人気の国内株式ETF10本、手数料や成績を比較【2022年7月】

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国内ETFは、日経平均やTOPIXなどの指数に連動する運用成果を目指す上場投資信託です。通常の投資信託と異なり、証券取引所に上場しています。そのため、株式と同じくリアルタイムに取引ができる特徴があります。

投資信託とETF、どちらへ投資しようかと考えている人の中には、普通の投資信託とETF、長期投資するならどちらが良いか、株式指数連動型の他にはどんなETFがあるのか、などと考える人もいるでしょう。大事な資産を投資するわけですから、投資先であるETFの全容はできるだけ把握しておきたいところです。

当記事では、国内株式ETFを売買高順に10本紹介します。また、国内株式ETFの種類や投資信託や海外ETFとの違いについても説明しています。ETFの運用を検討している人はご確認ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※信託報酬など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。

目次

  1. 売買代金でみる人気の国内株式ETF10本
  2. ファンドごとの概要
    2-1.NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信
    2-2.NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信
    2-3.国際のETF VIX短期先物指数
  3. 国内ETFの上手な活用方法
    3-1.総合型
    3-2.規模別
    3-3.テーマ別
    3-4.業種別
    3-5.レバレッジ・インバース
  4. 海外ETFと国内ETFはどちらが良い?
    4-1.通貨の違い
    4-2.取引時間の違い
    4-3.分配金に対する課税
    4-4.米国ETFと国内ETFの違い
  5. 投資信託かETF、投資先はどちらが良い?
    5-1.運用コスト
    5-2.売買の流動性
    5-3.税制優遇面では投資信託に分がある
  6. まとめ

1.売買代金でみる人気の国内株式ETF10本

2022年6月のETF売買代金ランキングを以下にまとめました(参照:JPX「投信等相場表(2022年6月)」。

銘柄名 指数 売買代金(百万円) 信託報酬
1.NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 日経平均 3,196,447 0.880%
2.NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信 日経平均 562,573 0.880%
3.日経平均ブル2倍上場投信 日経平均 407,994 0.825%
4.楽天ETF‐日経ダブルインバース指数連動型 日経平均 381,892 0.385%
5.楽天ETF‐日経レバレッジ指数連動型 日経平均 367,883 0.385%
6.日経平均ベア2倍上場投信 日経平均 251,790 0.825%
7.NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信 日経平均 172,818 0.198%
8.NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信 TOPIX 112,744 0.0968%
9.NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信 日経平均 94,770 0.880%
10.国際のETF VIX短期先物指数 VIX 88,786 0.396%

※売買代金は10万円以下切り捨て

ETFは投資信託と異なり、レバレッジ・インバース型に売買が集中しています。ETFにはリアルタイムで取引できる特性があるため、ETFでは機動的な取引を行い、長期運用を投資信託で行う運用スタイルが定着しているようです。

なお、1位の野村アセットマネジメントが運営するNEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信の売買代金は3.2兆円で、全体の48%を占めています。

2.ファンドごとの概要

売買代金上位のETFから、特徴的な3つのファンドをピックアップし、概要を紹介します。

2−1.NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信

先物取引の買い建てを活用して、日経平均の価格変動の2倍の動きをする日経レバレッジインデックスに連動する運用成績を目指します。厳密には、日経レバレッジファンドをベンチマークとしたインデックスファンドです。他には円建ての短期公社債や短期有価証券、コールローンなどにも投資します。

日経レバレッジファンドは、ファンドごとに大きな違いはありません。しかし、銘柄選びでは、機動的な取引ができる状態を確保するため、売買代金が高いファンドへ投資したほうが良いでしょう。

2−2.NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信

当ファンドは、前述のNEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信と同様に、野村アセットマネジメントが運営する日経平均ダブルインバース型インデックスETFです。

レバレッジインデックスファンドと異なり、価格が下降する局面で値動きの2倍の収益が得られます。インバース型ファンドも先物取引を活用する点はレバレッジ型と同じです。しかし、レバレッジ型は買い建てを行うのに対して、インバース型は売り建てを行います。

