不動産投資で管理会社を変更する方法は?管理会社の選び方や手順、注意点も

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不動産投資における管理会社は、入居者の確保など重要な管理業務を担当する大切なパートナーです。しかしオーナーの意向通りに管理業務が行われないケースもあり、物件運営に支障が出ることもあります。

そこで今回のコラムでは、管理会社を変更する方法について解説し、管理会社の選び方やその手順、変更する際の注意点なども紹介します。

目次

  1. 不動産投資における管理業務とは
  2. 不動産投資で管理会社変更を考える状況
    2-1.入居者が確保できない
    2-2.入居者対応・管理状況が良くない
  3. 不動産投資で管理会社を変更する際の選び方
    3-1.業務内容の得意・不得意
    3-2.高い入居率
    3-3.担当者の対応力
  4. 不動産投資の管理会社を変更する手順
  5. 管理会社を変更する際の注意点
    5-1.入居者への通知を丁寧に行う
    5-2.保証会社の契約が終了になる
    5-3.管理会社変更の効果がすぐに発揮されるとは限らない
  6. まとめ

1 不動産投資における管理業務とは

不動産投資における管理業務は、主に「入居者募集業務」「家賃回収業務」「契約関連業務」「建物管理業務」「トラブル対応業務」といった項目に分けることができます。それぞれの業務内容を下記の表で確認してみましょう。

管理業務 主な内容
入居者募集に関わる業務 入居者募集、入居者の選定、賃貸借契約の締結
家賃回収に関わる業務 家賃回収、滞納者への催促
契約に関わる業務 契約更新および退去手続き、敷金の精算、室内クリーニングおよび原状回復工事
建物管理に関わる業務 法定点検、設備の修理・修繕、定期的な清掃およびメンテナンス(一棟物件の場合)、大規模修繕工事(一棟物件の場合)
トラブル対応に関わる業務 入居者間および近隣トラブルへの対応、設備や機器の故障などへの対応

管理会社は、オーナーができない管理業務を代行してくれますが、オーナーの思い通りに管理業務が行われないこともあります。話し合いや相談などを行っても改善されない場合は、管理会社を変更する方法が考えられます。

区分マンション投資の管理会社は2種類ある

区分マンション投資の管理には、大きく分けて「賃貸管理(専有部)」と「建物管理(共用部)」の二つの管理があり、多くの場合、それぞれ異なる会社が請け負っています。

賃貸管理とは、入居者が退去したあとで新たな入居者を探したり、賃料設定をするための市場調査を行ったりなど、入居付けに関わる管理を指しています。一方、建物管理は共用部分の清掃、建物や設備の保守・点検などの管理業務を指します。適切な建物管理が行われることで、入居者が内見をした際の印象を良くしたり、心地よい住環境の提供につながったりなどで入居期間にも影響を与えます。

複数のオーナーが存在している区分マンション投資では、一人のオーナーの意見でマンションの建物管理の意思決定をすることができません。そのため、複数のオーナーの意見をまとめられるように自治組織として管理組合の設立を義務づけられています。建物管理の変更については管理組合を通す必要があるという点に留意しておきましょう。

【関連記事】不動産投資で建物管理がなぜ重要なのか?建物管理に強い不動産会社も

2 不動産投資で管理会社変更を考える状況

管理業務が滞りなく行われていれば、安易に管理会社を変更する必要はありません。管理会社が変更することで、入居者に影響が出るケースがあるからです。それでも管理業者を変更するには下記のような状況が考えられます。

2-1 入居者が確保できない

管理会社を変更する代表的な例は、入居者の確保がうまくできていないケースです。入居者を確保することはオーナーの家賃収入に直結するため、入居者を確保できていないと不動産投資を健全に経営していくことが難しくなっていきます。

このような場合は、入居者確保に長けた管理会社に変更することで、収支の改善を目指していくなどの対応が必要になることもあるでしょう。

2-2 入居者対応・管理状況が良くない

管理会社は管理業務のプロですが、オーナーの意向に沿った業務になっていないこともあります。例えば、物件の清掃状況が悪かったり、大切なことを連絡してくれなかったといったケースもあります。

入居者からのクレームにしても事前に相談するべきケースと、事後報告でいいケースなど、オーナーと管理会社の間で認識が異なることもあるのです。具体的には下記のようなことが挙げられます。

  • 物件の清掃が適切に行われていない
  • 空室対策やリフォームについての提案が弱い
  • 管理状況についての報告や連絡、相談が遅い
  • 入居者からのクレームが長引く
  • 家賃の滞納が度々発生する、など

このような事態が続く場合は、入居者の印象に悪影響が及ぶこともあるため、早めの退去などにつながることが考えられます。またオーナーが本業を持っている場合は、本業に支障が出る可能性もあるのです。

