【仮想通貨投資の始め方講座】仮想通貨トレードの注意点と失敗例

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今回は初心者の方向けの「仮想通貨(暗号資産)トレードのはじめ方」シリーズの集大成として、仮想通貨トレードにおける注意点と失敗例について解説します。

実際のところ、自分が経験して初めて理解できるような部分もあるかといます。しかし、厳しいトレードの世界で生き残っていくためには、ミスを減らすために万策を尽くすぐらいがちょうど良いと思います。他人の失敗からうまく学ぶことのできる方は、トレードにおいてのリスク管理にも長けていることが多いものです。

相場の世界は大きな利益を期待できる一方で、せっかく築き上げた資産も、数日で簡単に失う事ができます。そうならないためにも、よくある失敗を事前に学び、うまく同じ失敗を回避できることを願います。

目次

  1. 短期トレードの注意点
    1-1. 時価総額の確認
    1-2. レバレッジをかけすぎない
    1-3. 安易な逆張りは避ける
  2. 長期投資の注意点
    2-1. 投資対象の将来性を検証する
    2-2. 一喜一憂しない
    2-3. 決済後の高値掴みをしてしまう
  3. 仮想通貨トレードの失敗例
    3-1. 取引ルールを知らないことによる失敗例
    3-2. 税金が払えない事態に陥る
    3-3. 上場されていないアルトコインを購入して失敗
    3-4. 海外仮想通貨取引所で失敗
  4. 失敗しない為の仮想通貨取引所選び
    4-1. 金融庁認可の国内仮想通貨取引所
    4-2. サポートが充実している国内仮想取引所
  5. まとめ

①短期トレードの注意点

まずは、仮想通貨トレードに挑戦する多くの方が実行するであろう、短期トレードにおける注意点について解説します。

1-1. 時価総額の確認

既に何度か時価総額の大切さは伝えてきました。理由としては、時価総額の低さがボラティリティの大きさにつながるため、時価総額の低い金融商品は想定外の乱高下が発生しやすい性質があるからです。仮想通貨の短期トレードの難しさは、この点にあると言っても過言ではありません。

また、最も予想がしづらい値動きの原因となる理由の一つであるのが、大口の取引が発生した時の値動きです。特に時価総額の低い仮想通貨ほど大口の影響が強くなります。

オンチェーン分析データをしっかり確認することで大口の動向はある程度掴めますが、それがいつ起こるかまでは予想することは非常に困難です。また、アルトコインではそこまで詳細のオンチェーン分析データがないため大口の動向の把握自体が難しい状況です。急な大口取引はファンダメンタルやテクニカル分析の結果とは全く関係がない方向に動く事もあります。

仮想通貨のマーケットは、そのような市場環境であるということを理解し、突発的な想定外の出来事が発生する前提でトレードルールを決めるべきです。さらにはFXトレードや大型株の取引以上に資金管理や決済ルールを遵守すべきということになります。また、自分の手法の有効性を1度の失敗で判断してしまわないことも大切になります。

1-2. レバレッジをかけすぎない

FXトレードでは少なくとも10倍程度のレバレッジをかけることは当たり前のような世界ですが、仮想通貨の激しい値動きが発生する可能性の高い金融商品でレバレッジをかけることは非常にリスクの高いことだという認識が必要です。

しかし、レバレッジをかけたトレードを推奨しないという意味ではありません。スキャルピングなどのごく短時間で決済をする手法であれば有効活用が出来ると思います。

レバレッジをかけたトレードする際に最も重要な点は、資金管理を徹底するということです。エントリーする時点で、損切りのポイントは決めておくべきで、一度決めた損切りポイントは無条件で守るという方法が良いと思います。

FXトレードであれば感情的な痛みの引き伸ばしではなく、変更する根拠さえしっかりしていれば、損切りポイントを変更するという措置も問題ないと考えますが、ボラティリティの大きな仮想通貨トレードにおいては損切りポイントはエントリーと同時に逆指値で注文することが大切です。

1-3. 安易な逆張りは避ける

仮想通貨の特徴の一つとして、トレンドの勢いが強く継続する時間も比較的長くなるという傾向があります。FXトレードの場合は仮に100pipsの上下動があったとしても、通貨の価格からの割合では1%未満の動きにすぎないことが多い一方で、仮想通貨の場合は1日に10%以上動くこともよくあります。

そのような特徴のある金融商品をトレードする際に、短い時間足での逆張りを仕掛けるリスクは大きいと考えるべきです。よく日本人は逆張り好きと言われますが、逆張りを仕掛ける際は、日足以上の長い時間足でのチャートをベースに移動平均からの乖離率が過去の動きから見て妥当な水準になっていることを確認してエントリーする必要があります。

