これからマンション投資を始める方の中には、なるべく初期の投資額を抑えたいという方も多いと思います。一般的に不動産を購入する場合には1割程度の頭金を入れてローンを受ける形になりますが、マンション投資の場合は頭金を入れなくてもスタートできる場合があります。
この記事ではできるだけ自己資金を抑えて、効率的にマンション投資をする方法について解説いたします。
目次
- 自己資金を抑えてマンション投資ができる理由
- 少ない自己資金でマンション投資をするメリット
2-1.初期費用を抑えることができる
2-2.レバレッジ効果を最大限に生かせる
2-3.定期預金などを解約する必要がない
2-4.使わずにとってある資金を次の投資に回せる
2-5.いざという時の資金補填ができる - 少ない自己資金でマンション投資をするデメリット
3-1.収支が悪いためにリスクが大きくなる可能性がある
3-2.優遇金利が使えない可能性がある
3-3.余裕資金がないと返済ができなくなることもある - 少ない自己資金で始めるマンション投資法
4-1.頭金ゼロや少額でスタートできる不動産会社を探す
4-2.賃貸ニーズが高いエリアを選ぶ
4-3.入居率の高い管理会社を探す
4-4.余裕資金を準備しておく - まとめ
1.自己資金を抑えて投資ができる理由
マンション投資の場合、頭金を入れずに物件を購入し、投資をスタートできる場合があります。なぜ頭金が必要かどうかが変わるのか、ローンの仕組みについて見てみましょう。
まず、金融機関が融資の申し込みを審査をする際には、申込者の年収や仕事内容、信用情報以外に、物件の担保評価額も見た上で融資額や金利を決定します。
担保評価額とは、物件を担保とした際にいくらで現金化できるかを表す価格のことです。契約者が万が一ローンを返済不能になった際に、金融機関は物件を競売に出して、融資したお金を回収します。その際に、いくら回収できるか(いくらで売れるか)を推定する金額ということになります。この評価額が高いほど融資条件が良くなります。
物件が駅から近い場所に建っていたり、周辺環境が良かったりする場合、高い賃貸ニーズが期待できますので、家賃収入も安定的に入ってくることが想定できます。その場合は担保評価額が高くなり、銀行側のリスクが下がるためにフルローンが組めたり低い金利でローンが組めたりします。
なお、フルローンとは物件の売買代金全額ぶんの融資を受けることを言います。そのため、フルローンが組める場合は頭金を支払わなくてもマンションを購入できるということになります。
2.少ない自己資金でマンション投資をするメリット
フルローンで頭金をゼロにするなど自己資金をなるべく使わずにマンション投資をする場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
2-1.初期費用を抑えることができる
物件の担保評価額が低いなどでフルローンが組めない場合、物件価格と融資額の差額を頭金として入れなければいけません。仮に2,000万円の物件を購入する場合、融資額が9割だと頭金は200万円必要になります。
マンション投資を始めるには、頭金以外にも諸費用が数十万円かかりますので、この場合合計すると300万円近くになったり、300万円を超えたりする可能性もあります。
フルローンを組めれば頭金が必要なくなるため、初期費用は契約等の諸費用の支払いのみで済むことになります。最初にキャッシュフローを圧迫することがなくなる点に、頭金が不要なことのメリットがあります。
2-2.レバレッジ効果を最大限に生かせる
不動産投資の場合、レバレッジ効果という考え方を用いて利回りなどを試算することがあります。レバレッジとは「テコの原理」のことを言います。少額の元手で大きな利益を得る、という意味で使われ、不動産投資ではもっぱら融資を受けて物件を購入することを指します。
例えば2,000万円の価格のマンションを購入するのに20万円の頭金のみを準備した場合と、200万円の頭金を準備した場合、自己資金に対する年間の表面利回りがどのようになるか、比較してみます。
融資条件を金利2%、返済期間35年、家賃収入を7万5,000円とします。試算すると以下のようになります。
頭金の額 | ローン価格 | 月々の返済額 | 月々の手残り額 | 年間の手残り額 | 自己資金に対する年利回り |
---|---|---|---|---|---|
20万円 | 1,980万円 | 6万5,590円 | 9,410円 | 11万2,920円 | 56.4% |
200万円 | 1,800万円 | 5万9,627円 | 1万5,373円 | 18万4,476円 | 9.2% |
*利回りは小数点2位以下切り捨て
この試算の場合は、20万円の投資額に対する利回りは56.4%、200万円の場合は9.2%となります。このように頭金を抑えて融資の部分を多くすることで、自己資金に対する利回りが大きくなることを、俗に「レバレッジ効果が効いている」と言います。
マンション投資では融資を受けて投資ができますので、少額の手元資金で大きな利益を得ることができます。
2-3.定期預金などを解約する必要がない
頭金を準備するとなると、通常100万円単位のお金が必要になりますので、場合によっては本来崩す予定のなかった定期預金などを解約して支払う人もいるかもしれません。頭金がかからない融資条件であれば、定期預金などの使う計画のなかった資金に手を付ける必要がなくなります。
せっかく先のために計画して貯めたお金に手を付けなくて良い点は、資金面だけでなく精神面でもメリットがあることが考えられます。
2-4.使わずにとってある資金を次の投資に回せる
