アパート経営の老朽化コストとは?将来に備えるための5つの重要ポイント

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アパートは長期間保有しているうちに老朽化が進むため、適切に対処をしていく必要があります。老朽化によりアパートの収益性が落ちたり、長年の劣化を放置した結果、かえって修繕コストが高くついたりするリスクがあるためです。

国土交通省「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」によると、木造10戸(1K)の修繕時期・費用のイメージとして5~10年目には1棟あたり約70万円、11~15年目には約520万円、21~25年目には約800万円と、多額の資金を必要とすることが事例として挙げられています。

今回はアパート経営における老朽化のコストやリスク、それらをふまえた5つの対策ポイントについてまとめました。

目次

  1. アパート経営における老朽化のコスト・リスク
    1-1.空室の増加に伴う稼働率の低下
    1-2.賃料の低下による収益性の低下
    1-3.修繕・維持費用がかかる
    1-4.売却時の価格下落要因となる
  2. 老朽化へ備える5つのポイント
    2-1.メンテナンスや入居者選びを丁寧に行う管理会社と契約する
    2-2.小まめなメンテナンスを怠らない
    2-3.老朽化対策の選択肢を理解しておく
    2-4.売却まで見据えた長期計画を立てておく
    2-5.余裕を持った資金管理を進める
  3. 老朽化に対する3つの対策の費用目安
    3-1.大規模修繕
    3-2.建て替え
    3-3.売却・買い替え
  4. アパート経営の管理に強い不動産投資会社
    4-1.シノケンプロデュース
    4-2.アイケンジャパン
  5. まとめ

1 アパート経営における老朽化のコスト・リスク

アパートを長期間所有していれば、老朽化による影響は避けられません。まずは、老朽化がアパート経営にどのような影響をもたらすのかまとめました。堅実なアパート経営を実現させるうえで、まずは老朽化のコストやリスクを理解しておきましょう。

1-1 空室の増加に伴う稼働率の低下

アパートは築年数が経過すると、建物や設備の劣化により物件としての競争力が低下します。特に、賃料や立地条件が同等であれば、入居希望者はより新しく設備が整った物件を優先的に選ぶ傾向があります。

そのため、築古物件は他の競合物件に対して入居率が低くなりやすく、さらに管理が不十分で老朽化が進んでいる場合には、いっそう入居者から敬遠されやすくなります。その結果、退去後の新規入居者の確保が難航し、空室期間が長引くことで稼働率が下がり、収益も減少する恐れがあります。

1-2 賃料の低下による収益性の低下

経年劣化により稼働率が低下するとなると、周辺物件より賃料を引き下げて入居者を募らざるを得なくなります。入居者を獲得できたとしても、新築時と比べると、得られる賃料収入が低下します。

実際の下落率は一様ではなく、立地が魅力的だったり、適切な修繕がなされていて老朽化を感じさせない外観・内装であったりすれば、下落率の抑制が可能です。逆に長年放置されたアパートは、経年劣化の影響をより大きく受ける可能性があります。

1-3 修繕・維持費用がかかる

アパートの老朽化を食い止めるためには、物件の修繕や維持費用がかかります。まず、清掃や細かい傷程度の補修、消耗品の交換、外構部分の手入れなど、日常的なメンテナンスが欠かせません。これらのメンテナンスは管理会社に一任するケースが多く、管理のための手数料が発生します。

次に、10年~15年に一度程度の頻度で、より大規模な修繕が必要となります。塗装の塗りなおしによる防水機能の回復や、大きな構造物の交換など、大掛かりで高額な修繕工事が必要です。こちらは一度にまとまった費用がかかります。

メンテナンスをおろそかにしてしまうと、物件の劣化が進行して、将来より高額な施工を伴う修繕が発生するリスクもあります。コストがかかる点で、投資家にとって悩ましいポイントですが、老朽化の影響を抑えるためには、適切に費用を払ってメンテナンス・修繕を進めることが望まれます。

1-4 売却時の価格下落要因となる

老朽化が進んだ物件は、売却時の評価も下がるリスクがあります。売買による収益が低下したり、売値で残債を解消できずに「売りたくても売れない」状態に陥るリスクが高くなるでしょう。

