投資信託の始め方は?金融機関選びや銘柄選びなど手順に沿って解説

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投資信託は投資のプロが投資家から集めたお金を運用してくれるため、長期運用やリスク分散を手軽に行えるなど、初心者の方にも適した金融商品です。しかし、金融機関によって銘柄の選び方や始め方、サービスの特徴は異なるため、各ポイントをしっかり把握しておくことが大切です。

この記事では、投資信託の特徴、銘柄の選び方、金融機関の選び方について詳しく解説します。投資信託の特徴をよく知りたい方や、投資を始めてみたい初心者の方は参考にしてみてください。

※本記事は2022年6月7日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. 投資信託とは
    1-1.投資信託のメリット
    1-2.投資信託のデメリット
  2. 投資信託の始め方
    2-1.運用目的を明確にする
    2-2.銘柄を選ぶ
    2-3.金融機関を選ぶ
    2-4.税制優遇制度を活用する
  3. まとめ

1 投資信託とは

投資信託とは、投資家から集めたお金を投資のプロである運用会社が資産運用してくれる金融商品です。投資したい銘柄を選んで資金を出せば、個別銘柄の選定や売買など全て行ってくれるため、初心者でも始めやすい資産運用の一つとなっています。

投資信託は、販売窓口となっている証券会社や銀行などで購入可能です。投資家から集めた資金(ファンド)は、運用会社の指示で様々な金融商品に投資されますが、ファンドの資産は信託銀行が管理する仕組みとなっているため、販売会社や運用会社が破綻しても投資した資産は保全されます。

銘柄によって異なりますが、ファンドの運用で利益が出た場合、分配金を受け取れる場合があるのも投資信託の特徴です。また、投資信託は売買することもでき、購入した価格より高い価格のときに売却することで売却益を得ることも可能です。

1-1 投資信託のメリット

投資信託は専門知識がなくても国内外の様々な金融商品に投資できる点がメリットです。実際の運用は全てお任せでしてくれるため、投資家は投資信託を購入する際にファンドの投資対象となっている金融商品を選ぶだけで、世界中の様々な金融商品に手軽に投資できます。

株式のように一つの商品に投資する銘柄では、株式市場の暴落などによって大きな損失が発生する可能性もありますが、投資信託は株式や債券など様々な金融商品が投資対象となるため、銘柄を一つ購入するだけでもリスク分散を図れる仕組みとなっています。

さらに、投資信託は少額で購入できる銘柄も多いため、限られた資金の範囲内でもリスク回避のための分散投資が可能となっています。

また、投資信託には投信積立と呼ばれるサービスがあり、月々100円などの少額から毎月積立で投資することもできます。投信積立では、収入やライフステージに応じた長期運用が可能になるので、無理のない範囲で継続的な投資を行うことができます。

1-2 投資信託のデメリット

投資信託の最も大きなデメリットは、預貯金などと異なり元本保証がない点です。運用益が出ることもあれば、投資した元手が減る元本毀損リスクもあるため、リスクの把握と管理が重要になります。

初心者の方が投資信託を始める場合、事前に生活資金と余裕資金を明確に区分し、私生活に影響の少ない余裕資金の範囲内で運用することが、投資を長く続けるポイントです。長期の運用ほど短期的な価格変動の影響が少なくなり、堅実に運用成果が期待できます。

また、投資信託は株式投資と比べて手数料が高いのも特徴です。プロに運用を任せる商品のため、購入時や保有期間中などに以下のような取引手数料が発生します。

手数料の種類 発生のタイミング 手数料の額
購入時手数料 購入時 証券会社や銀行など販売会社がある程度自由に設定できる手数料で、購入時に販売会社へ支払います。
信託報酬 保有期間中 ファンドによって異なり、投資信託の残高から自動的に差し引かれます。
信託財産留保額 償還(投資信託の運用期間が終わり信託財産を清算すること)以外のタイミングで解約する場合 解約時の代金から差し引かれますが、ファンドによっては発生しないこともあります。

投資信託を購入する際は購入時手数料、保有期間中は信託報酬、償還時以外に解約する場合は信託財産留保額などの運用コストが発生するため、個別株を取引する場合と比べて取引コストが割高となる点に注意です。

