大阪と名古屋でのアパート経営の違いは?空室率や成約賃料から見る地域特性と投資戦略

※ このページには広告・PRが含まれています

大阪・名古屋は首都圏に次ぐ大都市圏で、どちらもアパート経営に適した地域の一つといえます。利回りの高い地域を狙う方の中には、名古屋と大阪どちらでアパート経営を始めようか悩んでいる方も多いでしょう。

今回の記事で大阪と名古屋のアパート経営の違いについてまとめました。また、後半では大阪・名古屋のアパート経営を相談しやすい不動産会社も紹介します。これからのアパート経営の立地選びにおいて、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 大阪と名古屋の成約賃料の推移
  2. 大阪と名古屋の空室率の推移
  3. 大阪と名古屋の不動産価格・利回りの推移
  4. 大阪・名古屋でアパート経営を行うメリット・デメリット
    4-1.大阪でアパート経営を行うメリット・魅力
    4-2.大阪でアパート経営を行うときのデメリット・注意点
    4-3.名古屋でアパート経営を行うメリット・魅力
    4-4.名古屋でアパート経営を行うときのデメリット・注意点
  5. 大阪・名古屋でのアパート経営に適した不動産会社
    5-1.シノケンプロデュース
    5-2.アイケンジャパン
  6. まとめ

1 大阪と名古屋の成約賃料の推移

全国賃貸管理ビジネス協会「全国家賃動向」における、大阪府・愛知県の賃料推移は次のとおりです。

東京都・愛知県・大阪府の賃料推移(円)


出所:全国賃貸管理ビジネス協会「全国家賃動向」総平均賃料をもとに作成

家賃動向を見比べると、大阪府は2023年末から2024年7月(直近値)に掛けて賃料が微増しています。一方で愛知県については、2022年~2023年にかけては賃料が伸びましたが、2024年は伸びが止まりました。

その結果、2023年末には大阪と愛知の賃料格差が一時縮まりましたが、足元は再び拡大し、両地域にはおよそ5,000円の開きがあります。

2 大阪と名古屋の空室率の推移

大阪と名古屋の空室率は次の通りです。

東京都・愛知県・大阪府の空室率の推移


※株式会社タス「賃貸住宅レポート 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版 (2022年12月、2024年3月、2024年8月)」を参照し筆者作成

愛知県は、大阪府と比べると空室率が高いのが特徴です。なお、愛知県は名古屋市に人口・賃貸需要が集中している(愛知県「愛知県人口動向調査結果 月報」)ため、空室リスクの高い愛知県でアパート経営を検討する際には、リスクを抑える立地選びが重要です。名古屋市内では空室リスクを相対的に抑えられる可能性がありますが、土地価格なども考慮して、収益バランスの良い立地であるかどうか検証が必要となるでしょう。

大阪府については東京都以上に空室率が低位となっていましたが、2023年ごろから東京都に追いつきつつあります。大阪府内でも、地域によっては今後人口減少が進む見込みです。将来にわたって人口の維持、他地域からの流入が期待できる地域にアパートを所有し、空室リスクを抑えるのが有効な対策の一つとなります。

3 大阪と名古屋の不動産価格・利回りの推移

大阪と名古屋の価格と利回りは次のとおりです。東海地域については、2023年末対比で2024年3月に下落しました。関西は続伸したため、関西と東海の価格差が広がっています。

首都圏・関西・東海地域のアパート価格の推移(万円)


出所:不動産投資と収益物件の情報サイト健美家(けんびや)「収益物件 市場動向年間レポート2023年」、「収益物件 市場動向マンスリーレポート2024年3月期

続いて利回りの推移は次の通りです。

首都圏・関西・東海地域の利回りの推移


出所:不動産投資と収益物件の情報サイト健美家(けんびや)「収益物件 市場動向年間レポート2023年」、「収益物件 市場動向マンスリーレポート2024年3月期

以前は関西の方が東海より高利回りで推移していましたが、2022年以降は逆転し、2024年3月時点では東海地域の方が高水準です。空室率の高止まりを反映した水準となっています。

