都心でアパート経営を始めるリスクと対策は?人口・地価推移のデータ検証や不動産会社の情報も

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東京の都心部は、豊富な賃貸需要を背景にアパート経営にも適したエリアとして人気があります。一方で、都心部は不動産需要が旺盛であることから不動産価格や固定資産税が高いなどの注意点もあり、都心でアパート経営を始めるリスクについてあらためて知っておきたいという方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、都心でのアパート経営に関する各種データを紹介したうえで、都心でのアパート経営の魅力やリスクについてまとめました。

目次

  1. 東京都心部の人口推移
  2. 東京都心部の地価の推移
  3. 都心部でアパート経営を行うメリット
    3-1.高い需要と入居率
    3-2.高水準の賃料によって資産価値の維持がしやすい
    3-3.外国人需要も期待できる
    3-4.物件の流動性の高さ
  4. 都心部でアパート経営を行うリスクと対策
    4-1.物件取得コストの高さと利回りの低さ
    4-2.競合物件が多い
    4-3.固定資産税の高さ
    4-4.入居者トラブルのリスク
  5. 都心のアパート経営に適した不動産会社
    5-1.シノケンプロデュース
    5-2.アイケンジャパン
  6. まとめ

1 東京都心部の人口推移

総務省の統計によると、多くの都道府県で人口減少が始まっているにもかかわらず、東京都は2010年~2022年で約7.0%人口が増加しました。なお、全国で見ると、この間人口はおよそ2.9%減少しています。

主要都府県の人口推移(2010年の水準を100として指数化)


出所:e-Stat「人口推計・長期時系列データ・都道府県別

上記は大都市を抱える都道府県を中心にピックアップしているため、ほかの府県も相対的に人口減少を抑えられている地域ですが、そのなかでも東京都が突出していることがわかります。なおこの間東京都では2010年の1,316万人から、2022年の1,409万人まで増加しました。

東京都では、このあと2030年まで人口増加が進む見通しで、2030年の推計値は1,426万人です。その後は緩やかに減少が始まるものの、2045年時点でも1,384万人の人口を維持する予想となっています。

他の地域と比べて人口の増加が続き、その後の減少は緩やかな東京都は、アパート経営において賃貸需要を獲得しやすい地域といえるでしょう。

2 東京都心部の地価の推移

続いて住宅地の地価の推移ですが、まず地価公示の絶対値(円/平方メートル)をみると、東京圏は他を圧倒する水準となっています。

3大都市圏・地方圏と全国の地価公示平均値(円/平方メートル)


出所:国土交通省「地価公示

最新の2024年のデータで、東京圏は平均26.7万円で、およそ13万円の全国平均の倍の水準です。東京に次ぐ都市圏である大阪圏は15.2万円となっており、東京都とは10万円以上の開きがあります。

3大都市圏・地方圏と全国の地価公示平均値を指数化


出所:国土交通省「地価公示

上昇率でみても、東京圏の不動産市況が堅調であることがわかります。2013年~2024年の地価の上昇率は30%で、全国平均の20%を上回っています。地価の推移でみても、都心は不動産の投資先として魅力的な地域の一つであるといえるでしょう。

3 都心部でアパート経営を行うメリット

都心部のアパート経営には、次のようなメリットがあります。

  • 高い需要と入居率
  • 高水準の賃料によって資産価値の維持がしやすい
  • 外国人需要も期待できる
  • 物件の流動性の高さ

それぞれのメリットについて、詳しく解説していきます。

3-1 高い需要と入居率

東京都心部は日本の経済の中心であり、日本最大の人口規模を有する都市圏です。企業や教育機関が多く集まるため、全国から仕事・学業のために多くの人が流入しています。

こうした事情から、通勤・通学に便利な地域を中心に賃貸需要が高く、空室リスクを抑えたアパート経営が可能です。

都心部の生活のしやすさや娯楽の多さ、ターミナル駅や空港を拠点にさまざまな地域への移動がしやすいことなども、賃貸需要を獲得するうえでの追い風要因となります。

3-2 高水準の賃料によって資産価値の維持がしやすい

都心部の物件は賃料水準が高いのが特徴です。特にターミナル駅へのアクセスが良い好立地物件では、高い賃料を設定しても入居率が下がらないことも多いため、築年数が経過しても毎月の現金収入を高い水準に保てる可能性があります。

物件の売買価格は、その物件の賃貸需要や賃料水準にも左右されます。都心部は他のエリアと比較しても不動産市況が堅調であり、物件価格の上昇が期待できます。空室リスクを抑えた経営ができれば、資産価値の維持につながるでしょう。資産価値の維持・向上により売却益も含めたリターンの底上げが期待できます。

3-3 外国人需要も期待できる

出入国在留管理庁によると、令和5年6月時点での都道府県別で見た居住外国人の上位5都道府県は次のとおりで、東京は外国人の居住者数でも全国トップです。

  1. 東京都:627,183人
  2. 愛知県:297,248人
  3. 大阪府: 285,272人
  4. 神奈川県:256,738人
  5. 埼玉県:221,835人

