住宅ローンの滞納、競売開始決定通知が届いたら対処したい4つのこと

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不動産を購入する際、返済が滞ることがないように余裕を持った返済計画で住宅ローンを契約している人が多いと思います。

しかし、余裕を持った返済計画を立てていても、産休や減給、子供の進学などのライフイベントで資金が必要となり、返済計画に支障が生じる可能性もあるでしょう。住宅ローンの返済が滞った場合、最終的に「競売開始決定通知」が手元に届きますが、届いた時はどのように対処すればいいのでしょうか?

この記事では、競売開始決定通知が届いた時の対処方法と競売から任意売却に切り替える手順を解説します。

目次

  1. 競売開始決定通知とは
  2. 任意売却と競売の違い
    2-1.不動産を高く売却できる
    2-2.住宅ローン滞納による売却であることが公表されない
    2-3.交渉次第で残債の分割返済が可能
  3. 競売から任意売却に変更する手順
    3-1.抵当権者との話し合い
    3-2.不動産会社による価格査定
    3-3.不動産売却活動の開始・売買契約の締結
    3-4.物件の引き渡しと代金返済
  4. まとめ

1.競売開始決定通知とは

住宅ローンを契約する際は、余裕を持った返済計画を立てていても、何らかの理由によって返済が滞る可能性があります。返済が滞ると住宅ローンを契約した金融機関から督促状や滞納の催告書、それらを無視すると約半年後に期限の利益損失の通知が届きます。

期限の利益損失の通知が手元に届いた場合、それ以降は住宅ローンを分割返済できず、一括返済しか認められなくなるので注意が必要です。

期限の利益損失の通知から1ヶ月後(7ヶ月)には金融機関から保証会社に債権が移行する代位弁済通知、さらに1ヶ月後(8ヶ月)には不動産の差し押さえ通知が届きます。

不動産の差し押さえ通知が届いた場合、それ以降は不動産を自由に売却できなくなり、1ヶ月後(9ヶ月)には、競売開始決定通知が届きます。

競売開始決定通知が届いたと言うことは、債権者から依頼を受けた裁判所が競売に向けて準備を始めたことを意味します。このままでは不動産を競売にかけられるため、競売を避けたい人は抵当権者に取り消しを申し出なければなりません。

2.任意売却と競売の違い

「競売の落札代金を残債の返済に充当すればいいのでは?」と思った人も多いと思います。しかし、競売は不動産の売却価格の交渉が出来ず、売主にとってはデメリットの多い売却方法です。債権者である金融機関・保証会社の許諾が得られるのであれば、競売から任意売却に切り替えた方が良いと言えます。

競売から任意売却に切り替えた場合、主に下記3つの違いがあります。

  • 不動産を高く売却できる
  • 住宅ローン滞納による売却であることが公表されない
  • 交渉次第で残債の分割返済が可能

それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1.不動産を高く売却できる

競売は市場相場よりも安く落札されることが多く、評価額の5割程度で落札されることも珍しくありません。安く落札された場合、落札代金を残債の返済に充当しても完済できなかったり、残債を一括返済しなくてはならない可能性が高まります。

一方、任意売却は最低売却価格や期間が設定されること以外は不動産を売却するのとほぼ同じ手順で売却を進めることになるため、売却価格は市場相場と大きく異なりません。

競売よりも高く不動産を売却できる可能性が高まり、残債をより多く減らせるのが大きな違いと言えるでしょう。

2-2.住宅ローン滞納による売却であることが公表されない

競売は売却理由が公表されます。そのため、住宅ローンの滞納で競売にかけられた場合は、それが公表されてしまうという点に注意が必要です。

しかし、任意売却は通常の不動産売却と同じ手順であるため、売却理由が公表されません。そのため、住宅ローンの滞納で不動産を売却に出しているということを公表されたくない場合は、競売ではなく任意売却に切り替えておくメリットがあります。

