不動産投資と相性の良い資産形成の方法は?効率的な手法やリスク分散のコツも

資産形成では、一つの資産に集中させるよりも、さまざまな資産に分散させたほうが、リスクを抑制したり、効率的に資産形成を進められたりします。

これは不動産投資においても例外ではありません。不動産だけに集中投資するのではなく、株式など他の資産との組み合わせを検討してみましょう。

この記事では不動産投資と相性の良い資産について、投資家のスタンス別に紹介します。自分の投資スタンスと近い資産の組み合わせを参考にしてください。

※本記事は、投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 不動産以外の資産と組み合わせる3つのメリット
    1-1.不動産特有のリスクを分散できる
    1-2.資産全体のリスクを抑えることができる
    1-3.投資効率の高い資産形成も期待できる
  2. 不動産投資と相性のよい資産①「投資信託」
    2-1.多数の銘柄に分散投資をおこなうのが投資信託
    2-2.株と債券など多様な資産に分散投資する投資信託もある
    2-3.REITやコモディティに集中投資する投資信託は避ける
  3. 不動産投資と相性のよい資産②「国債・格付けの高い債券」
    3-1.リスクをできるだけ抑制するなら日本国債や大手企業の社債
    3-2.米ドル債に投資するのも一つの選択肢
    3-3.高利回り債券は避ける
  4. 不動産投資と相性の良い資産③「株式」
    4-1.賃料収入メインで不動産投資をおこなっている人に適している
    4-2.異なる業種の銘柄を複数購入するのが有効
    4-3.エネルギー、資源セクターへの投資は控え目に
  5. まとめ

1 不動産以外の資産と組み合わせる3つのメリット

不動産と他の資産への投資を組み合わせることで、リスクの分散効果が期待できます。また不動産投資だけをおこなうよりリスク自体を抑えたり、逆にリスクを取って高い収益を狙ったりすることもできます。

まずは、分散投資をおこなう3つのメリットを紹介します。

1-1 不動産特有のリスクを分散できる

不動産投資では、賃料収入の減少や物件価格の低下などにより、収益が悪化するリスクがあります。また実物資産への投資であるため、建物が被災して大きな損失を受ける災害リスクもあります。

その時に、もし他の資産へ投資していれば、その資産の投資収益が、不動産投資による損失をカバーしてくれる可能性があります。

なお、分散投資を行う際は投資先の不動産とは異なる特徴を持つ資産に投資した方が、特定の不動産のパフォーマンスが悪化した時に異なる値動きを見せると期待できるため、高いリスク分散効果が期待できます。

1-2 資産全体のリスクを抑えることができる

不動産よりも低リスクな資産と分散投資をおこなえば、自身の資産全体のリスクを低下させて、損失リスクをさらに抑制することができます。

2022年時点、低リスクな資産運用方法の一つに「銀行預金」があります。現金を多く維持しながら不動産投資をおこなう人もいますが、これは銀行預金というきわめて低リスクな運用と不動産投資を組み合わせていると考えることも可能です。

その他にも国債や格付けの高い債券など、不動産投資よりもリスクの低い運用方法はいくつか存在します。低リスクな資産とうまく組み合わせれば、リスクを抑えた資産運用が可能になるのです。

1-3 投資効率の高い資産形成も期待できる

不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンの投資先として選ばれることも多い投資方法です。しかし、より高い投資効率を求める方であれば「ややリスクを取って高いリターンを追求したい」、と考える方もいるでしょう。

このような場合は、不動産投資とあわせて株式などハイリスクな資産に分散投資すれば、不動産だけに投資をおこなうよりも高いリターンを目指せる可能性が高まります。

この時もリスク分散効果は働くため、株式単体に投資をおこなうよりは、損失リスクを抑制することができます。リターンとリスクのバランスを追求したい人は、不動産よりもややハイリスクな資産にも目を向けてみるとよいでしょう。

2 不動産投資と相性のよい資産①「投資信託」

複数の資産に投資をおこなう「分散投資」では、特徴の異なる資産に分散すればするほど、リスクの分散効果が大きくなります。不動産投資家の中には複数の物件を同時に保有する方も多く、エリアを分散させて空室リスクを抑制している方も少なくありません。

しかし、多くの物件を保有して不動産だけで分散投資をおこなうには多額の資金を必要とし、不動産投資ローンの返済比率が高くなりすぎてしまうリスクもあります。

多くの資金を準備することが難しい方であれば、まずは有価証券投資の中で投資先を分散させるのが効果的です。投資信託は一つ買うだけで、多くの銘柄や資産に分散投資してくれるため、不動産とても相性のよい投資先であるといえます。

