2020年以降も不動産投資は大丈夫?おすすめの物件や購入タイミングは?

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東京オリンピックの開催が決まってから、東京都心の不動産価格は上昇してきました。東京オリンピックが開催される2020年以降、不動産価格はどのように推移していくのでしょうか。不動産投資は大丈夫なのでしょうか?

2020年以降に想定されている問題と住居ニーズ、ライフスタイルなどを考えながら、これから不動産投資をする際のおすすめの物件や購入のタイミングについて解説します。

目次

  1. オリンピック開催で不動産価格はなぜ上がる?
  2. マンションのストック数は増え人口は減っている
  3. 日本が抱えている2022年問題、2025年問題、2035年問題とは
    3-1.2022年問題でさらに住宅の供給が急増する
    3-2.2025年問題で家計が圧迫され不動産投資の機会が減る
    3-3.2035年問題ではさらに投資機会が減少する
  4. 2020年以降はエリアを絞った投資スタイル
  5. 東京都の不動産投資物件はコンパクトマンションを選ぶ
    5-1.住居ニーズは社会情勢やライフスタイルで変化する
    5-2.夫婦二人世帯数、独身世帯数は急減しない
    5-3.東京オリンピック以降に需要が見込まれる物件は?
  6. まとめ

1.オリンピック開催で不動産価格はなぜ上がる?

まずは、そもそもオリンピック開催が不動産市場にとってなぜプラスに働くのかを考えてみたいと思います。

オリンピックが開催される国では、道路や鉄道などの交通網が整備されたり、訪日外国人のための宿泊施設や商業施設などが用意されるなど、都市そのものが再開発されます。

再開発された都市には人が集まりますので、住む人が増えて不動産の需要が高まり、不動産価格が上がるという流れになります。

ただ、それらの再開発はオリンピックに向けて行われることになりますので、オリンピック開催前と比べると開催後は不動産などの需要も落ち込んでしまう可能性がある、ということが考えられます。

2.マンションのストック数は増え人口は減っている

2020年以降に考えられる問題の一つはマンションの供給数と人口の関係です。不動産価格は需要が高ければ上がりますし、需要が低ければ下がります。

国土交通省が発表しているマンションのストック数推移グラフを見てみましょう。新規のマンション供給数は平成19年の20数万戸をピークにその後は10万戸前後に落ちついていますが、ストック総数は毎年増え続けています。

国土交通省・分譲マンションストック戸数*国土交通省「分譲マンションストック戸数」から引用

供給数が増えているということは、不動産価格は下がることが予想されます。さらに人口の減少が今の日本では大きな問題になっています。総務省統計局の将来人口予想数では日本の人口は2020年以降も減り続けていくことが予想されています。

日本の将来人口の予測*総務省統計局の資料を基に作成

マンションのストック数が増え、人口は減少していきますので、この2つの関係だけを見ると、2020年以降、不動産価格は下がっていくことが考えられます。

しかし、不動産取引は個別取引になるので、総数では供給数が多くても、需要の大きい物件というものが存在します。そのため、ストック総数と人口の関係だけで不動産価格が下がるとは判断しにくい面もあります。あくまで参考材料にして、他の要因も見て総合的に判断することが重要です。

3.日本が抱えている2022年問題、2025年問題、2035年問題とは

需要と供給の関係だけであれば2020年以降の不動産価格は下がる可能性が予想されます。需要と供給の関係以外に不動産価格に影響する材料として、2020年以降、日本では大きな問題を抱えていることが知られています。

特に2022年、2025年、2035年には不動産市場に影響のある問題が起こると想定されています。これらの3つの問題について見てみましょう。

3-1.2022年問題でさらに住宅の供給が急増する

2022年問題とは生産緑地法という制度が解除され、農地が住宅地として使用できるようになることで住宅の供給が急増することが懸念されている問題のことを言います。

生産緑地法とは1974年に公布され、1992年に改正された農地に関する制度です。この制度は、急激に進む土地不足と地価の上昇を緩和するために施行されたものです。緑地のままで農業を継続することで、所有者は税制面で優遇を受けられるようになったのです。