日々のメンテナンスについては、物件の老朽化を遅らせるために適切に実施しなければなりません。一方で、大規模修繕の実施の是非は、売却タイミングも見ながら適切に判断しなければなりません。

コストをかけて資産価値を高めるか、やや割安な価格で処分してしまうかは、しばしば微妙な判断になります。的確な投資判断を下すために、計画的にアパート経営を進めていくことが大切です。

2 老朽化へ備える5つのポイント

老朽化はどのアパートにも起こる課題なので、あらかじめ実態を理解して、対策を打っておくのが大切です。

  • メンテナンスや入居者選びを丁寧に行う管理会社と契約する
  • 小まめなメンテナンスを怠らない
  • 老朽化対策の選択肢を理解しておく
  • 売却まで見据えた長期計画を立てておく
  • 余裕を持った資金管理を進める

投資開始の時点から、老朽化を見据えた準備を進めておくことが、堅実なアパート経営につながります。

2-1 メンテナンスや入居者選びを丁寧に行う管理会社と契約する

物件メンテナンスや、入居者選びに強みを持つ管理会社を厳選しましょう。建物の老朽化を遅らせるためには、日々の点検や細かなメンテナンスが重要になります。

物件管理のなかでも、物件を品質をできるだけ保持する、小まめな点検や修繕・設備交換を行ってくれる管理会社を選ぶことが大切です。

また、老朽化を食い止めるうえでは、入居者による設備の使用状況も重要です。例えば、設備の使い方や共用部分の取り扱いによって、物件の劣化速度に差が生じることがあります。そのため、管理会社が入居審査を適切に行い、物件の維持管理に協力的な入居者を確保することは、長期的な資産価値の保全につながります。

2-2 小まめなメンテナンスを怠らない

日々の小まめなメンテナンスを適切に進めることが物件の老朽化を遅らせ、さらに大規模修繕の費用を抑えるうえで有効です。具体的には、以下のような作業を日々適切に進めておく必要があります。

  • サッシやコーキングなどの点検と補修
  • 定期的な清掃により汚れの定着や腐食を予防
  • 退去時の原状回復による室内の保全
  • 消耗品や古くなった小規模設備の交換

質の高い物件を維持することでアパートの魅力が維持され、稼働率の向上にもつながります。

2-3 老朽化対策の選択肢を理解しておく

建物の築年数が経過してきたときには、次の選択肢が存在します。

  • 大規模修繕を経て運営を継続
  • 建物の建て替え
  • 売却(買い替え)

ここまでは主に大規模修繕を中心に紹介していきましたが、建て替えや買い替えによって老朽化を「リセット」する方法もあります。どの手法が良いかは、売値や投資家の自己資金の状況、周辺物件の価格によって変わってきますが、あらかじめ長期の資金計画を立てておいて、どの選択をとるのがよいのか考えておくとよいでしょう。

2-4 売却まで見据えた長期計画を立てておく

老朽化を踏まえた適切な投資判断には、投資開始前から長期的な計画を立てておくことが求められます。大規模修繕を見据え、キャッシュフローや総収入、想定コストを事前にシミュレーションしておくことで、必要な資金の確保や活用方針を明確にできます。

そのうえで、どの程度の現金を確保できるか、またその資金で修繕を実施すべきかといった見通しを早期に立てておくと、判断に柔軟性も生まれやすくなるでしょう。残債や売却価格、自己資金の状況によっては、建て替えや買い替えを検討する選択肢も出てきます。

2-5 余裕を持った資金管理を進める

将来の修繕に備え、現金の全額を使わず一部を蓄えておくことが重要です。売却を見込んでいても、市場状況の変化により計画通りに進まない可能性があるため、修繕にも対応できる資金を確保しておくと柔軟に対応できます。

3 老朽化に対する3つの対策の費用目安

老朽化に対する抜本的な対策となる次の3つの方法について、それぞれの費用目安をまとめました。

  • 大規模修繕
  • 建て替え
  • 売却・買い替え

自分がどの手法を選択するか、費用を踏まえて検討してみてください。

3-1 大規模修繕

国土交通省「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」では、次のような修繕費用の目安を示しています。大規模修繕の実施が想定される時期を抜粋すると、それぞれの費用は次のとおりです。