そのため業務を的確に遂行する能力や、提案力の高い管理会社に変更した方が入居者とオーナーの双方にとって良い結果となる可能性があります。

3 不動産投資で管理会社を変更する際の選び方

管理会社を変更する場合、どのような点に気をつけると良いのか解説していきます。

3-1 業務内容の得意・不得意

不動産管理会社によって、請け負う管理業務の内容が異なることがあります。そのため、どのような管理業務を行っているのか、事前に確認しておきましょう。

特に重要なのが、オーナーが現在の管理会社に対して抱いている不安や不満を解消できるかの確認です。オーナーが管理会社を変更するには、入居者確保に対する不満や、入居者をうまく管理できていないことに対する不安、建物のリフォームに関する不満などがあります。

そのため、オーナー自身がどのような不満を解消したいのか、また候補となる管理会社がどのような業務を得意としているのか、などを事前に確認することが大切です。

3-2 高い入居率

不動産投資にとって入居者を確保することは、収入を確保することです。せっかく管理会社を変更しても、入居者が確保されなければ物件運営にはマイナスになってしまいます。そのため管理物件の入居率が高い管理会社を選ぶことが大切です。

この際、仲介店を持っていることも大切な条件になります。所有する物件の近隣に仲介店舗を展開していたり、仲介店と提携している管理会社を第一候補に考えるといいでしょう。また入居率という数字だけではなく、提案力やアイデアなども判断材料になります。個々の物件の特徴を捉えて、どのようなアイデアを提案してくれそうか、確認するようにしましょう。

3-3 担当者の対応力

管理会社の担当者は、オーナーだけではなく、入居者や仲介店の担当者ともやり取りをすることになります。その際の態度や姿勢が良くなければ、物件の条件が良くても契約に至らないことも考えられます。

また入居者からはクレームにつながり、物件自体の評価を落とすこともあります。そのため、担当者の対応力や性格などもしっかりチェックしましょう。

4 不動産投資の管理会社を変更する手順

管理業務の委託は、管理委託契約に基づいています。そのため、オーナーの一存ですぐに変更することはできません。そこで実際に管理会社を変更する流れについて見ていきましょう。

下記が代表的なその流れです。

  1. 管理委託契約書を確認する
  2. 新しい管理会社を探す
  3. 管理会社を変更する旨を伝える
  4. 管理会社の解約手続きを行う
  5. 新しい管理会社と管理委託契約を締結する
  6. 管理業務の引き継ぎを行う

①の「管理委託契約を確認する」のは、解約予告が設定されているケースがあるからです。解約までの期間が1カ月や3カ月などと設定されていると、解約手続きをとったその日ではなく、指定の日に管理会社を変更できるようになります。

また②の「新しい管理会社を探す」と③の「管理会社を変更する旨を伝える」はどちらが先でも構いません。ただし現在の管理会社との契約期間が終了するときに、新しい管理会社を決めておく必要があります。そのため新しい管理会社を早めに決めておき、準備を進めておきましょう。

⑥の「管理業務の引き継ぎ」に関しては、賃貸借契約に関する書類や、管理会社が預かっている敷金などに関する対応です。新旧の管理会社でやりやすいように引き継ぎしてもらうのが望ましいですが、オーナーとしてもその状況を適切に見守ることが肝心です。

5 管理会社を変更する際の注意点

管理会社を変更するのはリスクや注意点も伴います。次の3つについて確認してください。

5-1 入居者への通知を丁寧に行う

管理会社を変更する際は、入居者に対してその旨を通知します。連絡先や家賃の振込先が変更になるため、入居者に負担をかけてしまうからです。そのためクレームにつながったり、家賃の滞納や遅延が起きることも考えられますので、丁寧に通知を行うことが大切です。

5-2 保証会社の契約が終了になる

入居者が保証会社を利用して入居した場合、管理会社を変更することによって保証契約が終了になることもあります。この場合、入居者の保証がなくなりますので、家賃の滞納リスクが高まります。新しい管理会社との間で入居者の保証に関する対策を事前に相談しておきましょう。

また、物件の修繕工事や建築工事などに対する保証が適用されている期間中であれば、保証が終了することもあります。特に、管理会社の関連会社が施工工事を行った場合などにこうした事態が起きます。この点もリスクになりますので、あらかじめ工事に関する保証期間について確認しておきましょう。

5-3 管理会社変更の効果がすぐに発揮されるとは限らない

新しい管理会社に変更したとしても、以前の管理会社に対して抱いていた不安や不満が解消されるかすぐには分かりません。新しい管理会社は最大限の努力をしますが、初めて担当する物件の管理ですので、慣れていないことも多々あります。

既存の入居者の状況や、建物の詳細な状態などをすぐに把握できないのに加えて、特に入居者の募集は結果が出るまでにしばらくかかることも考えられます。管理会社を変更した効果が、すぐに現れるとは限らないことも認識しておきましょう。

まとめ

不動産投資を滞りなく進めるには管理業務を適切に行う必要があります。しかし入居者の確保がうまくいかない、建物の清掃が綺麗ではない、といった管理業務に対する不安や不満を感じることがあります。

このようなときに管理会社を変更する方法がありますが、その手順や注意点などについて今回のコラムで解説しました。管理会社をスムーズに変更するには、リスクを適切に把握して、事前の準備を怠らないことです。ぜひ参考にしてください。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。