その期限は30年となっていて2022年で満期を迎えます。制度が解除されると所有者が負担する固定資産税の額が大きく跳ね上がるため、多くの土地が市場に出てくるのではないかと予想されています。

生産緑地法に指定されている土地は全国で約1万3,653ヘクタール、東京ドームで2,968個分になります。もともと市街化区域が指定されている土地のため、住宅を建てることは問題ない土地です。

相続税対策のためにアパートを建てる人もいるでしょうし、売りに出される土地は大手のディベロッパーがまとめて購入し、大型マンションなどが建設されることが予想されます。

人口が減り、マンションのストックが増え続けている中、さらにアパートやマンションが増えるということであれば、不動産価格が下がる材料が増えることになります。

3-2.2025年問題で家計が圧迫され不動産投資の機会が減る

2022年の次に2025年問題が不動産市場に影響してくると考えられています。2025年問題とはどういったものなのでしょうか。2025年問題を理解するためにまず下のグラフを見てみましょう。

2025年の日本の人口ピラミッド*国立社会保障・人口問題研究所「人口ピラミッド画像(2025年の画像)から引用

このグラフは国立社会保障・人口問題研究所が予測する2025年の日本の人口ピラミッドです。縦の数字が年齢、横の数字が人口です。右側が女性、左側に男性の人口が棒グラフで表してあります。

このグラフの75歳から78歳くらいまでの突出している部分が団塊の世代と言われている年代です。次に突出している51歳から54歳くらいの層が団塊ジュニア世代と言われている年代です。

2025年問題とは、団塊の世代の全ての人が後期高齢者に当たる75歳を迎えることから、介護や医療費などの社会保障費が急増することが懸念されている問題のことを指します。高齢者が多くなると、年金や社会保障費などを主に担っている若い世代の家計が圧迫されることになります。

社会的にそのような問題が懸念されている中で、不動産投資業界においても投資機会の減少が懸念されています。若い世代の家計から社会保障にかける割合が増え、投資に回す資金が減ることが考えられるからです。

3-3.2035年問題ではさらに投資機会が減少する

2025年問題の後に2035年問題という事象が、さらに若者の家計を圧迫するのではないかと心配されています。

2035年には先ほど触れた団塊の世代が85歳になり、医療費用や介護費用の負担が本格化します。下のグラフが2035年の人口ピラミッドの予測グラフです。

2035年の日本の人口ピラミッドの予測グラフ*国立社会保障・人口問題研究所「人口ピラミッド画像(2035年の画像)から引用

2035年に心配されることはそのことだけではありません。さらなる懸念材料として、団塊ジュニア世代と言われる年代が65歳となり、年金受給の時期を迎えることが挙げられます。

65歳以上の人口の割合は5人に1人となり、若い世代への社会保障費の負担は2025年以上に重くのしかかってくることになります。このことから、2035年問題では2025年以上に不動産投資へ向けられる資金が減少することが予想されます。

4.2020年以降はエリアを絞った投資スタイル

世界的に、オリンピック開催国ではオリンピック開催後の不動産価格が下がっていることがわかっています。また日本でもオリンピック開催年の2020年以降はマンションの供給数は少なからず増加傾向にあり、人口は減少することがわかりました。いくつかの問題が重なり、不動産価格が下がる材料が多い中、上がる材料もいくつかあります。

日本全体では人口は減少傾向にありますが、東京都とその近隣では世帯数の増加が予測されるエリアがあります。下のグラフを見てみましょう。これは国立社会保障・人口問題研究所がまとめた都道府県別の一般世帯数の推移を表したグラフです。

このグラフでは2010年から2035年までの5年ごとの都道府県の人口推移を見ることができます。2010年から2035年までの世帯数の増加率と、5年ごとの増加率も試算されています。