木造10戸(1LDK~2DK)の修繕時期・費用のイメージ

1戸あたり 10戸の場合
11~15年目 約64万円 約640万円
21~25年目 約98万円 約980万円

(出所:国土交通省「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」。大規模修繕により費用が膨らむ時期を抜粋。なお、当該時期に発生する小規模な修繕費用も含まれている)

大規模修繕を選択する場合には、既存の建物のままアパート経営が続きます。仮に15年目までに1度めの修繕を行っていた場合、2度めの修繕ではさらに高額の費用が掛かる可能性があります。「1回目は乗り越えるけど2回目には売却を前提に検討する」といったような戦略も検討の余地があるでしょう。

3-2 建て替え

建て替えの場合、土地はそのままに既存物件を取り壊し、新たな建物を立てることになります。

木造(1LDK~2DK)40坪の解体・建て替え費用のイメージ

1坪あたり 40坪の場合
解体費用 3~4万円 120~160万円
建築費用 67.5万円 2,700万円
合計 約72万円 約2,880万円

(出所:国土交通省「建築着工 統計調査報告|令和5年度」における木造の床面積と工事費予定額をもとに筆者が計算)

なお、ローン残債が残っている場合は、先に残債を処分しなければならない可能性が高いといえます。ローンは建物に抵当を設定して借りています。抵当が残っているうちは、基本的には投資家の判断で建て替えることはできません。

一方で、建て替えの工事費は、金融機関の納得感が得られれば、新たにローンを組んで自己資金を圧縮できる可能性があります。残債をすでに処分している場合には、ローンの活用した建て替えも検討してみましょう。

3-3 売却・買い替え

売却する場合には、そもそも買い替えを伴うかどうかによっても状況が変わってきます。変数が多いため費用の目安は一概には算出できません。まず、仮に買い替えをせずに投資を終了する場合には、残債を上回る価格で売却できれば、その金額が手元に残ります。この場合は、現金は減らず、むしろ現金収入を獲得できる形です。

売却後に買い替える場合は、買い替え先の物件規模により実際にかかる費用は異なります。仮に売値が良好で、同程度の規模で投資に取り組む場合には、売却で獲得した現金を次の購入に充てることで、自己資金をあまり使わずに再投資ができる可能性もあるでしょう。

売却・買い替えの経済効果は、残債の減少ペースと売却価格によって大きく異なります。市場価格の影響もあるため不確実性は高いですが、残債がどのように減少して、いくらであれば売却する合理性があるのか、あらかじめ認識しておきましょう。

4 アパート経営の管理に強い不動産投資会社

アパート経営において、適切にコストをかけながら物件の魅力や収益性を長期的に維持するには、入居者対応や建物管理に強みを持つ不動産投資会社の選定が重要です。特に、管理体制や入居率、保証制度などに優れた企業であれば、初心者の方でも取り組むことができます。

ここでは、管理実績や入居者サポートに定評のある不動産投資会社を紹介します。各社の特徴を比較し、自身の投資スタイルに合ったパートナー選びの参考にしてください。

4-1.シノケンプロデュース

シノケンの評判

  • 駅徒歩10分以内の土地にこだわり、入居率98.75% (2024年年間平均/自社企画開発物件)
  • 管理戸数50,000戸以上(2024年12月末時点)の豊富な管理実績
  • 初回の入居が成約になるまで家賃を100%保証する「100%初回満室保証」

シノケンプロデュースは、東京・福岡・大阪・名古屋・仙台の都市圏で投資用アパートの販売を中心に行っているシノケングループのグループ企業です。管理戸数50,000戸以上(2024年12月末時点)の実績があり、入居率98.75% (2024年年間平均/自社企画開発物件)を実現しています。初回の入居が成約になるまで家賃を100%保証する「100%初回満室保証」や、入居者からの家賃の支払いが遅れた場合の家賃滞納保証などオーナーが安定した収益を生むための保証制度も充実しています。購入者の半数以上がリピーターとなっており、会社員・公務員からの評判も良い会社です。