頭金に使わずにその分の資金をとっておけば、そのお金を次の投資の元手資金として活用することもできます。そういった資金を他の投資に回し、複数の投資対象でポートフォリオを組むことで、適切なリスクヘッジに繋がる可能性があります。
2-5.いざという時の資金補填ができる
また、頭金に使わずにとっておいた資金を予備資金として活用することで、いざという時の資金補填をすることもできます。例えば部屋が空室になって家賃が入らず、自分でローンの返済をしなければならない時や、急に設備が壊れ修理代が必要になった時など、手元資金から支払いをしなければいけないことがあります。
そのような場面で活用できる資金があるのは大きなメリットと言えます。このように、お金があれば対応できるリスクもありますので、余裕資金は準備しておくことが大切です。
3.少ない自己資金でマンション投資をするデメリット
マンション投資を始める際に、頭金ゼロや少ない資金で始めた場合のデメリットについて見てみましょう。
3-1.収支が悪いためにリスクが大きくなる可能性がある
頭金を入れないとローン価格が大きくなりますので、毎月の返済額が大きくなり収支は悪くなります。仮に2,000万円の物件をフルローンで組む場合と、頭金を1割の200万円入れた場合とで、月々の返済額の差がいくらになるのかを比較してみましょう。金利2%、返済期間35年で試算してみます。
ローン価格 | 月々の返済額 |
---|---|
2,000万円 | 6万6,252円 |
1,800万円 | 5万9,627円 |
*金利2%、返済期間35年で試算
頭金を入れない場合は6,625円返済額が増え、そのぶん収支が悪くなります。そうなると蓄積されるキャッシュフローが少なくなるため、突発的な修繕が発生したり、借り換えを検討したりする際に資金が足りなくなることも考えられ、リスクに十分対応できない可能性が出てきます。
3-2.優遇金利が使えない可能性がある
金融機関が融資をする際の金利には優遇金利というものがあります。頭金の額や年収など、金融機関が設定した条件をクリアしていれば金利が低くなるというものです。優遇金利の条件の中には、頭金を入れると金利が低くなるものがあります。その場合、優遇金利が設定されていても、頭金を入れないと優遇金利は使えませんので注意が必要です。
3-3.余裕資金がないと返済ができなくなることもある
頭金を入れずにマンション投資を始めた場合、余裕資金がないとローンの返済ができなくなる可能性があります。先にも触れたように、頭金を入れないと収支が悪くなるため、キャッシュフローが少ない上に、キャッシュフローの蓄積されるスピードが遅くなります。
そのような場合、運用中に突発的な修理が必要になったり、空室が長期化したりすると、蓄積されたキャッシュフローが底をつき、支払いができなくなる可能性があります。頭金を入れずにマンション投資を始めた場合は、余裕資金を準備しておくことが大切です。
4.少ない自己資金で始めるマンション投資法
頭金ゼロや、少ない自己資金でマンション投資をする場合のメリットとデメリットを確認しました。このように頭金ゼロや、少ない自己資金でマンション投資をする際に、できるだけデメリットを抑えて、できるだけ多くのメリットを享受するには、どのようなことに注意して取り組めば良いのかを見てみましょう。
4-1.頭金ゼロや少額でスタートできる不動産会社を探す
まずは頭金ゼロや100万円以下など少額でのマンション投資実績を持つ不動産会社を探しましょう。そういった実績を持つ会社であれば、頭金を入れずにマンション投資をした場合のリスクの回避の仕方などのノウハウを持っている可能性が高くなります。
実績のある会社のアドバイスやノウハウをもとに取り組むことでリスクやデメリットを軽減する可能性も広がります。
4-2.賃貸ニーズが高いエリアを選ぶ
頭金を入れない場合、収支が悪化しキャッシュフローのストックが少なくなりますので、空室リスクや災害リスクが資金面を圧迫しやすく、運用に大きな影響を与えることになります。
そのため、投資を始める際には、なるべく賃貸ニーズの高いエリアや物件を選び極力空室リスクを抑えることがポイントになります。
例えば、都心部の人気があるエリアは高い賃貸ニーズが期待できます。郊外を選ぶ場合は複数路線が通っていたり、急行や特急が止まったりする駅のあるエリアなどが、賃貸ニーズが高い可能性が大きくなります。立地は十分に検討して物件を選ぶようにしましょう。
4-3.入居率の高い不動産投資会社を探す
管理業務の対応の仕方は各社で異なり、入居率も大きく違ってきます。管理を代行している不動産投資会社の中には99%以上の入居率を維持している会社もありますので、そういった管理会社を探して管理を委託することも、空室リスクを軽減する一つの方法になります。
4-4.余裕資金を準備しておく
余裕資金がなく収支も悪い場合、資金不足で運用がうまくいかなくなる可能性があることには触れました。初期費用を抑えて投資を始める場合は、運用を失敗しないために、収支改善や設備の修繕などに使う費用を必ず準備しておくことが大切です。手元に資金がない場合は給与などから少しずつストックすることが必要です。
まとめ
自己資金が少なく、初期費用をかけずにマンション投資をする場合の投資方法についてご紹介しました。
頭金を入れずにマンション投資をする場合は、収支が悪化する可能性が高くなりますので、常に収支の改善をしたり、余裕資金を準備したりすることが必要です。最初は手持ち資金が少なくても給与や家賃収入を貯蓄していくなどして、少しずつ資金を増やしていくようにしましょう。
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西宮光夏
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