出入国在留管理庁「令和5年6月末現在における在留外国人数について

都心部は、外資系企業やグローバルに事業展開する日系企業の拠点、大学などが集中しているため、外国人の駐在員や留学生が多く住む地域です。そのため、外国人の居住需要も期待できます。

外国人が快適に住めるような設備やサービスを整えれば、さらなる空室リスクの軽減や賃料収入の拡大を目指せるでしょう。

3-4 物件の流動性の高さ

都心部の物件は、不動産の流通市場でも活発に取引されています。人口規模の多さ、経済規模の大きさから相対的に堅実な不動産経営がしやすい地域であるのが一つの要因です。また、世界で見ても有数の大都市であることから、アジアや欧米などの海外投資家による売買も期待できます。

不動産は株式や為替と比べると流動性に劣り、柔軟な売買がしにくいのがデメリットの一つですが、都心部のように売買が盛んで賃貸需要が豊富な地域の物件は買い手を見つけやすく、流動性の低さというリスクのヘッジになります。投資家にとっては自身の状況に応じて柔軟に売却しやすいため、急に現金が必要になった際などにも早期売却が見込めます。

4 都心部でアパート経営を行うリスクと対策

都心部のアパート経営には、次のようなリスクを伴います。

  • 物件取得コストの高さと利回りの低さ
  • 賃料の競争と賃貸市場の変動
  • 固定資産税の高さ
  • 入居者トラブルのリスク

それぞれのリスクと、投資家が検討すべき対策についてまとめました。

4-1 物件取得コストの高さと利回りの低さ

都心部は地価が高いため、物件取得のコストが高額です。初期投資額やローンの借入額が増大し、反対に収益性の指標のひとつである利回りは低位にとどまります。諸費用やランニングコストをふまえると、充分なキャッシュフローを得られないケースもあるため、慎重な投資判断が求められます。

潤沢な自己資金を用意してローン比率を抑える、立地選びを工夫して相対的に割安な物件を探すなど工夫をして、初期費用と月々の賃料収入、収支のバランスを取るようにしましょう。

4-2 競合物件が多い

都心部には多数の物件が存在し、賃料競争が激化しているため、競争に勝つための差別化が重要です。新しい物件が続々と市場に出る中で、既存物件の競争力を維持するためには、物件の魅力を向上させる必要があります。

修繕や設備の充実化、住環境の改善などを継続的に進めて、競争劣位に置かれないように工夫しましょう。地域の特性や賃貸物件のトレンドを踏まえた物件の取得や維持・管理により、入居者や入居希望者にとって魅力的な物件であることが大切です。

4-3 固定資産税の高さ

都心部は地価が高いため、固定資産税も高額になる傾向にあります。固定資産税は、固定資産税評価額(建物・土地の課税標準額)の1.4%で計算されるため、基本的には物件の資産価値が高いほど税金も高額になります。

毎年かかる固定資産税は、不動産経営において重い負担となり、収益性の低下要因となります。固定資産税の影響を甘く見ず、当初より税負担を考慮して収支計画を立てましょう。

また、減価償却費をはじめとした経費の適切な計上により税負担を少しでも軽減する工夫が重要です。不動産の税制について知見が不充分な場合には、税理士などの専門家に相談するのも一つの方法といえます。

4-4 入居者トラブルのリスク

都心部には多様な地域・バックグラウンドを持つ方が集まるため、文化や生活スタイルの違いなどからトラブルが発生するリスクが高まります。また、商業施設や住宅が密集していて他人との物理的な距離が近くなりがちな点もリスクを高める要因です。

たとえば、外国人入居者が増える中で、文化や言語の違いからくるコミュニケーションの問題、契約内容の誤解などがトラブルにつながるケースが考えられます。

言語や文化、慣習の違いを考慮した契約体制やコミュニケーション体制の整備が重要です。現実的には、個人投資家が多様性を意識したアパート経営を進めるのは容易ではないので、都心部での入居者対応に長けた管理会社と契約して、物件管理を一任するのが有効な対策となるでしょう。

5 都心のアパート経営に適した不動産会社

以下では、東京に本社機能を有しており、都心部において豊富なアパート開発・販売実績を持っている会社をご紹介します。

5-1 シノケンプロデュース

シノケンの不動産投資セミナー
シノケンプロデュースは、土地の選定から企画、設計、施工、引き渡し後の賃貸管理まで一貫したサービスを提供するアパート建築会社です。一般投資家向け賃貸住宅経営のパイオニアとしても知られており、アパート供給棟数は自社施工で7,000棟を超えています。「賃貸住宅に強い建築会社ランキング」(全国賃貸住宅新聞)の「年間アパート開発棟数部門」では、9年連続No.1の実績があります。

グループ会社のシノケンファシリティーズの管理戸数は47,000戸以上(2023年12月末時点)、入居率98.56% (2023年年間平均入居率)となっています。このような入居率の高さは、5,000店舗以上(2024年5月時点)の仲介業者と提携し、良好な関係を築いていることも要因の一つです。シノケンプロデュースは、元々は福岡の企業ですが、現在は東京都港区に本社を構えています。

