海外不動産投資では、売買契約書など手続きの書類が英語など外国語で書かれています。手続きの流れを俯瞰した時に、どの場面で英語が必要になるのか知りたいと思う人もいるのではないでしょうか。
海外不動産投資の手順を順番に解説するとともに、英語など外国語が必要になる場面をご紹介します。
目次
- 海外不動産投資に必要な準備
1-1.海外不動産投資をする目的の設定
1-2.大まかに国の特徴を把握する - 海外不動産投資の流れと英語(外国語)が必要な場面
2-1.投資先の国について見当をつける
2-2.不動産会社を探して物件の提案を受ける
2-3.可能な限り物件現地を視察する
2-4.物件の購入申し込み
2-5.物件の売買契約締結および手付金の支払い
2-6.不動産投資ローンの審査申し込み
2-7.段階的な資金の支払いまたはインスペクション
2-8.必要に応じて賃貸管理会社を探す
2-9.残金決済および引渡し
2-10.物件所有権の登記完了
2-11.賃貸管理を開始する - まとめ
1.海外不動産投資に必要な準備
海外不動産投資で物件や不動産会社を探す前に必要な準備について解説します。最初に自ら情報収集したり、投資目的を考えたりすることが失敗を防ぐ予防策になるので、それぞれ確認していきましょう。
1-1.海外不動産投資をする目的の設定
海外不動産投資で失敗を防ぐためには、実際に物件探しを始める前に、何を最大の目的とするのか考えることが重要です。海外不動産投資の主要な投資目的としては、例として以下のものが挙げられます。
- 日本国内よりも効率的な家賃収入
- 物件の値上がりによる転売益
- 外貨建て資産の形成
- 資産分散によるリスクヘッジ
- 将来的な海外移住の準備
全てのメリットを享受できれば最良ですが、全てのメリットをバランスよく享受できる物件やエリアを探そうとすると物件探しのハードルが上がりすぎてしまい、どの物件に投資すればいいかわからなくなってしまうことがあります。
海外不動産投資では国やエリアごとに特徴が大きく異なるため、投資目的を明確化した上で、投資目的に合致するエリアや物件を選ぶことが重要です。
1-2.大まかに国の特徴を把握する
投資目的について優先順位をつけたら、おおまかに国ごとの特徴を把握して、合致する国がどこなのか見当をつけます。海外不動産投資で物件情報を取得するためには、不動産会社の力を借りることになりますが、不動産会社によって得意な国やエリアが異なるためです。
最初から国を1ヶ国に絞る必要はありませんが、2〜3ヶ国程度に絞っておくと良いでしょう。
2.海外不動産投資の流れと英語(外国語)が必要な場面
実際に海外不動産投資を進める流れについて解説します。全体の流れを見て行くと、外国語を要する手続きが多い点に要注意です。
2-1.投資先の国について見当をつける
日本人が海外不動産投資の投資先として選べる国は、東南アジアを中心とした新興国と欧米を中心とした先進国とに大別されます。
新興国では物件価格が安いうえに経済成長率が高いため、物件の値上がり益を期待できます。その反面、不動産取引に関する制度も整備の途上にある国が多いため、不動産会社や取引に関するリスクは高めとなります。
先進国では、新興国と比較して物件価格が高いため、投資利回りは新興国よりも低いエリアが多くなります。しかし、不動産市場が新興国よりも成熟しているため、不動産取引および不動産会社に関するリスクは比較的低めと言えます。
投資先の国を絞るためには、自身が優先したいメリットや、最も避けたいリスクなどを考えた上で、各国の特徴と照合する必要があります。国ごとのメリット・デメリットなど特徴については、下記の記事もご参照ください。
【関連記事】海外不動産投資、どの国がおすすめ?国別のメリット・デメリットを比較
2-2.不動産会社を探して物件の提案を受ける
投資先の国について見当をつけたら、その国の不動産を取り扱っている不動産会社を探し、物件の提案を受けます。
不動産会社に問い合わせるか、開催されているセミナーに参加するなどして不動産会社の担当者と接点を持ってみましょう。なお、投資検討をしている国に拠点を持つ不動産会社を選んでおくと良いでしょう。
【関連記事】どこを選ぶ?初心者に人気の海外不動産投資セミナー4選
また、不動産会社は必ずしも日本の会社である必要はなく、海外現地の不動産会社でも取引は可能です。しかし、海外現地の不動産会社を探すためには、英語など外国語による検索が必要になります。加えて、問い合わせなどコミュニケーションに関しても、外国語でのやり取りが必要です。
不動産会社と接触したら、希望条件を伝えて物件の提案を受けます。なお、希望条件を伝える時には、可能な限り具体的な条件を提示することが重要です。
あいまいな条件を伝えると、不動産会社が売りたい物件の情報しか出てこないことも考えられます。物件購入の予算や希望の利回りなどについて、具体的な数字で提示できるように準備しておきましょう。
2-3.可能な限り物件現地を視察する
候補物件の情報を受け取ったら、可能な限り物件現地を視察すると、物件選びで失敗するリスクの軽減につながります。物件現地を訪問してみると、机上では分からなった周辺環境のリスクなどが見えてくることがあります。
物件の周辺に住んでいる人にはどんな人が多いのか、オフィス街などへのアクセスは良好か、生活利便施設は近くにあるかなど、入居者の目線も意識した物件の判断が必要です。
なお、海外現地を訪問する場合には、地図も見ながら現地の特徴を把握することが重要になります。そのほか、海外渡航の道中では、英語や現地の言語によるコミュニケーションが必要です。
2-4.物件の購入申し込み
現地視察の印象も加味しつつ物件を絞り込んだら、物件の購入を申込ます。不動産会社から購入申込書を取得のうえ、内容を記入したら返信することで申込は完了です。なお、購入申込書は英語など外国語で書かれていることもあります。
