住宅ローンを契約して不動産を購入したものの、勤めていた会社が倒産した、妻が妊娠して産休に入ったことで収入が減少したなど、生活環境の変化により住宅ローンの返済が困難になるケースは少なくありません。
住宅ローンの返済が滞ると、最終的に不動産を売却して現金化することで残債を返済することとなります。その際に取られる方法の1つに「任意売却」という方法があります。
この記事では、任意売却の進め方や、任意売却を依頼する不動産会社の選び方を解説します。
目次
- 任意売却とは
1-1.任意売却の流れ - 任意売却を依頼する不動産会社の選び方
2-1.任意売却の実績が豊富である
2-2.他の専門家と連携している
2-3.デメリットやリスクを説明してくれる
2-4.不動産一括査定サイトを利用して複数社へ同時に問い合わせる
2-5.金融機関から紹介してもらう - まとめ
1.任意売却とは
任意売却とは、売却後も住宅ローンが残ってしまう不動産を金融機関の合意を得て売却する売却方法です。
金融機関は、万が一住宅ローンの契約者が滞納して残債を回収できなかった場合に備えて、不動産に抵当権を設定しています。抵当権とは、契約者の返済が滞った場合に不動産を売却できる権利のことです。
任意売却では通常の不動産売却と同様に、不動産会社に仲介を依頼して売却を進めるため、競売と比較して売却価格が相場とあまり変わらないのが特徴です。
任意売却は、高く売却できるので残債が少なくなる、残債を分納できるなどのメリットが多いため、競売によって手放してしまう前に任意売却を認めてもらうように金融機関に申し出ることを検討してみましょう。
1-1.任意売却の流れ
競売は裁判所が主体になって不動産の売却を進めますが、任意売却では不動産の所有者が主体になるという違いがあります。不動産の所有者が主体になるという点は、通常の不動産売却と同じです。
そのため、任意売却の流れも通常の不動産売却と大きく変わりません。任意売却の流れは以下の通りです。
- 不動産会社に査定を依頼する
- 任意売却を金融機関に申し出る
- 不動産会社と媒介契約を締結する
- 不動産の売却活動を行う
- 不動産売買契約を締結する
- 不動産の引き渡しを行う
- 残債の分納を開始する
住宅ローンの返済が困難になった場合、まずは不動産会社に査定を依頼します。
残債と査定結果を比較し、残債が下回っている場合は通常の不動産売却、残債が上回っている場合は抵当権を抹消できないため、金融機関の承認によって任意売却、または競売のどちらかとなります。
不動産の所有者は、金融機関に任意売却を申し出て、許可が出た場合に任意売却を進めることが可能です。
その後は、通常の不動産売却と同様の流れになりますが、不動産の引き渡しが完了した後は金融機関と話し合って決めた分納のルールに従って残債の返済を続けることになります。
2.任意売却を依頼する不動産会社の選び方
任意売却は通常の不動産売却と同じ手順で進めることとなりますが、売却の仲介を依頼する不動産会社の選び方も同じでいいのでしょうか?