好立地の土地をいち早く取得

シノケンプロデュースは、独自の情報収集や市場調査を活用して好立地の土地をいち早く取得します。多くの不動産会社とも連携することにより、市場に出回る前に魅力的な土地を確保できるのです。

住宅・商業施設が密集する東京都心部では、個人投資家が空き地を取得するのは容易ではありません。シノケンプロデュースの好立地の土地の取得能力の高さは、投資家にとってメリットと言えます。

高品質な物件で競争力を維持

シノケンの基幹ブランドの「ハーモニーテラス」は、過去にグッドデザイン賞を受賞した実績があります。居住性をデザイン性を共に追求して開発されているのが特徴です。

デザイン面では、欧州の高級列車をイメージしてワンランク上の景観を追求しています。また、スマートフォンで照明や設備を操作できるIoT設備の導入、オートロックの導入などにより、居住性やセキュリティ性についてもこだわっています。

少ない自己資金からのアパート経営に強み

シノケングループは、1990年の創業以来30年以上にわたり金融機関との取引実績を築いており、新築アパート経営において日本で初めて独占提携ローンを提供したことでも知られています。

オーナーの属性によっては、金利1%台、RC物件と同程度の35年の返済期間などでの紹介実績もあります。

5-2 アイケンジャパン

株式会社アイケンジャパンアイケンジャパンは、「堅実なアパート経営」をモットーに「グランティック」「レガリスト」などのアパートブランドを全国で展開する不動産会社です。2023年12月末時点で、アパート開発棟数1257棟の実績があります。

賃貸管理の実績として9,136戸(2023年12月時点)の管理を行っており、入居率99.3%(2023年年間実績)となっています。オーナーの負担が大きく、効果が一時的なフリーレントや家賃の値下げを行わずに高い入居率を維持しているのも特徴です。

2017年3月以降に完成したすべての物件で劣化対策等級が最高レベルの等級3の評価を第三者機関より獲得しています。2世代から3世代にわたって引き継ぐことが可能です。

アイケンジャパンは大阪・名古屋の双方に拠点を構えています。双方の地域でのアパート経営を気軽に相談することが可能です。

好立地を厳選して取得し、アパート開発を進める

アイケンジャパンでは、徒歩15分圏内の土地の中から魅力的なものを厳選して取得する方針です。都心部で徒歩15分圏内となると、多くの部分が発展した都市部となります。安定した入居需要が期待でき、堅実なアパート経営を実現可能です。

さらに同社では、取得した土地に合わせて柔軟に物件をデザイン・開発しています。それぞれの土地の特性を踏まえつつすべて自社で進めることにより、好立地でもコストを抑えた物件開発が可能です。結果として、都心部の好立地物件をリーズナブルな価格で取得できます。

高品質な物件の販売と管理

アイケンジャパンは、セキュリティ性や居住性にこだわった開発を進めています。たとえば、同社の物件は多くにおいて内廊下を基本設計としています。

これにより、外部から入居者の出入りや生活リズムを把握される心配が小さく、安心して暮らせるのが特徴です。また、水回りの設備を居室間に配置し、全戸を角部屋とすることで、遮音性の向上を図っています。

こうした高品質な物件であるため、競合物件の多い都心部でも、他の物件に対して優位に立って入居者を獲得できます。さらに、同社は自社販売物件の管理も手掛けています。特性をよく理解した自社物件の管理のため、スムーズで質の高い管理が可能です。

大手・地銀双方の金融機関とのリレーションを持つ

アイケンジャパンでは、多数の金融機関と提携しており、投資家の属性に合わせた融資付けの提案を受けることが可能です。

例えばアイケンジャパンでは、東京都のアパート2棟(1億2,299万円)の融資実績として、借入額は1億800万円、年1.5%の金利でのアパートローンの借入事例があります。地方銀行Aのアパートローンの金利相場は、店頭申込の場合、年2%台でしたが、自己資金比率が16%であることと、自宅を共同担保に入れることで、年1.5%の金利を条件に借入することが可能となったケースです。

アパートは高額化しやすいため、融資審査が一つのネックとなり得ます。このような投資家の属性に合わせたファイナンスの提案を受けることで、より良い条件で融資を受けられる可能性もあります。

6 まとめ

都心部は当面の間人口の流入が見込まれるなど、堅実なアパート経営がしやすい地域のひとつです。不動産価格も上昇傾向で、資産価値の維持もしやすいといえるでしょう。一方で、競合物件が多いことや、相対的に購入価格が高くなりやすい点には注意が必要です。

都心部での新築でのアパート経営を検討する際は、今回紹介したシノケンプロデュース、アイケンジャパンのように、豊富な都心部のアパート販売実績を有する不動産会社に相談するのも一つの方法です。まずはセミナーや資料などから情報収集をおこない、アパート経営の情報収集から始められていくと良いでしょう。

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伊藤 圭佑

資産運用会社に勤める金融ライター。証券アナリスト保有。 新卒から一貫して証券業界・運用業界に身を置き、自身も個人投資家としてさまざまな証券投資を継続。キャリアにおける専門性と個人投資家としての経験を生かし、経済環境の変化を踏まえた投資手法、投資に関する諸制度の紹介などの記事・コラムを多数執筆。