中古マンション投資の利回りは?東京・大阪・名古屋など主要エリアを徹底比較

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マンション投資を検討する上で、利回りはどのくらいの収入が得られるのか推測できる重要な要素の一つです。

そこで今回のコラムでは、中古マンション投資におけるエリアごとの利回りを比較します。東京、大阪、名古屋の3大都市に加えて、不動産投資の候補となりやすい全国の都市についても取り上げます。

目次

  1. 不動産投資の利回りとは
    1-1.想定利回り
    1-2.表面利回り
    1-3.実質利回り
  2. 主要エリアにおける中古マンション投資の利回り
    2-1.中古マンション投資の表面利回りの比較
    2-2.エリアごとに異なる表面利回りの特徴
  3. 中古マンションを選ぶ際の利回りに関する注意点
    3-1.表面利回りと実質利回りを確認する
    3-2.利回りだけで判断しない
  4. まとめ

1 不動産投資の利回りとは

不動産投資における利回りとは、物件価格に対して得られる家賃収入の割合のことです。不動産投資では基本的に「年利」となるため、利回りから逆算することで1年間にどれだけの収入が見込めるのか、ということを推測することができます。

例えば、1,000万円の投資用中古マンションの年間想定の家賃収入が100万円であれば、利回りは10%となります。利回りが高いほど収入が大きいということを表しており、先ほどの例で言えば、年間収入が150万円の場合の利回りは15%です。

ただし、利回りには種類があり、前述したのは表面利回りとなります。不動産投資には主に下記の3つの種類があるので、混同しないように確認しておきましょう。

1-1 想定利回り

想定利回りとは、設定家賃で満室になることを想定して計算した利回りです。入居者がいれば家賃が確定していますが、空室の場合は家賃を設定しているものの入居者によっては変更する可能性があります。そのため設定した家賃をもとに、満室になったと想定して利回りを計算したものが想定利回りです。

計算式は下記になります。

想定利回り=想定した家賃による年間家賃収入÷物件価格×100

中古マンションが想定利回りで売りに出されている場合、空室であるため販売会社や売主が決めた家賃設定になっていることがあります。過去の入居者の例などをもとに利回りを算出していることが考えられますが、実際に入居者を募集する際に家賃を設定し直すこともあります。その際は利回りが変更になります。

1-2 表面利回り

表面利回りとは、年間家賃収入と物件価格で計算した利回りです。中古マンションを運営する際にかかる経費を計算しないため、名称通り表面上の利回りということになります。

計算式は下記になります。

表面利回り=年間家賃収入÷物件価格×100

経費を考慮していないため、投資物件としての大まかな収益力が分かります。正確性を欠いてしまうデメリットがありますが、多くの物件の中から比較する際に役立ちます。

1-3 実質利回り

実質利回りは、年間家賃収入から税金などの経費を引いて、物件価格を用いて計算した利回りです。実質利回りを確認することで、年間の家賃収入に対して手元に残る金額を推測することができます。前述した表面利回りは収入が推測できるのに対して、実質利回りは利益がある程度予測できるということになります。

計算式は下記になります。

実質利回り=(現在の年間家賃収入−年間支出)÷物件価格×100

年間支出は、税金や管理費、火災保険料、さらにローン返済利息などが含まれます。下記がマンション投資をする際にかかる代表的な経費です。

  • 管理手数料
  • ローン返済利息
  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災保険料
  • マンション管理費
  • 修繕積立金、など

ただし、実質利回りといっても、空室が発生したり、所有する居室内で修繕工事が必要になることもあり、実際に運用した場合と利回りが異なることもあります。

2 主要エリアにおける中古マンション投資の利回り

この項目では、東京、大阪、名古屋の3大都市に加えて、マンション投資の候補に挙がりやすい横浜市と札仙広福(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)の利回りを比較していきます。

2-1 中古マンションの投資表面利回りの比較

下記の表は、不動産投資と収益物件の情報サイト健美家の「収益物件市場動向四半期レポート2022年4月〜6月」から抜粋した、2022年4月〜6月における中古マンションの表面利回りです。

都市 築10年未満 築10年〜19年 築20年以上
全国平均 4.65% 5.14% 8.31%
札幌市 4.47% 4.91% 11.41%
仙台市 4.43% 5.41% 12.94%
東京23区 4.21% 4.58% 6.49%
東京市部 4.67% 5.26% 9.36%
横浜市 4.39% 4.94% 8.34%
名古屋市 4.82% 5.23% 10.44%
大阪市 4.94% 5.38% 7.57%
広島市 4.22% 5.68% 10.43%
福岡市 4.96% 5.59% 8.91%

※参照:不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家「収益物件市場動向四半期レポート2022年4月〜6月」より抜粋

中古マンションにおける利回りの特徴としては、築年数が浅い方が利回りは低くなる傾向があります。築年数が経つほど物件価格も家賃収入も下がっていきますが、家賃の下落スピードと比較して物件価格の下落率の方が大きいためです。