ダブルインバースインデックス型ファンドも売買代金は大きいのですが、1位のレバレッジインデックスファンドとは大きな差があります。

2−3.国際のETF VIX短期先物指数

円換算したS&P500 VIX短期指数に連動する成果を目指すETFです。VIX指数はボラティリティ指数の略称で、価格変動の大きさを表します。指数値が高いほど先行きの不透明感を表しているとされ、別名、恐怖指数とも呼ばれています。

VIX指数とVIX先物指数が対象とする資産は以下のとおりです。

  • VIX指数 S&P500オプション価格
  • VIX先物指数 VIX指数先物価格

下落相場時に価格上昇する指数なので、インバース型ETFと同じくリスクヘッジにも有効に機能します。

なお、当ファンドは特性上投資家に利益をもたらすことが難しいとして、2024年の2月14日に信託終了し繰上償還されることが決定しています(参照:三菱UFJ国際投信「国際のETFVIX短期先物指数の信託終了」)。

3.国内ETFの上手な活用方法

東京証券取引所に上場しているETFには、株式指数連動型の他に様々なタイプの銘柄があります。一通り押さえておくと、今後の資産運用に活用できるでしょう。5つのタイプを以下に紹介します。

3−1.総合型

トピックスや日経平均株価など、日本を代表するような指数に連動する成果を目指すETFです。主な総合型の銘柄は以下のとおりです。

  • TOPIX
  • 日経225
  • 日経300
  • JPX日経400

大型株を中心に幅広く値動きをカバーしたい場合は、日経225を選択しましょう。市場全体を捉えたい場合はTOPIX。TOPIXは2,000社以上の銘柄の値動きを指数化したものです。TOPIX ETFを保有すると、結果として国内市場の動きを捉えることができます。

日経400は米国のS&P500を手本に、日本取引所グループが考案した指数です。日経225では、少し足りないと感じる時に選択するとよいでしょう。

3−2.規模別

時価総額の規模で分類されているETF銘柄です。有名な規模別指数にTOPIXコア30があります。TOPIXコア30は、時価総額と流動性の観点からピックアップした30銘柄の値動きを指数化したものです。日本を代表する銘柄で構成されているため、注視することで国内市場のトレンドを把握することができます。

ラッセル野村小型コアETFは、小型株の中から流動性が低く、値動きが激しい銘柄を除外して構成されたラッセル野村小型コア・インデックスに連動する運用成果を目指すETFです。大型株だけでなく、成長が期待できる小型株もカバーしたい時に活用できる銘柄です。

3−3.テーマ別

投資信託と同様に、ETFでもテーマを設定した銘柄があります。主なテーマは以下のとおりです。

  • ESG
  • 高配当株
  • 女性活躍
  • 企業価値

テーマが設定されていると運用方針がわかりやすく、銘柄が選びやすくなります。中でも、高配当株ETFは、配当利回りが高い銘柄で構成されており、定期的にインカムゲインを獲得できます。

テーマ型ETFは、運用方針と構成銘柄をよく確認の上、投資判断を行いましょう。

3−3.業種別

業種別ETFは、東証プライム市場に上場している企業を17の業種に分けて、TOPIX17業種別指数に連動するよう設計されているETFです。業種別ETFを活用することで、注目している業種の値動きを捉えることができます。

株式銘柄は、業界全体のトレンドで値動きが起きることがよくあります。業種別ETFで全体を捉えて、注目の個別銘柄を見つけ出すことも可能です。

3−4.レバレッジ・インバース

レバレッジ型は日経225や日経400などの株価指数の倍の値動きをします。インバース型は、株価指数の騰落率に−1倍を掛けるため、下落相場でも収益を出せる特徴があります。インバース型には、−2倍となるダブルインバース型もあります。

投資信託にもレバレッジ・インバース型と同等のブル・ベア型がありますが、ETFはリアルタイムの売買ができるため、投資信託よりも機動的な取引が可能です。一時的な上昇、下落局面が訪れた場合、ピンポイントに活用すると良いでしょう。

4.海外ETFと国内ETFはどちらが良い?