4 大阪・名古屋でアパート経営を行うメリットとデメリット

ここまでの不動産関連の情報と都市の特性も踏まえて、大阪・名古屋でアパート経営を行う魅力とリスクをまとめました。投資先を検討するうえでの参考にしてください。

4-1 大阪でアパート経営を行うメリット・魅力

大阪でのアパート経営の魅力は次のような点です。

  • 賃貸需要が高く、特に都心部では空室リスクが低い
  • 再開発が進められていて資産価値の向上が期待できる
  • 首都圏と比べると取得コストは低く、利回りが高い
  • 持ち家率が低いため賃貸需要が維持されやすい

日本で首都圏に次ぐ規模をもつ都市圏である大阪は、少子高齢化のなかでも人口流入が続いています。2023年時点で、9年連続での人口流入超過です。(※参照:大阪府「大阪府の毎月推計人口」)他地域から来た人の一定数はアパートに住むと想定されることから賃貸需要が維持され、空室率の低下、空室期間の短縮化が期待できます。

特に大阪都心部では、オフィスビルや商業施設の再開発が活発に行われています。最近では大阪梅田北口地区の再開発が注目されていますが、今後も都心部にて再開発が順次進められる予定です。再開発により街の魅力が高まり、さらに人口流入が進めば、都心部にアクセスのよいアパートの資産価値の向上も期待できます。

一方で、大阪の物件は平均的に首都圏の物件より価格が安い傾向にあります。個人投資家でも、梅田や新大阪のようなターミナル駅へのアクセスが良好な魅力的な物件を手に入れやすいでしょう。さらに、利回りは首都圏より高く、収益性が期待できるのも特徴です。

最後に大阪府の持ち家率が低いという特性も、アパート経営では追い風要因となります。2018年の総務省の調査によると、大阪府の持ち家率は54.7%で、都道府県別で第4位の低さです。相対的に多くの人が賃貸物件に住んでいることから、賃貸需要が生まれやすいと期待されます。(参考:総務省「都道府県別でみる住宅状況~住宅及び世帯に関する基本集計(確報値)より~」)

4-2 大阪でアパート経営を行うときのデメリット・注意点

大阪でのアパート経営におけるデメリット・注意点は以下の通りです。

  • 利回りの低下や物件価格の高騰
  • すでに府全体としては人口減少や高齢化が進行
  • エリアによっては賃貸需要の先行きが不安な地域も
  • 人口密集地では競合物件も多い

都市部では全体的に不動産市場では物件価格の高騰が進んでいます。大都市である大阪も例にもれず、首都圏より物件価格が相対的に低価格ではあるものの、物件価格は上昇傾向にあります。また、物件価格の上昇により利回りについても低下が進んでいます。結果として今後は初期投資額が増大し、収益性を確保しづらくなる可能性があるのです。

大阪では一定の人口流入はあるものの、大阪府全体では人口減少が始まっています。日本全体の人口減少が進む中で、今後は大阪府内の人口減少も本格化するでしょう。若年層が集まりやすい立地でのアパート経営や、シニアに配慮した設備・機能を持つアパートの保有など、人口減少リスクを見据えたアパート経営が求められます。

大阪府内でも、地域格差が広がる見通しです。大阪市の区でみると西区、中央区、北区などは、2050年にかけて2020年より人口が増えると予想されています。対して、西成区、大正区では30%超の人口減少が見込まれます。大阪府・大阪市をひとくくりにせず、そのなかでも魅力的な地域を厳選することが大切です。

一方で、人口密集地域にはすでに多くの賃貸物件が立ち並んでいます。必然的に、他の物件との競争になることから、より居住性が高く、デザイン性に優れた物件でのアパート経営が求められます。高品質なアパートの建設や販売が可能な不動産会社に相談するのも、一つの方法です。

4-3 名古屋でアパート経営を行うメリット・魅力

名古屋でのアパート経営のメリット・魅力は次の4点です。

  • 物件取得コストが抑えられ、初期投資が少なく済む
  • 製造業を土台とした安定した経済成長
  • 地価の上昇が他都市より緩やかな分、価格急変リスクが低い
  • リニアによる利便性の向上が期待される

東海地域という単位でみると、三大都市圏のなかでは最もアパートの物件取得コストが低いのが特徴です。都市部でのアパート経営としては、初期投資を抑えた形で経営が始められます。逆に利回りは相対的に高く、収益獲得が期待できる地域といえます。