②長期投資の注意点

続いて長期投資における注意点について解説します。

2-1. 投資対象の将来性を検証する

意外にも多くの方が、投資対象について何も知らずに投資をしています。ニュースなどでビットコインの値上がりが伝えられ誰かが儲かったから自分も儲けたいというだけで、仮想通貨の購入をされる方が多いのです。仮想通貨に限らず投資においてバンドワゴン効果と呼ばれる典型例でもありますが、賢い投資家であるならばその前兆を予見して、バンドワゴン効果が最大限に働いている際に利益確定をするものです。

何も知らずに投資をしている場合、当然値上がりしている理由も値下がりする理由も理解していないことが多いです。そのため値下がりが始まると不安感に支配され、投資をした際と同様に感情的な投げ売りをしてしまいます。

賢い投資家は、そのような無知な投資家の行動を最初から理解しており、無知な投資家が売り終わったところで再び買いを入れ次のバンドワゴンを待ち続けます。

無知な投資家にならないためには投資対象の特徴や将来性に関して十分なリサーチをするべきです。その時々の世界的な経済状態を反映して投資が集まる市場は変化します。つまり、長期の投資をする際は、仮想通貨に限らず世界経済の大きな流れを読む必要もあります。

2-2. 一喜一憂しない

まず、長期投資の際は前提として長い時間をかけたキャピタルゲインを狙いに行く投資手法であるため、利益確定をするまでの期間には高い確率で大きなドロップダウンが発生し、時には投資した金額よりも低い評価額となり含み損を抱える期間が発生する可能性も高いです。こうした際、確定していない含み益が大幅に減少したことを大きな損と捉えてストレスに感じる方も多いようです。

しかし、含み益が発生している時も、含み損が発生している時も一喜一憂してもあまり意味がありません。特に2017年後半から2018年頭の第一次仮想通貨ブームと言っても良い現象の際に、多くの方が高値づかみをした結果の損失を被っています。しかし、それでも2021年の3月まで長期保有をしていた場合は、利益が出ていたことでしょう。

仮想通貨に対して長期投資をする場合は、予め期待した利益に到達した時点で利益確定をするか、許容できる損失を決めておく必要があります。また、毎日行う必要はありませんが、定期的にファンダメンタルズをチェックしながら、目標利益や損切りポイントの調整を行うと良いでしょう。ロードマップが公表されている仮想通貨に関しては、ロードマップ上の重要なポイントをチェックしておくと、後々決済判断に役立てることができます。

日本で上場されている仮想通貨の多くは、レンディングサービスにも使用できるため長期投資の際はキャピタルゲインだけではなくレンディングサービスも活用するとよいでしょう。また、ステーキングサービスを受けられる仮想通貨もあるため、ただ値上がりを待ち続ける長期投資ではなくアクティブな運用も可能となっているのが仮想通貨の長期投資です。

2-3. 決済後の高値掴みをしてしまう

どこで利益確定をするかという問題は長期投資においては難しい問題です。

投資資金が倍になれば満足する人、10倍にならないと満足できない人、また、そもそもの投資金額の大きさによっても利益の絶対額が変わるため、満足値は人それぞれであると思いますが、相場の失敗経験が多いほど利益が出るとすぐに確定したくなる心理が働きます。

長期投資に限らず初心者によくある失敗として、思わぬ急騰をした際にここぞとばかりに利益確定をし、一旦の調整をこなした後にその後も上がり続けた価格をまだ上がると思い再び買いでエントリーをした結果、そこから下がりじめるという、天井で買いポジションでとってしまう、いわゆる「高値掴み」です。

一度、決済して利益を得ているにも関わらず、さらに価格が上昇すると損をしてしまった気になってそのような行動をとってしまいがちとなります。

投資には「頭と尻尾はくれてやれ」と言う言葉もあるとおり、一度決済した物は再度購入する場合も適切な長さの時間をおいて、再検討した上で下がったところを買うように心がけると良いでしょう。

③仮想通貨トレードの失敗例

次に仮想通貨トレードにおける失敗例について解説します。

3-1. 取引ルールを知らないことによる失敗例

取引ルールを知らないことによる失敗例はどのような金融商品のトレードであっても初心者にはよく起こります。

仮想通貨トレードにおいて、取引ルールを知らないことによる失敗としては以下のようなものがあります。

  • レバレッジ取引において、日を跨ぐときに発生する手数料のことを知らなかった。
  • レバレッジ取引においてロスカットルールや追証に関して知らなかった。
  • 出金する際や仮想通貨を転送する際の最低必要数量を理解しておらず、出金や転送ができなくなってしまった。

いずれにしても、仮想通貨取引所のサイトやマニュアルをよく読む事と、わからない部分はサポートに確認するなどして取引ルールを理解してから取引する事が大切です。

3-2. 税金が払えない事態に陥る

仮想通貨トレードの税金に関してFXトレードと同様だと言う認識でいると、うまく利益が出た際に思わぬ事態が発生します。株やFX取引は分離課税が適用され所得税プラス住民税で20.315%の優遇税率が適用されますが、仮想通貨の税金に関して総合課税の雑所得が適用されます。