また、申込書の提出後に購入予約金の支払いを求められることがあります。日本の銀行口座から送金する場合は外為送金が必要です。外為送金の送金手配書には、送金先の口座情報などを記入します。送金先の口座情報については、英語など外国語による記入が必要です。
2-5.物件の売買契約締結および手付金の支払い
購入申込および購入予約金の送金が完了したら、売主と物件の売買契約を締結します。海外不動産投資の売買契約書は、どこの国でも英語など外国語で書かれているため要注意です。
外国語で書かれた法律文書などは、日本人にとって読解しにくいものですが、最低限の内容は把握しておくことがリスクヘッジにつながります。特に、売主のアフターサービスに関する事項やキャンセル条項などはチェックしておくと良いでしょう。
また、東南アジアでプレビルドと呼ばれる新築コンドミニアムを購入する場合はキャンセル条項について確認しておくことが重要になります。東南アジアの新築コンドミニアムには、竣工リスクと呼ばれるリスクがあるためです。
竣工リスクとは、物件の工事が途中で中止された結果、物件の引き渡しを受けられないリスクのことを指します。最悪の場合は、物件の引き渡しを受けられないどころか、支払済の資金が返金されないこともあるので要注意です。
物件の売買契約書に買主と売主の双方がサインしたら、手付金を支払います。多くの場合、手付金の金額は物件価格の10%などです。
2-6.不動産投資ローンの審査申し込み
物件の購入にローンを利用する場合は、売買契約の締結が完了したところで、金融機関へ審査を申込ます。海外現地の金融機関でローンを利用する場合は、ローンの申込にも英語など外国語を使います。
物件の売買契約書と同様に、ローンの申込書に関しても内容の把握が重要です。外国人向けのローンを利用する場合は、申込者に不利な条件が提示されていることもあります。思わぬトラブルを避けるためにも、融資条件などの確認が重要です。
2-7.段階的な資金の支払いまたはインスペクション
東南アジアでプレビルドの新築コンドミニアムを購入する場合は、工事の進捗に合わせて段階的な資金の支払いをします。毎月少しずつ支払いを重ねることになる場合もあるので、あらかじめ物件視察時などに現地の金融機関で口座を開設しておきましょう。
また、アメリカで中古物件を購入する場合は、売買契約を締結してから残金決済までの間にインスペクションをします。インスペクションとは、物件の要修繕箇所や劣化状況を見極めるための専門家による点検調査のことです。
インスペクションを実施した結果、修繕を要する指摘が上がった場合は、物件の売主と修繕の費用負担について交渉します。
2-8.必要に応じて賃貸管理会社を探す
海外不動産投資では、物件の購入を仲介する不動産エージェントが引渡し後の賃貸管理まで請け負っている場合もあります。しかし、不動産エージェントが賃貸管理を請け負わない場合は、別途管理会社を探す必要があります。
管理会社を探すためには、デベロッパーの担当者か不動産エージェントに相談するのも1つの方法です。インターネットの検索で探す方法もありますが、この場合は英語または外国語によるやり取りが必要になります。
なお、スムーズな入居者募集のためにも、賃貸管理会社に相談するときは物件の資料などをあらかじめまとめておくことが重要です。
2-9.残金決済および引渡し
物件契約時に決めた決済日を迎えたら、支払い済みの資金を差し引いた残金を売主の指定口座へ送金します。なお、外為送金は着金までに数日かかることもあるので、スケジュールに余裕を持って送金手続きすることが重要です。
売主側で着金確認が取れたら、物件引渡しの手続きに入ります。新築物件で家具付きのオプションを選択していない場合は、家具の選定および搬入が必要です。
東南アジアでは特に、家具や家電を入れた状態で賃貸するのが通例になっています。この時、家具家電は現地で購入するため現地で英語など外国語による手続きが必要です。
2-10.物件所有権の登記完了
物件の引渡し手続きが完了したら、物件所有権の登記手続きをします。なお、登記にあたっては現地での手続きを求められる場合もあるので、事前にスケジュール調整しておくのが望ましいでしょう。
登記手続きが完了すると登記済証が発行されますが、登記済証の内容は現地の言語で書かれています。例えばタイでは、物件の売買契約書などは英語で用意されることが多い一方で、登記済証の表記はタイ語です。また、登記所から英語の翻訳などが発行されることはありません。
登記済証の記載内容などに間違い無いか確認するためには、売主または不動産エージェントの協力が必要です。なお、登記手続きの必要期間は国によって異なります。
アメリカなど先進国では数日後など比較的早めに登記済証が発行されますが、東南アジアなど新興国の場合は数ヶ月単位の時間が必要になることもあるので要注意です。
2-11.賃貸管理を開始する
物件の引渡し手続きと家具家電の搬入等が完了したら、賃貸管理をスタートします。入居者と締結する賃貸契約書については、英語など現地の外国語で書かれているため、あらかじめ管理会社へ内容を確認することが重要です。
そのほか、現地人の賃貸管理会社を入れている場合は、賃貸管理で発生するコミュニケーションも全て外国語となります。
まとめ
海外不動産投資は、物件購入から引渡しおよび賃貸管理までの間に多くの手続きを踏んでいきます。手続きに用いる書類等は全て外国語で書かれているため、現地人の不動産エージェントへ仲介を依頼する場合には、自ら書類を読解することが必要です。
現地の不動産情報に詳しい日本人の担当者がいると、言語の壁によるトラブルや管理の手間を大きく省くことに繋がります。外国語に自信がなく、各種手続きや交渉をスムーズにするためには、日系不動産会社の仲介を受けるか、現地で日本人の不動産エージェントを探すことを検討してみると良いでしょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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