任意売却は金融機関とのやりとりも発生するうえ、売却期限の定められた売却方法になります。そのため、任意売却の経験や取扱実績のある不動産会社に依頼した方が良いでしょう。
任意売却を依頼する不動産会社を選ぶ際のポイントは以下の5つです。
- 任意売却の実績が豊富である
- 他の専門家と連携している
- デメリットやリスクを説明してくれる
- 複数社へ同時に問い合わせる
- 金融機関から紹介してもらう
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
2-1.任意売却の実績が豊富である
通常の不動産売却は宅地建物取引業法に基づく取引を行いますが、任意売却では宅地建物取引業法だけでなく、民法に関する知識を必要とします。
また、金融機関や連帯保証人、不動産の所有者との合意形成を図りながら売却を進めていく必要があります。
そのため、任意売却を担当したことがない不動産会社に仲介を依頼しても、スムーズに任意売却を進めることができない、後でトラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。
スムーズに売却を進める、トラブルを未然に防ぐためにも、任意売却の実績が豊富な不動産会社を選ぶことを検討しましょう。
2-2.他の専門家と連携している
不動産会社はあくまでも不動産売買の専門家であり、法律の専門家ではありません。法律関係が難しい任意売却で予期せぬトラブルがあった際、不動産会社だけでは対応できない可能性があります。
そのため、任意売却を依頼する弁護士や司法書士といった専門家と連携しているかどうかも重要なポイントとなります。
部署の1つに法務部門がある大手不動産会社や、弁護士や司法書士といった専門家と連携している不動産会社に依頼するようにしましょう。
2-3.デメリットやリスクを説明してくれる
不動産会社の中には仲介の依頼を受けるために、デメリットの説明を売主に積極的に行わない不動産会社があります。
そのような不動産会社に仲介を依頼した場合、任意売却のデメリットやリスクをしっかり理解できていないまま任意売却を進めてしまう可能性がありますので注意しましょう。
不動産の任意売却を依頼するのであれば、任意売却のデメリットやリスクをしっかり説明してくれる不動産会社を探すことが大切です。
また、期限までの売却が現実的でない高めの査定額を提示する不動産会社があります。相場よりも高い金額を提示した不動産会社に依頼した場合、売却期限までに売却できない可能性があります。査定根拠が説明できる不動産会社に依頼するようにしましょう。
2-4.不動産一括査定サイトを利用して複数社へ同時に問い合わせる
自分で任意売却を得意とする不動産会社を見つけると言っても、どの不動産会社に仲介を依頼すればいいのか分からない方が多いと思います。
そこで不動産一括査定サイトの利用を検討してみましょう。不動産一括査定サイトとは、物件情報を登録するだけで複数社から無料で査定を受けられるサービスです。
物件の登録時には売主の希望条件を記入できる備考欄があります。そこで「任意売却を検討しているので、対応可能な不動産会社に依頼したい」旨を記載することで、任意売却の取扱ができる不動産会社を探すことが出来ます。
下記は主な不動産一括査定サイトの表です。
主な不動産一括査定サイト
サイト名 | 運営会社 | 特徴 |
---|---|---|
SUUMO(スーモ)不動産売却[PR] | 株式会社リクルート | 大手から中小企業まで約2,000の店舗と提携。独自の審査基準で悪質な不動産会社を排除。60秒で入力が終了し、無料査定がスタートできる。 |
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リガイド(RE-Guide)[PR] | 株式会社ウェイブダッシュ | 15年目の老舗サイト。登録会社数800社、最大10社から査定を受け取れる。収益物件情報を掲載する姉妹サイトも運営、他サイトと比べて投資用マンションや投資用アパートの売却に強みあり |
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2-5.金融機関から不動産会社を紹介してもらう
次に、金融機関から任意売却を依頼する不動産会社を紹介してもらうという方法があります。
金融機関は数多くの業者と関わっており、任意売却を得意とする不動産会社を知っている可能性があります。金融機関に相談すれば任意売却の合意も得られやすく、トラブル防止の効果も期待できます。
特に任意売却を依頼したい不動産会社がない場合には、金融機関に相談することも検討してみましょう。
まとめ
任意売却とは、不動産を購入する際に契約した住宅ローンの返済が滞った場合に、不動産の売却代金では残債の返済ができない場合の売却方法です。
任意売却は通常の不動産の売却と同じ方法なので、相場通りに売却できる、残債は分割返済できるといったメリットがあるため、競売で手放してしまう前にできるだけ任意売却を検討すると良いでしょう。
しかし、任意売却または競売かは金融機関の承認が必要となります。返済遅延の可能性があるのであればまずは金融機関に相談することが大切です。
スムーズに任意売却を進める、トラブルを未然に防ぐためにも、この記事に記載されている内容を確認しながら金融機関の承認を経て、任意売却を得意とする不動産会社に依頼しましょう。
矢野翔一
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