プロパティエージェントが導入した「電子契約サービス」、どういう仕組み?

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2019年11月、投資用マンションの開発・販売を行うプロパティエージェント株式会社が「電子契約サービス」の導入を発表しました。電子契約になると煩雑な不動産契約行為がスムーズになることが期待されます。

この記事ではプロパティエージェントが導入した、電子契約の特徴や仕組みについてご紹介します。

目次

  1. プロパティエージェントの企業概要
  2. 電子契約を導入する「クレイシア」シリーズ
    2-1.電子契約とは
    2-2.プロパティエージェントが導入する電子契約サービス
  3. 電子契約サービスのメリット
    5-1.時間や場所に関係なく契約できる
    5-2.収入印紙代の削減ができる
    5-3.契約書紛失などのリスクが低減できる
  4. 電子契約サービスのデメリット
    6-1.押印や署名をしないため不安が残る人もいる
    6-2.クラウドがウィルスやハッカーの攻撃を受けるリスクがある
  5. まとめ

1.プロパティエージェントの企業概要

プロパティエージェントのマンション投資

運営会社名 プロパティエージェント株式会社
本社所在地 東京都新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー41F
設立 2004年
代表取締役 中西 聖
資本金 6億1,379万円(2021年11月時点)
売上高 372億円(2023年3月期)
主要エリア 東京都23区・横浜
入居率 99.59%(2024年1月末時点)

プロパティエージェントは東京23区と横浜を中心にマンション開発を行う東証プライム上場グループ会社です。顧客のニーズに合わせた投資用の不動産や、多様化した住み方に対応したコンパクトマンションを提供し、設立以来15年連続で増収増益を継続、強固な経営基盤を築いています。

プロパティエージェントは当初からIT、都心、不動産をキーワードに不動産事業を展開。仕入れる用地の評価に「スコアリング」という方法を開発するなど、ITを駆使し事業を行ってきました。今回、他社に先駆け電子契約を導入します。

2.電子契約を導入する「クレイシア」シリーズ

今回電子契約サービスを導入するのはプロパティエージェントが開発、販売を手掛ける「クレイシア」シリーズです。「クレイシア」シリーズはプロパティエージェントが行う不動産投資事業の中核を担うマンションシリーズです。

「クレイシア」シリーズは全ての物件においてデザインを統一しない「モデリング」という手法を導入し、住む人のニーズに応えています。

2-1.電子契約とは

電子契約とは、紙の契約書ではなく、インターネット上で電子ファイルを使って契約をすることです。契約書はクラウドサーバー上にデータで保管されます。電子契約を導入することで、ペーパーレス化につながったり、クラウド上の管理によりセキュリティ能力が向上したりするなどのメリットが考えられます。

こと不動産の売買においては複数種類の契約書をやり取りしなくてはならないため、不動産会社および買主・売主にそれぞれ負担が掛かります。そのため、電子契約を導入することでスムーズなやり取りや書類の保管が可能になる期待が持たれています。

2-2.プロパティエージェントが導入する電子契約サービス

プロパティエージェントが導入するのは「DocuSign Agreement Cloud」という、契約、署名、稟議における契約締結や署名捺印を、全てデジタルで完了できるプラットフォームです。

電子契約プラットフォームを提供しているのは東京都港区にあるドキュサイン・ジャパン株式会社です。一連の流れの中で電子署名に使われる「DocuSign eSignature」は世界で一番使われている電子署名システムとして知られています。

プロパティエージェントはこの仕組みを、投資用マンションブランド「クレイシア」の売買取引契約に導入しました。

3.電子契約サービスのメリット

電子契約サービスを導入すると、投資家にはどのようなメリットがあるのかを見てみましょう。

3-1.時間や場所に関係なく契約できる

電子契約サービスのメリットの1つは、時間と場所に関係なく契約が締結できる点です。今までの契約方式では、購入者は不動産会社や売主と対面して契約書に署名捺印を行わなければいけませんでした。しかし電子契約サービスを使えば、面談をしなくてもインターネットを介して契約が締結できます。

3-2.収入印紙代の削減ができる

2つ目のメリットは収入印紙代などの経費がかからないという点です。電子契約の際は法律上収入印紙代がかかりません。マンションの購入代金からすれば小さい出費ではありますが、それでも費用が安くなるのはありがたいと言えます。

なお、印紙税額は2020年1月時点で下記の通りとなっています(参照:国税庁)。

記載された契約金額 税額
10万円を超え50万円以下のもの 200円
50万円を超え100万円以下のもの 500円
100万円を超え500万円以下のもの 1千円
500万円を超え1,000万円以下のもの 5千円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの 1万円
5,000万円を超え1億円以下のもの 3万円
1億円を超え5億円以下のもの 6万円
5億円を超え10億円以下のもの 16万円
10億円を超え50億円以下のもの 32万円
50億円を超えるもの 48万円

3-3.契約書紛失などのリスクが低減できる

紙の契約書の場合、複数冊を無くさないようにしっかりと管理しておくことを要します。しかし契約書をペーパーレス化し、クラウドで管理することで、書類の保管・管理に苦労することなく、紛失などのリスクが低減できます。また、紙を使わないため不正な改ざんなどの犯罪防止にもつながります。

4.電子契約サービスのデメリット

電子契約サービスはまだ歴史が浅いため、そのことが要因になるようなデメリットも考えられます。どのようなデメリットがあるのかを見てみましょう。

4-1.押印や署名をしないため不安が残る人もいる

電子契約サービスには印鑑や署名を使いませんので、実質印鑑や署名を使った本人であることの証明ができないのではないか、という点が疑問として挙げられます。

しかし、電子契約には印鑑や署名を必要とせず、公開鍵暗号システムというものを用いて、本人が証明できるようになっています。これにより、電子契約は本人による契約と証明でき、法的に認められているのです。

ただ、古くから不動産を所有している方にとっては印鑑や署名で契約ができない、という点の方がデメリットに感じる方もいるでしょう。また、将来的に売却活動などで購入時の契約書を提示する必要が生じた場合に、不動産会社の担当者などの相手方が電子契約のことを知らず、説明が必要になる可能性も考えられます。

4-2.クラウドサービスがハッカーなどから攻撃を受けるリスクがある

電子契約書を保存しているクラウドサービスに対してハッカーからの攻撃などがあった場合、第三者に電子契約書データを盗まれたり、データが破損したりするリスクがあります。紙で保管する場合も盗難・紛失リスクなどはありますので、セキュリティの取り組みをしっかりと確認してから利用を検討されると良いでしょう。

まとめ

電子契約の導入が成功すれば、他の業務も電子化される可能性があります。電子化される業務が増えれば、企業と契約者両者において経費や手間が低減できたりするなど多くのメリットが生まれます。今回の電子契約の導入は、今後の不動産業務の変化にもつながる重要な試みと言えるでしょう。

プロパティエージェントが電子契約サービスを導入したことで、実際に利用した方からどういった反響があるのか、といった点にも注目したいところです。

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西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。