また、名古屋はトヨタをはじめとした製造業の大企業本社が多く集まる地域です。ものづくりが盛んな都市として、今後も安定した発展が期待されます。

名古屋は、都市圏としては地価や不動産価格の上昇ペースが緩やかなのが特徴です。価格差益を狙わない投資家にとっては、バブルによる価格急変のリスクが小さく長期投資しやすい地域といえるでしょう。

その他、名古屋には大阪に先んじてリニア新幹線が開通する見通しです。東京との時間的な距離が大幅に短縮されるため、ビジネスや観光に好影響が期待されます。リニア開通に向けた都市開発も進むと想定され、都市としての利便性や魅力がさらに高まるでしょう。(※参照:リニア中央新幹線 早期全線開業実現協議会

4-4 名古屋でアパート経営を行うときのデメリット・注意点

名古屋でアパート経営を行う場合、次の点には注意が必要です。

  • エリアごとに異なる条例や規制に注意が必要
  • 人口減少や少子化が進行している
  • 空室率がやや高く、緩やかに上昇傾向である
  • 名古屋市外でのアパート経営はリスクが高くなる

名古屋でアパート経営を行う際には、エリアごとに異なる条例や規制に留意する必要があります。一部地域では建築物の高さ制限や用途制限が厳しく、条例対応のためにコストが増大する可能性があります。

たとえば、名古屋市内で2階以上・10区画以上のアパートを建設する場合「自動車駐車場の設置」「住戸の床面積及び天井の高さの規定」「共同住宅型集合建築物の管理に関する規定」などを整備しなければなりません。(※参照:名古屋市「共同住宅型集合建築物について」)

名古屋は、全国的な流れと同様で、少子化や人口減少が既に始まっています。3大都市圏のなかでは最も規模が小さい分、より規模の大きな東京・大阪へ人口が流れる影響も想定されるため、都市圏としては人口減少リスクに注意が必要です。

特に都道府県のくくりで見ると、愛知県は東京や大阪よりも空室率が高水準です。名古屋市内の好立地物件であれば空室リスクを抑えられる可能性があるので、立地選びを慎重に進めるのがより一層大切です。愛知県内第二の都市である豊田の人口は40万人規模と、名古屋市とは規模に大きな差があり、集客や空室リスクの点で相対的にリスクが高まります。堅実なアパート経営を目指すなら、まずは名古屋市内を中心に検討するのがよいでしょう。

5 大阪・名古屋でのアパート経営に適した不動産会社

以下では、大阪・名古屋の地域で堅実なアパート経営を検討している方に向けて、同地域でアパートの供給・販売実績が豊富な会社をご紹介します。

5-1 シノケンプロデュース

シノケンの不動産投資セミナー
シノケンプロデュースは、土地の選定から企画、設計、施工、引き渡し後の賃貸管理まで一貫したサービスを提供するアパート建築会社です。一般投資家向け賃貸住宅経営のパイオニアとしても知られており、アパート供給棟数は自社施工で7,000棟を超えています。「賃貸住宅に強い建築会社ランキング」(全国賃貸住宅新聞)の「年間アパート開発棟数部門」では、9年連続No.1の実績があります。

グループ会社のシノケンファシリティーズの管理戸数は47,000戸以上(2023年12月末時点)、入居率98.56% (2023年年間平均入居率)となっています。このような入居率の高さは、5,000店舗以上(2024年5月時点)の仲介業者と提携し、良好な関係を築いていることも要因の一つです。

シノケンプロデュースは、元々は福岡の企業ですが、現在は東京都港区に本社を構えています。また、大阪・名古屋にもオフィスを展開しており、各都市ごとのアパート経営の特徴に精通している会社です。

大阪と名古屋で豊富な物件販売実績がある

※画像引用:シノケンプロデュース「名古屋 実例紹介」

シノケンプロデュースの販売物件は、多くが自社開発の物件となっています。大阪・名古屋の双方に拠点を構えており、物件販売実績も豊富です。同社は、土地の取得から自社で進めているのが特徴です。地域の特性を理解して魅力的な立地の土地をいち早く取得できます。大阪でも、地元の不動産会社とのリレーションを強化して、市場に出回る前に魅力的な用地確保を進めています。