2-1 多数の銘柄に分散投資をおこなうのが投資信託

投資信託は、銘柄ごとにあらかじめ決められたルールに基づいて、運用会社の判断のもと多くの資産に分散投資をおこなうのが大きな特徴です。少ないものでも数十銘柄程度、多いものになると千を超える銘柄に分散投資します。

個人投資家では資金の規模が充分でなかったり、海外市場にアクセスする方法が限られていたりと、個別投資で検討できる投資先には限界があります。しかし、投資信託を活用すれば、国内外問わず、さまざまな市場の資産に、実質的に投資することができるのです。

2-2 株と債券など多様な資産に分散投資する投資信託もある

投資信託の多くは「株式」「債券」など特定の種類の資産に投資をおこないますが、中には、複数の種類の資産に分散投資をおこなう投資信託もあります。

こうした投資信託を購入すれば、個人投資家でも幅広く分散されたポートフォリオを手軽に形成できるのです。

2-3 REITやコモディティに集中投資する投資信託は避ける

投資信託は全体でみると不動産と相性が良いですが、不動産投資と合わせて投資するのを避けた方がよいタイプの投資信託が2つあります。

REIT(不動産投資信託)

一つは、REITへの投資を主とする投資信託です。REITは不動産に投資するファンドの一種です。つまり、REITに投資する投資信託とは、間接的に不動産へ投資している商品となります。

実物の不動産とパフォーマンスが似通ってしまうリスクが高く、不動産投資と合わせた分散先としては相性がよくありません。

金や原油などのコモディティ

二つ目に、金や原油などコモディティに投資する投資信託です。

不動産はインフレ環境下で価格が上がりやすく、デフレでは下がりやすいという特徴を持っています。そのためインフレ対策として不動産投資が注目されることもあります。

金や原油などのコモディティも同じような値動きの特徴を持つ資産であるため、インフレという切り口で見ると、不動産とコモディティは分散効果が働きにくくなるのです。

投資信託と不動産に分散投資をしながら資産形成を目指すなら、これら2つのタイプは優先度が低い投資先と言えます。

【関連記事】投資信託の始め方は?金融機関選びや銘柄選びなど手順に沿って解説

3 不動産投資と相性のよい資産②「国債・格付けの高い債券」

リスクを抑えたい投資家にとっては、不動産と債券を組み合わせるのが有効です。国債や、優良企業の格付けの高い債券の多くは不動産より低リスクなので、資産全体のリスクを下げることができます。

不動産投資においては、賃料は景気の影響を受けにくい一方で、物件価格は景気変動の影響を受けるリスクがあります。一方で、国債や格付けの高い債券は景気が悪化すると、金利が下がって、逆に価格が上昇する傾向にあります。双方が異なる値動きの特徴を持っているため、不動産と債券は相性がよい投資先と言えます。

3-1 リスクをできるだけ抑制するなら日本国債や大手企業の社債

債券の中でもとりわけ低リスクなのは日本国が発行する国債です。また、経営状態が良好な大手企業が発行する社債も、相対的にリスクの低い商品といえます。これらは円建てで発行されるため、このあとの商品のように為替変動の影響を受けることもありません。

債券は債券の出し手である発行体が借金を返せなくなる「債務不履行」を起こさない限り、定期的に利息が発生し、償還日に投資した資金が返ってきます。信頼性の高い発行体の債券であれば、それだけ債務不履行のリスクは低くなります。

また、保有している期間中に金利が下がり、価格が上昇した場合には、証券会社に売却して売却益を得られる可能性もあります。できるだけリスクを抑えたいという投資家にとっては、国債や大手企業などの社債が、不動産と相性のよい投資先といえるでしょう。

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3-2 米ドル債に投資するのも一つの選択肢

証券会社ではグローバル企業や外国の国債などで、米ドル建ての債券も購入できます。これらも債券自体のリスクは同じく低めとなりますが、米ドル円の為替変動の影響を受ける点に注意が必要です。

為替リスクのある米ドル建ての資産への投資ですが、日本の不動産を保有している人からすれば有効な分散投資先とも言えます。日本の不動産に投資するということは、広い目で見れば、日本経済や社会情勢の変化がリスクとなるためです。

このような国ごとの経済・社会情勢に影響を受けるリスクのことをカントリーリスクと言います。日本の経済が極度に衰退した場合や情勢が悪化したときや、慢性的な円安に振れたときなど、国内資産に資金が集中している状態はハイリスクと言えるでしょう。

米ドル建てで海外の債券を保有していれば、その債券は日本の情勢変化の影響をあまり受けずに済みます。不動産投資は日本国内に資産が集中しやすい投資方法であることからも、米ドル建ての低リスク債券を保有していれば、カントリーリスクを回避した分散投資になるのです。