築10年未満の投資用中古マンションの利回りはそれぞれ4%台となっています。しかし築10〜19年になると、4%台は札幌市と東京23区、横浜市のみになります。また築20年以上で最も利回りが低いのが東京23区の6.49%で、最も高いのが仙台市の12.94%となっており、約2倍の差があります。

2-2 エリアごとに異なる利回りの特徴

エリア別の利回りを把握したところで、この項目ではそれぞれのエリアの利回りについて特徴を見ていきましょう。

札幌市

築10年未満と築10〜19年の利回りは4%台ですが、築20年以上になると2倍以上の11.41%になります。築年数が経っている中古マンションの価格が下落しやすいと考えられます。

仙台市

築10年未満は4.43%となっており、これは東京23区、広島市、横浜市に次いで低い利回りです。これに対して築20年以上の利回りは12.94%で最も高く、築10年未満の約3倍に上昇しています。

東京23区

築10年未満、築10〜19年、築20年以上のそれぞれで最も低い利回りになっています。東京23区内は家賃が高いエリアですが、物件価格が高いことに加え、購入意欲の高い投資家が多く、また土地値も高いことから利回りが低く抑えられていると考えられます。

東京市部

東京23区と比べて、利回りは高めに推移していくのが特徴です。築20年以上の物件の利回りが9.36%になっており、築10年未満の4.67%の約2倍となっています。

横浜市

築10年未満と築10〜19年の利回りが4%台なのは、東京23区と札幌市、横浜市の3つだけであり、築10〜19年までは築年数に合わせた利回りの上昇が起こりにくいと考えられます。また全国平均と同じような動きをしているのも、横浜市の利回りの特徴と言えます。

名古屋市

築10年未満と築10〜19年の利回りは、3大都市のうち東京23区に次いで2番目に低くなっています。しかし築20年以上になると大阪よりも高くなり、10%台になっていることが大きな特徴です。

大阪市

築20年以上の7.57%は東京23区に次いで2番目に低い利回りとなっています。また築10年未満の4.94%と比べた上昇率は、約1.538倍となっています。これは東京23区の1.541倍と、ほとんど同じ上昇率になっています。

広島市

築10年未満の利回りは4.22%となっており、東京23区とほとんど変わりません。ただし、築20年以上になると利回りは10.43%となり、東京23区の6.49%に比べて1.6倍ほど高くなっています。

福岡市

築10年未満の利回りは4.96%となっており、今回取り上げたエリアの中では最も高い利回りとなっています。築10〜19年の5.59%も広島市に次いで2番目の高さです。築10〜19年までは、利回りが高いエリアと言えます。

3 中古マンションを選ぶ際の利回りに関する注意点

エリアごとの利回りの特徴について把握したところで、投資用の中古マンションを選ぶ際の利回りに関する注意点について解説していきます。

3-1 表面利回りと実質利回りを確認する

物件情報で利回りを確認する際は、表面利回りと実質利回りの両方で行うようにしましょう。表面利回りでは物件を大まかに比較する際に役立ち、実質利回りでは実際に投資を検討する段階で手元に残る資金が推測することができます。

特に中古マンション投資で見逃しやすいのは、区分所有者がマンション管理組合に毎月支払う管理費や修繕積立金です。

管理費 修繕積立金
普段の清掃など、建物管理のために区分所有者が支払うもの。戸数が少ない、共用部分の設備や仕様のグレードが高い、コンシェルジュがいるマンションなどは高めに設定されている。 外壁や共用部分の修繕工事のために区分所有者が積み立てておくもの。築年数が経っている物件、大規模修繕工事が近づいている物件は高めに設定されている。

管理費や修繕積立金は合わせて3万円〜5万円以上のケースもあります。家賃を10万円とした場合、収入の3〜5割程度も占めることになりますが、表面利回りだけ確認するとこのようなケースを見逃してしまいます。不動産ポータルサイトで物件を探す際には、管理費と修繕積立金の金額も確認することを忘れないようにしましょう。

3-2 利回りだけで判断しない

利回りは物件を選ぶ際の検討材料となりますが、購入時点の利回りだけで判断しないようにしましょう。高利回りの物件とは、家賃に対して物件価格が安くなっているということであり、エリア全体の土地価格が下がっていたり、建物の設備が古くなっているケースがあるためです。

高利回り物件の代表的な要因としては下記のようなものがあります。

  • 最寄り駅から遠い
  • 築年数が経っている
  • 設備が古い
  • 入居率が良くない、など

掘り出し物のような高利回り物件も中にはありますが、ただ高利回りというだけで選ぶのではなく、なぜ利回りが高いのかを仲介する不動産会社や売主に確認することも大切です。

今回紹介したようなエリアごとの利回りの相場を把握し、適切な利回りかどうかを確認してから購入するようにしましょう。

まとめ

今回のコラムでは、主要エリアにおける中古マンション投資の利回りについて紹介しました。エリアによって利回りの違いがあり、さらに築年数が経つとエリアごとに顕著な特徴が出てきます。

こうした特徴を的確に把握することで、より自分の投資スタイルに適したエリア選択につながっていきます。中古マンション投資を検討する際は、これらの点にも着目して検討されてみると良いでしょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。