また、投資信託は、株式投資などと異なり短期間で大きなリターンを得ることが難しい商品です。少額から分散投資が可能というリスクを抑えられるメリットがある反面、ファンドは複数の個別銘柄で構成されているため、価格変動も比較的ゆるやかになります。

そのため、投資信託は、基本的に長い期間でリスクを抑えながら利益を目指すのに適した金融商品となっています。

2 投資信託の始め方

投資信託を始める前に理解しておきたい銘柄の選び方や、証券会社の選び方等の重要ポイントを見ていきましょう。

2-1 運用目的を明確にする

投資を始める際は、最初に運用の目的を事前に明確化しておくことが重要です。「どのような目的で」「いつまでに」「いくらの金額を貯める」などの目標を明確にすることで、元本毀損リスクを踏まえながら、どの投資信託銘柄で運用するべきかについて、具体的な検討を行いやすくなるためです。

2-2 銘柄を選ぶ

投資信託は、購入するタイミングによって、最初の募集期間のみ購入可能な「単位型投資信託」と、原則として投資信託が運用されている期間はいつでも購入可能な「追加型投資信託(オープン型)」の2種類があります。証券会社などで扱われている投資信託の多くは、追加型投資信託となっているため、比較的自由なタイミングで購入可能です。

投資信託の銘柄は、投資対象による分類も複数あり、対象となる金融商品が多岐にわたります。一般社団法人投資信託協会によると、投資対象資産によって以下5つに分類されています。

商品分類 主な投資対象
株式タイプ 国内外の株式
債券タイプ 国内外の債券
不動産投資信託(リート)タイプ 国内外の不動産や不動産投資法人など
その他資産(コモディティ)タイプ 上記以外の資産が投資対象で、金やプラチナなどの貴金属、大豆や小麦などの農作物、原油などのエネルギー資源などが対象
複合資産タイプ 上記の複数の資産

株式タイプ

株式を運用商品に組み入れることができる投資信託を株式投資信託と言います。株式タイプは企業業績による価格変動があるため、比較的大きなリターンを期待できる投資信託です。一方、株価の下落によるリスクも大きくなる可能性があるため、投資信託の中ではハイリスク・ハイリターンの商品となります。

債券タイプ

国や企業などが発行する債券に投資する投資信託です。債券は発行元の国や企業が破綻しない限り元本は保証され、保有している期間の利息も受け取れますが、株式などと比べてリターンが低いため、ローリスク・ローリターンの投資信託となっています。

不動産投資信託(リート)タイプ

不動産投資信託はリート(REIT)とも呼ばれ、個人では多くの資金が必要になる不動産での小口運用が可能な商品です。日本や米国の不動産投資信託は税制優遇などによって利益率が高くなることもあるため、利回りの高い投資信託もあるのが特徴です。

その他資産(コモディティ)タイプ

その他の資産は商品先物市場などで取引されるコモディティ(商品)が投資対象です。株式市場との連動性が低いため、株式投資信託のリスクヘッジ手段として選択されることがあります。

複合資産タイプ

複合資産は、複数の異なる資産に投資する投資信託です。投資対象が複数の金融商品に及ぶため、一つの銘柄を購入するだけで高い分散投資の効果が得られるタイプもあります。

銘柄の選び方では、上記の様々な種類の投資信託から求めるリターンやリスク許容度に合わせた商品選択をすることが重要です。その上で、予算や投資スタイルも考慮しながら投資対象となる銘柄を絞り込んでいきます。

また、投資信託のコストについても考慮する必要があり、長期間での運用を考えると、運用期間中のコストを抑えられる信託報酬の安い銘柄を選ぶこともポイントです。

2-3 金融機関を選ぶ

投資信託を取り扱っている金融機関を選ぶ場合、取扱銘柄の豊富さと運用コストに注目することが重要です。取扱銘柄が多いほど、希望の投資対象や運用実績等を参考に銘柄を探しやすくなるほか、信託報酬など手数料の安い銘柄を選べます。

