不動産のある債務整理、競売を避ける方法は?不動産会社の選び方も

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債務整理手続きにおいて不動産がある場合、競売での売却となると債務者によって不動産を強制的に売却処分されてしまうデメリットがあるため、なるべく回避したいところです。

競売には回避できる期限が決まっているため、回避できる方法を試すのであれば、早めに対処する必要があります。不動産を含む債務整理を予定している方の中には、どのようにすれば競売を避けることができるのか、お悩みの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、不動産のある債務整理で、競売を避ける方法について解説していきます。

目次

  1. 競売の流れと回避できる期限
    1-1.競売の流れ
    1-2.競売の取り下げができる期限
  2. 不動産のある債務整理で競売を避ける方法
    2-1.ローンの残債を一括返済する
    2-2.不動産担保ローンを利用する
    2-3.返済条件の変更を相談する
    2-4.任意売却をおこなう
    2-5.リースバックを利用する
    2-6.個人再生手続きをおこなう
  3. 不動産を任意売却する不動産会社の選び方
  4. まとめ

1.競売の流れと回避できる期限

競売は、裁判手続きによって強制的に担保不動産が売却処分されてしまうため、債務者の意思の介入する余地がありません。債務整理の段階にあっても債務者にとってはできる限り避けたい事態といえるでしょう。

まず、競売の大まかな流れと、競売を避けることができる期限についてみてみましょう。

1-1.競売の流れ

競売手続きの流れを確認しておきましょう。

まず、債権者が裁判所に対して、担保となっている不動産を強制処分するための申立てをおこないます。裁判所が担保不動産競売開始決定をすると、債務者の元に通知書が届きます。
その後、裁判所の執行官が、強制的に担保不動産に立ち入り、現況調査をおこないます。

調査が終わると、売却基準価格の決定、配当要求の公告などを経て、裁判所から競売の期間入札通知書が届き、入札開始から終了までの期間が決定されます。

実際の入札期間になると、入札が受け付けられ、開札期日には開札をおこない、最高価買受人が決定されます。最高価買受人に売却が許可され決定されると、代金納付によって所有権が買受人に移転します。

所有権移転後は、元の所有者はすぐに立ち退きに応じる義務があります。

1-2.競売の取り下げができる期限

競売の開札がおこなわれ、最高価買受人が決定すると、競売の取り下げはできません。開札日の前日までに申立て人が取り下げ手続きをしなければならないことを考えると、 開札日の2日前までに債権者から取り下げの同意を得る必要があるといえるでしょう。

ただし、任意売却などでは、販売活動をおこなって買受人を探す期間も考慮する必要があります。選択する競売回避の方法によっては、早めに行動を起こすことを検討しましょう。

2.不動産のある債務整理で競売を避ける方法

不動産のある債務整理で、競売を避ける方法には主に、次のようなものが挙げられます。

  • 残債を一括返済する
  • 不動産担保ローンを利用する
  • 返済条件の変更を相談する
  • 任意売却をおこなう
  • リースバックを利用する
  • 個人再生手続きをおこなう

以下、それぞれの内容を解説していきます。

2-1.ローンの残債を一括返済する

残債を一括返済すれば、担保不動産の競売を避けることができます。

売掛金や貸付金があり、それらの回収ができれば残債を一括返済することができるような場合では、回収した資金を返済に充当することを検討してみましょう。

しかし、債務整理をしなければならない状態に陥っているということは、自力で残債を支払うことは難しいというケースがほとんどであると考えられます。親族や取引先など、個人的な関係で資金を貸してもらえそうな相手がいれば、一時的に資金を借り入れて残債を返済するという方法も検討してみましょう。

2-2.不動産担保ローンを利用する

他の金融機関への借り換えが難しい場合でも、不動産担保ローンを専門とするノンバンクなどであれば、審査が柔軟であり、不動産の担保評価を重視してもらえるため、借り換えが可能である場合もあります。このような金融機関に借り換えることを検討してみましょう。

ただし、ノンバンクは借入利率が3%程度から8%程度と比較的高いケースが多く、今までの月々の返済額よりも返済額が大きくなることも考えられます。借り換える際には、十分に検討して無理のない返済計画を立てるようにしましょう。

2-3.返済条件の変更を相談する

担保不動産の競売を避けるには、ローンの返済を滞らせないことが大切です。そのために、債権者の金融機関と直接、返済条件の変更交渉(リスケジュール)をおこなうという方法があります。