そのうえで、機能性とデザイン性を両立した魅力的なアパート物件を設計・施工しています。高品質な物件でアパート経営ができるため、周辺物件との競合に劣後することなく、スムーズな入居者獲得が期待できます。

リレーションを持つ金融機関が多く融資もスムーズに

シノケンプロデュースは、すでに7,000棟以上のアパート販売実績があります。30年超にわたる不動産販売の実績から、金融機関の開拓も進んでいます。

大阪・名古屋の厳選したエリアで一棟アパートを購入すると、物件価格が相応に高くなり、ローン借入金額の規模も大きくなりがちです。大きな金額の融資を引き受けてくれる金融機関を見つけなければなりません。

シノケンプロデュースは、上記の通り多くの金融機関とリレーションがあり、独自の提携ローンを利用できる場合もあります。初心者にとってネックとなりがちな融資の準備をスムーズに進められるでしょう。

5-2 アイケンジャパン

株式会社アイケンジャパンアイケンジャパンは、「堅実なアパート経営」をモットーに「グランティック」「レガリスト」などのアパートブランドを全国で展開する不動産会社です。2023年12月末時点で、アパート開発棟数1257棟の実績があります。

賃貸管理の実績として9,136戸(2023年12月時点)の管理を行っており、入居率99.3%(2023年年間実績)となっています。オーナーの負担が大きく、効果が一時的なフリーレントや家賃の値下げを行わずに高い入居率を維持しているのも特徴です。

2017年3月以降に完成したすべての物件で劣化対策等級が最高レベルの等級3の評価を第三者機関より獲得しています。2世代から3世代にわたって引き継ぐことが可能です。

アイケンジャパンは大阪・名古屋の双方に拠点を構えています。双方の地域でのアパート経営を気軽に相談することが可能です。

大阪・名古屋において豊富な開発・販売実績

アイケンジャパンのウェブサイトには、過去の大阪・名古屋における開発・販売事例が多数掲載されており、いずれも実績が豊富です。特に名古屋エリアでは、2024年8月時点で165の施工実績例が掲載されており、高い信頼性を獲得していることが分かります。

同社では、原則として徒歩15分以内の好立地に限定して土地探しを行っています。自社で土地を取得したうえで、土地の特性に応じて最適な物件デザインを行って、施工を進めるビジネスモデルです。自社で取得・デザイン・施工・販売を一貫しておこなうことにより、コストを抑えながら高品質なアパート開発・販売を実現しています。

大阪・名古屋周辺の地元金融機関とのリレーションが強み

アイケンジャパンは、高品質な物件の販売と高稼働率を実現してきた実績があるため、多数の金融機関と強固なリレーションを築いています。

アイケンジャパンもまた、アパート経営初心者が利用しやすいアパート会社のひとつといえるでしょう。金融機関探しや融資交渉なども、提携している金融機関を活用すれば手間なく進められることが期待できます。

6 まとめ

大阪と名古屋は、首都圏に次ぐ大きな規模を有する都市圏です。全国の中では少子高齢化による人口減少の進行が遅く、当面は安定した賃貸需要が期待できます。

ただし、首都圏と比べると都市の規模が小さいことを理解したうえで、各首都圏の中でも、とりわけ若年層の人口維持や人口の流入が期待できる地域を選んで、アパート経営を進めましょう。

大阪・名古屋どちらでアパート経営を進めるべきか悩む場合は、今回紹介したシノケンプロデュース、アイケンジャパンのように、大阪・名古屋双方において豊富なアパート販売実績を有する不動産会社に相談するのも一つの方法です。

【関連記事】アパート経営の始め方と必要な資金は?土地あり・土地なしのケースで解説

The following two tabs change content below.

伊藤 圭佑

資産運用会社に勤める金融ライター。証券アナリスト保有。 新卒から一貫して証券業界・運用業界に身を置き、自身も個人投資家としてさまざまな証券投資を継続。キャリアにおける専門性と個人投資家としての経験を生かし、経済環境の変化を踏まえた投資手法、投資に関する諸制度の紹介などの記事・コラムを多数執筆。