また、金融機関によっては購入時手数料が無料(ノーロード)の銘柄を豊富に取り扱うところもあるため、優先的にこれらの企業を選ぶことでコストを抑えた取引が可能です。以下、代表的な投資信託の販売先である証券会社7社の比較です。

証券会社 取扱銘柄数 ノーロード銘柄数
SBI証券 2,664本 2,664本
楽天証券 2,655本 2,655本
松井証券 1,612本 1,612本
auカブコム証券 1,565本 1,565本
マネックス証券 1,248本 1,248本
野村證券 1,159本 47本
大和証券 516本 56本

※2022年6月7日時点

SBI証券、楽天証券、松井証券、auカブコム証券、マネックス証券の5社はインターネット専業の大手ネット証券であり、取扱銘柄数が豊富なだけでなく、購入できる投資信託は全てノーロードのため購入時手数料も一切かかりません。

一方、店舗型証券大手の野村證券や大和証券は、ネット証券と異なり店舗窓口や電話、インターネットなどの多様な販売チャネルで投資信託の購入が可能です。しかし、取引コストはネット証券と比べて高い傾向にあり、購入時手数料無料のノーロード銘柄数はネット証券と比べて少なくなっています。

コストを抑えて投資信託を購入したい場合、ノーロード銘柄を多く取り扱っているネット証券が適しています。特に、投資信託は長期間にわたる投資で運用成果を目指す商品のため、同じ期間払い続ける手数料を極力減らすことで運用益の目減りを減らす効果を期待できます。

また、ネット証券の各社にはそれぞれ特徴があるため、今後、投資信託以外の金融商品の取引を見据える場合、取扱金融商品の豊富なSBI証券や楽天証券、高機能な取引ツールを利用したい方はauカブコム証券など、投資目的やスタイルに応じて証券会社を選ぶことも可能です。

他にも銀行や信用金庫、ゆうちょ銀行などでも投資信託を購入できます。店舗型証券会社と同じく、店舗や人件費のコストがかさむため、ネット証券に比べて購入時手数料などは割高になる傾向がありますが、普段取引に利用している店舗で直接相談できる点はメリットです。

2-4 税制優遇制度を活用する

投資信託で資産運用を始める場合、税金面での優遇を受けられる税制優遇制度を活用できる場合があります。そのため、投資信託で積立を始める前に以下3つの制度についても確認しておきましょう。

制度名 税金面での優遇 概要
つみたてNISA 年間40万円までの積立投資で発生した利益が非課税 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託が対象で、非課税期間は最長20年間。
一般NISA 年間120万円までの投資で発生した利益が非課税 上場株式、ETF、公募株式投資信託、不動産投資信託などが対象で、非課税期間は最長5年間。
iDeCo ・掛金の支払時
所得控除が適用され、所得税や住民税が軽減される。
・運用益
iDeCoでの投資は原則運用益が非課税。
・年金としての受取時
公的年金等控除で所得税や住民税が軽減される。
投資信託や定期預金、保険などiDeCoを取り扱っている金融機関のセレクトした商品で運用。任意加入の私的年金制度という性質を持つため、原則60歳まで積み立てた資産を引き出すことができない。

上記3つの税制優遇措置は、運用益に対して税金のかからない非課税制度です。通常、投資信託の取引では分配金や売却益に対して20.315%の税金が発生しますが、これが非課税となるため、税負担を気にすることなく効率的な資産形成が可能になります。

つみたてNISAや一般NISA、iDeCoは金融機関によって取り扱っていない場合もありますが、上記でご紹介した5社のネット証券は全ての制度が利用可能です。特に、つみたてNISAやiDeCoは取り扱う金融機関によって運用できる商品ラインアップが大きく異なるため、証券会社を選ぶ際は事前に確認しておくことが大切です。

また、つみたてNISAと一般NISAは併用できない点や、3つの全ての制度は複数の金融機関に同時に口座を開設することができないので、留意しておきましょう。

まとめ

投資信託で資産運用を始める場合、その仕組みや特徴を理解し、それに合わせた金融機関選びと銘柄選びを実践することが大切です。また、運用を始める前には投資目的を明確にし、税制優遇制度の活用なども検討すると、初心者の方でも低リスクで効率的な資産形成を図れるようになるので、参考にしてみてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム

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