なかったり、広告費の削減によって売却が長期化してしまうことで、手数料減額以上のデメリットを被ることがあります。仲介手数料だけでなく、その他の項目についても確認をするようにしましょう。

2.仲介手数料の値引き交渉をする際の注意点

ここまで、仲介手数料の値引き交渉が成功した事例について解説しました。

ただし、仲介手数料の値引き交渉をする際は「無理な値引き交渉はしない」という注意点があります。仲介手数料を無理に値引いた場合は不動産会社の利益が減り、以下のような対応となる可能性があるためです。

  • 広告費を抑える
  • 人件費を抑える

利益が減った分、不動産会社は広告費・人件費(支出)を抑える可能性があります。広告費を抑えると集客力は落ち、人件費を抑えると営業担当者の担当物件が増えるため、1つの物件に注ぐ時間が減ってしまいます。

これらは両方とも物件の売却が遅れる要因になります。仲介手数料の値引き交渉する際は無理な交渉は避け、双方にとってメリットのある交渉を進められるかどうか検討してみましょう。

まとめ

不動産を売却するときに仲介手数料を下げることは可能であり、「媒介契約の締結前に交渉する」「専属専任媒介契約を結ぶ」ことによって交渉が成功する可能性を高めることが可能です。

ただし、値引き交渉する際は無理な値引き交渉はせず、不動産会社も納得できるように交渉することが重要です。仲介手数料だけでなく、まずは適正な売出価格や、売却期間の調整が行える不動産会社へ依頼することを検討してみましょう。

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中村 昌弘

都内の大学を卒業後にマンションディベローパーに就職。マンションディベロッパーでは、新築マンションの販売や中古不動産の仲介業務に従事する。 2016年に独立して、不動産関係の記事を中心としたライター業務としても活動。自身のマンションを売却した経験もあるため、プロの視点・一般消費者の視点と、両方の視点を持った記事が執筆できる点が強み。