さらに、シノケンでは入居者向けコールセンター(24時間365日8カ国語対応)で、外国人や高齢者など敬遠されがちな方にも手厚い対応を行っています。このような入居者向けサービスは、高齢者の継続的な安否確認、外国人の言語の壁によるコミュニケーションや生活マナーの改善などが期待でき、オーナーにとっても入居者層を広げられるメリットや将来的な入居需要に応えることができるメリットがあります。

【関連記事】シノケンのアパート経営の評判は?営業、融資、物件、入居率の評判・口コミ

4-2.アイケンジャパン

株式会社アイケンジャパン
  • 入居者のターゲットを社会人女性に絞り、入居率99.3% (2024年年間平均/自社企画開発物件)
  • 入居者が決まるまで無期限で家賃保証が行われる「初回満室保証」
  • 女性入居者に合わせた高い防犯性を備えている点も特徴的

アイケンジャパンは、「堅実なアパート経営」をコンセプトに掲げる不動産投資会社で、2006年の創立から1000棟以上の開発・引渡し実績があります。

アイケンジャパンのアパートは、対象エリアを主要駅10分圏内(首都圏は15分圏内)、入居者のターゲットは物件選びの目線が厳しい社会人女性に絞って、防音性・防犯性・デザイン性・コストパフォーマンスなどを追求し、入居率99.3%(2023年年間実績)を実現しています。事業計画の設定家賃に対しても、10年以上経っても98.7%(2024年6月末時点)の高い収益率を達成できており、オーナーからの紹介・リピート率も高い会社です。

さらに、オーナーに対する保証やサポートが手厚いのもアイケンジャパンの特徴です。家賃滞納保証や管理代行サポートなども利用できるため、初心者の方でもアパート経営に取り組むことができます。建物完成後は全部屋に入居者が決まるまで無期限で家賃保証が行われる「初回満室保証」があり、地盤の問題や構造上の欠陥についても、建物引渡日の翌日から20年以内に不同沈下が発生し、建物に被害が出た場合、建物と地盤の修復工事を行う「宅地地盤保証」という保証があります。

また、アイケンジャパンの入居者のターゲットとして想定しているのは「社会人女性」のため、①オートロック・カラーモニターフォン、②共用廊下・共用階段が屋内となるように設計、③バルコニー前をライトで照らすなど、④高さのあるベランダにする、⑤防犯シャッター、⑥防犯カメラの設置など、ターゲットから求められる高い防犯性を備えている点も特徴的です。

なお、アイケンジャパンでは2025年4月24日(木)から5月6日(火・祝)までの期間限定で「アパート経営オンデマンドセミナー」を配信しています。この機会に不動産投資やアパート経営に関して相談をしてみたいという方は検討されてみると良いでしょう。

【関連記事】アイケンジャパンのアパート経営、メリットやリスクは?オーナーの口コミ・評判を分析

まとめ

アパート経営において、物件の老朽化は避けられない課題の一つです。そのため、投資開始前の段階から老朽化に対する対応方針を含めた長期的な計画を立てておくことが重要です。多くの場合、一定期間後に大規模修繕を検討することになりますが、その際に十分な工事が実施できるよう、早い段階から修繕資金を準備しておくと良いでしょう。

また、修繕に限らず、建て替えや物件の売却・買い替えといった選択肢も視野に入れておくことも大切です。特に投資期間の後半で収支が悪化している場合には、修繕よりもこれらの手段を選ぶ方が合理的となるケースもあります。将来の状況変化も踏まえ、複数の選択肢を想定したうえで、投資効果を最大化できる戦略を検討していきましょう。

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伊藤 圭佑

資産運用会社に勤める金融ライター。証券アナリスト保有。 新卒から一貫して証券業界・運用業界に身を置き、自身も個人投資家としてさまざまな証券投資を継続。キャリアにおける専門性と個人投資家としての経験を生かし、経済環境の変化を踏まえた投資手法、投資に関する諸制度の紹介などの記事・コラムを多数執筆。