【関連記事】クラウドバンクの米ドル建て案件のメリットとリスクは?失敗しないコツも

3-3 高利回り債券は避ける

同じ債券でも、リスクの高い債券に投資してしまうと、本来の目的であるリスクの抑制効果が期待しにくくなります。

例えば、相対的に信用力の低い企業が発行する「高利回り債券」という商品があります。金利が高く一見魅力的なのですが、相対的に債務不履行のリスクが高いがゆえに、高い金利がつけられています。

こうした信用力の低い企業は、環境変化に脆弱なため、景気後退時には価格が大きく下落したり、債務不履行をおこしたりするリスクが高くなります。すなわち、不動産価格と似たような値動きを示す可能性があるため、不動産との相性はよくないといえるでしょう。

4 不動産投資と相性の良い資産③「株式」

最後に紹介するのは株式との分散投資です。特にハイリスク・ハイリターンな投資をしたい人で、かつ不動産投資における賃料収入が積み上げられている人にとっては、株式も不動産と相性のよい資産の一つとみることができます。

株式は不動産よりリスクの高い資産となりますが、不動産と組み合わせれば、株式だけに投資するよりは、リスクを抑えることが可能です。また、株式の相場上昇をうまくとらえれば、不動産だけに投資するよりも、高いリターンを期待できます。

4-1 賃料収入メインで不動産投資をおこなっている人に適している

株式は景気動向に連動しやすい資産であるため、不動産価格とは近い値動きを示す場合もあります。そのため、不動産投資を値上がり益重視でおこなう人にとっては、株式はあまり相性のよい分散投資先とはいえません。

一方で、不動産の売却を当面予定せず賃料収入を積み上げていこうと考えている人は、短期的な局面における不動産価格の変動をあまり気にする必要がないため、株式との分散投資は有効な選択肢の一つとなります。

賃料収入を不動産投資で得ながら、相場変動による収益を株式投資で追求するという手法は、投資効率を高めていきたい人にとってバランスの良い投資手法といえるでしょう。

4-2 異なる業種の銘柄を複数購入するのが有効

株式は比較的リスクの高い投資先であることから、リスク分散はより一層重要です。ある程度まとまった資金があるなら、株式の中でも分散投資をおこなうのがよいでしょう。

株式は業種によって値動きの激しさや景気との連動性の高さなど、異なる特徴を持つため、投資先を分散するときは、複数の業種に分散するのが有効です。

多数の銘柄に投資する余力があるならば、成長段階にある中小企業と経営基盤の整った大手企業など、業種だけでなく企業の規模にも着目して分散するのも一案です。業種と企業の規模双方に着目して多数の銘柄に投資すれば、高いリスク分散効果が期待できるでしょう。

4-3 エネルギー、資源セクターへの投資は控え目に

不動産の物件価格はインフレや景気動向の影響を受けます。賃料収入メインで投資を行なっているとしても、資金都合などで急に売却を迫られるリスクがゼロとはいえません。

そのため、投資先の分散の観点では、不動産価格と似た値動きの特徴を持つ資産への投資は控えた方がよいでしょう。株式の中でも、エネルギーや金属・鉄などの資源セクターは、資源価格の動向と景気動向の影響を受けやすいセクターです。

インフレと資源価格もまた、似たような値動きをする傾向があることから、これらのセクターは不動産価格と似た値動きを示す可能性があります。したがって、不動産とあわせて投資するうえでは相性がよくありません。

多数の銘柄に分散投資するときに一部保有する程度であれば問題ありませんが、エネルギーや資源セクターの株式に多くの投資比率を割くのは控えておくと良いでしょう。

【関連記事】株式投資の始め方は?証券会社選びや銘柄選びなど手順に沿って解説

5 まとめ

将来に向けた長期的な資産形成においては分散投資によってリスク分散を図ることが大切です。不動産投資を行なっている人も同様で、不動産と連動しにくい資産へあわせて投資するポートフォリオを形成することで、リスク分散を図ったり、自分が求めるリスク・リターンを追求できたりします。

今回は不動産と相性の良い資産について紹介しました。投資スタンスも踏まえながら、自分にあった資産と分散投資をおこなって、効率よく資産形成を進めていきましょう。

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伊藤圭佑

伊藤圭佑

資産運用会社に勤める金融ライター。証券アナリスト保有。 新卒から一貫して証券業界・運用業界に身を置き、自身も個人投資家としてさまざまな証券投資を継続。キャリアにおける専門性と個人投資家としての経験を生かし、経済環境の変化を踏まえた投資手法、投資に関する諸制度の紹介などの記事・コラムを多数執筆。