金融庁公表の「貸付条件の変更等の状況について(令和2年3月から令和3年3月まで)」よると、住宅ローンでは97%、中小企業向けのローンでは99%の金融機関が何らかの返済条件の変更に応じており、返済状況によっては返済条件の変更に対応してもらえる可能性は少なくありません。

条件変更の内容としては、一定期間の元本返済猶予をおこなったり、返済期間を延長したりすることなどが挙げられます。 このような条件変更の交渉をすることを検討してみましょう。

2-4.任意売却をおこなう

債務者が、債権者との合意に基づき、対象不動産を任意に売却処分する任意売却をおこなうことによって、競売を回避できることがあります。

任意売却では、担保不動産を手放すことにはなりますが、債務者にとって自らの都合や意思に沿って売却を進めることができるほか、プライバシーが守られるなどのメリットがあります。

債権者にとっても競売よりも融資金の回収が多く見込めるというメリットがあるため、返済状況によっては対応してもらえる可能があります。

任意売却をおこなう際には、市場で販売活動をおこなって買受人を探すため、競売の取り下げ期限から、一定の期間を見込む必要があります。早めに検討し、判断するようにしましょう。

【関連記事】不動産の任意売却とは?メリット・デメリットや売却手順を解説

2-5.リースバックを利用する

任意売却の一形態になりますが、リースバックという手法によって、売却後の不動産を賃借して住み続けることも可能です。

担保不動産をリースバック運営会社などに売却し、売却先と賃貸借契約を締結することで、その不動産に住んだり、利用したりし続けることができます。賃貸借契約は、期間が定められている定期借家契約になることが多いといえます。

なお、リースバックの契約内容によっては、将来その不動産を買い戻すことができるケースもあります。担保不動産の評価によっては、ローンの残債を返済して一時金を得ることができる可能性もあります。

【関連記事】リースバック契約で不動産を売却するメリット・デメリットは?注意点も

2-6.個人再生手続きをおこなう

債務者主導で債権者の同意を得て返済額を減額し、ローンを分割返済していく裁判手続きに個人再生手続きがあります。

個人再生手続きでは、裁判所に申し立てると、個人再生委員が選出され、計画通りに履行できるかどうかのテストがおこなわれます。その後、申立人との面談や履行テストの結果を参考に、再生手続き開始の決定がなされます。

裁判所は、債権額を調査し、確定したうえで、申立人の提出した再生計画案を認可するかどうかの決定をおこない、再生計画認可決定が下りると、再生計画に沿った返済が開始されることになります。

【関連記事】個人再生で住宅を保持することはできる?申立の手順や注意点も

3.不動産を任意売却する不動産会社の選び方

不動産のある債務整理で競売を避ける際、不動産担保ローンの利用や、返済条件の変更をおこなう場合は、それぞれの金融機関と直接交渉する必要があります。個人再生手続きの場合は、弁護士など債務整理の専門家に依頼することを検討しましょう。

任意売却とリースバックの方法を検討する際は、担保不動産を売却するため、不動産販売の仲介を取り扱う不動産会社に依頼するとよいでしょう。

任意売却やリースバックを債務整理の手続きのなかで進めていく際は、債権者である金融機関との交渉や、競売手続きへの配慮が必要になります。債務整理の専門家とのパイプもあり、関連する法手続きにも通じており、実績の豊富な不動産会社を選ぶとよいでしょう。

経験豊富な不動産会社を探すには、不動産一括査定サイトなどの複数の不動産会社へ効率的にアプローチできるサービスの利用を検討してみましょう。

不動産一括査定サイトでは、備考欄に物件の売却条件を詳しく記載することができます。売却までのスケジュールや最低売却価格、任意売却を検討していることなど詳細を記載し、対応ができる不動産会社のみ返答をもらうように依頼するなど、工夫をしてみましょう。

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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧

不動産の競売を避けるためには、金融機関への相談や任意売却までのスケジュール確認を早めに行っておくことが重要になります。より良い条件の不動産会社を効率的に探し、売却のスケジュールを立てておきましょう。

まとめ

競売を回避するには、一括返済や借り換え、金融機関と返済条件の交渉をおこなう方法があります。その他、不動産を手放す形になる任意売却やリースバック、裁判手続きである個人再生があります。

いずれの方法を採るにせよ、債権者が競売を取り下げる期限は、開札日の前日になります。任意売却やリースバックをおこなう場合は、不動産を市場で販売し、買受人を探す必要があります。期限を意識して、早めに専門の不動産会社に依頼することを検討しましょう。

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佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。