2-3.交渉次第で残債の分割返済が可能

不動産が競売にかけられて競売価格が残債を下回った場合、残債を一括で支払わなくてはなりません。残債の額や債務者の返済能力にもよりますが、住宅ローンの分割返済が困難な状況を考えた場合、残債の一括返済をすることが出来ない方が多いでしょう。

しかし、任意売却の場合は、金融機関から債権を引き継いだ保証会社との交渉次第で残債の分割返済が可能になります。

分割返済であれば、破産のリスクを抑えながら無理のない範囲での返済を続けられるのが大きな特徴と言えます。

3.競売から任意売却に変更する手順

競売開始決定通知が届いたのを放置していて開札を迎えてしまうと、競売から任意売却に切り替えることができません。競売の開札日までに任意売却による売却を完了する必要があります。

競売から任意売却に変更する手順は以下の通りです。

  • 抵当権者との話し合い
  • 不動産会社による価格査定
  • 不動産売却活動の開始・売買契約の締結
  • 物件の引き渡しと代金返済

それぞれの手順について詳しく見ていきましょう。

3-1.抵当権者との話し合い

まずは任意売却に切り替えてもらえるように、債権者である保証会社と話し合う必要があります。

任意売却が出来るかどうかは債権者の判断次第となります。保証会社との交渉に不安を感じている人は、任意売却を専門的に扱っている不動産会社に相談するのも1つの選択肢と言えるでしょう。

3-2.不動産会社による価格査定

不動産会社ごとに査定で重視するポイントは異なり、査定結果にも差が生じます。複数の不動産会社に査定を依頼し、査定結果を比較しながら売出価格の設定を行いましょう。

また、不動産会社の中には相場より高い査定価格を提示して売却依頼を促す悪質な不動産会社が存在します。競売開始決定通知後の任意売却は開札日の前日までに引渡しを行わなければならないため、査定価格だけでなく査定根拠やおおよその売却期間についても確認することが大切です。

下記は複数の不動産会社へ査定が依頼できる不動産一括査定サイトの一覧です。これらの不動産一括査定サイトでは、物件情報を登録するだけで複数社へ効率的に査定を依頼でき、査定結果を比較することが可能です。悪質な不動産業者の排除を積極的に行っている点も利用検討しやすいポイントと言えます。

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査定結果に基づいて保証会社と話し合いながら売却価格をいくらにするのか、どの不動産会社に売却の仲介を依頼するのか決めていきます。

3-3.不動産売却活動の開始・売買契約の締結

売却価格と売却の仲介を依頼する不動産会社を決めた後、不動産会社と媒介契約を締結し、売却活動を開始します。

競売開始決定通知が届いた後で任意売却を行うには、競売の開札日の前日までに引渡し日を設定する必要があります。不動産売却では3ヶ月~5ヶ月ほどの期間がかかるため、出来るだけ早く購入検討者を見つけることが重要です。

また、売却活動中に購入希望者が現れても勝手に購入希望者と売買契約を締結することは出来ない点にも注意しておきましょう。売出価格や売却の仲介を依頼する不動産会社を決める際と同様、保証会社に許可をもらう必要があります。

3-4.物件の引き渡しと代金返済

保証会社に売買契約の許可をもらった後、売買契約を締結し、物件の引き渡しと代金返済に移ります。

売却費用から売却にかかった費用、立ち退く際に必要な引っ越し費用などを引いて残った金額を住宅ローンの残債の返済に充てます。

まとめ

住宅ローンを契約する際は、無理のない返済計画を立てていても、想定外の事態が生じて、返済が困難になる可能性もあります。

返済が困難になって住宅ローンを滞納した場合、競売開始決定通知が手元に届き、不動産が競売にかけられるので注意が必要です。

競売は市場相場よりも安く落札されてしまう、落札価格が残債を下回った場合は不足分の一括返済を求められるといったデメリットがあります。任意売却に切り替えられるよう、債権者へ相談をしましょう。

また、任意売却に切り替えるには金融機関から債権を引き継いだ保証会社の許可が必要です。速やかに任意売却に切り替えるためにも、競売から任意売却に切り替える手順を事前に確認しておきましょう。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。