ハワイ不動産、コロナショックの影響は?観光客や不動産価格のデータを検証

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2020年は新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に大きな影響を与えています。2020年10月現在、世界各国の渡航制限は地域によって少しずつ緩和されていますが、感染拡大前の水準までは戻っていません。観光業が最大の産業であるハワイも、渡航が制限されています。

渡航制限によって主要産業の観光業が縮小を余儀なくされる中、ハワイの不動産市場にはどのような影響が出ているのか、データで検証していきます。

目次

  1. ハワイの観光人口について
    1-1.オアフ島訪問者数の推移
    1-2.訪問目的について
    1-3.滞在日数について
  2. ハワイの不動産価格推移について
    2-1.戸建住宅およびコンドミニアムの価格推移
    2-2.戸建住宅およびコンドミニアムの取引数推移
  3. まとめ

1.ハワイの観光人口について

2020年は様々な国で渡航制限がかかっている影響もあり、ハワイの観光人口は大きく減っています。また、アメリカ人と外国人との比率や渡航目的などにも大きな変化が出ています。

1-1.オアフ島訪問者数の推移

ハワイの中でも、日本から投資できる不動産が集まっているのはオアフ島です。まずオアフ島の訪問者数について、2019年と2020年との推移を比較してみます。

※ハワイ観光局「MONTHLY VISITOR STATISTICS」を参照

コロナの感染が拡大した2020年は、2月から3月にかけて訪問者数が半減したのを皮切りに、4月以降は大幅に訪問者数が減っています。2020年4月の訪問者数は3,150人で、前年同月比では約99.4%減となりました。

その後、6月には1万人を超えましたが、それでも前年同月比で約98%減という状況です。通年で見ると、6月〜8月は最も訪問者数が多い季節ですが、2020年の同時期における訪問者数は12,000人〜16,000人程度にとどまりました。

また、例年はアメリカ人訪問者と外国人訪問者との割合が半々もしくは6:4程度で推移しており、夏場に少しアメリカ人訪問者のほうが多くなる傾向がありました。しかし、2020年の訪問者内訳を見ると95%以上がアメリカ人の訪問者となり、渡航制限の影響の大きさが分かります。

1-2.訪問目的について

続いてオアフ島を訪問した人たちの目的について統計を見ていきます。オアフ島訪問者の多くは、休暇で訪れる人や結婚式などの目的で訪れる人たちです。こうした人たちの2019年と2020年の訪問者数推移は以下グラフの通りとなっています。

※ハワイ観光局「MONTHLY VISITOR STATISTICS」を参照

例年、オアフ島訪問者の中でも最多の割合を占めているのは、休暇中の旅行目的の訪問者であり、2番目に多いのは結婚式および新婚旅行目的の訪問者となっています。

2020年は、オアフ島の訪問者数が全体的に減少した影響を受けて、休暇や結婚式目的の訪問者が大幅に減少しています。

2020年のオアフ島訪問者の中で最も多い割合を占めているのは、友人や家族に会う目的の訪問者で、例年訪問者全体の約10%を占めています。しかし、2020年はこれらの訪問者が全体の30%〜50%を占めている状況です。

また、例年はビジネス目的の訪問者が毎月15,000人前後となっていますが、2020年は4月以降最大で約2,800人となっています。

1-3.滞在日数について

もう1点、ハワイ州訪問者の滞在日数について推移を確認していきます。2019年と2020年の平均滞在日数推移は以下の通りです。

※ハワイ観光局「MONTHLY VISITOR STATISTICS」を参照

例年、ハワイ州訪問者の平均滞在日数は6日〜7日程度です。しかし、2020年は4月から20日以上で推移しています。

ここまで、2020年はオアフ島訪問者の95%をアメリカ人が占めていることや、友人・家族に会う目的の訪問者数が増えていることを解説してきました。こうした事実を考え合わせると、家族・友人に会う目的で長期滞在するアメリカ人が増えていることがわかります。

2.ハワイの不動産価格推移について

続いてハワイの不動産市場について動向を確認していきましょう。

2-1.戸建住宅およびコンドミニアムの価格推移

2020年のオアフ島住宅価格の推移は以下グラフの通りです。戸建住宅およびコンドミニアムの両方とも取引価格中央値の推移となっています。

※Hi Central.com「Market Reports」を参照

戸建もコンドミニアムも、2020年に入って以降値下がり傾向は特に見られません。

新型コロナウイルスはアメリカの経済へも大きな影響を与えていますが、ハワイ不動産価格への影響は未だ顕在化していない状況です。4月は特に訪問者数が減りましたが、住宅価格へ直接的な影響は見られていません。

また、戸建住宅は2020年に入ってやや値上がりしています。2020年1月の中央価格は$770,000で9月の中央価格は$880,000であり、8ヶ月で約14%値上がりしていることが分かります。

このような住宅価格の底上げの背景として、アメリカ政府が実施している金利政策が大きな要因として考えられます。

コロナで落ち込んだ景気を刺激する対策として、長期金利が史上最低水準まで引き下げられ、長期金利の引き下げに伴い住宅ローン金利も大幅に下がっており、アメリカ全体で住宅需要が増加している状況です。

また、外出自粛の影響で新築住宅の供給が滞っていることも、アメリカ全体で住宅価格が上がっている要因と考えられます。

2-2.戸建住宅およびコンドミニアムの取引数推移

続いてオアフ島の住宅取引数推移について確認していきます。特に訪問者数が少なかった2020年4月〜5月にかけて、コンドミニアムの取引数が減りました。

※Hi Central.com「Market Reports」を参照

訪問者数が4月に底を打ったのに対し、住宅取引数は5月が最も少ない結果となりました。訪問者数推移と比較すると、住宅取引数推移は1ヶ月遅れて底を打っています。

訪問者の中にハワイ不動産の購入者がいたとすると、4月に売買契約を締結した買主は5月頃に引き渡しを受けている可能性が高いでしょう。契約から物件引き渡しのタイムラグが住宅取引数推移に表れたと考えられます。

また、訪問者数が回復した6月以降は住宅取引数も増えています。特に9月は2020年で最も多くの住宅が売買されました。

新型コロナウイルスの影響が色濃かった春以降は住宅取引数が増えている点を考慮すると、取引数の観点からも、現段階における不動産市場への影響は強くないと考えられます。

まとめ

コロナの感染拡大が続く2020年では、ハワイの観光人口は大幅に減っています。例年は観光や新婚旅行目的の訪問者が多かったのに対し、2020年は家族や友人に会う目的を持ったアメリカ人が増えている状況です。

また、ハワイ訪問者の平均滞在日数を見ると、例年は7日前後である一方で、2020年は4月以降20日を超える水準となりました。これらの事実から、家族や友人に会う目的で訪れた多くのアメリカ人が、ハワイに長期滞在している様子が伺えます。

なお、ハワイの観光人口は大幅に減っていますが、不動産市場に目を向けると、住宅価格と取引数ともに大きな減少などは見られません。アメリカでは景気対策による住宅ローン金利の低下が住宅市場を押し上げており、ハワイ不動産の需要を支えていると考えられます。

ただし、新型コロナウイルスの影響が今後いつまで続くのか、渡航制限がどのように緩和されていくのか、低金利状態がいつまで継続されるのか、2020年10月時点では予測できない状況です。実際の投資判断は慎重に行い、今後の動きを注視していくことが重要と言えるでしょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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