2035年までの5年ごとの都道府県の人口推移

北海道から南は鳥取県までしか抜粋していませんが、この表から世帯数について以下の2点がわかります。

  1. ほとんどの県で2035年まで減少傾向
  2. 東京都、神奈川県、埼玉県、愛知県、滋賀県では2010年から2035年にかけて増加傾向

日本全体の人口と世帯数は今後も減り続けますが、上記5都県に限っては2035年までは世帯数は増加することが予測されています。

特に東京都や神奈川県、愛知県はすでに不動産投資は人気のエリアであり、不動産を建てる土地が少なくなってきているエリアでもあります。再開発は継続して行われているため、不動産価格が上がる材料は十分揃っていると言えます。

このことから投資エリアを絞ることで投資チャンスが生まれてくることが予想できます。

5.東京都の不動産投資物件はコンパクトマンションを選ぶ

では、どのようなタイプの不動産を選択すればメリットがあるのでしょうか。ここでは東京都の物件に絞って考えてみます。

5-1.住居ニーズは社会情勢やライフスタイルで変化する

まず新築で建築された物件の広さから住居ニーズを考えてみましょう。以下のグラフは東京カンテイが発表した東京23区、大阪市、名古屋市の1992年から2012年までの新築マンションの専有面積推移です。

このグラフから読み取れることとしては、どのエリアも2000年くらいまでは面積は広くなる傾向にありましたが、その後は拡大傾向が止まっているという点です。

東京23区、大阪市、名古屋市の1992年から2012年までの新築マンションの専有面積推移

専有面積が一時期より狭くなっている理由として、日本では全体的に所得が停滞していて広いマンションの購入層が増えていないことや、夫婦だけで子供がいない世帯や独身世帯が増えていることが考えられます。このことから専有面積は広ければ良いということではないことがわかります。投資物件を選ぶ際は社会情勢や、ライフスタイルの変化に注目して検討することが重要です。

5-2.夫婦二人世帯数、独身世帯数は急減しない

次に世帯人数について見てみましょう。以下のグラフは東京都政策企画局が作成した東京都の家族類型世帯数の推移です。

*東京都政策企画局「東京都の家族類型別世帯数の推移」から引用

このグラフから、東京都では2035年までは「夫婦と子供から成る世帯」を除き、どの世帯も増加することがわかります。特に夫婦のみの世帯は2045年まで増加しています。独身世帯も急減しないことから、結婚しても子供はいらないという夫婦が増えていることと、一生独身というライフスタイルを好む人が増えていることがうかがえます。

このことから、都心であれば広めの1ルームマンションや1LDKのタイプであれば入居ニーズが期待できることがわかります。

5-3.東京オリンピック以降に需要が見込まれる物件は?

東京都の住居の広さの推移と世帯数の推移を見てみました。東京都では独身や夫婦二人だけの世帯が急減しないことがわかりました。

一昔前までは都心から電車で1,2時間かかるエリアに戸建てを購入することがサラリーマンのステータスでもありました。近年ではそういった風潮も変化し、郊外ではなく都心の会社の近くに住む人が増えています。

また国土交通省が職住近接を推進していることも不動産選びには重要な材料となります。職住近接とは職場と住居を近接させることです。職住近接を進めることで、社会人は会社の近くに住み、建物の周りは水を使った施設や木々などの緑を多くし、近隣に病院や学校を建設されるようになります。そのような場所であれば戸建てよりマンションが多くなりますし、需要もあるでしょう。

まとめ

様々な資料をもとに2020年以降のおすすめ物件をご紹介しました。2020年以降は今までのような価格上昇は期待できないと思われます。オリンピックなどのわかりやすい材料があれば、おのずとエリアや物件は決まってきますが、主だった材料がない状態では物件選びは難しくなります。そのような状況ではなおさら物件選びが重要な作業になってきます。

2020年以降、物件を探す際は世帯数の変化や、部屋の広さや好まれるタイプなどを慎重に検討して物件を探しましょう。

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西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。