総合課税の場合、会社から得た給与所得など他の所得と合算して累進課税率が適用されます。総合課税の累進税率は、最大で45%、さらに市民税として10%の合計55%の税率が適用されます。仮に仮想通貨取引で1億円の所得があった場合は、5,500万円の納税が必要となる計算となります。

また、総合課税のため仮想通貨取引以外の所得と合計されます。

例えば給与所得者の場合は、給与所得が500万円で仮想通貨取引の所得が500万円の場合は、1,000万円の税率が適用されるため、給与所得を500万円に対しても1,000万円の税率で納税する必要が生じます。500万円の所得税分の累進課税率は20%で基礎控除などを考慮しない場合は100万円の納税が必要なところ、40%に税率が上がるため200万円の納税が必要で、給与所得分の納税額が倍になり、住民税10%の20万円も必要です。仮想通貨の納税額は所得税200万円に加えて住民税20万円の合計220万で、合計440万円となります。

この納税額を確定申告のタイミングで支払う事ができない場合は、最大年利14.6%の延滞税の支払いが必要となります。この仕組みを知らずに出金した利益をすぐに消費してしまい延滞税を支払う自体に陥ったという失敗は避けたいものです。

3-3. 上場されていないアルトコインを購入して失敗

金融庁の認可を受けた仮想通貨取引所以外で仮想通貨に投資をした結果の失敗もよくあるようです。

これはある個人や団体などが独自の仮想通貨を発行し投資を募っているケースが多く、厳密には出資法違反であるにもかかわらず、投資をされる方はそのような事は露も知らず知人に紹介されたなどの理由で投資をしてしまうケースがあるようです。

実際にあったケースで言うと、ある団体が発行した仮想通貨に投資をした結果何年たっても資金を出すことができないと言うケースやある仮想通貨取引所に上場されると言う説明を受けたにもかかわらず一向に上場されないケースなどもあるようです。

実は仮想通貨の発行は個人でも驚くほど簡単にできてしまいます。そのため真実と虚偽が見分けづらいという特徴もあります。そのような失敗を避けるためには、仮想通貨取引所に上場されている仮想通貨のみで取引をするのが賢明な選択です。

3-4. 海外仮想通貨取引所で失敗

海外仮想通貨取引所で取引を行う場合も仮想通貨初心者は、失敗することが多く見られます。

海外FX会社等は実際は日本人が経営していたり、スタッフに日本人を雇用しているため日本語でのサポートが充実している場合も多いですが、仮想通貨取引所の場合はほとんどが英語のみのやり取りでサポートもメールでの連絡だけといった場合が多いようです。

そのため仮想通貨取引所とのコミュニケーションがしづらく、苦情を訴える先も不明確であったりするためトラブルが発生した際に日本の仮想通貨取引所とは比べ物にならないほど難しい事態に陥ることもあるようです。また、取引ルールそのものが日本の仮想通貨取引所と違っていたり、ルールを理解するにも専門用語の多い英語の文章を理解する必要があります。

さらにドル建ての口座や取引所が発行する仮想通貨をベースに取引することになるため税務申告等の面においても、申告書類の提出が日本の仮想通貨取引所で取引した場合よりも作業が煩雑で難しくなるでしょう。

④失敗しない為の仮想通貨取引所選び

上記のような失敗をしないためにはやはり国内仮想通貨取引所から始めることをお勧めします。

4-1. 金融庁認可の国内仮想通貨取引所

失敗するリスクを最小限に抑えるための最も安全な仮想通貨の購入・売却方法としては日本国内の金融庁に認可された仮想通貨取引所を使用することでしょう。日本において仮想通貨取引所の認可を取得するには金融庁の事前審査に合格し、認可を得た後も継続的な監査に対して基準を満たす必要があります。

そのため少なくとも日本国内においては最も安全な取引先と言うことができます。また、各仮想通貨取引所は競合との差別化が必要なためサービスの充実を図っていますし、サポートの体制もしっかりしており信頼のおける取引先でもあります。

4-2. サポートが充実している国内仮想取引所

特に日本国内の仮想通貨取引所のサポートの充実ぶりは大変優れたものであると言えます。サポートに関しての時間も長く、メールだけではなく、LINEや電話での質問などが可能です。また、苦情処理の窓口もある所が多く、海外仮想通貨取引所で解決できない問題であっても容易に解決する事ができるでしょう。確定申告に必要な取引記録などの書類も簡単に入手する事ができます。

国内仮想通貨取引所として、サポート体制に定評のある取引所は以下の取引所です。

これらの仮想通貨取引所は、取引ツールなど、取引そのもののしやすさという点からもお勧めできるため、ぜひ口座開設を検討してみてください。

⑤まとめ

本サイトでは、他にも個別の通貨ペアに関するトレード手法や仮想通貨の特徴、時事問題などについても解説しています。ぜひ、そちらも合わせてご覧いただければ幸甚です。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12