近年の米国市場の上昇トレンドと合わせて、米国株や米国ETFが関心を集めています。投資先として検討している人も多いのではないでしょうか。国内に上場しているETFと米国ETFの違いや、メリット・デメリットについて解説します。

4−1.通貨の違い

米国ETFへ投資する時は、ドルに両替して取引を行います。証券会社にもよりますが、両替の手数料がかかるケースもありますので注意が必要です。

為替の差益や差損も考慮しなければいけません。ETFを売却してドルを得た場合、ドルに両替した時よりも円高になっていると、差損が出てしまいます。米国ETFへ投資するときは、ETFの運用とは別に、通貨の運用も考慮しなければいけません。

4−2.取引時間の違い

米国ETFに投資するには、米ドルで現地の取引時間内に売買を行う必要があります。日本とニューヨークの時差は13時間です。ニューヨーク証券取引所は、夜の23時にスタート(サマータイム時は22時30分)します。米国ETFのリアルタイムの取引をする場合、深夜に起きておく必要があります。

4−3.分配金に対する課税

米国ETFの分配金は米ドルで支払われます。分配金の支払い時は、外国源泉税が徴収されますが、外国税額控除を受けるためには確定申告が必要です。

国内で上場している海外ETFから発生する分配金や譲渡益は、国内源泉所得税から外国税額を自動的に控除してくれます。どちらも外国税額の徴収はありますが、手間を見ると国内ETFのほうが簡素化されています。

4−4.米国ETFと国内ETFの違い

米国ETFと国内ETFの違いを以下の表にまとめました。税制面の違いは収益にも関わるため、押さえておきましょう。

項目 国内上場ETF 米国上場ETF
取引時間 日本時間 米国時間
取引通貨 米ドル
売買できる証券会社 ほぼすべての証券会社 取扱証券会社
取扱銘柄数 約250 多いケースで約300
保有時のコスト 信託報酬 経費率
分配金 米ドル
外国税額控除 分配金受取時に処理 確定申告が必要

5.投資信託かETF、投資先はどちらがいい?

投資信託とETF、どちらに投資するべきかと悩む人も多いのではないでしょうか。

それぞれの特徴を比べると、ETFはリアルタイムの取引にメリットがあり、税制優遇制度に分がある投資信託は長期保有に強みがあります。以下、3つの観点から投資信託とETFの違いを考察し、違いを紹介します。

5−1.運用コスト

投資信託には、売買手数料と信託報酬、信託財産留保額の3つの運用コストが発生します。3つのうち売買手数料と信託財産留保額は無料とするファンドが増えてきました。したがって、投資信託の主な運用コストは信託報酬です。

ETFにかかるコストは、売買手数料と信託報酬の2つ。ネット証券を始めとして少額取引では売買手数料を無料とする証券会社も増えてきました。ETFも投資信託と同様に、信託報酬が主な運用コストです。

投資信託とETFの信託報酬を比べると、ややETFのほうが安くなっています。運用コストの点では、ETFに軍配が上がります。

5−2.売買の流動性

投資信託は1日1回算出される基準価額をもとに売買されますが、ETFは取引時間中はリアルタイムで取引ができます。

投資信託とETFの大きな違いは、売買の流動性です。取引時間中に飛び込んできたニュースに対して、柔軟に対応できる点はETFのメリットです。値動きが大きく、流動性が高いレバレッジ・インバース型や原油はETFをうまく活用すると良いでしょう。

5−3.税制優遇面では投資信託に分がある

投資信託はiDeCoに対応しており、つみたてNISA対象のファンドも多くあります。ETFはiDeCoの対象外で、つみたてNISAの対象となる銘柄は投資信託に比べると非常に少ない状況です。したがって税制優遇制度の選択肢でみると、ETFよりも投資信託のほうが豊富です。

まとめ

国内ETFでは、主に大きな収益を狙えるレバレッジ・インバース型のETFが人気を集めています。

リアルタイム取引ができるETFは、流動性が高く、柔軟な対応が迫られる銘柄との相性が良い傾向です。指数に連動するインデックス型の他にも、テーマ別、業種別などさまざまな切り口のETFが用意されています。ETFの特徴を押さえて資産運用に組み入れてみてはいかがでしょうか。

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sayran

「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。